「また焼き鳥してる。鳥を殺さないでっていつも言ってるでしょ」
ミスティアはそう言った。彼女の目の前には焼き鳥を取り扱っている店があり、その店の主は困惑した様子でミスティアを見ていた。
「こっちも商売だからな。何度言われようとも辞めるつもりは全然ない。それとも何だ。俺を襲うか? 人間の里の中で人間を襲ったらどうなるか分からない訳じゃないだろ?」
店主は馬鹿にしたように言った。
「むむ……仕方ないわね。今日のところは諦めてあげるけど、次来るまでには焼き鳥をメニューから外しておきなさいよ。絶対また見に来るからね!」
そう捨て台詞を残しミスティアはその場を後にした。
「はいはい分かったよ。あ、焼き鳥いかがですか? おいしいですよ」
店主はミスティアのことをすぐに頭の外に追いやり、すぐ客に焼き鳥を勧めた。
それを見たミスティアはまた怒鳴ろうとしたが、結局諦め、肩を落としてその場を去った。
「何なのよあの店主。いつも私を馬鹿にして。でも人間の里じゃあ手出しもできないからなあ」
ミスティアは憎々しそうにつぶやいた。ミスティア程度の力ではどうすることも出来ないのが現実である。
「……鳥の焼ける匂いがする。里の外に屋台なんて出す馬鹿がいるみたいだな」
ミスティアはその匂いのする方へ歩いていった。
「いらっしゃい。何にするかい……おや鳥が鳥を食べるとは悲しい時代になったものだ」
「誰も焼き鳥食べに来たわけじゃないよ! それよりも何で里の外で人間が屋台やってるのよ。危険でしょ」
「何言ってるんだ? 私なら大丈夫さ。死ぬことはないからね」
「……どういうこと、あなた人間じゃないの?」
「私は藤原妹紅、死ねない体になってはいるが、人間だよ」
その少女は屈託のない笑顔でそう名乗った。
「そうだ。折角来たんだ、何か食べていきなよ」
「そう。それなら何か食べていこうかな。何があるの?」
「ここは焼き鳥しか扱ってないよ。あと酒ならたくさんあるよ」
「ここも鳥しか扱ってないのね……なんで人間は鳥ばっか食べるのかな。食べるものなんて他にもいっぱいあるのに。それじゃ鳥が可哀想だよ」
「鳥が幻想郷では比較的簡単に手に入るからじゃないか? そこら辺にいるし。他の肉は幻想郷じゃあまり食べないからね」
妹紅はそう言ったが、ミスティアは納得のいかない顔をしていた。
「確かにそうかもしれないけど、例えば私の屋台では八目鰻を売ってるんだけど、そんな風に他に変えていけばいいと思うの。そしたら誰も嫌な思いをしないで済むから」
「そうだな。確かにそうすればお前が嫌な思いをしないで済む。だけどな、八目鰻を食べることを気に入らない奴だっているかもしれない。お前が八目鰻を焼いているのを見て、それに文句を言ってくるかもしれない。そしたらお前も嫌だろう? お前にはお前の正義があるのかもしれないが少しは人間のことも配慮してくれよな。お前も屋台で商いをしてるんだからそれぐらい目を瞑らないとな」
「何か分かるような分からないような……でも少しは我慢してみようかな。鳥を虐めるのはやっぱり許せないけどね」
「そうだな。少しは頑張ってみるんだな」
「うんそうだね。ありがとう妹紅。じゃあ私はそろそろ自分の店の準備をするから帰るね。私の店にも気が向いたら寄ってみてね」
「じゃあな。機会があったら寄ってやるよ」
そういいミスティアは妹紅の屋台から出た。ミスティアは空を見上げた。見上げた空は既に夜の帳が下りており、妖怪たちが活発に動き出す時間だ。ミスティアは今日の分の準備をする為に自分の屋台に向かった。
人間の里の焼き鳥屋の店主は今日も真面目に働いていた。そこにお馴染みの客ではない来訪者がやってきた。
「いらっしゃい。またあんたかい。何度言われようと俺はこの店の方針を変えるつもりはないからな」
その店主は露骨に嫌な顔をしつつミスティアにそういった。
「ああ、今日はそんなことを言いに来たんじゃなくてあんたに謝ろうと思って今日は来たの」
「珍しい事もあるもんだな。まああんたの言い分も聞いてやるよ」
店主は少し驚いた様子で言った。
「私だって一応商売をしている身だからね。いくら同族といったって他人の商売道具を批判するのは間違いなんだと気付いたの。だから謝ろうかなって思ったの」
「そうか。まだ信用はできないがその謝罪は聞き入れてやるよ。」
「ありがとう。そういってくれて嬉しいよ。じゃあ私はこれで」
「おう。またな。今度は客として来てくれよな」
「そんなことは絶対無いよ! 絶対に鳥なんて食べるもんですか。じゃあ今度こそじゃあね!」
そうしてミスティアは店を出た。彼女はさっぱりとした顔をしていた。
「よーし今日も頑張るぞー!」
ミスティアはそう言い、腕を振り上げた。
ミスティアはそう言った。彼女の目の前には焼き鳥を取り扱っている店があり、その店の主は困惑した様子でミスティアを見ていた。
「こっちも商売だからな。何度言われようとも辞めるつもりは全然ない。それとも何だ。俺を襲うか? 人間の里の中で人間を襲ったらどうなるか分からない訳じゃないだろ?」
店主は馬鹿にしたように言った。
「むむ……仕方ないわね。今日のところは諦めてあげるけど、次来るまでには焼き鳥をメニューから外しておきなさいよ。絶対また見に来るからね!」
そう捨て台詞を残しミスティアはその場を後にした。
「はいはい分かったよ。あ、焼き鳥いかがですか? おいしいですよ」
店主はミスティアのことをすぐに頭の外に追いやり、すぐ客に焼き鳥を勧めた。
それを見たミスティアはまた怒鳴ろうとしたが、結局諦め、肩を落としてその場を去った。
「何なのよあの店主。いつも私を馬鹿にして。でも人間の里じゃあ手出しもできないからなあ」
ミスティアは憎々しそうにつぶやいた。ミスティア程度の力ではどうすることも出来ないのが現実である。
「……鳥の焼ける匂いがする。里の外に屋台なんて出す馬鹿がいるみたいだな」
ミスティアはその匂いのする方へ歩いていった。
「いらっしゃい。何にするかい……おや鳥が鳥を食べるとは悲しい時代になったものだ」
「誰も焼き鳥食べに来たわけじゃないよ! それよりも何で里の外で人間が屋台やってるのよ。危険でしょ」
「何言ってるんだ? 私なら大丈夫さ。死ぬことはないからね」
「……どういうこと、あなた人間じゃないの?」
「私は藤原妹紅、死ねない体になってはいるが、人間だよ」
その少女は屈託のない笑顔でそう名乗った。
「そうだ。折角来たんだ、何か食べていきなよ」
「そう。それなら何か食べていこうかな。何があるの?」
「ここは焼き鳥しか扱ってないよ。あと酒ならたくさんあるよ」
「ここも鳥しか扱ってないのね……なんで人間は鳥ばっか食べるのかな。食べるものなんて他にもいっぱいあるのに。それじゃ鳥が可哀想だよ」
「鳥が幻想郷では比較的簡単に手に入るからじゃないか? そこら辺にいるし。他の肉は幻想郷じゃあまり食べないからね」
妹紅はそう言ったが、ミスティアは納得のいかない顔をしていた。
「確かにそうかもしれないけど、例えば私の屋台では八目鰻を売ってるんだけど、そんな風に他に変えていけばいいと思うの。そしたら誰も嫌な思いをしないで済むから」
「そうだな。確かにそうすればお前が嫌な思いをしないで済む。だけどな、八目鰻を食べることを気に入らない奴だっているかもしれない。お前が八目鰻を焼いているのを見て、それに文句を言ってくるかもしれない。そしたらお前も嫌だろう? お前にはお前の正義があるのかもしれないが少しは人間のことも配慮してくれよな。お前も屋台で商いをしてるんだからそれぐらい目を瞑らないとな」
「何か分かるような分からないような……でも少しは我慢してみようかな。鳥を虐めるのはやっぱり許せないけどね」
「そうだな。少しは頑張ってみるんだな」
「うんそうだね。ありがとう妹紅。じゃあ私はそろそろ自分の店の準備をするから帰るね。私の店にも気が向いたら寄ってみてね」
「じゃあな。機会があったら寄ってやるよ」
そういいミスティアは妹紅の屋台から出た。ミスティアは空を見上げた。見上げた空は既に夜の帳が下りており、妖怪たちが活発に動き出す時間だ。ミスティアは今日の分の準備をする為に自分の屋台に向かった。
人間の里の焼き鳥屋の店主は今日も真面目に働いていた。そこにお馴染みの客ではない来訪者がやってきた。
「いらっしゃい。またあんたかい。何度言われようと俺はこの店の方針を変えるつもりはないからな」
その店主は露骨に嫌な顔をしつつミスティアにそういった。
「ああ、今日はそんなことを言いに来たんじゃなくてあんたに謝ろうと思って今日は来たの」
「珍しい事もあるもんだな。まああんたの言い分も聞いてやるよ」
店主は少し驚いた様子で言った。
「私だって一応商売をしている身だからね。いくら同族といったって他人の商売道具を批判するのは間違いなんだと気付いたの。だから謝ろうかなって思ったの」
「そうか。まだ信用はできないがその謝罪は聞き入れてやるよ。」
「ありがとう。そういってくれて嬉しいよ。じゃあ私はこれで」
「おう。またな。今度は客として来てくれよな」
「そんなことは絶対無いよ! 絶対に鳥なんて食べるもんですか。じゃあ今度こそじゃあね!」
そうしてミスティアは店を出た。彼女はさっぱりとした顔をしていた。
「よーし今日も頑張るぞー!」
ミスティアはそう言い、腕を振り上げた。