Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

『雲居さん』

2010/11/06 11:24:12
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*結構むかしという設定です。



ムラサを呼んできてくれる?
姐さんに言われて、ムラサを探していると、先頭に佇む背中を見つけた。

「あ、ムラサ」

するとムラサはくるんと振り返って、にっこり笑った。

「なあに、雲居さん」
「…え?」

『雲居』なんて、自分で名乗るときくらいしか聞かないから、一瞬誰のことかわからなかった。戸惑う私をムラサは冷めた眼差しで見つめてくる。いつものムラサじゃない。

「…ムラサ?」
「……用があったんじゃないの」
「え、あ、姐さんが呼んで…」
「そう、わかった」

ムラサはこっちを見ようともしないで、歩いていってしまった。いつもだったら一言二言余計なことを言っては、絡んでくるのに。

(え?ええ?)



ことの顛末を話すと、ナズーリンはクッと笑って、私が睨みつけると、やめた。

「…ムラサ、怒っているのかしら」
「ムラサの怒り方にしては陰湿だ。妙だと思うがね」
「…よね」

ため息をつく私と対照的に、ナズーリンは意地悪そうにニヤニヤしている。なにがそんなに可笑しいのか。ジト目でねめつけると、まいったというように手を挙げた。でも、ニヤニヤはそのままだ。

「私はなにも知らないよ。推測はできるけどね」
「推測でいいから言いなさいよ」
「こういうのは自分で気付かなくちゃあね…。ま、可哀そうだからヒントをあげよう」

ナズーリンはぴっと指をたてる。

「私達と君とは、いまはもう、違っていなければならないはずだ。…おや、大ヒントになってしまったよ」

しまったね、とナズーリンは言うけれど、

「……わからないのだけれど」
「これ以上は。頑張るんだね。ああ、それと、ムラサは怒っちゃいないよ」

“怒っていない”と言われただけで、かなりほっとした。ナズーリンの言うことなら信じて良いだろう。いきなりそっけなくされて、嫌われてしまったのかと思ったから。
ただ…“違っていなければならない”とはどういう意味なの?



「ムラサ、船長、キャプテン…」

聖のもとへ向かいながら、水蜜は小さな声で呟いていた。一輪が使い分ける、自分の呼び名を。

「…水蜜」

これはまだ、一度も聞いたことがない。

(私達はもう、みんなと一緒じゃないのに)

ちぇっ、とふくれてみても、誰が見ているわけでもない。もっとふくらませてみる。苦しいな、というところでやめた。ため込んだ息を吐く。

あのときの一輪の顔を思い出した。びっくりした顔。少し不安そうな顔。傷ついたかな。でも、気付いてくれないのがいけないのよ。

(一輪の、ばあか)


『水蜜』って呼んでよ。
お久ぶりです。

付き合ったばかりのふたりの痴話喧嘩と察しの良い友人でした。
ひゃっくり
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
癒される
2.名前が無い程度の能力削除
一輪さんの方がニブチンだと…
3.奇声を発する程度の能力削除
一輪さんがニブチンだと新鮮な感じがするw
4.名前が無い程度の能力削除
鈍い一輪さんもかわいい