※ この話は、ジェネリック作品集75、『小傘と子猫』からのシリーズものとなっておりますのでご注意ください。
小猫は日向ぼっこが大好きです。やっぱり猫だからでしょうか?
お日様の光をいっぱい受けようと小さな身体をうんと伸ばすその姿は見ていてとても微笑ましいです。
白い毛皮もまるで宝石のようにキラキラと輝いています。
「気持ちいい? 小猫?」
にゃぁ~ん。
随分と甘ったるい声で鳴く小猫。余程気持ち良いんだね。
縁側に座っていると陽気がぽかぽかと暖かくて確かに気持ち良い。
横から私に指で突付かれながら小猫は膝の上でごろごろと喉を鳴らしました。
「本当に可愛い猫さんですね、小猫は。」
そう言って上品に笑う聖さん。実は今、小猫が乗っている膝は聖さんのだったり。
優しく小猫を撫でる聖さんの姿は隣で見ているとすごく様になっているように思えます。
「お年寄りっぽいな……とか思ってません?」
「? いえ……どうしてですか?」
「気のせいでしたか……なんでもありません。忘れてください。」
なんのことだろう。私にはよく分からなかったけど、聖さんは気にしなくて良いと言ってるみたいだし。
深くは考えない事にしました…………何故だろう。それが命に関わるような重大な決断に思えました。
「そう言えば……いつも突然お邪魔したりして、迷惑じゃないですか?」
「何を今更。いつも言っているではありませんか。遠慮は要りませんよ。むしろ大歓迎です。」
優しく微笑まれる聖さんに釣られて私も笑いました。
実は私達、割と頻繁に聖さんの部屋に訪れてはただ日向ぼっこしてたり。
聖さんの部屋がとても日当たりが良いものですから、小猫がどうしてもって聞かないんです。
とは言っても聖さんとおしゃべりするの私も大好きですから。
結局ろくに反対もせず、アポ無しで何時もお邪魔しちゃってるのだけど。
「それはそうと、小傘さん。最近お身体の調子はどうですか? 体調が悪かったりはしませんか?」
「どういう事でしょう?」
怪我もなければ病気でもない。至って健康的なのは見ての通りだと思いますし、これまで妖怪になってから調子を崩した事なんて一度もない。
そもそも傘が病気というのも変な話。故障ならままありますが……とてもそんな事を聞いている風には見えません。
「…………大事な事をお忘れじゃないですか?」
大事な、事?
そう言われ反射的に聖さんの膝の上で丸くなる小猫に目をやります。今の私にとって一番大切な家族ですから。
だけど勿論私の体調にはなんら関係ない筈。
だとすればなんだろう? 首を傾げるも全く答えが見つかりません。
「う~ん……これと言って持病とかも持ってませんし……食欲だってちゃんとありますし。」
毎食キッチリ用意される一輪さんの手料理を見過ごす訳がありません。
後、週に一度の村紗さん特性カレーも絶品です!
「…………どうやら本当にお忘れのようですね。」
聖さんの言葉を受けて、私は必死に頭を悩ませます。
一体何を忘れてるんだろう? 他にもっと美味しいものがあったでしょうか?
うんうんと悩む私を見かねたのか、聖さんが心配そうに私の顔を覗きます。
ああ……! ひょっとして──
間近に迫った聖さんの顔を見て、私はとても大切な事を思い出しました!
「お茶です! 聖さんが淹れてくれるお茶、すっごく美味しいかったです!」
聖さんの部屋にお邪魔する度、いつもご馳走になっているお茶。
今日はまだ頂いていません! 危うく忘れるところでした。
「ぷっ……くくくっ……貴女は本当に面白い方ですね。」
その様子からすると、私の答えは外れ……それも見当違いも良い所みたいです。
なら本当の答えってなんだったんでしょう?
でもどうせ考えても分からないと思うので、これ以上は考えないことにします。
深く考え過ぎない──これが私の長所ですから!
「まあ良いでしょう。後でお茶、淹れてきますからね。」
「わ~い!」
手放しで喜ぶ私に慈しみの篭った瞳を向けてくださる聖さん。
お日様よりも暖かなその笑顔に見つめられると、なんだか照れちゃいます。
これじゃあ小猫が膝を離れないのも仕方ないよね。
「でも、何かあったらすぐに周りに知らせる事です。良いですね?」
「心配し過ぎですよ、聖さん。私はこの通り、ほらっ元気一杯ですから!」
両腕を上げ下げして元気さをアピール。心配して貰えるのはすごく嬉しいのだけれど。
私なんかの為に要らぬ心配をするなんて勿体無い。だって聖さんはみんなの聖さんだから。
私一人が独り占めして良い存在じゃないんです。
「…………(はぁ)自覚なし、ですか。貴方のご主人さまは結構困った人ですよ。」
「そ、そんなぁ~。」
気を使ったつもりが逆に溜息まで付かれて、そのうえ膝に乗せた小猫にまで変な事を吹き込まれてしまいました。
ううう……正直ショックです。何がそんなに悪いんでしょうか?
「こうなれば貴方だけが頼りです。小猫、しっかり小傘のこと見守ってあげてくださいね?」
にゃ~う!
「ふふふ、とても良い返事です、小猫。」
小猫の返事に漸く満足のいく答えが聞けたと言わんばかりに大層嬉しそうに顔を綻ばせる聖さん。
──私って、そんなに頼りない!?
「ううぅ、小猫のばかぁ……!」
にゃ、にゃう~?
私が拗ねだしたのを察したのか、気遣わしげに鳴きながらこちらへ寄ってくる小猫。
嬉しいけど……これじゃあ本当に私の立場が無いよぉ。
「ふふふ、南無三。」
小猫に慰められる私の姿を、目を細くして見守ってくださる聖さんが一言だけそう、呟きました。
小猫は日向ぼっこが大好きです。やっぱり猫だからでしょうか?
お日様の光をいっぱい受けようと小さな身体をうんと伸ばすその姿は見ていてとても微笑ましいです。
白い毛皮もまるで宝石のようにキラキラと輝いています。
「気持ちいい? 小猫?」
にゃぁ~ん。
随分と甘ったるい声で鳴く小猫。余程気持ち良いんだね。
縁側に座っていると陽気がぽかぽかと暖かくて確かに気持ち良い。
横から私に指で突付かれながら小猫は膝の上でごろごろと喉を鳴らしました。
「本当に可愛い猫さんですね、小猫は。」
そう言って上品に笑う聖さん。実は今、小猫が乗っている膝は聖さんのだったり。
優しく小猫を撫でる聖さんの姿は隣で見ているとすごく様になっているように思えます。
「お年寄りっぽいな……とか思ってません?」
「? いえ……どうしてですか?」
「気のせいでしたか……なんでもありません。忘れてください。」
なんのことだろう。私にはよく分からなかったけど、聖さんは気にしなくて良いと言ってるみたいだし。
深くは考えない事にしました…………何故だろう。それが命に関わるような重大な決断に思えました。
「そう言えば……いつも突然お邪魔したりして、迷惑じゃないですか?」
「何を今更。いつも言っているではありませんか。遠慮は要りませんよ。むしろ大歓迎です。」
優しく微笑まれる聖さんに釣られて私も笑いました。
実は私達、割と頻繁に聖さんの部屋に訪れてはただ日向ぼっこしてたり。
聖さんの部屋がとても日当たりが良いものですから、小猫がどうしてもって聞かないんです。
とは言っても聖さんとおしゃべりするの私も大好きですから。
結局ろくに反対もせず、アポ無しで何時もお邪魔しちゃってるのだけど。
「それはそうと、小傘さん。最近お身体の調子はどうですか? 体調が悪かったりはしませんか?」
「どういう事でしょう?」
怪我もなければ病気でもない。至って健康的なのは見ての通りだと思いますし、これまで妖怪になってから調子を崩した事なんて一度もない。
そもそも傘が病気というのも変な話。故障ならままありますが……とてもそんな事を聞いている風には見えません。
「…………大事な事をお忘れじゃないですか?」
大事な、事?
そう言われ反射的に聖さんの膝の上で丸くなる小猫に目をやります。今の私にとって一番大切な家族ですから。
だけど勿論私の体調にはなんら関係ない筈。
だとすればなんだろう? 首を傾げるも全く答えが見つかりません。
「う~ん……これと言って持病とかも持ってませんし……食欲だってちゃんとありますし。」
毎食キッチリ用意される一輪さんの手料理を見過ごす訳がありません。
後、週に一度の村紗さん特性カレーも絶品です!
「…………どうやら本当にお忘れのようですね。」
聖さんの言葉を受けて、私は必死に頭を悩ませます。
一体何を忘れてるんだろう? 他にもっと美味しいものがあったでしょうか?
うんうんと悩む私を見かねたのか、聖さんが心配そうに私の顔を覗きます。
ああ……! ひょっとして──
間近に迫った聖さんの顔を見て、私はとても大切な事を思い出しました!
「お茶です! 聖さんが淹れてくれるお茶、すっごく美味しいかったです!」
聖さんの部屋にお邪魔する度、いつもご馳走になっているお茶。
今日はまだ頂いていません! 危うく忘れるところでした。
「ぷっ……くくくっ……貴女は本当に面白い方ですね。」
その様子からすると、私の答えは外れ……それも見当違いも良い所みたいです。
なら本当の答えってなんだったんでしょう?
でもどうせ考えても分からないと思うので、これ以上は考えないことにします。
深く考え過ぎない──これが私の長所ですから!
「まあ良いでしょう。後でお茶、淹れてきますからね。」
「わ~い!」
手放しで喜ぶ私に慈しみの篭った瞳を向けてくださる聖さん。
お日様よりも暖かなその笑顔に見つめられると、なんだか照れちゃいます。
これじゃあ小猫が膝を離れないのも仕方ないよね。
「でも、何かあったらすぐに周りに知らせる事です。良いですね?」
「心配し過ぎですよ、聖さん。私はこの通り、ほらっ元気一杯ですから!」
両腕を上げ下げして元気さをアピール。心配して貰えるのはすごく嬉しいのだけれど。
私なんかの為に要らぬ心配をするなんて勿体無い。だって聖さんはみんなの聖さんだから。
私一人が独り占めして良い存在じゃないんです。
「…………(はぁ)自覚なし、ですか。貴方のご主人さまは結構困った人ですよ。」
「そ、そんなぁ~。」
気を使ったつもりが逆に溜息まで付かれて、そのうえ膝に乗せた小猫にまで変な事を吹き込まれてしまいました。
ううう……正直ショックです。何がそんなに悪いんでしょうか?
「こうなれば貴方だけが頼りです。小猫、しっかり小傘のこと見守ってあげてくださいね?」
にゃ~う!
「ふふふ、とても良い返事です、小猫。」
小猫の返事に漸く満足のいく答えが聞けたと言わんばかりに大層嬉しそうに顔を綻ばせる聖さん。
──私って、そんなに頼りない!?
「ううぅ、小猫のばかぁ……!」
にゃ、にゃう~?
私が拗ねだしたのを察したのか、気遣わしげに鳴きながらこちらへ寄ってくる小猫。
嬉しいけど……これじゃあ本当に私の立場が無いよぉ。
「ふふふ、南無三。」
小猫に慰められる私の姿を、目を細くして見守ってくださる聖さんが一言だけそう、呟きました。
にしてもひじりん婆くさ(ピチューン)
和みました。
私の心を見透かされたようでマジ心臓が跳ね上がりました。