「霊夢さんは私のことどう思ってます? 正直鬱陶しいとか」
「なんで? 私あんたのこと好きよ?」
「それはどういう……」
「うん、何?」
「いや、何でも無いです。貴女がそう言うのなら、きっとそうなんでしょうね。鬱陶しいと思われてなくてよかったです」
1、I like you.
チョキチョキとハサミを使って写真を切ること早一時間。終わらない。次の発刊は明日の早朝と決めていたのに。昼までには配り終えると決めていたのに。
「だー終わらない終わらない! なんでここには定規、カッター、ペン、インク等道具が全然無いんですか!」
「ここ神社だし。自分の家でやればいいじゃない」
「ほら、そういうのってあるじゃないですか。作業がはかどる環境というか」
「実際はかどって無いじゃない」
もう昼下がりだと言うのに、半分以上も白紙の新聞を眺めてため息をつく。
「適当に写真貼りまくって埋めればいいんじゃないの?」
「それじゃあ新聞じゃないんですよぅ」
「どうせ文字なんて誰も見てないわよ」
「知ってますけど……」
「稗田とか、ハクタクが書いた文章なら皆気になって読むんでしょうね」
私はガタッと立ち上がる。
「それですよ!」
「はぁ? 止めなさい。稗田もハクタクも忙しいんだから」
「いるじゃないですか。ほぼ常に暇そうで、もし文章を書いたら皆が注目しそうな人が」
博麗の巫女が書いた文章が少しでも乗っていれば、皆その部分だけでも読むかもしれない。
「私は嫌よ。面倒くさい」
「何でもいいですよぅ。本当に何でもいいのでお願いしますよぅ」
縋り付くように霊夢さんの腕を掴む。そのまま嫌がる霊夢さんを無視して張り付いていたら、ぶちっと音がして腕に着いている筒のような部分が取れてしまった。
「うえぃあぅえぃ!? ごめんなさい!」
「なんて声出してるのよ」
霊夢さんに睨まれて、体は瞬時に正座の姿勢をとる。
「はぁ、仕方ないわねぇ。何書いても文句言わないわね?」
「も、もちろんですとも!」
そう言うと霊夢さんはどこかへ歩いて行ってしまった。何か取ってくるのだろうと思い、期待して待つ。
いやはや、冗談混じりだったのに、まさか承諾してもらえるとは。これで明日の新聞は皆に読んでもらえそうですね。
「お待たせ」
暫くして小さな紙を持った霊夢さんが部屋に戻ってきた。
「はいこれ」
渡された紙には、予想と反して筆による達筆な字で、何かの文字が書いてあった。
「最初の文字は鴉ですかね」
達筆すぎて、よく分からない。
「次が天狗。は、なんとか、しすぎて、う、ざいので、気をつけて、ください」
私の中に、衝撃が走る。
「鴉天狗は……鬱陶しすぎてうざいので、気をつけてください」
気づけば、手も声も少し震えていた。
「鴉天狗は鬱陶しすぎてうざいので、気をつけてください」
地底から怨霊が溢れた騒ぎの後にした問答を思い出す。私って、鬱陶しい? なんて子どもみたいな問いかけに、あんたのこと好きよと答えてくれた霊夢さん。
「あ、あぁ……」
「ちょっと、どうしたのよ」
あれは、嘘だったのだろうか。本当は、ずっと鬱陶しいと思っていたのだろうか。
無意識の内に、紙を握り潰す。
そしてそのまま走って神社を飛び出してしまった。
「ちょっと!」
後ろで霊夢さんが叫んで、追ってきているのがわかる。
霊夢さんの飛翔速度で、私に追いつくはずもなく、それでも見えることさえ嫌だった私は懐からスペルカードを取り出して、宣言した。
音よりも速い世界に到達した私は、後ろをちら見して、もう霊夢さんが見えないことを確認すると、何となく下に見えた森に降りた。
木の上に腰をかけると、なぜか途端に泣き出してしまう。
「うぅ、うぅ」
目の前にたくさんある木葉を枝からちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返す。
嫌われた。いや、嫌われていた。
何で人間から嫌われていると分かるだけで、こんな気持ちになるんだろう。
パパラッチなんて、いつものことじゃないか。
なんでだろう。
またあのときの問答を思い出す。
「あんたのこと、好きよ」
霊夢さんがあのとき言ってくれた言葉を自分で復唱する。
なんだか自分で言ってて悲しくなってきた。
手を伸ばして届く範囲の葉っぱを全て投げてしまって、やることがなくなった。
私は、博麗霊夢が大好きだ。
あのとき私は何を聞こうとしたんだっけ。
そうだ。ライクなのか、ラブなのかを聞こうとしたんだ。
馬鹿なことだと思う。答えなんて、決まっているのに。
何かの気配を感じで振り返ると、ものすごい速度で私のペンが飛んできた。
ペンを横からキャッチして、飛んできた方を見ると、霊夢さんがいるではないか。
「忘れもん」
「あ、ありがとうございます。よくここが分かりましたね」
私は素っ気ないフリをして、ポケットにペンをしまった。
霊夢さんを見れない。
霊夢さんは返事をすることなく木の下に降りてきている。相変わらず、霊夢さんを見れない。霊夢さんを見ると顔が下を向くから。そしたら、涙まで落ちる。そんなの面倒くさい。
「降りてきなさいよー。さっきのは正直悪かったわー。ごめんなさいー」
「大丈夫ですよ。気にしてません」
気にしてないと言ったら、まぁ嘘になるんだけど。多分彼女のことだから、ほんの冗談のつもり。でも私は、本気で彼女のことを好きだった私には、ちょっと辛い一言だった。ただそれだけ。
泣いているのがばれないように木の幹を見ていると、いきなり目の前に霊夢さんが現れた。
「やっぱり、あんた泣いてるのね。悪かったわ。本当に。ごめん」
息がかかるすぐ目の前に霊夢さんが現れたせいで、私は固まってしまい、心臓はばくばくしっぱなしだった。顔だって、今真っ赤に違いない。
「べ、べつにもう気にしてません」
「でも泣いてる」
「これは、その……」
霊夢さんが私をじっと見ている。目が放せない。そのどこまでも綺麗な目に、私が写っているのを見つけて、また緊張する。
「もし違うのなら教えなさいよ。こちとら私の所為で泣いてると思ってるのよ。このままじゃ眠れないわ」
私は初めて目を逸らす。
「その、違うというか、直接それでは無いというか。いやまぁ直接あれが原因なんですけど、大元をただせばもっと過去にあったというか」
「過去ぉ?」
霊夢さんの眉が寄って、いぶかしげな顔になる。
「もったいぶってないで教えなさいよ」
またほんの少しだけ霊夢さんが近づいてきて、とうとう息は完全に私にかかる距離になってしまった。
もう、言ってしまおう。
「あのですね」
目の前の霊夢さんを見ていると何も言えない気がしたから、視線を外して体の正面を向いた。
「地底の怨霊が溢れた騒ぎの後、私がした質問覚えてます?」
「覚えてるわけないじゃない」
ははは、そうですよね。
よっと、とか言いながら、霊夢さんも同じ枝に同じ向きに座る。
「私、霊夢さんに私が鬱陶しいかどうか聞いたんですよ」
「あぁ、それで今日のことに繋がるわけね」
「えぇ、まぁ」
続きがあると判断したのだろう、霊夢さんは黙って正面を見ていた。
「霊夢さんは、こういいました。あんたのこと好きよって」
「そうね、多分言ったと思うわ」
「私が、その後、何か言いかけたの覚えてますか?」
「ごめん、ちっとも……」
いや、いいんですよと手を振って苦笑いする。
言いたいことを言い始めたら溜まっていた何かを消化出来たみたいで、気分も晴れてきたので涙を拭いた。
「それはどういうことです? ライク、ラブどっちです? って聞こうとしたんですよ。子どもみたいでしょう?」
「ふーん」
「あれ、驚かないんですか?」
「別に」
霊夢さんがあんまりにもいつも通り素っ気ない態度で遠くを見ているので、私は大きく落胆してしまう。
「そうですか。まぁ、そうですよね」
「何がよ」
「私ですね、霊夢さんのこと好きなんですよ。大好きです。夢中ってやつです。しかも、ラブの方。だから毎日何か理由をつけては博麗神社に通いましたし、霊夢さんにさっきみたいなこと聞いてみようとしたり」
「ねぇ」
「はい?」
霊夢さんから話しかけてくるなんて珍しいと思い、横目でちらと見てみると、霊夢さんがこっちに顔を向けていたので、一瞬目が合って、焦って逸らしてしまう。
「何で目逸らすのよ。好きなんでしょう?」
「いや、まぁそれはそうなんですけど。女の子同士ですし、私天狗ですし、貴女人間どころかましてや博麗の巫女ですし」
「こだわる必要あるところ? もう一度聞いてみるのをお勧めするわ。私があんたを好きって言ったのが、ライクなのかラブなのか」
もう一度ちらと横を見ると、未だに霊夢さんはこちらを見ており、すぐにまた視線を正面に戻してしまった。
「じゃあ、聞きますけど、ライクだったんですか? ラブだったんですか?」
ざあっと風の音がよく聞こえる。
つい流されて言ってしまった。
緊張というのはこういうことだろうか。変に、研ぎすまされる。思考も、一気に冷静になる。
冷静になった頭で、色々と考える。
「あー、霊夢さん。それ、ライクって言ってください」
私は木から飛び降りた。
私の着地を見て、霊夢さんも後を追って地面に降りてくる。
「何でよ」
「ちょっと考えたんですけど、ここでラブでしたって言われたら、なんか今までと同じように霊夢さんと接することが出来ない気がしたんです」
それは、とっても寂しいし、嫌なので、やっぱりライクって言って欲しい。
「ふーん。あんたはそれでいいの?」
「えぇ。そうしないと、霊夢さんと今後上手くお話出来ない気がするんです」
霊夢さんが、私の目の前に立って、私を見る。
不思議と今度は気が軽く、しっかりと霊夢さんの目を見る事が出来た。多分、今笑顔。
私は霊夢さんの言葉を待つ。
「私、文のこと好きよ」
その言葉を聞いて、思わず笑みがこぼれてしまう。
「ふふ、全く。霊夢さんらしいですね。結局ライクなのかラブなのか分からない」
「この方が、いいでしょう?」
「そうですね。私も霊夢さんのことが大好きですよ。ですので、これからもじゃんじゃん絡みに行きます。鬱陶しいなんて、思わないでくださいね」
「それは思うでしょ、普通」
「えー、今の流れで言うことですか?」
すっかり空はオレンジ色になって、秋の夕暮れが近づいてくるのが分かる。向こうの空から、紫色の世界が広がってきている。
今は随分と、気分がいい。
私は、人間に恋をした。それも女の子。しかも博麗の巫女。博麗の巫女は私を好きだと言った。ライクなのか、ラブなのか。結局わからなかったけれど、きっとこれが一番いい。
。 。 。
「ねぇ、新聞やばいんじゃない?」
「忘れてた!?」
「なんで? 私あんたのこと好きよ?」
「それはどういう……」
「うん、何?」
「いや、何でも無いです。貴女がそう言うのなら、きっとそうなんでしょうね。鬱陶しいと思われてなくてよかったです」
1、I like you.
チョキチョキとハサミを使って写真を切ること早一時間。終わらない。次の発刊は明日の早朝と決めていたのに。昼までには配り終えると決めていたのに。
「だー終わらない終わらない! なんでここには定規、カッター、ペン、インク等道具が全然無いんですか!」
「ここ神社だし。自分の家でやればいいじゃない」
「ほら、そういうのってあるじゃないですか。作業がはかどる環境というか」
「実際はかどって無いじゃない」
もう昼下がりだと言うのに、半分以上も白紙の新聞を眺めてため息をつく。
「適当に写真貼りまくって埋めればいいんじゃないの?」
「それじゃあ新聞じゃないんですよぅ」
「どうせ文字なんて誰も見てないわよ」
「知ってますけど……」
「稗田とか、ハクタクが書いた文章なら皆気になって読むんでしょうね」
私はガタッと立ち上がる。
「それですよ!」
「はぁ? 止めなさい。稗田もハクタクも忙しいんだから」
「いるじゃないですか。ほぼ常に暇そうで、もし文章を書いたら皆が注目しそうな人が」
博麗の巫女が書いた文章が少しでも乗っていれば、皆その部分だけでも読むかもしれない。
「私は嫌よ。面倒くさい」
「何でもいいですよぅ。本当に何でもいいのでお願いしますよぅ」
縋り付くように霊夢さんの腕を掴む。そのまま嫌がる霊夢さんを無視して張り付いていたら、ぶちっと音がして腕に着いている筒のような部分が取れてしまった。
「うえぃあぅえぃ!? ごめんなさい!」
「なんて声出してるのよ」
霊夢さんに睨まれて、体は瞬時に正座の姿勢をとる。
「はぁ、仕方ないわねぇ。何書いても文句言わないわね?」
「も、もちろんですとも!」
そう言うと霊夢さんはどこかへ歩いて行ってしまった。何か取ってくるのだろうと思い、期待して待つ。
いやはや、冗談混じりだったのに、まさか承諾してもらえるとは。これで明日の新聞は皆に読んでもらえそうですね。
「お待たせ」
暫くして小さな紙を持った霊夢さんが部屋に戻ってきた。
「はいこれ」
渡された紙には、予想と反して筆による達筆な字で、何かの文字が書いてあった。
「最初の文字は鴉ですかね」
達筆すぎて、よく分からない。
「次が天狗。は、なんとか、しすぎて、う、ざいので、気をつけて、ください」
私の中に、衝撃が走る。
「鴉天狗は……鬱陶しすぎてうざいので、気をつけてください」
気づけば、手も声も少し震えていた。
「鴉天狗は鬱陶しすぎてうざいので、気をつけてください」
地底から怨霊が溢れた騒ぎの後にした問答を思い出す。私って、鬱陶しい? なんて子どもみたいな問いかけに、あんたのこと好きよと答えてくれた霊夢さん。
「あ、あぁ……」
「ちょっと、どうしたのよ」
あれは、嘘だったのだろうか。本当は、ずっと鬱陶しいと思っていたのだろうか。
無意識の内に、紙を握り潰す。
そしてそのまま走って神社を飛び出してしまった。
「ちょっと!」
後ろで霊夢さんが叫んで、追ってきているのがわかる。
霊夢さんの飛翔速度で、私に追いつくはずもなく、それでも見えることさえ嫌だった私は懐からスペルカードを取り出して、宣言した。
音よりも速い世界に到達した私は、後ろをちら見して、もう霊夢さんが見えないことを確認すると、何となく下に見えた森に降りた。
木の上に腰をかけると、なぜか途端に泣き出してしまう。
「うぅ、うぅ」
目の前にたくさんある木葉を枝からちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返す。
嫌われた。いや、嫌われていた。
何で人間から嫌われていると分かるだけで、こんな気持ちになるんだろう。
パパラッチなんて、いつものことじゃないか。
なんでだろう。
またあのときの問答を思い出す。
「あんたのこと、好きよ」
霊夢さんがあのとき言ってくれた言葉を自分で復唱する。
なんだか自分で言ってて悲しくなってきた。
手を伸ばして届く範囲の葉っぱを全て投げてしまって、やることがなくなった。
私は、博麗霊夢が大好きだ。
あのとき私は何を聞こうとしたんだっけ。
そうだ。ライクなのか、ラブなのかを聞こうとしたんだ。
馬鹿なことだと思う。答えなんて、決まっているのに。
何かの気配を感じで振り返ると、ものすごい速度で私のペンが飛んできた。
ペンを横からキャッチして、飛んできた方を見ると、霊夢さんがいるではないか。
「忘れもん」
「あ、ありがとうございます。よくここが分かりましたね」
私は素っ気ないフリをして、ポケットにペンをしまった。
霊夢さんを見れない。
霊夢さんは返事をすることなく木の下に降りてきている。相変わらず、霊夢さんを見れない。霊夢さんを見ると顔が下を向くから。そしたら、涙まで落ちる。そんなの面倒くさい。
「降りてきなさいよー。さっきのは正直悪かったわー。ごめんなさいー」
「大丈夫ですよ。気にしてません」
気にしてないと言ったら、まぁ嘘になるんだけど。多分彼女のことだから、ほんの冗談のつもり。でも私は、本気で彼女のことを好きだった私には、ちょっと辛い一言だった。ただそれだけ。
泣いているのがばれないように木の幹を見ていると、いきなり目の前に霊夢さんが現れた。
「やっぱり、あんた泣いてるのね。悪かったわ。本当に。ごめん」
息がかかるすぐ目の前に霊夢さんが現れたせいで、私は固まってしまい、心臓はばくばくしっぱなしだった。顔だって、今真っ赤に違いない。
「べ、べつにもう気にしてません」
「でも泣いてる」
「これは、その……」
霊夢さんが私をじっと見ている。目が放せない。そのどこまでも綺麗な目に、私が写っているのを見つけて、また緊張する。
「もし違うのなら教えなさいよ。こちとら私の所為で泣いてると思ってるのよ。このままじゃ眠れないわ」
私は初めて目を逸らす。
「その、違うというか、直接それでは無いというか。いやまぁ直接あれが原因なんですけど、大元をただせばもっと過去にあったというか」
「過去ぉ?」
霊夢さんの眉が寄って、いぶかしげな顔になる。
「もったいぶってないで教えなさいよ」
またほんの少しだけ霊夢さんが近づいてきて、とうとう息は完全に私にかかる距離になってしまった。
もう、言ってしまおう。
「あのですね」
目の前の霊夢さんを見ていると何も言えない気がしたから、視線を外して体の正面を向いた。
「地底の怨霊が溢れた騒ぎの後、私がした質問覚えてます?」
「覚えてるわけないじゃない」
ははは、そうですよね。
よっと、とか言いながら、霊夢さんも同じ枝に同じ向きに座る。
「私、霊夢さんに私が鬱陶しいかどうか聞いたんですよ」
「あぁ、それで今日のことに繋がるわけね」
「えぇ、まぁ」
続きがあると判断したのだろう、霊夢さんは黙って正面を見ていた。
「霊夢さんは、こういいました。あんたのこと好きよって」
「そうね、多分言ったと思うわ」
「私が、その後、何か言いかけたの覚えてますか?」
「ごめん、ちっとも……」
いや、いいんですよと手を振って苦笑いする。
言いたいことを言い始めたら溜まっていた何かを消化出来たみたいで、気分も晴れてきたので涙を拭いた。
「それはどういうことです? ライク、ラブどっちです? って聞こうとしたんですよ。子どもみたいでしょう?」
「ふーん」
「あれ、驚かないんですか?」
「別に」
霊夢さんがあんまりにもいつも通り素っ気ない態度で遠くを見ているので、私は大きく落胆してしまう。
「そうですか。まぁ、そうですよね」
「何がよ」
「私ですね、霊夢さんのこと好きなんですよ。大好きです。夢中ってやつです。しかも、ラブの方。だから毎日何か理由をつけては博麗神社に通いましたし、霊夢さんにさっきみたいなこと聞いてみようとしたり」
「ねぇ」
「はい?」
霊夢さんから話しかけてくるなんて珍しいと思い、横目でちらと見てみると、霊夢さんがこっちに顔を向けていたので、一瞬目が合って、焦って逸らしてしまう。
「何で目逸らすのよ。好きなんでしょう?」
「いや、まぁそれはそうなんですけど。女の子同士ですし、私天狗ですし、貴女人間どころかましてや博麗の巫女ですし」
「こだわる必要あるところ? もう一度聞いてみるのをお勧めするわ。私があんたを好きって言ったのが、ライクなのかラブなのか」
もう一度ちらと横を見ると、未だに霊夢さんはこちらを見ており、すぐにまた視線を正面に戻してしまった。
「じゃあ、聞きますけど、ライクだったんですか? ラブだったんですか?」
ざあっと風の音がよく聞こえる。
つい流されて言ってしまった。
緊張というのはこういうことだろうか。変に、研ぎすまされる。思考も、一気に冷静になる。
冷静になった頭で、色々と考える。
「あー、霊夢さん。それ、ライクって言ってください」
私は木から飛び降りた。
私の着地を見て、霊夢さんも後を追って地面に降りてくる。
「何でよ」
「ちょっと考えたんですけど、ここでラブでしたって言われたら、なんか今までと同じように霊夢さんと接することが出来ない気がしたんです」
それは、とっても寂しいし、嫌なので、やっぱりライクって言って欲しい。
「ふーん。あんたはそれでいいの?」
「えぇ。そうしないと、霊夢さんと今後上手くお話出来ない気がするんです」
霊夢さんが、私の目の前に立って、私を見る。
不思議と今度は気が軽く、しっかりと霊夢さんの目を見る事が出来た。多分、今笑顔。
私は霊夢さんの言葉を待つ。
「私、文のこと好きよ」
その言葉を聞いて、思わず笑みがこぼれてしまう。
「ふふ、全く。霊夢さんらしいですね。結局ライクなのかラブなのか分からない」
「この方が、いいでしょう?」
「そうですね。私も霊夢さんのことが大好きですよ。ですので、これからもじゃんじゃん絡みに行きます。鬱陶しいなんて、思わないでくださいね」
「それは思うでしょ、普通」
「えー、今の流れで言うことですか?」
すっかり空はオレンジ色になって、秋の夕暮れが近づいてくるのが分かる。向こうの空から、紫色の世界が広がってきている。
今は随分と、気分がいい。
私は、人間に恋をした。それも女の子。しかも博麗の巫女。博麗の巫女は私を好きだと言った。ライクなのか、ラブなのか。結局わからなかったけれど、きっとこれが一番いい。
。 。 。
「ねぇ、新聞やばいんじゃない?」
「忘れてた!?」
あややに悪い虫を近づけないようにという霊夢の策略だな。
ニヤニヤで仕合わせな気分です。感謝。
>1様
女の子は怖いんですよ。本当に。霊夢の方が2枚くらいうわて。そういうイメージです。わたしの中のあやれいむ。
>こアッー!!がマイブームな程度の能力様
椛も大好きですよ! 忘れてません。もみあやもいいですよね。
>3様
はたては最近ちょっとあれなイメージが強くてw
二次のイメージが定着しつつある。私の中で。。。
>オオガイ様
あやれーむはいいんですよね。何がいいって、霊夢がなんかちゃんと恋してそうというかなんというか、霊夢は恋しちゃ行けない立場だけど、実はしちゃってて、本人そのことにとっくに気づいてるという脳内妄想乙ですサーセンwwwww