今、僕の膝の上には天子がいる、満面の笑みで
「…そろそろ退いてくれないかな」
「やだー」
天子はなおも膝の上に座り続け僕が淹れたお茶を飲み続けていた
事の起こりは今日の朝のことだった
けたたましく鳴る呼び鈴に僕は起こされた
宅配便だろうか、日曜日の朝だというのにご苦労なことだ
『…はいはーい、今出ます』
僕は最低限の身だしなみを整え玄関へと出た
『お待たせしまし…』
『トリックアオトリート!お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!』
目の前にいたのは仮装した天子だった
『…………』
『ちょっと!何で閉めるのよ霖之助!』
閉じようとする扉の隙間に天子の足が挟み込まれた
『眠いんだ、眠らせてくれ』
『…ハロウィーンなのに』
『他を回ればいいじゃないか』
『…恥ずかしいのよ』
天子は顔を赤らめながら空のバスケットを握りしめた
『…分かったよ、ちょっと待ってろ』
そう言って僕は部屋へと戻り何かあげられる菓子がないか探し回った
『…これで良いのかい?』
やっとこさ見つけたお菓子を天子に渡した
『これって、酢昆布?』
『あぁ』
天子は紅い箱をまじまじと見つめ言った
『…お菓子じゃないよね』
『駄菓子ではあるね』
僕がそう言った瞬間、天子は頬を膨らませて僕に抗議した
『バカバカバカバカぁ、ハロウィーンなんだからクッキーとかそう言うのでしょ?』
『じゃあお茶でも飲んでくかい?』
『何でそうなるのよ』
『嫌か?』
『嫌とは言ってないじゃない』
『そうか、なら入りなさい』
と言うわけで現在に至る
「…ところで天子」
「なにー」
「その服はどうしたんだ?」
本日の天子の服装は巫女服、霊夢の服とは違って脇が出ていないやつだ
「霊夢に貰った」
聞けばこの服は霊夢の昔来ていた巫女服だそうだ
「サイズが合って良かったね」
「うん」
天子は一口茶を啜ると僕の膝から降りてその場で一回転した
「…似合う?」
「似合ってるよ、とても」
「ありがとう」
そう言うと天子は僕の膝に座り直さずに向かいの椅子に座り込んだ
先程は後ろ姿だけしか見れなかったがこうしてじっくり見ると彼女の蒼い髪が白い生地に良く映えてとても似合っている
「…何見てるの?」
湯呑みを持ちながら天子は僕に尋ねた
「いや、本当によく似合ってるなって」
「…ありがとう」
顔を赤らめながら彼女はまたお茶を啜った
「…そう言えば天子、お腹はすいていないか?」
「ん、まぁ少しくらいは」
「そうか、なら待ってろ、今面白い物を持ってきてあげるよ」
僕は台所へある物を取りに向かった、天子が驚きの表情を浮かべるのが楽しみだ
「…何これ」
僕が目の前にそれを出した天子の反応がそれだった
「ゆで卵だ」
「白くないよ?」
天子が黒色のそれを持ち上げながら言った
「あぁこれは地底の温泉施設で売られているゆで卵だ、どうだい?」
「どうやって手に入れたの?」
「昨日紫が持ってきてくれた、お裾分けだそうだ」
「ふーん」
返事をしながら天子は目の前の黒光りする卵を凝視し続けていた
「食べてみようか」
「うん!」
漆黒の殻を剥くと中からは真っ白な卵がその顔を覗かせた
「うわ凄い、外はあんなに黒かったのに」
「温泉に含まれる鉄分が殻と反応して黒くなると紫は言っていたな」
「へぇ~」
そう言って天子は恐る恐るゆで卵を口に運んだ
「…美味しい」
「そうか、それは良かった」
天子の反応に安堵すると僕も卵を口に運んだ
「成る程、確かに旨い」
「そういえば地底の温泉ってどんなところなの?」
ゆで卵の殻を剥くのに夢中になりながらも天子が聞いてきた
「僕も良くは分からないが話によるとそこまで怖いところでは無いそうだ」
「ふぅん、行ってみたいね」
「そうだな、いつか二人で行ってみよう」
そうこうしている内に卵は無くなり空も見事な茜色に染まっていた
「あ、そうだそろそろ帰らなきゃ」
「どうしてだい?」
「日没までに返すって霊夢と約束したから」
そう言って天子は玄関のドアノブに手を掛けながら言った
「じゃあね、卵美味しかった」
そう言うと天子は茜色の空に飛んでいきどんどんその姿を小さくしていった
天子の姿が点ほどにも見えなくなったとき、僕は一人呟いた
「…来年は、ちゃんと用意しておかなければね」
「…そろそろ退いてくれないかな」
「やだー」
天子はなおも膝の上に座り続け僕が淹れたお茶を飲み続けていた
事の起こりは今日の朝のことだった
けたたましく鳴る呼び鈴に僕は起こされた
宅配便だろうか、日曜日の朝だというのにご苦労なことだ
『…はいはーい、今出ます』
僕は最低限の身だしなみを整え玄関へと出た
『お待たせしまし…』
『トリックアオトリート!お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!』
目の前にいたのは仮装した天子だった
『…………』
『ちょっと!何で閉めるのよ霖之助!』
閉じようとする扉の隙間に天子の足が挟み込まれた
『眠いんだ、眠らせてくれ』
『…ハロウィーンなのに』
『他を回ればいいじゃないか』
『…恥ずかしいのよ』
天子は顔を赤らめながら空のバスケットを握りしめた
『…分かったよ、ちょっと待ってろ』
そう言って僕は部屋へと戻り何かあげられる菓子がないか探し回った
『…これで良いのかい?』
やっとこさ見つけたお菓子を天子に渡した
『これって、酢昆布?』
『あぁ』
天子は紅い箱をまじまじと見つめ言った
『…お菓子じゃないよね』
『駄菓子ではあるね』
僕がそう言った瞬間、天子は頬を膨らませて僕に抗議した
『バカバカバカバカぁ、ハロウィーンなんだからクッキーとかそう言うのでしょ?』
『じゃあお茶でも飲んでくかい?』
『何でそうなるのよ』
『嫌か?』
『嫌とは言ってないじゃない』
『そうか、なら入りなさい』
と言うわけで現在に至る
「…ところで天子」
「なにー」
「その服はどうしたんだ?」
本日の天子の服装は巫女服、霊夢の服とは違って脇が出ていないやつだ
「霊夢に貰った」
聞けばこの服は霊夢の昔来ていた巫女服だそうだ
「サイズが合って良かったね」
「うん」
天子は一口茶を啜ると僕の膝から降りてその場で一回転した
「…似合う?」
「似合ってるよ、とても」
「ありがとう」
そう言うと天子は僕の膝に座り直さずに向かいの椅子に座り込んだ
先程は後ろ姿だけしか見れなかったがこうしてじっくり見ると彼女の蒼い髪が白い生地に良く映えてとても似合っている
「…何見てるの?」
湯呑みを持ちながら天子は僕に尋ねた
「いや、本当によく似合ってるなって」
「…ありがとう」
顔を赤らめながら彼女はまたお茶を啜った
「…そう言えば天子、お腹はすいていないか?」
「ん、まぁ少しくらいは」
「そうか、なら待ってろ、今面白い物を持ってきてあげるよ」
僕は台所へある物を取りに向かった、天子が驚きの表情を浮かべるのが楽しみだ
「…何これ」
僕が目の前にそれを出した天子の反応がそれだった
「ゆで卵だ」
「白くないよ?」
天子が黒色のそれを持ち上げながら言った
「あぁこれは地底の温泉施設で売られているゆで卵だ、どうだい?」
「どうやって手に入れたの?」
「昨日紫が持ってきてくれた、お裾分けだそうだ」
「ふーん」
返事をしながら天子は目の前の黒光りする卵を凝視し続けていた
「食べてみようか」
「うん!」
漆黒の殻を剥くと中からは真っ白な卵がその顔を覗かせた
「うわ凄い、外はあんなに黒かったのに」
「温泉に含まれる鉄分が殻と反応して黒くなると紫は言っていたな」
「へぇ~」
そう言って天子は恐る恐るゆで卵を口に運んだ
「…美味しい」
「そうか、それは良かった」
天子の反応に安堵すると僕も卵を口に運んだ
「成る程、確かに旨い」
「そういえば地底の温泉ってどんなところなの?」
ゆで卵の殻を剥くのに夢中になりながらも天子が聞いてきた
「僕も良くは分からないが話によるとそこまで怖いところでは無いそうだ」
「ふぅん、行ってみたいね」
「そうだな、いつか二人で行ってみよう」
そうこうしている内に卵は無くなり空も見事な茜色に染まっていた
「あ、そうだそろそろ帰らなきゃ」
「どうしてだい?」
「日没までに返すって霊夢と約束したから」
そう言って天子は玄関のドアノブに手を掛けながら言った
「じゃあね、卵美味しかった」
そう言うと天子は茜色の空に飛んでいきどんどんその姿を小さくしていった
天子の姿が点ほどにも見えなくなったとき、僕は一人呟いた
「…来年は、ちゃんと用意しておかなければね」
可愛い天子が見れただけでお腹一杯さ!
だが、女じゃないがデザートは別腹なんだ。
地底温泉というデザート、楽しみに待っているぜ、同士ナゲヤノフ。
是非、またこの組み合わせで書いてほしい
続きに超期待