Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

挨拶における姉妹関係

2010/10/30 23:28:26
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トン、と小さな音を立てて、古明地こいしは地霊の底へと降り、帰路は終わりを告げた。
死肉の焼ける臭いと、焼かれるのを待つ屍の腐乱臭がいつものように鼻孔を突き、その際の炎から押し出された熱風はまた、いつものようにこいしの頬を掠めた。
地霊の底は薄暗いが、外ももうとっぷりと日が暮れてしまっている。今は、深夜だ。
ようは、普段よりも随分と遅い帰宅だったのである。
丑三つとまではいかずとも、直に亥の刻となれば、流石に仕事熱心な者でも床についている頃だ。


「…。」


その例に漏れず、地霊殿も、今は静寂の中にいる。
静かな世界とは反対に、こいしの頭の中はいまだ明るく、賑やかだった。
まだ、朝からの外での放浪の感覚から戻れていないからだろう。
その頭の中の所為だろうか、はたまた閉じられた瞳の所為かはわからず仕舞いだが、こいしは、


まだ小さく灯る、執務室の照明に気付かなかった。





こいしは、今日の記憶もまだ新しいといった状態で、いそいそと少しばかり冷えた寝巻へと着替え、ベッドの中に、もぐり込む。
すると、あれほど騒がしかった頭の中は、布団の証明不能の力によって静まっていく。
同時に、いつしか訪れた睡魔によって、こいしの瞼はゆっくりと降ろされていったのだった。





「ん…。」


それからしばらくした、辰の刻の頃。
少しの違和感を覚え、こいしは目を覚ました。


「え…、あれ…、」




「お姉、ちゃん?」


こいしの横で、さとりが寝ていた。
横、というよりは、さとりはこいしを腕枕していた。
さらに、空いたもう片方の腕はこいしを抱き寄せるようにしていた。


「お姉ちゃん…?」




まるで、大事なものを守るようにして。




こいしはぼんやりと、自分を抱きしめる姉の顔を見た。
遅くまで書類の山と格闘していたのだろう、薄く、でも黒い隈ができてしまっていた。
そして、『眠る』という身体を休めるこの時でさえ、眉間には深い皺が幾筋か刻まれていた

こいしは、さとりを感覚的にぼんやりと見ていたのだが、いつしか視覚もぼんやりとしてきた。
世界の輪郭がぼやけていく。
それは、気付いた時には目頭を伝う、涙による光の屈折からだった。





ぼろぼろぼろぼろと、止める術を知らぬというのもあってかして、こいしの両の緑の瞳からは、無数の雫が滴り落ちていっていた。
小さな声が、それより大きな嗚咽とともに室内に響く。


「ごめんなさい。」


閉じられ、覚られることのない心の内で、叫び始める。


『なんで私あんな時間までほっつき歩いてたんだろ。お姉ちゃんは一人で仕事してたのに!なんで帰ってきた時、「ただいま。」って言わなかったんだろ。ううん、「行ってきます。」だって言ってなかった!!お姉ちゃんは待ってくれてたのかもしれないのに、もしかしたら、「おかえり。」って言って、くれたのかもしれないのに、なんで…。』


叫びが一区切りついた時に、こいしはさとりに寄ると、抱きついた。
ぎゅう、ときつく閉じられた瞳からは、最後と言わんばかりの大粒の雫がこぼれる。
己が身を守るために使わず、自分を守るために腕を使う姉の、まだあまり発達の見られない胸に顔を隠すようにして、言った。


「ありがとう、お姉ちゃん。」


それだけ言うと、こいしの意識はぶつりと途切れ、再び夢の中へと落ちていった。





朝、本格的に人工太陽の光が、本物を凌ぐほどに差し込み始めた頃。さとりは目を開いた。
むっくりと身体を起こし、細く開いたカーテンの隙間からの強すぎる光に目を細めながら、ペットと自分の朝食をと思いベッドから降りかける。
が、止める。止める、というよりは止めざるをえなかった。



こいしが、パジャマの裾を弱く掴んでいたのだ。



まだ眠たげな目が、さとりの顔を仰ぐようにして見上げる。


「ただいま…、お姉ちゃん。」


小さく呟くと、こいしはまた、こてん、と眠ってしまう。
わずかの間、目をぱちくりさせていたさとりだが、ふ、と薄く口元に笑みを浮かべ、目尻を少し下げてこいしの髪を梳くように撫でながら言った。


「おかえり、こいし。おやすみ、なさい。」


こいしの、ふわりふわりとした手触りの髪から手を離すと、扉を開け、眠るこいしをおいて部屋を後にする。





午の頃、地上の太陽の太陽の穏やかさに欠けた、人口の太陽が昇る朝。
ここから、また日常が始まる。
しかし、同じ景色から始まろうとしている今日の日は、どこか、昨日とは違うものになろうとしていた。



.
あ、ありのままに今起こったことを話すぜ。部屋の机の上でレミフラ原稿を探していたんだ。こぁぱちゅとかてるもこだとかそんな原稿が見つかったとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしい我がファイルの片鱗を味わったぜ…!


ということで、何をとち狂ったかさとこいになりました。
うん、レミフラ期待してた方、すいません。
あ、明日投下しにくるもん!大丈夫大丈夫!!
今回は、夜寝てるときにこいしちゃんが脳内で「お姉ちゃんお姉ちゃん」連呼してきたもんだから、次の日の授業中に走り書いたものでした。
こいしちゃんまじぷりてぃということで許してやってください。
というよりも、次投下のレミフラは需要あるんだろうか…?
その前にこの原稿の需要も不安なんだが。


まあいいか。


ではでは、次はレミフラで。
あ、またレミ咲書き始めました。近いうちに書き上げます。
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
こめいじが可愛くて幸せです。
スカーレットも可愛かったらもっと幸せになります。
2.奇声を発する程度の能力削除
とても和やかな気持ちになりました。
3.名前が無い程度の能力削除
個人的にはこあぱちゅもお待ちしております
4.名前が無い程度の能力削除
個人的にはレミフラの増産を期待しています
5.名前が無い程度の能力削除
癒された