Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

動かない大図書館の挑戦(後編)

2010/10/03 23:35:32
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※作品集74に前編、同作品集に中編がありますので、合わせて読んで下さると大変嬉しいです。





「こ、これは・・・」
美鈴は普段から鍛錬もしているし活動的なので、かなり食べる。
そりゃもう結構食べる。
いつも美鈴の食事を作っている咲夜が、嬉しいような困ったような微妙な表情をしているのを、よく見かける。
そんな美鈴さえでも、この量には言葉が無い。

「・・・私、もしかしてかなりヤバイ挑戦に参加しちまったか?」
基本的、魔理沙は結構食べる。
時たま、御飯を作って持ってきてくれるアリスも、アリスが食べる量よりも多めに持ってくる。
ただ、魔理沙はキノコ類をよく食べる。
そこまで肉は食べない生活をしている。
目の前に置かれたどんぶりの量を見て、これは参ったなぁ、という表情。

「・・・ふ、ふん。この程度がなんだっていtむcねlvpfg、え!!」
すでに舌がまわっていない、おぜう。
あまりの量に、半ばパニくっている。

そして。
「ふ、ふふ、ふふふ・・・」
なにやら不気味な笑い声を漏らしている紫もやし。
俯いているため、表情は見えない。
流石のパチュリーも、この量は予想外だったか?
「ね、ねぇパチェ?アンタ、流石にこの量は予想してい「喰らう!!!!」うぇ!?」
パチュリーの隣に座っていたレミリアが心配そうに声をかけたが、返ってきた言葉は力強い一言だった。
「これよ・・・!これが私が求めていた至高の料理よ!!私の予想を覆す想像を絶する量!だというのに、溢れんばかりの食欲をそそる一品!食べて見せるわ・・・!必ずや完食してみせる!そして見せ付けてやるのよ、この幻想郷には今までに挑戦してきた猛者たちでも越えられない壁があるということを!!」
もうハイテンションで色々全開なパチュリーが立ち上がって、高々に宣言する。
その顔には、もはや図書館で本の虫と化していた『静』という言葉が似合っていたパチュリーとは違った、活気に溢れる表情を見せていた。
そのパチュリーの姿を見て、もはや『動かない大図書館』と揶揄するものはいない。

『食べる大図書館』

そんな二つ名に変更してもいいと言った魔女が、そこには光臨していた。

そんなパチュリーを、尊敬と、羨望と、そしておもしろおかしく期待した眼で見つめている小悪魔。
そして。
「ちょ、ちょっと・・・。誰かパチェを落ち着かせなさいよ」
「ははは・・・。あんなにテンション上がってるパチュリー様を見るのは初めてですね」
「す、すまん。流石に店内でわけわからん事を叫んでいるパチュリーに、私も戸惑っているから話しかけられん」
なんだか恥ずかしくなって下を向いている(強制的に)参加させられた3人。



「さて、いよいよ幻想郷に新たなる歴史を生み出す瞬間に立ち会ったわけよ」
その、なんというかヤバイ量の丼を前に、パチュリーがそう宣言する。
「新たなる歴史って・・・。うわ、レミィがこんなに生き生きした表情見せたの初めてかも」
鶏肉、牛肉、豚肉、魚肉・・・。
あと、なんかよく分かんない物も入ってます。
「ほ、本当にチルノちゃんたちはこれを食べたんですか?妖精ってそんなに肉好きなんですか?」
目測で、大盛り10人前はあるだろうか。
しかも、凄く食欲をそそる良い匂いがするのです。
「太るんじゃね?これ少女にとったら致命的なカロリーだろ?いや、太る太らないかは1週間の総カロリーで決まるとか聞いたことあるし、このあと霊夢のような生活をすれば・・・」
少しツンとくる香辛料の香り。
普段の食事のときよりも、遥かに食欲をそそります。
「さぁ、制限時間は15分です!15分で10食分です!つまり1食90秒です!」
ごちゃまぜのような肉丼なのに、非常にバランスの取れた感じになってるのは何故か。
コレだけの量なのに、見た目も食欲そそります。

「では、カウント始めます。10、9、8・・・」
全員(主に3人)が、ゴクリと喉を鳴らす。
「7、6、5、4・・・」
もしかして、私たちはとんでもないことに巻き込まれたのではないのか?
「3、2、1・・・」
だが、もう後には引けない。
参加する旨を伝えてしまったのだ。
もし負ければ、ルール上全員の食事代×10の代金を支払わなくてばいけないのだ。

「ゼロ!」
小悪魔の叫びと共に、全員の目に火が灯る!
もう迷ってはいられない。
ともかく食べる!
食べきれば代金はゼロ、そして賞金が貰える。
乙女に致命的なカロリー云々は頭から追いやってしまえ!



ここに。
5人の少女たちの熱き挑戦が始まった。



で、美鈴、魔理沙、レミリアは箸の動きが止まった。
なんでかって?
その答えはパチュリーにあった。
「おぉおぉおぉおおおおおおおおおおおおお!!!」
食べる、食べる、食べる!!
もう叫ぶのか食べるのかどっちかにしてくれ。
というか、食べるのに専念しろ。
そんなツッコミさえでそうなくらい、パチュリーは雄叫びを上げながら喰らっていた。
ポカーンとその光景を見ている3人。
え?え?コイツこんなに凄いスピードで食えるの?
そんな疑問さえ浮かび上がってくるくらい、パチュリーのスピードは常識を超えていた。
ようやく、パチュリーがこの挑戦に挑んだ理由が理解できた。

コイツは、魔女というよりフードファイターだ。

メニューは肉メインなのだ。
カレーとかとは違う。
ちゃんと噛まないと流し込むことなんてできない。

パチュリーは、ちゃんと噛んでいる。
でも流し込んでいる。

もはや理解不能な光景を目の当たりにしてしまった3人。
が、だからといって呆けている場合ではない。
「・・・お嬢様!魔理沙さん!」
美鈴の一声によって、ようやく我を取り戻し、箸を動かし始める。
そうだ。
パチュリー1人が完食しても意味がない。
これは全員が食べきらないといけないのだ。
なら。
1秒でも時間は無駄に出来ない。
3人が一斉に食べ始める。

・・・美味い!
かつてこれほど美味い料理を食べたことが幾度とあるだろうか?
そう思わせるほどの一品。
だが。
その量。
ここまでの美味さなら食べれる自信がある。
それと同時に、この量を果たして制限時間内に食べきれることが出来るだろうか?
矛盾した2つの思考が3人の頭を駆け巡る。

美鈴のスピードは早い。
お腹も空いていたこともあるだろうが、普段から結構な量を食べ慣れていることもあるだろう。

魔理沙は頑張っているほうだ。
霊夢よりもう一回り小柄な体型だが、出だしは好調といったところだろう。

そしてレミリア。
例えるなら、普通の少女が少し焦って食べているといったくらいのスピードか。
だが、これでも普段のレミリアからしたら、かなり早い。
この小食で普段から礼儀作法を極め優雅に食事を取っているお嬢様とは、かけ離れた食べっぷりだ。
ちんまいお口を一生懸命開けながら、かきこむように必死になって箸を動かす。
どうやら、パチュリーが発破掛けたのが功を為したらしい。
ただ、その所為か若干目が血走っているところが怖い。


ここで3分経過。
まだ全員スピードは衰えていない。
パチュリーに至っては若干速くなってきているんじゃないかと思わせるほどだ。

だが。
この挑戦は、あくまでも『全員』の分を制限時間内に食べ終わること。
今のスピードでいけば、パチュリーは大丈夫だろう。
ただ。
問題は残りのメンバー。
美鈴でさえも少し雲行きが怪しい。
魔理沙はギリギリのところをいっている感じだ。
奮闘しているレミリアはかなり厳しい。



ふと思うパチュリー以外の3人。
これだけ美味しい料理を大食いで我武者羅に食べてしまうのは勿体無いんじゃないかと。
普通の量でいい。
確かに賞金がでるのは嬉しい。
でも、リーズナブルが売りな店なのだから、もっと食べたかったら普通に追加注文すればいい。
なんて事を考えながら3人がパチュリーをチラ見する。

すっげーキラキラした眼でバクバク食いまくってる魔女1人。

・・・ま、いいか。
そう結論つけた3人は、再び箸を動かすのに専念する。



そして、中盤戦である7分が経過。
ここにきて、パチュリー以外の3人の動きが変わった!


まず美鈴。
ここにきて、食べるスピードが上がった。
一体何故?
それは、彼女の持つ『気』を操る能力が関係している。

ここで補足。
ルール上、反則級の能力の使用は禁止。
明確なルールはまだ確立されてないが、例えば食べるふりして隙間に放り込むだとか、凍らして料理そのものを破壊する、時間を止めてその間に食べてしまう・・・etc.
まぁ、そこらは店長の判断に委ねられるらしいが。

で、それを踏まえて美鈴が取った行動。
簡単に説明しよう。
要は『気』で体内の消化器官を急激に活性化し、消化・吸収を早める。
そして、『気』の放出量を上げて消費カロリーを上げる。
消化→吸収→消費のスピードを上げて少しでも多く腹に詰め込める量を増やす。
妖怪であり、『気』を操る美鈴ならではの戦法。
これが反則に該当されるかどうかは知らないが、この店内に『気』の活動を読み取れるのは美鈴のみ。
要は、バレなきゃOKってことで。


次に魔理沙。
こちらもスピードが上がった。
やっていることは美鈴と同じ。
ただそれが『気』と『魔力』の違い。
ここまでに来る間。
主に自分の家から紅魔館まで。
かなり長い距離、空を飛んだ。
マスタースパークも撃った。
傷の回復にも魔力を使った。
実は結構な魔力を消費している。
その魔力回復を『食事』で補っている最中なのだ。
魔力回復の全てを食事で賄う。
食って、消化して、魔力に変える。

ぶっちゃけいうと、Fa○eのセ○バーと同じ事をやっているわけである。

もちろん、そんな魔力感知はこの店内ではパチュリーにしかできない。
要は、バレなきゃOKってことで。


そして、問題のレミリア。
・・・すでに限界を通り越して色々とダメだった。
うーうー言いながら箸を動かすおぜうの動きはカメというよりもカタツムリの領域だった。
それでも箸の動きを止めてないのは『意地』の一言だけに尽きる。
だが、その精神力も風前の灯。
頭の中は混乱し、涙目で無理矢理押し込んでいるレミリア。


ここで、一つの疑問が浮かんでくる。
何故咲夜を連れて来なかった?
確かに、能力抜きの彼女の食べるスピードは遅い。
それでも、レミリアよりは背丈は高いし、小食ながらも食べる量はレミリアより上であろう。



そんなレミリアを横目で見たパチュリー。
・・・流石に限界か。
実はルール上、レミリアがいても勝てる算段はあった。
が、それもレミリアの消費量がスタート時を保っていたならばの話。
おそらく、これ以上はどう足掻いても無駄だろう。

ルール上、咲夜でなくレミリアを選んだもう一つの理由。
残念だが、迷っている暇は無い。
ここで、その『ルール』を使わせてもらう。


「あら、もう限界のようね、レミィ」
突然、箸を置いたパチュリーの口から冷たい口調で発せられる。
「残念だわ。紅魔館の主としてもう少し頑張ってくれると思っていたのに、ね」
そんなパチュリーの言葉を聞きながら涙目になって箸を動かすおぜう。
「咲夜がいないと何も出来ない。美鈴には甘えっぱなし。妹様・・・もう立場的にはあの子の方が上なんじゃない。事実上」
うーうー呻きながら、それでもと小さな口を動かす。
「ちょっとでも困ったら私の所へ泣きついてくる。もう主としての威厳なんて無いようなものだわ」
箸の、口の動きが遅くなっていく。
プルプル震えだす身体。

これだけ発破掛けても動きは緩慢。
なら。

「レミィ。貴方はもうアレね」
「ちょ、ちょっと待って下さいパチュリー様!!」
突然、食べるのをやめてパチュリーを制止しようとする美鈴。
だが、そんな制止も聞かず。

「あなた、⑨以下ね。決定。明日から妖精メイドの下っ端雑用として館に貢献しておけば?」


その言葉に。
「う、うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
死に際とも思わせられる、れみりゃの咆哮。
そして。
糸が切れた人形のように、カクンと椅子にもたれかかり、動かなくなった・・・。



「な、な、なにやってるんですかパチュリー様!?」
食事一旦中断。
この状況で、あんまりといったらあんまりな行動に、美鈴から非難の声が出る。
「お、おい!レミリア!?・・・え!?コイツ気絶してるぞ!!」
「あ、それはですねぇ・・・」
その魔理沙の叫びに答えるタイムキーパー・小悪魔。
「お嬢様、カリスマメーターが0になると気を失うんです」
「はぁ?」

ここでも補足説明。
レミリアはカリスマが減るごとに、どんどん精神的ダメージが大きくなる。
つまり、精神力が減っていくのだ。
数式にするならこんな感じ。
『カリスマレミリア>スーパーレミリアシスターズ>レミリア様>レミリア>おぜう>れみりゃ>失神』
つまり、カリスマが0になるとレミリアは気を失う。
ちなみにMAXでのカリスマ値は10万くらい。
それらは全て、パチュリーや美鈴の頭の中にあるカリスマスカウターで計ることができるわけで。

「パチュリー様も分かっていたでしょ!お嬢様のカリスマがこの店来た時点でかなり下がっていたことを。なのにこの状況下でお嬢様を意図的に戦力外にするなんて・・・!!」
憤慨している美鈴。
食事が始まった段階でのカリスマスカウターの数値、およそ10~20。
それを嗜めるようにパチュリーが喋りかける。
「大丈夫。これも計算の内よ」
そう言って、小悪魔の方を見やる。
「実は、ここの大食いのルール、他にもあるんですよ」
そうにこやかに説明し始める小悪魔。
「4人。つまり参加人数が上限に達したときだけ適用されるんですが。もし参加者の中で死亡、もしくは気絶などで戦闘不能になったら一人だけ交代が認められるんですよ」
「ん?するとなんだ?つまり・・・」
「そう」
その言葉に答えるかのように、パチュリーの左拳に力が宿る。

「選手交代!!」

その言葉と共に。
隣に座っていたれみりゃ(気絶)に裏拳を叩き込むように拳を振るパチュリー。
その拳が、れみr(ryの目の前の空間で止まる。
その空間にヒビのようなものが入る。
次の瞬間!
まるで大気中を震わせるかのような衝撃が走る!
その衝撃を喰らって後方へ吹っ飛ぶれ(ry。



それは、文字通り『紅い』弾丸だった。
例えるなら、まさに『一人スピア・ザ・グングニル』。
天狗すらも圧倒する紅い弾丸は一筋の閃光となって店内を突っ切る。
だが、このままでは、店内に被害を出すことになる!
そう思った店員Cは咄嗟に手を突き出す。
人間離れした俊敏なパスカットに店内がどよめく。
だが、次の瞬間!
「このパスは加速するのかー?」
カウンターに座っていたルーミアが突然飛び出し、飛行中のボールを掌で叩く!
それによってスピードを増したボールが店員Cの手を掠める。
スティール失敗。
だが、このパスをどうやってキャッチする?
イグナイ○パスを取れるのはキ○キの世代くらいのもの。
パス失敗か?
だが!
取った!
あの超高速パスをキャッチしたのはアリス!!
そしてそのまま跳躍。
リングにボールを叩き込む。
アリスのダンクが決まった・・・!
そして試合終了のホイッスル。
逆転勝利。
ルーミアとアリスの見事なコンビネーションがチームを勝利に導いたのだった。

なお、今回の優勝チームにはトロフィーと時給百年分のそーなのかーが進呈されます。



閑話休題



再び舞台は戦場へ。
「さぁ、小悪魔。出番よ!」
「待ってましたぁ、パチュリー様♪」
そういって主のいなくなった席に座る小悪魔。
これで戦力は上がった。
未だ食欲満点のパチュリー。
新たに参加した腹ペコ小悪魔。
そして。
「レミィの丼を私の方へ!私のはこの中で一番苦しそうな魔理沙へ!魔理沙のは新規参戦の小悪魔へ!美鈴、貴方は自分の分は最後まで食べきれるわよね!?」
そう、これがもう一つのルール。
まだ誰も食べ終わっていない状態であれば、1回だけメンバーの丼を交換できる。
一番多く残っているレミリアの丼を一番食べるパチュリーへ。
一番少なくなっているパチュリーの丼を一番苦しそうな魔理沙へ。
二番目に多く残っている魔理沙の丼を完全空腹状態な小悪魔へ。



さぁ。
ルールは使い切った。
後はそれぞれの力を最後まで出し切るのみ!





そして・・・。

夕暮れ。
人里の賑わいもまばらになっていき、夕方までの店は閉まっていき、人々は帰路につく。
何かお祭りが終わったような静かな余韻を残している人里。
その中を、ゆったりと歩いていくパチュリーたち。
「どうだったかしら、小悪魔?私の実力」
「いえいえ、そりゃもう!思わず写真に収めておきたいくらい勇敢かつカッコいいでおもしろおかしなパチュリー様を脳内に完全インプットですよ!」
そうやって自分の主に賛辞(?)を送る小悪魔。
「いやぁ、食った食った。けど正直、もう暫くは肉は勘弁だな。だが参加して良かったぜ。まさか3人で賞金分けたっていうのにこんなに戴いちまったんだか・・・うっ!」
調子よく喋っていたが、ちょっと気持ち悪くなってしまっている魔理沙。
お腹も懐も潤い、青白いホクホク顔というよくわかんない表情をしている。
「私も今日は大変満足でした。まさかあんなに美味しい店だったなんて。今度咲夜さん連れていってあげようかな?もちろん、大食いはナシで」
そう言いながら、背中の方で何かをあやすように動かしながら歩く美鈴。
その背中には。
「うー・・・、うー・・・」
カリスマ値が3まで回復したれみりゃがぐすぐす嗚咽を上げながら美鈴におぶられていた。
「うー、ひどいよー・・・。めーりんはやくおうちにかえろーよー」
「はいはい、もうすぐしたらお家に着きますからねー」
そうやって優しく声を掛ける美鈴。

「全く・・・。レミィにも困ったものね」
そうボヤキながら館に向かって歩みを進めるパチュリー。
「いや、だったら何でレミリアを参加させたんだよ。ルール上の利点があったにしろ、もうちょっとマトモなやつ。例えば咲夜とかを呼べばよかったも・・・う!す、すまん。もう少しゆっくり歩いてくれ・・・」
なんかギリギリな状態でそう尋ねる魔理沙に対して。
「あぁ、それはですねぇ・・・」
横から、小悪魔が答えた。
「お嬢様、その店に興味を持っていたようなんですよ。美味しそうだったし、偶には庶民の食事っていうのも体験したかったんでしょうね」
一瞬、横目でチラリとパチュリーを見て話を続ける。
「で、大食いに挑戦したかったパチュリー様。あのお店に行きたがっていたと思われるお嬢様。思惑は一致。丼を交換できるというルールがあるならお嬢様を参加させても問題n「そこまでよ」」
調子よく喋っていた小悪魔を一声で黙らせる。
あはは、怒られちゃいましたと悪びれも無く笑う小悪魔。
「私はレミィの扱いには紅魔館で一番だと自負しているからね。気絶させることなんて朝飯前なのよ」
そうぶっきらぼうに答える。
「偶々5人揃ったから交代も可能だろうし。レミィをうまく使えばいけると思っただけ。まぁ、私一人でも問題はなかったんだけどね」
「なら、なんでお前は私たちにまで声を掛けたんだ?」
「・・・」
そう少しニヤけた表情で尋ねる魔理沙。
「そりゃ、宴会と同じですよ。一人より皆とのほうが楽しi「そこまでっていったらそこまでよ」」
再び小悪魔の軽口を止める。
「そうなんですって、お嬢様」
「うーうー・・・。しらないもん。ぱちぇのばかぁ・・・」



「まぁ、それはどうでもいいわ」
そういって、先頭で歩いていたパチュリーが振り返る。
「何はともあれ、今日はご苦労だったわね。私の名を幻想郷に広めることにも成功したわけだし・・・。帰ったら祝勝会ね」
「げ!?もしかして、まだ飲み食いするつもりか!?ちょ、ちょっと私はここらへんでオサラバして・・・」
「まあまあいいじゃないですか魔理沙さん。いつもパーティーに断りもなしに紛れ込んでいるお方が何を言ってるんですか」
「お嬢様。パーティーですって。美味しいワインでも用意させましょうか?」
「うー・・・。わいんのむ」



再び歩き始めるパチュリー。
その隣にトコトコと駆け寄ってくる小悪魔。
「・・・楽しかったですか?」
「・・・まぁね」
4人(+1名)の影がゆっくりと伸びる。
キレイな夕焼けを全身に浴びながら。
館に向かって歩を進めていくのであった。
以上で、パチュリーさんの大いなる挑戦はお終いです。

実は、夢で見た内容とは結末が違うんですよね。
ただ、夢の通りに書くとあまりにもお嬢様が不憫で・・・。
俺、なんでこのメンバーでの大食いなんて夢見ちゃったんだろうね?

なので、結末を変えるためのネタが中々浮かんでこなかったのが辛かったですね。
悪魔の実の能力に幻想殺し(イマジンブレイカー)が通用するかどうかとか考えながら必死になって書き上げました。

最初から最後まで読んでくださった方には本当に感謝です。
おもしろい作品を投稿できるように努力していきますので、今後とも宜しくお願いします。



※追記
若干内容を修正しました。
エクシア
コメント



1.H.N.削除
前編よんだときはまさかこんなおちになるとは思ってもみませんでしたwww

とても面白かったです!

めーりんいいよめーりん
2.けやっきー削除
最後まで、それはもう楽しませてもらいましたww
お嬢様…煽られて復活すると思いきや、まさか気絶するとはw
3.奇声を発する程度の能力削除
>カリスマレミリア>スーパーレミリアシスターズ>レミリア様>レミリア>おぜう>れみりゃ>失神
これは絶対テストに出そうだからメモしとかなきゃ…

夜中なのにお腹減ってきたw
4.削除
おぜうが何処までも不憫ですねwww
最後まで大いに楽しませてもらいました!素晴らしいものをありがとう御座いました!
5.名前が無い程度の能力削除
前編から見てて良かった!
れみりゃ可愛いなぁ~。
なんというか・・・ご馳走様でした!