額に汗が滲む。
私の腹に向く銀の刃。
私は今から、腹を切る。
腹を切るとはいっても自刃とかそういうものじゃない。
迷いを切るのだ。
白楼剣で迷いを切るなら別に腹を切る必要はない。
夕食を何にしようか、程度なら空を切るだけで迷いを断てる。
・・・とは言ってもそんな事には利用しないが。
迷っているのだ。
幽々子様が好きだ。
庭の手入れをしていても頭の中は幽々子様の事でいっぱいで集中して手入れができない。
迷っているのだ。
このまま幽々子様の事が好きでもいいのだろうか?
庭師の仕事もろくにできずに、いつもぼーっとしていていいのだろうか?
何度もこの想いを伝えようと思ったが、伝えられない。
もしこの想いを伝えて幽々子様に嫌がられたらどうしよう。
そんな事ばかり考えて前に進めない。
こんなに苦しいのなら、この心の迷いを断ち切ってしまおう。
白楼剣で何回空を切ろうと切ることができぬこの迷い。
ならば、身体の中からこの迷いを断つしかない。
・・・・ということで今に至る。
「ふう~」
夏は終わったが、まだ暑い。
汗がダラダラ出てくる。
これは冷や汗みたいなものだろうか。
大丈夫だ。迷いを断つだけで、死にはしない・・・はずだ。
いざ・・・・
白楼剣の柄を握る手に力を入れ、刃を腹部に向ける。
その時、
「妖夢ぅ~おやt・・・・え?」
幽々子様が来てしまった。
私の想いの人が。
見られてしまった。
「妖・・夢・・・?」
引きつった表情でこちらに向かってきて、私の正面に座った。
そして真剣な顔になり、優しい声で問われた。
「何があったの?妖夢?」
もちろん幽々子様は私が腹を切ろうとしていたのは状況から分かっているだろう。
幽々子様が聞きたいのは、「どうしてそんな事しようとしたの?」だろう。
幽々子様は少し怒っているように感じる。
もちろん自分から「幽々子様が好きで想いを伝えられないから迷いを断ち切ろうとしていました」
なんて言えるわけもなく。だまって俯いていた。
「使おうとしていたのは白楼剣ね。何か迷い事があったの?」
「・・・・」
答えることが出来ない。
これは本当に迷い事なのだろうか。自分から一歩踏み出せないだけではないのか。
「言うのが嫌なら言わなくてもいいの。ただ・・・」
そう言って幽々子様はそのまま私の体を抱き包んだ。
桜の香りがする。
幽々子様に包まれているのを実感する。
心臓の音が頭の中でドクッドクッと鳴っていて、まるで頭の中に心臓があるような錯覚に陥る。
幽々子様はそのまま言葉を続けた。
「私はね、妖夢。あなたに自分の体を自分で傷つけるような事はして欲しくないの。だから、ね、もうこんな事しないで」
言い終わった幽々子様の顔は、いつもの優しい顔ではなく、今にも泣きそうな顔だった。
「好きです。幽々子様。ずっと好きで、でも怖くて言えなかったんです!」
気がついたら、口からそんな言葉が出ていた。
ずっと言えなかった言葉が。
流れる水のようにサラッと出てしまった。
ハッと自分の言った言葉に気付き、幽々子様は一瞬驚いたような顔をしてから、二秒ほど目をつぶった。
私はまだ自分の口から出た言葉を信じられない。
そして、幽々子様は口を開いた。
「ごめんね、妖夢。気付いてあげられなくて。そして・・・」
幽々子様は私の耳に顔を近づけて、囁いた。
「私も好きよ、妖夢」
そう言って幽々子様の唇が私の唇に触れた。
唇が触れている時間はとても長く感じたが、実際はほんの一瞬だったのだろう。
幽々子様の顔が良く見えない。目の前が曇っている。
幽々子様も同じような状態なのだろうか。
だとしたら、主人を泣かせてしまうなんて私は従者失格だ。
涙を拭いて幽々子様を見ると、いつもの優しい笑みを浮かべていた。
「ねぇ妖夢」
「なんでしょうか」
「もう少しこのまま抱いてていいかしら?」
「・・・・はい」
「ふふ、ありがとう。ちょっと私の話を聞いてもらえるかしら?」
「・・・はい」
「まずは、あなたに謝らないといけないわね。さっきも言ったけれど、あなたの想いに気付いてあげられなくてごめんなさい」
「次に、妖夢、私もあなたのことがずっと好きでした。でも、伝えられなかった。あなたに嫌われたらどうしようって、そんな事ばかり考えて」
「最後に、これからもずっとよろしくね、妖夢」
幽々子様は一度強く私を抱きしめた。
~~~~~~~~~~~~~~
く~きゅるきゅる
「あら・・・」
可愛らしい音と共に幽々子様が声を漏らした。
「妖夢~お腹すいちゃった~」
気がつけば外はもう暗くなっていた。
「では早速夕餉の支度をして参ります」
「お願いね~」
「おかわりは五杯までですよ」
「え~そんなんじゃ餓死しちゃうわよ~」
「し~ま~せ~ん~!」
「す~る~の~!」
ああ、やっぱり私はこの方が好きだ。
「幽々子様」
「ん?な~に、妖夢」
「私は、何があってもあなたをお守りします」
「あら、いきなり頼もしいじゃない。信頼してるわよ、妖夢」
ぐぅぅぅぅうぅぅぅ
「では急いで作って参ります!」
何があろうと幽々子様を守ろう。
何があろうと幽々子様と一緒にいよう。
そのためにはもっと修行が必要だ。
しばらく手に付かなかった分、明日の稽古は必死でやらなければ。
庭の木の手入れも大変だ。
おっとっと、急いで幽々子様にご飯を作らなければ。
今日は魂魄流とっておきの料理を作ろう。
幽々子様の喜ぶ顔が見たいから。
私の腹に向く銀の刃。
私は今から、腹を切る。
腹を切るとはいっても自刃とかそういうものじゃない。
迷いを切るのだ。
白楼剣で迷いを切るなら別に腹を切る必要はない。
夕食を何にしようか、程度なら空を切るだけで迷いを断てる。
・・・とは言ってもそんな事には利用しないが。
迷っているのだ。
幽々子様が好きだ。
庭の手入れをしていても頭の中は幽々子様の事でいっぱいで集中して手入れができない。
迷っているのだ。
このまま幽々子様の事が好きでもいいのだろうか?
庭師の仕事もろくにできずに、いつもぼーっとしていていいのだろうか?
何度もこの想いを伝えようと思ったが、伝えられない。
もしこの想いを伝えて幽々子様に嫌がられたらどうしよう。
そんな事ばかり考えて前に進めない。
こんなに苦しいのなら、この心の迷いを断ち切ってしまおう。
白楼剣で何回空を切ろうと切ることができぬこの迷い。
ならば、身体の中からこの迷いを断つしかない。
・・・・ということで今に至る。
「ふう~」
夏は終わったが、まだ暑い。
汗がダラダラ出てくる。
これは冷や汗みたいなものだろうか。
大丈夫だ。迷いを断つだけで、死にはしない・・・はずだ。
いざ・・・・
白楼剣の柄を握る手に力を入れ、刃を腹部に向ける。
その時、
「妖夢ぅ~おやt・・・・え?」
幽々子様が来てしまった。
私の想いの人が。
見られてしまった。
「妖・・夢・・・?」
引きつった表情でこちらに向かってきて、私の正面に座った。
そして真剣な顔になり、優しい声で問われた。
「何があったの?妖夢?」
もちろん幽々子様は私が腹を切ろうとしていたのは状況から分かっているだろう。
幽々子様が聞きたいのは、「どうしてそんな事しようとしたの?」だろう。
幽々子様は少し怒っているように感じる。
もちろん自分から「幽々子様が好きで想いを伝えられないから迷いを断ち切ろうとしていました」
なんて言えるわけもなく。だまって俯いていた。
「使おうとしていたのは白楼剣ね。何か迷い事があったの?」
「・・・・」
答えることが出来ない。
これは本当に迷い事なのだろうか。自分から一歩踏み出せないだけではないのか。
「言うのが嫌なら言わなくてもいいの。ただ・・・」
そう言って幽々子様はそのまま私の体を抱き包んだ。
桜の香りがする。
幽々子様に包まれているのを実感する。
心臓の音が頭の中でドクッドクッと鳴っていて、まるで頭の中に心臓があるような錯覚に陥る。
幽々子様はそのまま言葉を続けた。
「私はね、妖夢。あなたに自分の体を自分で傷つけるような事はして欲しくないの。だから、ね、もうこんな事しないで」
言い終わった幽々子様の顔は、いつもの優しい顔ではなく、今にも泣きそうな顔だった。
「好きです。幽々子様。ずっと好きで、でも怖くて言えなかったんです!」
気がついたら、口からそんな言葉が出ていた。
ずっと言えなかった言葉が。
流れる水のようにサラッと出てしまった。
ハッと自分の言った言葉に気付き、幽々子様は一瞬驚いたような顔をしてから、二秒ほど目をつぶった。
私はまだ自分の口から出た言葉を信じられない。
そして、幽々子様は口を開いた。
「ごめんね、妖夢。気付いてあげられなくて。そして・・・」
幽々子様は私の耳に顔を近づけて、囁いた。
「私も好きよ、妖夢」
そう言って幽々子様の唇が私の唇に触れた。
唇が触れている時間はとても長く感じたが、実際はほんの一瞬だったのだろう。
幽々子様の顔が良く見えない。目の前が曇っている。
幽々子様も同じような状態なのだろうか。
だとしたら、主人を泣かせてしまうなんて私は従者失格だ。
涙を拭いて幽々子様を見ると、いつもの優しい笑みを浮かべていた。
「ねぇ妖夢」
「なんでしょうか」
「もう少しこのまま抱いてていいかしら?」
「・・・・はい」
「ふふ、ありがとう。ちょっと私の話を聞いてもらえるかしら?」
「・・・はい」
「まずは、あなたに謝らないといけないわね。さっきも言ったけれど、あなたの想いに気付いてあげられなくてごめんなさい」
「次に、妖夢、私もあなたのことがずっと好きでした。でも、伝えられなかった。あなたに嫌われたらどうしようって、そんな事ばかり考えて」
「最後に、これからもずっとよろしくね、妖夢」
幽々子様は一度強く私を抱きしめた。
~~~~~~~~~~~~~~
く~きゅるきゅる
「あら・・・」
可愛らしい音と共に幽々子様が声を漏らした。
「妖夢~お腹すいちゃった~」
気がつけば外はもう暗くなっていた。
「では早速夕餉の支度をして参ります」
「お願いね~」
「おかわりは五杯までですよ」
「え~そんなんじゃ餓死しちゃうわよ~」
「し~ま~せ~ん~!」
「す~る~の~!」
ああ、やっぱり私はこの方が好きだ。
「幽々子様」
「ん?な~に、妖夢」
「私は、何があってもあなたをお守りします」
「あら、いきなり頼もしいじゃない。信頼してるわよ、妖夢」
ぐぅぅぅぅうぅぅぅ
「では急いで作って参ります!」
何があろうと幽々子様を守ろう。
何があろうと幽々子様と一緒にいよう。
そのためにはもっと修行が必要だ。
しばらく手に付かなかった分、明日の稽古は必死でやらなければ。
庭の木の手入れも大変だ。
おっとっと、急いで幽々子様にご飯を作らなければ。
今日は魂魄流とっておきの料理を作ろう。
幽々子様の喜ぶ顔が見たいから。
関係ないですが、今度その友人に、紫・永琳・聖についても聞いてみてください。
彼は世界の真理を口に出すでしょう。
何て言うか二人にぴったりのふいんき(←なぜか変かry)でした
そんな事より友人………
「乳」でなかった所に友人の幽雅っぷりが窺えます。
友人さんww
ほのぼのした雰囲気に癒されました!
きけたらきいてみようと思います。世界の真理・・・ですか・・・知りたいですww
>>2.名前が無い程度の能力 様
良かったですか~。ありがとうございますッ!
>>3.名前が無い程度の能力 様
たしかに幽雅(?)ですけど、あの人自分で「胸が好き」的な事を人前で普通に言ってのける人ですからね・・・。
>>4.奇声を発する程度の能力 様
素晴らしいなんて言って戴けるとは・・・ありがとうございますッ!!
>>5.唯 様
そうですよね!自分も「桜」だと思います!!
なので「胸」って言われた時はビックリしましたよww
読んでくださった皆様、ありがとうございますッ!
本当にながれだまさんの書くゆゆみょんが好きだなあ。良かったら二人をもっと幸せにしてあげてくださいw
ゆゆみょんもくっついたことだし、あとの問題は友人が幽々子様を貧乳ととらえているか巨乳ととらえているかですね。
ゆゆ様は「胸」か・・・
その答えは妖夢じゃ無理d(ry
いいゆゆみょんが来て、私も満足ですw
グレイトジョブですか・・・ありがとうございますッ!
よ~し、もっと幸せにしちゃうぞ~!
あと友人はたぶん、巨乳ととらえています。
>>8.名前が無い程度能力 様
そうですね。みょんは貧ny(ロマンキャンセル
>>9.工クシア 様
幽「5杯じゃぜんぜん足りないわよ~!おかわり!」
妖「とか言いながら、もう8杯目じゃないですか!」
満足して頂けたようで嬉しいです!
読んでいただき、ありがとうございましたッ!
私も、一文字は「桜」だと思います。
…いや、「胸」もいいと思いますよ! えぇ。