「きゃああッ」
甲高い叫びとともに、深紅が瀟洒に舞い散った。
「それで、これはなぁに?」
「咲夜さんですね」
「どう見ても咲夜ね」
「見なくても咲夜だわ」
上からフランドール、美鈴、レミリア、パチュリー。彼女達は一様に、ベルベッ
トの絨毯に沈むように倒れているメイド長、十六夜咲夜を取り囲んで見つめてい
た。
フランドールは興味津々に、美鈴とレミリアは訝しむように眉を潜めて、パチュ
リーは文庫本とにらめっこしたまま、口々に言った。
「どうして倒れてるのかしら」
「貧血ですかね」
「ありうるわ。最近のぼせやすいって言ってたもの」
「どうせ魔理沙の生着替え写真でも見たのでしょ…ちょ、咲夜見せなさい魔理沙
の写真」
「それは貴女でしょ」
うつぶせの咲夜を強引に起こそうとするパチュリーの腕を掴み、冷静に指摘を入
れるレミリア。パチュリーを咄嗟に捕獲するその間もその緋色の瞳は状況把握の
ため世話しなくきょろきょろと動かしている。
ひとしきり辺りを見終えて、ふむ、と彼女は唸る。
重々しい空気を醸しながら低い声色で言った。
「これ、は……」
「事故ではない、事件だー!」
「いきなり咲夜さんを手にかけられるとは犯人はなかなかの手練れですね…」
「言葉に被せないでよ!しかも勝手に話を変えないの!」
きゃっきゃとはしゃぐ妹と門番に噛み付くように吠えるレミリア。
天然とお子様二人、ツッコミ一人とあまり役に立ってくれなさそうな知識人もと
い変人一人。(変態としてしまってはどうにも友人が可哀相だという小さな気遣いらしい)
明らかに分が悪い状況に、レミリアは小さくため息を漏らした。
「レミィ離して、とりあえず咲夜から私の魔理沙の写真を取り返さなきゃならな
いの」
恋は盲目とやらか。半ばいきかけた目の友人に迫られて僅かにレミリアは後ずさ
る。
ちなみに蛇足だがパチュリーと魔理沙は恋仲ではない。念のための補足である。
「写真より咲夜の方が先よ。ていうかパチェ、目が怖いからこっち見ないで」
「ねぇねぇお姉様ぁ、咲夜は大丈夫なの?」
レミリアはフランドールのその言葉で現実に戻った。そうだ、咲夜を何とかしな
いと。
パチュリーの手を離しレミリアは咲夜に近づく。ひざまづいて咲夜の腕を取って
手首に指を沿える。脈拍は正常だから、生きてはいる、しかしどうしてこう殺人
事件顔負けの様相を呈して倒れているのか。
ふとレミリアは自身の手が何かにぬめるのを感じる。見ればそれは、
「……血?」
咲夜は起きるに起き上がれなかった。
時間を止めようにも主やその友人はまだしも美鈴がいる。美鈴はやけに時間の"動き"に敏感で、きっと止めるにも気づいてしまうだろう。
普通に貧血で倒れた、みたいな理由ならそこまで憂慮する必要はない。しかし今
は場合が場合なのだ。
咲夜は後悔するに後悔しきれなかった。
小悪魔の部屋を掃除しようと立ち入ったのがいけなかったのだ。あまりにそうい
った気配を見せないものだから彼女が悪魔の類に属することをすっかりと忘れて
いたというのもある。
そして見せなかった理由を知ってしまった。
たまたま小さなデスクの上に置いてあった赤いノート。やめておけば良いのに開
いてしまった。
すると現れたのはめくるめく……。
衝撃の強さに叫んでしまった咲夜はばたばたと複数の足音が近づくのを聞いた。
咄嗟にノートを隠すように倒れた。さもほかの理由で倒れたのだとでも思わせる
ように。ついでに鼻から赤い液体を流してしまったのは大慌てで拭いた。
そして今に至る。本当は気など失ってもいないしましてや死んでもいないし魔理
沙の写真なんか持っちゃいない。ぶっちゃけ気まずい。
でも正直霊夢の写真なら欲しい、と密かに思ってしまったことは、咲夜の薄い胸のうちに厳重に仕舞われた。
とりあえずまずはこの状況を何とかしなければならない、咲夜は思いながら気絶
したふりをし続けたのだった。
甲高い叫びとともに、深紅が瀟洒に舞い散った。
「それで、これはなぁに?」
「咲夜さんですね」
「どう見ても咲夜ね」
「見なくても咲夜だわ」
上からフランドール、美鈴、レミリア、パチュリー。彼女達は一様に、ベルベッ
トの絨毯に沈むように倒れているメイド長、十六夜咲夜を取り囲んで見つめてい
た。
フランドールは興味津々に、美鈴とレミリアは訝しむように眉を潜めて、パチュ
リーは文庫本とにらめっこしたまま、口々に言った。
「どうして倒れてるのかしら」
「貧血ですかね」
「ありうるわ。最近のぼせやすいって言ってたもの」
「どうせ魔理沙の生着替え写真でも見たのでしょ…ちょ、咲夜見せなさい魔理沙
の写真」
「それは貴女でしょ」
うつぶせの咲夜を強引に起こそうとするパチュリーの腕を掴み、冷静に指摘を入
れるレミリア。パチュリーを咄嗟に捕獲するその間もその緋色の瞳は状況把握の
ため世話しなくきょろきょろと動かしている。
ひとしきり辺りを見終えて、ふむ、と彼女は唸る。
重々しい空気を醸しながら低い声色で言った。
「これ、は……」
「事故ではない、事件だー!」
「いきなり咲夜さんを手にかけられるとは犯人はなかなかの手練れですね…」
「言葉に被せないでよ!しかも勝手に話を変えないの!」
きゃっきゃとはしゃぐ妹と門番に噛み付くように吠えるレミリア。
天然とお子様二人、ツッコミ一人とあまり役に立ってくれなさそうな知識人もと
い変人一人。(変態としてしまってはどうにも友人が可哀相だという小さな気遣いらしい)
明らかに分が悪い状況に、レミリアは小さくため息を漏らした。
「レミィ離して、とりあえず咲夜から私の魔理沙の写真を取り返さなきゃならな
いの」
恋は盲目とやらか。半ばいきかけた目の友人に迫られて僅かにレミリアは後ずさ
る。
ちなみに蛇足だがパチュリーと魔理沙は恋仲ではない。念のための補足である。
「写真より咲夜の方が先よ。ていうかパチェ、目が怖いからこっち見ないで」
「ねぇねぇお姉様ぁ、咲夜は大丈夫なの?」
レミリアはフランドールのその言葉で現実に戻った。そうだ、咲夜を何とかしな
いと。
パチュリーの手を離しレミリアは咲夜に近づく。ひざまづいて咲夜の腕を取って
手首に指を沿える。脈拍は正常だから、生きてはいる、しかしどうしてこう殺人
事件顔負けの様相を呈して倒れているのか。
ふとレミリアは自身の手が何かにぬめるのを感じる。見ればそれは、
「……血?」
咲夜は起きるに起き上がれなかった。
時間を止めようにも主やその友人はまだしも美鈴がいる。美鈴はやけに時間の"動き"に敏感で、きっと止めるにも気づいてしまうだろう。
普通に貧血で倒れた、みたいな理由ならそこまで憂慮する必要はない。しかし今
は場合が場合なのだ。
咲夜は後悔するに後悔しきれなかった。
小悪魔の部屋を掃除しようと立ち入ったのがいけなかったのだ。あまりにそうい
った気配を見せないものだから彼女が悪魔の類に属することをすっかりと忘れて
いたというのもある。
そして見せなかった理由を知ってしまった。
たまたま小さなデスクの上に置いてあった赤いノート。やめておけば良いのに開
いてしまった。
すると現れたのはめくるめく……。
衝撃の強さに叫んでしまった咲夜はばたばたと複数の足音が近づくのを聞いた。
咄嗟にノートを隠すように倒れた。さもほかの理由で倒れたのだとでも思わせる
ように。ついでに鼻から赤い液体を流してしまったのは大慌てで拭いた。
そして今に至る。本当は気など失ってもいないしましてや死んでもいないし魔理
沙の写真なんか持っちゃいない。ぶっちゃけ気まずい。
でも正直霊夢の写真なら欲しい、と密かに思ってしまったことは、咲夜の薄い胸のうちに厳重に仕舞われた。
とりあえずまずはこの状況を何とかしなければならない、咲夜は思いながら気絶
したふりをし続けたのだった。
この後、どう言い訳をつけるのかw
なんかいろいろとヒドイw
奇声を発する程度の能力さん さあ…?どうなんでしょう、小悪魔さんのノートですから。
けやっきーさん 私も見てみたいです。言い訳は想像にお任せしますw
3.のお方 ヒドイのは仕様ですww
4.のお方 なにか感じましたか?
ありがとうございました!