どこかの会長さんに感化されたようだ。ありがたい。
あやれいむ?間違っても甘くない。
あれ?…あやれいむの日用のSSだよねこれ…ほんと?酷いよこれ?
ではどうぞ。
「ねぇ霊夢。お茶が怖いわ」
「なら尻隠して飛んで帰れ」
「私のスカートは鉄壁だから大丈夫」
「そーなのかー」
なんてことないある日。神社の縁側からぼへーっと空を眺めていたら奴がきた。
純白のシャツに黒いスカート。私も結構自信あるつもりだけど、それよりも光沢のある艶やかな黒髪。すらっとした手足。特に足は烏の妖怪だなんて嘘みたいに白くて長い。そして折畳まれていてもどこか力強さを感じる漆黒の翼。
射命丸文だ。
「なによ折角お煎餅まで持ってきてあげたってのに」
「人肉なんか入れてないでしょうね」
「いくら文化ある妖怪でもそんな回りくどい食べ方しないって」
コイツは一箇所にとどまるのが似合わない、風のよう。どこへでも出没するやつだ。山の神社、魔法の森の人形屋敷に魔法店、竹林、冥界、果ては人里。
そんな風来坊(?)みたいな奴だが必ず定期的に顔を出す場所がある。それがここ、博麗神社である。
「で、今日はいかようで?」
「別にこれといってないけど」
「ただの暇つぶし?」
「うーん、しいて言うならばあなたに会いに来た、てとこ?」
「…ふーん」
コイツの性格も風のようだと、私は思う。新聞記者らしく好奇心旺盛で目移りが早い。今日はじめたことでも明日明後日には興味が失せている。そんな奴。
だからここに顔を出すのだって単なる好奇心。異変時以外の私がどんなものか興味が沸いた程度の認識のはず。記録し終わるか飽きれば来ることを辞めるであろうことは目に見えている。しかしこの天狗、出会ったその次の日から今まで欠かさず顔を覗かせている。
「あら、霊夢は嬉しくないの?」
「別に?こっちはいい加減静かにお茶が飲みたいっての」
一体何の目的があるのかは知らないが、何時も起伏に欠ける口調で、笑顔振り撒いて。
「つれないのね。私は霊夢とお茶飲んだり話したりするの楽しいけど」
「…へー」
だから私は思う。冗談でもあまりそういうことは言わないでいただきたい。
「…」
「なによ黙っちゃって」
「…あ、ねぇこれどう思う?次の新聞の見出しなんだけど、これの内容とこっちの内容だったら」
「どれどれ…。ふむ。こっちの方がいい写真撮れてるけど目新しさではこれね」
「やっぱり?だったらそうね、こっちは…」
コイツは基本的に取材のときは敬語になっている。しかし親しい相手や編集作業中には砕けた喋り方になる。前者は敬語になる意味がないし、後者は編集に頭が集中して言葉にまで意識をまわしていないからである。
…今のあんたは果たしてどっちか。
「…ねぇ文」
「うん?」
「いい加減神社で編集するのやめたら?それに私に聞くのも。私に言ったって所詮素人意見だし、ネタバレになるし」
「えー。だって山でやってたらどこから覗かれるかわかったもんじゃないし。それにこっちは落ち着けるじゃない。あなたもどうせ新聞見ないでしょ?私が届けてもしばらく膝の上に乗せてるかと思えばさっさと放り投げてお茶飲んでるくせに。…それにこないだ焼き芋の包み紙にしてたし」
「失礼ね。妖怪退治の求人情報覧位見るわよ」
嘘だ。実際はコイツが帰った後で拾い上げて全ての文字を隅々まで目を通し読んでいる。3日前の記事内容を言えと言われたとしても間違いなく言うことができるはず。
「それにね。ここにいるとどうにもリラックスしてしまうから文体もやわらかくできるかなと」
「なによそれ」
そんな理由で毎回来られちゃいい迷惑だ。あんたみたいな風に毎回当てられていくなんて。いつもそうだ。私に会いに来た。一緒に呑もう。私が寂しがっているだろうと思って。などなど色々理由をつけてきては二言三言目には新聞の話。散々それの話をして、帰るときに限って楽しかったとかまた会いに来るとか言ってこっちが直視できないような笑顔を見せて帰る。
「あんたいつまで居座る気よ」
「ん、夕飯までには帰るわよ?」
「そういう意味じゃなくて」
まるで頬や髪を撫でるだけ。野良犬に噛まれるより性質が悪い。噛まれたって痛いだけ。犬コロ捕まえてお仕置きして憂さを晴らして。傷口が綺麗さっぱり治ればそれまで。でも風は触れた感触だけ残してどこかに消えてしまう。掴んだって指の間からゆるりするりと抜けていく。仮にこの手に収めたって無色透明なそれは実感を全く伴わない。ただ虚しくなる。悲しくなる。
「…」
「さて、帰りますか。号外、できたら持ってくからね」
「そういやそろそろ窓掃除の時期ね」
「またつれない」
漆黒の翼を大きく広げて伸びをする。翼を広げるだけで私の何倍にも大きく見えるなんて、その身に風を纏ったらそれこそ手が届かないところに行ってしまいそう。
「…そんな顔しないしない」
「いや、今夜のおかず焼き鳥にしようかと思ってたからあんたとかぶって」
「おおこわいこわい」
まただ。そんなことを言うから。
「また来るわね。今度はお饅頭持ってくるわ」
「…」
「あはは、寂しい?」
「うーん迷う。あんたは苺入りと栗入りどっちがいい?」
「…つれないねぇ。じゃあね」
「あ、黒糖入りってのも捨てがたい」
「やってなさいな」
そういって勢いよく消えていく。幻想郷最速だけあってあっというまに見えなくなる。
「…あ」
縁側を見るといつの間にか最新号が置いてある。そんなことせずともちゃんと受け取るというのに。
「ばか…」
新聞をそっと胸に抱く。刷ってからあまり時間が経っていないのかインクの香りがする。なんとなく、あいつの匂いだなぁなんて考える。
「…ほんとばか」
新聞に何かが挟まっている。どうせ紙だろう。お礼か何かを書いた。だから迷惑だというに。
「ばーか…」
あやれいむ?間違っても甘くない。
あれ?…あやれいむの日用のSSだよねこれ…ほんと?酷いよこれ?
ではどうぞ。
「ねぇ霊夢。お茶が怖いわ」
「なら尻隠して飛んで帰れ」
「私のスカートは鉄壁だから大丈夫」
「そーなのかー」
なんてことないある日。神社の縁側からぼへーっと空を眺めていたら奴がきた。
純白のシャツに黒いスカート。私も結構自信あるつもりだけど、それよりも光沢のある艶やかな黒髪。すらっとした手足。特に足は烏の妖怪だなんて嘘みたいに白くて長い。そして折畳まれていてもどこか力強さを感じる漆黒の翼。
射命丸文だ。
「なによ折角お煎餅まで持ってきてあげたってのに」
「人肉なんか入れてないでしょうね」
「いくら文化ある妖怪でもそんな回りくどい食べ方しないって」
コイツは一箇所にとどまるのが似合わない、風のよう。どこへでも出没するやつだ。山の神社、魔法の森の人形屋敷に魔法店、竹林、冥界、果ては人里。
そんな風来坊(?)みたいな奴だが必ず定期的に顔を出す場所がある。それがここ、博麗神社である。
「で、今日はいかようで?」
「別にこれといってないけど」
「ただの暇つぶし?」
「うーん、しいて言うならばあなたに会いに来た、てとこ?」
「…ふーん」
コイツの性格も風のようだと、私は思う。新聞記者らしく好奇心旺盛で目移りが早い。今日はじめたことでも明日明後日には興味が失せている。そんな奴。
だからここに顔を出すのだって単なる好奇心。異変時以外の私がどんなものか興味が沸いた程度の認識のはず。記録し終わるか飽きれば来ることを辞めるであろうことは目に見えている。しかしこの天狗、出会ったその次の日から今まで欠かさず顔を覗かせている。
「あら、霊夢は嬉しくないの?」
「別に?こっちはいい加減静かにお茶が飲みたいっての」
一体何の目的があるのかは知らないが、何時も起伏に欠ける口調で、笑顔振り撒いて。
「つれないのね。私は霊夢とお茶飲んだり話したりするの楽しいけど」
「…へー」
だから私は思う。冗談でもあまりそういうことは言わないでいただきたい。
「…」
「なによ黙っちゃって」
「…あ、ねぇこれどう思う?次の新聞の見出しなんだけど、これの内容とこっちの内容だったら」
「どれどれ…。ふむ。こっちの方がいい写真撮れてるけど目新しさではこれね」
「やっぱり?だったらそうね、こっちは…」
コイツは基本的に取材のときは敬語になっている。しかし親しい相手や編集作業中には砕けた喋り方になる。前者は敬語になる意味がないし、後者は編集に頭が集中して言葉にまで意識をまわしていないからである。
…今のあんたは果たしてどっちか。
「…ねぇ文」
「うん?」
「いい加減神社で編集するのやめたら?それに私に聞くのも。私に言ったって所詮素人意見だし、ネタバレになるし」
「えー。だって山でやってたらどこから覗かれるかわかったもんじゃないし。それにこっちは落ち着けるじゃない。あなたもどうせ新聞見ないでしょ?私が届けてもしばらく膝の上に乗せてるかと思えばさっさと放り投げてお茶飲んでるくせに。…それにこないだ焼き芋の包み紙にしてたし」
「失礼ね。妖怪退治の求人情報覧位見るわよ」
嘘だ。実際はコイツが帰った後で拾い上げて全ての文字を隅々まで目を通し読んでいる。3日前の記事内容を言えと言われたとしても間違いなく言うことができるはず。
「それにね。ここにいるとどうにもリラックスしてしまうから文体もやわらかくできるかなと」
「なによそれ」
そんな理由で毎回来られちゃいい迷惑だ。あんたみたいな風に毎回当てられていくなんて。いつもそうだ。私に会いに来た。一緒に呑もう。私が寂しがっているだろうと思って。などなど色々理由をつけてきては二言三言目には新聞の話。散々それの話をして、帰るときに限って楽しかったとかまた会いに来るとか言ってこっちが直視できないような笑顔を見せて帰る。
「あんたいつまで居座る気よ」
「ん、夕飯までには帰るわよ?」
「そういう意味じゃなくて」
まるで頬や髪を撫でるだけ。野良犬に噛まれるより性質が悪い。噛まれたって痛いだけ。犬コロ捕まえてお仕置きして憂さを晴らして。傷口が綺麗さっぱり治ればそれまで。でも風は触れた感触だけ残してどこかに消えてしまう。掴んだって指の間からゆるりするりと抜けていく。仮にこの手に収めたって無色透明なそれは実感を全く伴わない。ただ虚しくなる。悲しくなる。
「…」
「さて、帰りますか。号外、できたら持ってくからね」
「そういやそろそろ窓掃除の時期ね」
「またつれない」
漆黒の翼を大きく広げて伸びをする。翼を広げるだけで私の何倍にも大きく見えるなんて、その身に風を纏ったらそれこそ手が届かないところに行ってしまいそう。
「…そんな顔しないしない」
「いや、今夜のおかず焼き鳥にしようかと思ってたからあんたとかぶって」
「おおこわいこわい」
まただ。そんなことを言うから。
「また来るわね。今度はお饅頭持ってくるわ」
「…」
「あはは、寂しい?」
「うーん迷う。あんたは苺入りと栗入りどっちがいい?」
「…つれないねぇ。じゃあね」
「あ、黒糖入りってのも捨てがたい」
「やってなさいな」
そういって勢いよく消えていく。幻想郷最速だけあってあっというまに見えなくなる。
「…あ」
縁側を見るといつの間にか最新号が置いてある。そんなことせずともちゃんと受け取るというのに。
「ばか…」
新聞をそっと胸に抱く。刷ってからあまり時間が経っていないのかインクの香りがする。なんとなく、あいつの匂いだなぁなんて考える。
「…ほんとばか」
新聞に何かが挟まっている。どうせ紙だろう。お礼か何かを書いた。だから迷惑だというに。
「ばーか…」
祭りだぁ!
ほんま今日、8/6日は天国やで…
あやれいむ万歳!!
あやれいむにおける霊夢さんはやっぱこうでないと!
あやれいむの日やっほぅ!
>>唯さま
この話でほのぼのしていただけるとは…。
ありがとうございます。
>>2さま
小指の甘皮ほどでも糖分があったなら嬉しい限りです。
>>奇声を発する程度の能力さま
いや~、あやれいむもいいものです。
>>ケトゥアンさま
うちの霊夢は何故かどことなく受け気質になってしまいます…。
>>拡散ポンプさま
わたしもにやにや。です。
「馬鹿」という単語は霊夢さんが使うと、素晴らしい単語になりますね。
甘くないとありましたが、私には程よい甘さでした。
>>オオガイさま
「ばか」と呟く霊夢の戦闘力は398万を越えるそうですw