Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

うでまくら

2010/08/06 00:35:38
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なまあたたかい風がふく、まるで妖怪でも出てきそうな夜。
それでも辺りに見当たらないのは、こんな蒸し暑い夜には動きまわりたくないからだろうか。

月明かりにてらされて佇む家がひとつ、障子に映るふたつの影。
戸は開けない。虫と熱気が入るだけ。猫?なんのことだろうか。




八雲藍はもくもくと箸を動かしている
主は手がお留守だ。口は忙しいのに。


――を覗いたらね

む、絶妙な焼き加減だ

――それでね、烏天狗が

こちらは酸味が足りないか

――霊夢ったら

あぁ、やはり油揚げは美味い

――もう可愛くって

今度橙にも…

「藍、聞いてるの?」

もちろん、聞いていますよ

「…藍?」
「なんでしょう?」
「………」
「………?」
「まあいいわ。…あら、今どこまでしゃべったかしら?」
「烏天狗が博麗の巫女に膝枕をしていたと」
「そうそう、それでね霊夢ったら照れちゃって…」

うんうん、頷いてまたしゃべりだす。
しかし今日はよくお話になる。それでも料理が順調に減っているのは、これが大妖怪と呼ばれる所以か。おや、どこかで蛍が鳴いた。
仕事から帰っての夕食時、頭はもうお休みだ。

「いいわよねぇ、膝枕」
「ええ、いいですね膝枕」

この油揚げもなかなか…、今度橙にも…

「じゃあちょっとしてもらおうかしら、膝枕」
「ええ、いいですよ」

ふぅ、満腹だ。ちょうど紫様も食べ終わったようだ。

「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」




月の下、屋根から白い煙が立ちのぼる。なびかずに、立ちのぼる。
庭の木々は鬱蒼と、中に光は届かない。ときおり茂みが揺れるのは、どこかの猫か泥棒か。盗むものは何もない。



汗を流し程よく火照ったからだには、しかしすぐに汗がにじむ。
ふろにも入った、他にすべきことはない。そろそろ寝よう。

「よいしょっと」
「どうかしましたか?」
「どうかしましたか、じゃないわよ…膝枕してくれるって言ったじゃない」
「…そんなこと言いましたか?」
「言ったわよ」
「そうですか」
「やっぱり聞いてなかったのね」
「申し訳ございません」
「…まぁいいわ。ほらほら、正座正座」

よいしょ、可愛らしく呟いて頭が膝に乗せられる。
まったく子供みたいな方だ。

「あぁ、やわらかくて気持ちいいわね。ねぇ、しっぽも」

もふもふ、そんな音が聞こえてきそうだ。そんなに幸せそうな顔をされたら尻尾冥利に尽きるだろう。
しかし不思議なものだ。なぜ膝枕というものは、している方も心地よいのか。知らずに頭がたれて…

「あら、藍?寝ちゃったかしら」
「…起きていますよ」
「そう。…ありがとう、とても気持ちよかったわ」
「おや、もうよろしいのですか?」
「ええ。なんか新鮮味がないのよねぇ。霊夢たちみたいな」
「新鮮味、ですか…ふわぁ」
「くすっ、おねむかしら」
「すみません」
「いいのよ、もう寝ましょう。………そうだ、腕枕なんてどうかしら。昔はよくしてあげたじゃない。ね、そうしましょう」
「この年になってですか?」
「あら、嫌なの?」
「しかし、蒸し暑いですよ。余計に暑く…」
「嫌なら別にかまわないけど?」
「………」
「………」

むぅ、紫様はいじわるだ。そんな風に問われては…

「う、…お願いします」
「ふふっ」

何年ぶりだろうか。昔はよく無邪気にねだったものだ。
しかしいつからか、八雲の名もいただき、素直に言うのが恥ずかしくなって……顔が熱い。これは夏のせいに違いない。

「ほら、はやく来なさい」
「…失礼します」

やはり恥ずかしい。なんだか子供に戻ったようで。

「そんなにかたくなってないで、ほらほら」

ごろん、紫様の左半身が私を覆う。
…暑い。暑いが、言葉にできな安心感。柔らかく私を包み込んでくれる、絶対的な結界。あぁ、この方の式で本当に良かった。心からそう思う。
力が抜ける。意識が遠のく…。願わくばいつまでも、この温もりを…

「藍…すっかり大きくなっちゃって。でも私がいるうちは、あなたのことは………」




相も変わらず月の下。邪魔しちゃいけない、とばかりに風は凪いでいる。
少し涼しくなったか。いやいやそんなことはない。夜はまだまだこれからだ。これからだけれど住人は今夜は起きてこないだろう。深い深い安らぎの中。庭の
暗い茂みの中、かさこそと音がする。ぴょこんと可愛い尻尾が二つ。泥棒ではないようだ。
今日はあやれいむの日だってけーねが言ってた。
だけどうちの橙がどうしてもって言うから…

あれ、橙? こんな夜中にどこに行ったんだろうか。
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コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
ゆからんの中にもあやれいむ!
お得な感じ!
2.名前が無い程度の能力削除
にじゅーの意味でメシウマってやつね!(違
3.名前が無い程度の能力削除
橙が言ってくれて良かった
あやれいむも好きだけどゆからんの方が好きだ
和んだよ
4.名前が無い程度の能力削除
橙ナイス!!よく言った!
あやれいむ!ゆからん!ヒャッハー!