「霊夢!奴らが幻想郷で大量発生しているって知ってるか?」
「えぇ、あの黒光りする、アイツでしょ」
「奴らをどうにかしないと幻想郷は崩壊するぞ!」
「そうね、早いとこ解決しましょう。魔理沙!現在の奴の進行状況は?」
「ほい来た!これだぜ!」
魔理沙がポケットから出した紙には(奴ら)の意外な進行状況が記されていた。
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紅魔館・・・妖精メイド二人が(奴ら)の攻撃を受け、意識不明。門番も意識不明(暴睡的な意味で)
白玉楼・・・庭師が主人を常時護衛中。
庭師本人曰く、護衛している内に主人と新しい関係に発展したとか。
地霊殿・・・変化なし
永遠亭・・・兎達が逃げていくのを見たという情報あり(壊滅の可能性大)
その他地域・・・情報不通(壊滅の恐れあり)
製作者 M・K
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「なるほど、分かったわ。要らない事も書いてあるけど」
「仕様だぜ!」
「で、何が分かったんだ?」
「そりゃあ、異変を起こした犯人でしょう。大体だけどね」
「本当か!?じゃあ早速行こう!」
「待ちなさい」
颯爽と箒にまたがる魔理沙を霊夢が制止した。
「殺虫剤持って行きましょ」
「私は要らない」
「覚悟はできてる?私はできてる」
「ああ」
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「で、私が犯人だと?なぜ?」
「霊夢の勘だぜ!もう逃げられんぞ!リグル・ナイトバグ!」
「あはははは、ははは、あーっはっはっはっはっは!」
リグルはいきなり大声で笑い出した。しかも三段笑い。
「さすが霊夢の勘と褒めてやりたいところだ」
「「やっぱりお前が犯人かー!!」」
二人の息のあった台詞に苦笑いした後、口元をにやりと歪ませて、リグルは言った。
「えぇそうよ。今回の異変、G異変は私が起こしたの虫たちの地位向上の為にね」
そのあまりの威圧感に、霊夢が口を開いた。
「くっこの虫ッ!謎のカリスマがあるッ!」
「何っ!霊夢!あいつのカリスマパワー(KP)はどれくらいだ!?」
「現在の私のKPは0、16として、彼女のKPは7000ッ!」
「7000!?7000っていえば海が割れるレベルだぞ?」
「見よ!この姿!」
カリスマがどうのこうの言っているうちに、リグルの方から声が聞こえてきた。
サッと二人ががリグルの方を向いた。するとそこには体中を(奴ら)、Gでガードしたリグルがいた。
二人が目を背けようとした瞬間、リグルが叫んだ。
「見せてやろう、我が力をオォォォォ!!!」
その約10秒後、少し前まで真っ青だった空は飛行する真っ黒の虫によって埋め尽くされた。
~~~~上空~~~~
「え~こちら射命丸 文。現在魔法の森の上を飛行中・・・・・・あっ!謎の黒雲がこちらに向かってきます!早速調査を始めます!」
「ん~なんか虫の羽音みたいな音が聞こえますね。ってうわぁぁぁ!これはゴキブッ!ぬわあああああああぁ!!!!!」
射命丸は黒い闇の中に消えていった・・・
~~~~地上~~~~
「今、空から叫び声が聞こえたが気のせいという事にしておくぜ!」
魔理沙は、上空を覆う黒雲を見上げながら言った。
「ふっふっふ。どう?私の真の力は?」
にやにやと笑いながら二人の方をリグルが見ている。
「遊びはこれまでだ!」
そう言ってリグルは手を魔理沙達の方に向け、無数のGを飛ばしてきた。
「くッ!こんな弾幕は初めてだッ!Gを使う奴が相手なら、マスタースパークを使わざるを得ない!」
魔理沙はマスタースパークでG達を撃退しようと試みたが、
「やべっ!ミニ八卦炉忘れた!うわぁぁぁぁ!!」
ドサリ、と魔理沙が倒れた。
霊夢は魔理沙に駆け寄った。
「魔理沙!」
「はは・・・やっちまった・・・」
「魔理沙、ごめんなさい・・・私、PKライフアップ覚えてないのよ」
「・・・・私の事はいい・・・・・後は・・・・頼んだ・・・ぜ・・・・」
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霧雨 魔理沙 再起不能(リタイヤ)
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倒れた魔理沙を地面にねかせ、リグルの方を向き直った。
「・・・・リグル・・・・あんたの髪の毛一本さえこの世には残さん!!」
「はははっはっははははははは!」
「何がおかしい!」
不気味に笑うリグルに霊夢が怒鳴りつけた。
「まぁそんなに怒らないで、周りを見てみなよ」
リグルが発した言葉の通り、霊夢は周りを見回してみると、霊夢は自分の血の気が引いていくのが分かった。
「何よ・・・これ・・・」
霊夢が見たものは、自分を囲む、数千、いや、数万匹のGだった。そしてそのG達が今にも霊夢に飛びかかろうとしている。
「どうした、霊夢?動いてみなさい」
「言われなくてもそうするわよ!」
挑戦的な態度のリグルに、殺虫剤を持ち、Gの海に突っ込んでいった。・・・が、途中でGに足をすくわれ、盛大にこけてしまった。
薄れゆく意識の中で、
(霊夢は致命的なダメージを受けた!)という言葉と、
(霊夢は目の前が真っ暗になった!)という言葉が
頭に浮かんだ。
霊夢が最後に思った事は、自分より先に散った友人でも、神社の事でもなく、(何かのゲームのパロディ)だった。
「さようなら、みんな・・・・ぐふっ」
霊夢は意識を失った。
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「――いむ、霊夢~!お~い、生きてるか~」
聞き覚えのある、友人の声が聞こえた。
霊夢が目を開けると、見慣れた天井と、心配そうに顔を覗き込む魔理沙の顔が目に入った。
「なんだ、夢だったんだ」
ほっとして、そのままぼーっと天井を見上げていると、天井の隅に黒光りした、カサカサと動くものが見えた。
「あ、あれは、ゴッ、ゴキブッ!・・・・・きゃああああああぁぁぁ!!!!!!!!!!」
―――博麗霊夢の悲鳴は、幻想郷中に響き渡り、ショックで気絶した者が100人を超えたという。(妖怪含む)死者は出なかったそうだ。
そして、一番近くで悲鳴を聞いた魔理沙は、意識不明の重態だったが、アリスの必死の看病によって何とかなったらしい。
霊夢はその後しばらくの間、皆から(マンドラゴラ・霊夢)と呼ばれていたというのはまた別の話。
奴らは飛ぶのが一番怖い…
誰だ。