僕の名前は森近霖之助、このアパートで一人暮らしをしている普通の青年だ。
趣味が危険地帯を渡り歩き物拾いをしている時点で普通じゃないと勤め先の親父さんに言われた事もあった
「…晩飯にするか」
そう思い僕は台所へ向かいインスタントラーメンの袋を手にした
「今日は塩かな、それともアリスがこの前持ってきてくれた魔界味噌か…」
決めかねていたところで家のドアが騒々しい音を立てて来客を告げた
「霖之助、居るんでしょ」
「おや、比名那居さんじゃないですか」
お隣の比名那居天子だった
「えへへ、ごめんねこんな時間に」
「いいよ、あがりなよお茶くらいは出すから」
「勿論そのつもり」
そう言うと彼女はするりと居間へ上がり込んだ
「あっインスタントラーメン、ひょっとして晩ご飯?」
「ひょっとしなくても今日の晩飯にするつもりだったんだg…」
「駄目よ!」
彼女は人差し指を立てて僕に抗議してくる
「なんで」
「なんでもよ、良い?インスタントラーメンってのは基本的に体に悪いの」
「一日二日位食べるのは良いじゃないか」
「ここ一週間ずっとインスタントラーメンで生活していたのは何処の誰ですか?」
それを突っ込まれると少々きつい
「…僕だけど、時間がなかったんだ、それに何で知ってるんだ?」
「ちょっと冷蔵庫見せて」
僕の質問を無視して彼女は僕の家の冷蔵庫を開けて中身を物色し始めた
「あるじゃないこんなに新鮮なお野菜達が」
彼女は大根とにんじん、豚肉それから里芋を引っ張り出してきた
「私が美味しい料理作ってあげる」
割烹着を着てそう言う彼女、正直なところとても嬉しい
彼女が台所に立ってどれくらいの時が経ったのだろう、彼女は満面の笑みを浮かべ湯気が立ち上るお椀を二つ用意してちゃぶ台の上にのせた
「はい、比名那居天子特製豚汁完成」
彼女が作ってくれたのは豚汁だった
包丁を握るのに馴れてないのだろう、それぞれの食材が同じ大きさではなく歪な形が多かった、しかし彼女が僕のために一生懸命作ってくれたのだ
「いただきます」
「いただきまーす」
やはり野菜は十分に火が通ってない物があった、だけども僕には全部が美味しく、この世界で最も幸せな者の一人だと思えた
「…ごめんね、やっぱり上手く作れてないや」
だが彼女はちゃぶ台の前で落ち込んでいた、自分の料理に満足していないのだろう
「いや、美味しいよ、凄く美味しい」
自分のことを思って作ってくれた料理がまずいわけ無いだろう、そう心の中で呟き僕は鍋を空にした
「じゃあ片づけてくるからそこでのんびりしていてくれ」
僕は二人分のお椀と鍋を持って台所に立った
蛇口を捻り水を出し食器や道具を洗う間、僕たちは無言だった、僕は黙って洗い物を続け彼女は黙って僕の背中を見つめていた
「はいお茶」
洗い終えた僕はついでにお茶を淹れ、煎餅を出した
「いただきます」
彼女は煎餅にかじりついた、僕はお茶を啜った
「天子は家に帰らなくていいのかい?」
そのとき僕はふとした事を聞いてみた
「うん、今日はお父さんがお仕事で遅いし、お母さんは海外出張、だから今日は独り」
「…ごめんね」
「なんで謝るのよ、独りなのは私であってあなたじゃないのよ」
彼女は笑っていた、しかし僕は彼女の心が分かる気がする
笑ってはいるが辛いのだろう、彼女の親は彼女が小さいときから共働きで帰ってくるのは夜遅く、彼女は決して孤独に強い訳ではない普通の少女なのだ、そんな彼女が寂しくないはずがないのだ
「…今夜、泊まってっていい?」
「え?」
「だ、だから今夜泊まっていいかなって」
「…良いよ」
こうして彼女は布団、僕は森にはいるときに使用する寝袋に入り込んで寝ることにした
電気を消した後、彼女は僕に問いかけてきた
「ねぇ、霖之助はまだ森に入ってるの?」
「うん、それが僕の趣味であり仕事だからね」
暗闇の中で彼女は寝返りを打った
「…死なないでね、お願い」
死ぬ、その言葉が僕の心に重くのし掛かってきた、そうだあの森は気を抜けば死ぬところだ
「うん、死なないよ、森の中ではね」
「本当?」
「本当だよ、決して君を一人にはしないからね、天子」
「…ありがとう」
そう言い終えた彼女は眠りにつき、僕も寝ることにした
「…夢か」
朝目覚めるとそこはいつもの僕の店の天井だった、詳しくは思い出せそうにないがとても幸せな夢を見た気がした
窓を開けると、太陽が顔を出し始めたときだった
「天子と一緒にこの景色を見れたらな」
今日は何となく幸せな一日になるだろうと予想できた
趣味が危険地帯を渡り歩き物拾いをしている時点で普通じゃないと勤め先の親父さんに言われた事もあった
「…晩飯にするか」
そう思い僕は台所へ向かいインスタントラーメンの袋を手にした
「今日は塩かな、それともアリスがこの前持ってきてくれた魔界味噌か…」
決めかねていたところで家のドアが騒々しい音を立てて来客を告げた
「霖之助、居るんでしょ」
「おや、比名那居さんじゃないですか」
お隣の比名那居天子だった
「えへへ、ごめんねこんな時間に」
「いいよ、あがりなよお茶くらいは出すから」
「勿論そのつもり」
そう言うと彼女はするりと居間へ上がり込んだ
「あっインスタントラーメン、ひょっとして晩ご飯?」
「ひょっとしなくても今日の晩飯にするつもりだったんだg…」
「駄目よ!」
彼女は人差し指を立てて僕に抗議してくる
「なんで」
「なんでもよ、良い?インスタントラーメンってのは基本的に体に悪いの」
「一日二日位食べるのは良いじゃないか」
「ここ一週間ずっとインスタントラーメンで生活していたのは何処の誰ですか?」
それを突っ込まれると少々きつい
「…僕だけど、時間がなかったんだ、それに何で知ってるんだ?」
「ちょっと冷蔵庫見せて」
僕の質問を無視して彼女は僕の家の冷蔵庫を開けて中身を物色し始めた
「あるじゃないこんなに新鮮なお野菜達が」
彼女は大根とにんじん、豚肉それから里芋を引っ張り出してきた
「私が美味しい料理作ってあげる」
割烹着を着てそう言う彼女、正直なところとても嬉しい
彼女が台所に立ってどれくらいの時が経ったのだろう、彼女は満面の笑みを浮かべ湯気が立ち上るお椀を二つ用意してちゃぶ台の上にのせた
「はい、比名那居天子特製豚汁完成」
彼女が作ってくれたのは豚汁だった
包丁を握るのに馴れてないのだろう、それぞれの食材が同じ大きさではなく歪な形が多かった、しかし彼女が僕のために一生懸命作ってくれたのだ
「いただきます」
「いただきまーす」
やはり野菜は十分に火が通ってない物があった、だけども僕には全部が美味しく、この世界で最も幸せな者の一人だと思えた
「…ごめんね、やっぱり上手く作れてないや」
だが彼女はちゃぶ台の前で落ち込んでいた、自分の料理に満足していないのだろう
「いや、美味しいよ、凄く美味しい」
自分のことを思って作ってくれた料理がまずいわけ無いだろう、そう心の中で呟き僕は鍋を空にした
「じゃあ片づけてくるからそこでのんびりしていてくれ」
僕は二人分のお椀と鍋を持って台所に立った
蛇口を捻り水を出し食器や道具を洗う間、僕たちは無言だった、僕は黙って洗い物を続け彼女は黙って僕の背中を見つめていた
「はいお茶」
洗い終えた僕はついでにお茶を淹れ、煎餅を出した
「いただきます」
彼女は煎餅にかじりついた、僕はお茶を啜った
「天子は家に帰らなくていいのかい?」
そのとき僕はふとした事を聞いてみた
「うん、今日はお父さんがお仕事で遅いし、お母さんは海外出張、だから今日は独り」
「…ごめんね」
「なんで謝るのよ、独りなのは私であってあなたじゃないのよ」
彼女は笑っていた、しかし僕は彼女の心が分かる気がする
笑ってはいるが辛いのだろう、彼女の親は彼女が小さいときから共働きで帰ってくるのは夜遅く、彼女は決して孤独に強い訳ではない普通の少女なのだ、そんな彼女が寂しくないはずがないのだ
「…今夜、泊まってっていい?」
「え?」
「だ、だから今夜泊まっていいかなって」
「…良いよ」
こうして彼女は布団、僕は森にはいるときに使用する寝袋に入り込んで寝ることにした
電気を消した後、彼女は僕に問いかけてきた
「ねぇ、霖之助はまだ森に入ってるの?」
「うん、それが僕の趣味であり仕事だからね」
暗闇の中で彼女は寝返りを打った
「…死なないでね、お願い」
死ぬ、その言葉が僕の心に重くのし掛かってきた、そうだあの森は気を抜けば死ぬところだ
「うん、死なないよ、森の中ではね」
「本当?」
「本当だよ、決して君を一人にはしないからね、天子」
「…ありがとう」
そう言い終えた彼女は眠りにつき、僕も寝ることにした
「…夢か」
朝目覚めるとそこはいつもの僕の店の天井だった、詳しくは思い出せそうにないがとても幸せな夢を見た気がした
窓を開けると、太陽が顔を出し始めたときだった
「天子と一緒にこの景色を見れたらな」
今日は何となく幸せな一日になるだろうと予想できた
止めてやるものか、止めてしまったら天霖が見れなくなるじゃないか!
良し、止めてやるからこの特性、超高速セグウェイに乗り換えろ。
イチャイチャ、イチャイチャ。
天霖ひゃっほい!