げ、こんな時に……ん? ははん、そういうことかい。これは好都合だね。
よう。お前さん、ずいぶんと立派なおっぽつけてるな。
それがあるってことは、まだお前さんは完全に死んじゃいないってことだ。
加えてここのお前さんと向こうのお前さんを繋ぐおっぽは、太ければ太いほどお前さんが生きたいと願う想いの強さを表すのさ。
はん、さてはお前さん、何かしらの事情に耐えられなくなってわざと上がってきちまった口だね。
たまにいるんだよ。本当は死にたくもないくせに頑張って死んじまうような大馬鹿が。
そういう奴はいざって時にビビって手を抜いちまうから完全に死にきれないんだ。
で、どうなんだい。
お前さんが本当に良いってんなら、そのおっぽ切ってあっちに連れていくけど。
ま、こっちとしちゃあ、きっちり仕事してるのを上司に知ってもらったほうが心証が良くなるし歓迎するよ。
ああ、そうそう。
自分で自分を殺しちまう事は重罪だってのは知ってたかい?
この川を渡った先は閻魔様の判決待ち、いよいよお前さんの番となったら即刻地獄逝きだ。
地獄は辛いよお。
あたいは何人も地獄にいった輩を見てるけどね、あの光景を見ちまったら三日は飯が喉を通らない。
それこそ、ここでのんびり仕事してる事が天国に思えるほどさ。
お、なんだい、またおっぽが一段と立派になったじゃないか。
今度は地獄が怖くて帰りたくなったってかい?
はっ、でもお前さん、向こうが怖くて逃げ出したってのに、こっちまで怖くなったらどこに行こうってのさ。
残念だねえ、お前さんはもうどこにだって帰ることは出来ないよ。
大人しく地獄に落ちるんだね。
ほれ、おっぽをだしな。
あたいのこの鎌で刈り取ってやるからさ。
ん?
なんだい、今度はちょろちょろ逃げ回りはじめて。
どうせお前さんには帰るとこなんかないんだから、潔く諦めなって。
泣いたって駄目さ。
あとがつかえてんだ、早くしとくれよ。
……お前さん、そんなに死にたくないのかい?
それとも地獄が嫌なだけかい?
今、お前さんの胸の中には何が見える。
お前さんは大事なものを残して逝っちまおうとした腑抜けの阿呆だ。
もし今度またお前さんがおっぽつけて来たその時は、遠慮も容赦もしないから覚悟しとくんだね。
わかったらさっさと行っちまいな。
あと50年はその面見せるんじゃないよ。
ふー、危ない危ない。
もうちっとで寝ぼけて船に穴開けちまったのがお偉いさんにバレちまうとこだったよ。
さあて、仏さんがいない今のうちに修理して誤魔化そうかねーって、げぇー閻魔様!
なんでこ、きゃんッ!
冒頭を「立派なおっぱいつけてるな」って読んでしまった
小町の船に乗せてもらってくる
>>3
お前一人にいいカッコさせるかよ、俺も逝くぜ!
皆違って皆良い。
シンプルなのに台詞回しが魅力的で引きつけられました。
>>3
同じ志を持った者として放ってはおけない。俺もお供するぜ!