◆
人生とは、ひとつの物語だ。
◆
「魔理沙、起きて」
「うーん……」
「ほら、朝ご飯もうできてるんだから。顔洗ってきなさい」
あさごはん?
「いや待て。何故アリスがここにいる」
「だってここは私の家だもの」
「待て、何故私はここにいるんだ……」
「あんたが『究極の魔法が完成したぜ!』とか言って夜中に転がり込んできたんでしょ、本当に覚えてないの?」
ん、そんなこともあった気がする。
「気がする、じゃなくて事実」
「あれ?声に出てたか」
「まあとにかく朝ご飯よ。ほらとっとと顔洗ってくる」
「はーい」
◆
夢だとしても、それも物語のうちのひとつ。
◆
豪華な朝食だったな、と思う。
いや、あれがふつうの家の朝食なのかもしれないが、私はいつも米と残り物の味噌汁ぐらいなもんだから
アリスの作る朝食が豪華に見えて仕方ない。
あの豪華さには慣れない。人生において20枚目のパンを食べたって慣れなかった。
「……何が≪どこにでもいる少女(Alice)≫だよ、こんな完璧な奴がいるかってんだ」
人形のパーツが痛むからと皿洗いは自分でやって、そのあとはきちんとハンドクリームを塗って。
人形師のくせに誰より人形らしいその姿は、彼女が人形を手入れするのと同じように保たれている。
女の私から見ても綺麗だ。ちくしょう、
「妬ましいぜ」
「どこぞの妖怪みたいなこと言わないの」
エプロンを外しながらアリスがテーブルへと戻ってきた。
「おまえが綺麗なのが悪い」
「ごめん魔理沙。嬉しいんだけど正直言って気持ち悪いわ」
「私だって言いたくなかったさ」
「難義ね」
「ああ、難儀だ」
そこまで言ったところで、人形がティーポットとカップを持ってきた。
これはアリスの習慣のひとつで、朝食を食べて片付けをしたあとに紅茶を飲む。
それから人形作りやら何やらに取り組むのだ。
「本当、完璧な奴」
そんなことを小さく呟いてみる。
「何か言った?」
「なんでもない」
「そう」
◆
絵本にかいてあることも、今わたしがここにいることも、あなたがここにいることも。
世の中全てが物語なのだ。
◆
「邪魔したな」
「ええ、そうね」
そこは『また来てね』とか言うとこじゃないのか。
むっとすると、アリスはくすくす笑って次の言葉を紡ぐ。
「邪魔しないならまた来てもいいから」
「おう。今度は邪魔じゃなくおせっかいでもしに来るぜ」
「おせっかいよりは手伝ってくれるとありがたいんだけどね」
「人形で事足りるだろ」
「まあね」
そう言って互いに顔を見合わせて、笑いあう。
こんな時間がいつまでも続いてくれたらとは思うけど、そうはいかない。
「それじゃあまたな、アリス」
「ええ。気をつけて」
箒に跨り、ぐっと魔力をこめて上昇する。
手を振るアリスと人形に手を振り、私は空を駆けていった。
◆
それからそれから。
……うーん、どうしようかなー?
「アリス」
「ん、何?夢子お姉ちゃん」
「いや……そのお話はいつまで続けるのかしら、と思ってね」
なあに夢子お姉ちゃん。そんなわかりきったことをどうして聞くの?
おかしくて口の端がつりあがってしまうわ。
「決まってるじゃない。物語が終わるまでよ」
人生とは、ひとつの物語だ。
◆
「魔理沙、起きて」
「うーん……」
「ほら、朝ご飯もうできてるんだから。顔洗ってきなさい」
あさごはん?
「いや待て。何故アリスがここにいる」
「だってここは私の家だもの」
「待て、何故私はここにいるんだ……」
「あんたが『究極の魔法が完成したぜ!』とか言って夜中に転がり込んできたんでしょ、本当に覚えてないの?」
ん、そんなこともあった気がする。
「気がする、じゃなくて事実」
「あれ?声に出てたか」
「まあとにかく朝ご飯よ。ほらとっとと顔洗ってくる」
「はーい」
◆
夢だとしても、それも物語のうちのひとつ。
◆
豪華な朝食だったな、と思う。
いや、あれがふつうの家の朝食なのかもしれないが、私はいつも米と残り物の味噌汁ぐらいなもんだから
アリスの作る朝食が豪華に見えて仕方ない。
あの豪華さには慣れない。人生において20枚目のパンを食べたって慣れなかった。
「……何が≪どこにでもいる少女(Alice)≫だよ、こんな完璧な奴がいるかってんだ」
人形のパーツが痛むからと皿洗いは自分でやって、そのあとはきちんとハンドクリームを塗って。
人形師のくせに誰より人形らしいその姿は、彼女が人形を手入れするのと同じように保たれている。
女の私から見ても綺麗だ。ちくしょう、
「妬ましいぜ」
「どこぞの妖怪みたいなこと言わないの」
エプロンを外しながらアリスがテーブルへと戻ってきた。
「おまえが綺麗なのが悪い」
「ごめん魔理沙。嬉しいんだけど正直言って気持ち悪いわ」
「私だって言いたくなかったさ」
「難義ね」
「ああ、難儀だ」
そこまで言ったところで、人形がティーポットとカップを持ってきた。
これはアリスの習慣のひとつで、朝食を食べて片付けをしたあとに紅茶を飲む。
それから人形作りやら何やらに取り組むのだ。
「本当、完璧な奴」
そんなことを小さく呟いてみる。
「何か言った?」
「なんでもない」
「そう」
◆
絵本にかいてあることも、今わたしがここにいることも、あなたがここにいることも。
世の中全てが物語なのだ。
◆
「邪魔したな」
「ええ、そうね」
そこは『また来てね』とか言うとこじゃないのか。
むっとすると、アリスはくすくす笑って次の言葉を紡ぐ。
「邪魔しないならまた来てもいいから」
「おう。今度は邪魔じゃなくおせっかいでもしに来るぜ」
「おせっかいよりは手伝ってくれるとありがたいんだけどね」
「人形で事足りるだろ」
「まあね」
そう言って互いに顔を見合わせて、笑いあう。
こんな時間がいつまでも続いてくれたらとは思うけど、そうはいかない。
「それじゃあまたな、アリス」
「ええ。気をつけて」
箒に跨り、ぐっと魔力をこめて上昇する。
手を振るアリスと人形に手を振り、私は空を駆けていった。
◆
それからそれから。
……うーん、どうしようかなー?
「アリス」
「ん、何?夢子お姉ちゃん」
「いや……そのお話はいつまで続けるのかしら、と思ってね」
なあに夢子お姉ちゃん。そんなわかりきったことをどうして聞くの?
おかしくて口の端がつりあがってしまうわ。
「決まってるじゃない。物語が終わるまでよ」
読んだ後気分がいい・・・気がする。
ありがとうございます、大変遅くなりましたがレスさせていただきます。
>>1 奇声を発する程度の能力様
頭に浮かんだ話をほぼそのまま書いていたらこうなってしまいました^^;
それでも褒めてくださって、本当にありがとうございます!
>>2様
すっきりしないちょっと嫌な終わり方かなーと書いてて思ったのですが、
そう言っていただけて嬉しい限りです、ありがとうございます!