「お待たせしました。ナズーリンさん。」
「やぁ、おはよう。」
朝一番。
人里の入り口で待っていた私に、鈴仙が駆け寄ってきた。
昨日、鈴仙に依頼された薬草探し。
希少種、かつ場所も分からないという難しい仕事だが、腕がなる。
最近は簡単な仕事(その依頼主の1/3くらいがご主人様だが)が多かった。
だから、偶にはこういった仕事も請けないと、正直腕が鈍る。
それに、誰かと一緒に探し物をするという機会もあまりなかった。
そういった意味では、今回の仕事は新鮮味があるというものだ。
「それがナズーリンさんの道具ですか?」
そういって、鈴仙は珍しいそうに私の持ち物を見る。
まぁ、ただでさえ珍しいダウジングロッド。
しかも、私の使うものは自身の体と相対してみても、かなり大きめだ。
それに胸にかけてあるペンデュラム。
あと、本来はかなり多めのネズミたちを使うのだが、今回は人海戦術的な方法はあまり期待できない。
なにせ場所がまったくわからないのである。
なので、今回は普段から尻尾にぶら下げている籠に入っているネズミと、あと2,3匹だけに絞った。
最後に、リュックにポシェット。
今回は時間がかかる可能性があるので、携帯用の水や食料を入れている。
「鈴仙、君のリュックの中も、まぁ大体私と似たようなものが入っているのかな。」
「えぇ。簡単な食料と水。あとは薬などの類ですね。」
そういって、後ろを向き、リュックを見せる鈴仙。
こういった時、薬などの扱いに長けている者が同行してくれるのはありがたい。
場所によったら、怪我や身体の不調なども起きるかもしれない。
「じゃあ、探索を開始するとするか。よろしく頼むよ。」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
「で、まずどうやって場所の候補を絞っていきますか?」
「それについて昨晩考えたんだが、これを見てくれないか。」
そういって、私は1枚の地図を取り出す。
「これは・・・、人里の周辺の地図ですか?」
「あぁ、流石に幻想郷全体の地図なんてものは持っていないからね。まずはこの地図を使って、方角を特定しようと思ったわけだ。」
そういって、私は胸にかけてあったペンデュラムをかざす。
「まずは薬草のイメージを頭に思い浮かべながら、地図の上にペンデュラムをかざしてみるんだ。」
昨晩、何回か試してみたので、すぐに反応が出るはずだ。
すると。
「わっ、揺れはじめました!」
そういって驚いたような声を上げる鈴仙。
「この揺れ方を見るに、人里から南西の方角にあるかもしれないということが分かった。」
それを聞いて、おぉ、と感嘆の声を漏らす鈴仙。
「まぁ、方角だけのうえに、結構曖昧な情報ではあるんだが・・・。」
「いえ!それだけ分かっただけでも凄いですよ!ナズーリンさんに依頼して正解でした!」
「おいおい、まだ方角が分かっただけだぞ。これから先が長くなるかもしれないんだし。」
そういって、ぴょこぴょこ跳ねながら喜ぶ鈴仙に苦笑を漏らす。
最初会ったときの鈴仙のイメージは、少しオドオドした、ちょっと人見知りをするようなタイプだと思っていた。
だが、今の鈴仙を見ると、もしかしたら意外とポジティブシンキングなのかもしれない、と思う。
「さて、方角は決まった。後はその方角に飛んでいきながら、ダウジングロッドの反応を見ていこう。」
「はい。わかりました。」
では、行こうか。
その声と共に、私たちは空へと舞い上がった。
人里を出発してから数分。
私は薬草のイメージを思い浮かべながら、自身の能力に集中しながら、ロッドの反応を見る。
これは結構集中力がいるので、私は無言のまま飛び続ける。
鈴仙もそれを感じ取っているのか、黙ってあたりを見渡しながら私の横を飛び続ける。
・・・。
あ、そうだ。
鈴仙に聞いておかなくてはならないことがある。
「なぁ、鈴仙。君はその薬草がどういった場所に生えていると推論する?おおまかでいいんだが。」
そういって、隣の鈴仙に聞いてみる。
「あ、そうでした。実は私も昨晩似たような形の薬草の資料を見て、大体どういった場所に生息するか考えてみたんですよ。それでですね、この薬草、もしかしたらあまり日の当たらない場所・・・、といっても、洞窟のような光の届かない場所ではなく、そうですね・・・。森のような場所に生えているんではないかと思ったんですよ。」
「森・・・。例えば魔法の森のような?」
「いえ、そこまで被い茂ってない、魔法の森よりもう少し明るい感じの森だと思います。多分、あまりジメジメしたところには生えてないんじゃないかと。」
「なるほど。」
もし、鈴仙の推論が当たっているとすれば、この先に森があればロッドに少なからず反応が出るはずだ。
「よし、わかった。私は引き続きロッドに集中する。君は周りに森のようなものがないか見ていてくれ。」
「わかりました。」
そうして30分は経ったか。
人里からかなりの距離。
正直、私も足を運んだことの無い場所で、鈴仙が声をあげた。
「あ、ありました!あそこに森のようなものが。」
鈴仙が指差したほうにロッドを向けると・・・。
「あぁ、間違いない。私のロッドにも反応が出た。」
そうして、森の側に降り立つ。
さて、その件の森なんだが。
「なんか、きれいな森ですね。」
「あぁ。」
木はそこまで生い茂ってなく、どちらかと言うと明るい感じの森だ。
木々の間から漏れる太陽の光が美しく、森林浴にはもってこいのような場所だ。
「こんな森があったんですね。知りませんでした。」
「全くだ。人里から近いところにあったら、結構人が集まるんじゃないか?」
だが、飛行しながら来て、3~40分くらい。
歩いてくるにはかなり遠いか。
「なんか、穴場スポットを見つけた感じだな。」
「そうですねぇ。」
「まぁな。確かにここはあまり人も妖怪も寄り付かねぇな。」
「ふーん、そうなんですか。」
「なんだ。君はこの森を知っているのかい?」
「あぁ。昔入ったことあるぞ。今回もちょっと探し物で来たんだ。」
「あ、じゃあ、この森については詳s・・・。」
・・・。
えっ!?
ばっと横を見る。
そこには、何時の間にか知らない男が立っていた。
いや、何気に会話に入ってきたが、何時からいた!?
こんな至近距離にいるのに、まったく気付かなかったぞ!?
「よぉ、こんな森に何用だ?」
気さくに話しかける謎の男。
警戒しながら返答する。
「・・・、あんたは何者だ?」
気配も無くいきなり現れた男。
いったい何者だ?
「あぁ、まずは自己紹介だな、俺の名前は『葉月 悠』。ちょっと野暮用でな。この森に用事があるんだ。」
そうか、私たちと同じような用件か。
そう考え、改めて男を見る。
身長は175前後か。
人間としては、少し高いほうだが。
それより目立つのは・・・。
「えーっと、それは斧か?」
男が担いでる武器。
「あぁ、これは昔ダチがくれたモンでな。今の俺の相棒ってわけよ。」
そういって、ぶんっと横薙ぎにに一閃。
「えーっと、それって『ハルバード』って奴ですかね?」
鈴仙が尋ねる。
私にはわからない。
幻想郷では見たことない武器だ。
「おぉ、珍しいだろ?」
そういって、自慢げに言う葉月。
私は『ハルバード』という武器は初めて見るが。
先端の斧の反対側に円柱のようなものがついてるものなのだろうか?
最初はハンマーかと思ったが、円柱には3つの穴が空いている。
???
私が不思議そうに見ていると、葉月はこう答えた。
「あぁ、この円柱か?これは『ブースター』てやつらしい。」
ぶーすたー?
聞きなれない言葉に首を傾げてる私に。
「あぁ、気にすんな。見せる機会があったら見せてやるよ。」
そんな機会が無いほうがいいんだがな。
そういって、葉月はハルバードを背負い、森に向き合う。
「あんたら、ここに用があるらしいな。どんな用件だ?」
「いえ、実は・・・。」
そういって、鈴仙は薬草の資料を見せる。
「おぉ、俺が探してるものと同じじゃんか?」
「ん?本当かい?」
そう尋ねると、葉月は懐から資料を取り出す。
「これだろ?いやぁ、これってこの森にしか生えていないんだよなぁ。」
そういって、こちらに向き合うと。
「なぁ、よかったら一緒にいかないか?」
葉月の提案。
「一人で探索ってのも味気ないしな。どうだ?」
そう提案するが・・・。
「どうする、鈴仙?」
「うーん・・・。」
悩むのも仕方ない。
なにせ、素性の全く分からない男だ。
こちらが慎重になるのは仕方ないことだろう。
そう考えていると、葉月はこう言った。
「まぁ、俺が一人じゃつまんないってこともあるんだが・・・。資料に書いているだろ?『極高』だって。理由は、ここに生息している妖怪だ。中々強力なやつでな。俺なら一度対峙したことある。実力も保障するし、それなりの戦力になる自信はあるぜ?」
・・・。
何故か、ここで私の直感が告げる。
この男と同行しろと。
長年生きていた感だ。
ここは手を組んだほうがいい。
「わかった。同行してもらおうか。」
「えぇ!?いいんですか?」
驚いたように鈴仙が尋ねる。
まぁ、そうだろうな。
素性も分からない男と未知の森に同行するんだ。
だが・・・。
「鈴仙。ここは私を信じてくれないか?野生の直感というか。この男と同行したほうが得策と思うんだ。」
決して悪い奴じゃない。
それに、少なくとも私たちには情報が足りない。
ここはとりあえず、この男を信じてついていってみるのが良いと思う。
鈴仙はしばらく考えた後。
「まぁ、ここで会ったのも何かの縁ですしね。とりあえず同行、お願いできますか?」
鈴仙も同意してくれたようだ。
「おぉ!信用してくれてサンキューな。まかせろ。あんたらの身の保障はバッチリだ!」
そういって、葉月は楽しそうに森に入って行く。
「ナズーリンさん・・・。」
「とりあえず、様子を見よう。危険だと判断したら、逃げればいいさ。」
これでもしぶといネズミさ。
撒くことには自信がある。
こうして、3人は森へと進む。
この男と共に行動することは、果たして吉とでるか凶とでるか・・・。
「やぁ、おはよう。」
朝一番。
人里の入り口で待っていた私に、鈴仙が駆け寄ってきた。
昨日、鈴仙に依頼された薬草探し。
希少種、かつ場所も分からないという難しい仕事だが、腕がなる。
最近は簡単な仕事(その依頼主の1/3くらいがご主人様だが)が多かった。
だから、偶にはこういった仕事も請けないと、正直腕が鈍る。
それに、誰かと一緒に探し物をするという機会もあまりなかった。
そういった意味では、今回の仕事は新鮮味があるというものだ。
「それがナズーリンさんの道具ですか?」
そういって、鈴仙は珍しいそうに私の持ち物を見る。
まぁ、ただでさえ珍しいダウジングロッド。
しかも、私の使うものは自身の体と相対してみても、かなり大きめだ。
それに胸にかけてあるペンデュラム。
あと、本来はかなり多めのネズミたちを使うのだが、今回は人海戦術的な方法はあまり期待できない。
なにせ場所がまったくわからないのである。
なので、今回は普段から尻尾にぶら下げている籠に入っているネズミと、あと2,3匹だけに絞った。
最後に、リュックにポシェット。
今回は時間がかかる可能性があるので、携帯用の水や食料を入れている。
「鈴仙、君のリュックの中も、まぁ大体私と似たようなものが入っているのかな。」
「えぇ。簡単な食料と水。あとは薬などの類ですね。」
そういって、後ろを向き、リュックを見せる鈴仙。
こういった時、薬などの扱いに長けている者が同行してくれるのはありがたい。
場所によったら、怪我や身体の不調なども起きるかもしれない。
「じゃあ、探索を開始するとするか。よろしく頼むよ。」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
「で、まずどうやって場所の候補を絞っていきますか?」
「それについて昨晩考えたんだが、これを見てくれないか。」
そういって、私は1枚の地図を取り出す。
「これは・・・、人里の周辺の地図ですか?」
「あぁ、流石に幻想郷全体の地図なんてものは持っていないからね。まずはこの地図を使って、方角を特定しようと思ったわけだ。」
そういって、私は胸にかけてあったペンデュラムをかざす。
「まずは薬草のイメージを頭に思い浮かべながら、地図の上にペンデュラムをかざしてみるんだ。」
昨晩、何回か試してみたので、すぐに反応が出るはずだ。
すると。
「わっ、揺れはじめました!」
そういって驚いたような声を上げる鈴仙。
「この揺れ方を見るに、人里から南西の方角にあるかもしれないということが分かった。」
それを聞いて、おぉ、と感嘆の声を漏らす鈴仙。
「まぁ、方角だけのうえに、結構曖昧な情報ではあるんだが・・・。」
「いえ!それだけ分かっただけでも凄いですよ!ナズーリンさんに依頼して正解でした!」
「おいおい、まだ方角が分かっただけだぞ。これから先が長くなるかもしれないんだし。」
そういって、ぴょこぴょこ跳ねながら喜ぶ鈴仙に苦笑を漏らす。
最初会ったときの鈴仙のイメージは、少しオドオドした、ちょっと人見知りをするようなタイプだと思っていた。
だが、今の鈴仙を見ると、もしかしたら意外とポジティブシンキングなのかもしれない、と思う。
「さて、方角は決まった。後はその方角に飛んでいきながら、ダウジングロッドの反応を見ていこう。」
「はい。わかりました。」
では、行こうか。
その声と共に、私たちは空へと舞い上がった。
人里を出発してから数分。
私は薬草のイメージを思い浮かべながら、自身の能力に集中しながら、ロッドの反応を見る。
これは結構集中力がいるので、私は無言のまま飛び続ける。
鈴仙もそれを感じ取っているのか、黙ってあたりを見渡しながら私の横を飛び続ける。
・・・。
あ、そうだ。
鈴仙に聞いておかなくてはならないことがある。
「なぁ、鈴仙。君はその薬草がどういった場所に生えていると推論する?おおまかでいいんだが。」
そういって、隣の鈴仙に聞いてみる。
「あ、そうでした。実は私も昨晩似たような形の薬草の資料を見て、大体どういった場所に生息するか考えてみたんですよ。それでですね、この薬草、もしかしたらあまり日の当たらない場所・・・、といっても、洞窟のような光の届かない場所ではなく、そうですね・・・。森のような場所に生えているんではないかと思ったんですよ。」
「森・・・。例えば魔法の森のような?」
「いえ、そこまで被い茂ってない、魔法の森よりもう少し明るい感じの森だと思います。多分、あまりジメジメしたところには生えてないんじゃないかと。」
「なるほど。」
もし、鈴仙の推論が当たっているとすれば、この先に森があればロッドに少なからず反応が出るはずだ。
「よし、わかった。私は引き続きロッドに集中する。君は周りに森のようなものがないか見ていてくれ。」
「わかりました。」
そうして30分は経ったか。
人里からかなりの距離。
正直、私も足を運んだことの無い場所で、鈴仙が声をあげた。
「あ、ありました!あそこに森のようなものが。」
鈴仙が指差したほうにロッドを向けると・・・。
「あぁ、間違いない。私のロッドにも反応が出た。」
そうして、森の側に降り立つ。
さて、その件の森なんだが。
「なんか、きれいな森ですね。」
「あぁ。」
木はそこまで生い茂ってなく、どちらかと言うと明るい感じの森だ。
木々の間から漏れる太陽の光が美しく、森林浴にはもってこいのような場所だ。
「こんな森があったんですね。知りませんでした。」
「全くだ。人里から近いところにあったら、結構人が集まるんじゃないか?」
だが、飛行しながら来て、3~40分くらい。
歩いてくるにはかなり遠いか。
「なんか、穴場スポットを見つけた感じだな。」
「そうですねぇ。」
「まぁな。確かにここはあまり人も妖怪も寄り付かねぇな。」
「ふーん、そうなんですか。」
「なんだ。君はこの森を知っているのかい?」
「あぁ。昔入ったことあるぞ。今回もちょっと探し物で来たんだ。」
「あ、じゃあ、この森については詳s・・・。」
・・・。
えっ!?
ばっと横を見る。
そこには、何時の間にか知らない男が立っていた。
いや、何気に会話に入ってきたが、何時からいた!?
こんな至近距離にいるのに、まったく気付かなかったぞ!?
「よぉ、こんな森に何用だ?」
気さくに話しかける謎の男。
警戒しながら返答する。
「・・・、あんたは何者だ?」
気配も無くいきなり現れた男。
いったい何者だ?
「あぁ、まずは自己紹介だな、俺の名前は『葉月 悠』。ちょっと野暮用でな。この森に用事があるんだ。」
そうか、私たちと同じような用件か。
そう考え、改めて男を見る。
身長は175前後か。
人間としては、少し高いほうだが。
それより目立つのは・・・。
「えーっと、それは斧か?」
男が担いでる武器。
「あぁ、これは昔ダチがくれたモンでな。今の俺の相棒ってわけよ。」
そういって、ぶんっと横薙ぎにに一閃。
「えーっと、それって『ハルバード』って奴ですかね?」
鈴仙が尋ねる。
私にはわからない。
幻想郷では見たことない武器だ。
「おぉ、珍しいだろ?」
そういって、自慢げに言う葉月。
私は『ハルバード』という武器は初めて見るが。
先端の斧の反対側に円柱のようなものがついてるものなのだろうか?
最初はハンマーかと思ったが、円柱には3つの穴が空いている。
???
私が不思議そうに見ていると、葉月はこう答えた。
「あぁ、この円柱か?これは『ブースター』てやつらしい。」
ぶーすたー?
聞きなれない言葉に首を傾げてる私に。
「あぁ、気にすんな。見せる機会があったら見せてやるよ。」
そんな機会が無いほうがいいんだがな。
そういって、葉月はハルバードを背負い、森に向き合う。
「あんたら、ここに用があるらしいな。どんな用件だ?」
「いえ、実は・・・。」
そういって、鈴仙は薬草の資料を見せる。
「おぉ、俺が探してるものと同じじゃんか?」
「ん?本当かい?」
そう尋ねると、葉月は懐から資料を取り出す。
「これだろ?いやぁ、これってこの森にしか生えていないんだよなぁ。」
そういって、こちらに向き合うと。
「なぁ、よかったら一緒にいかないか?」
葉月の提案。
「一人で探索ってのも味気ないしな。どうだ?」
そう提案するが・・・。
「どうする、鈴仙?」
「うーん・・・。」
悩むのも仕方ない。
なにせ、素性の全く分からない男だ。
こちらが慎重になるのは仕方ないことだろう。
そう考えていると、葉月はこう言った。
「まぁ、俺が一人じゃつまんないってこともあるんだが・・・。資料に書いているだろ?『極高』だって。理由は、ここに生息している妖怪だ。中々強力なやつでな。俺なら一度対峙したことある。実力も保障するし、それなりの戦力になる自信はあるぜ?」
・・・。
何故か、ここで私の直感が告げる。
この男と同行しろと。
長年生きていた感だ。
ここは手を組んだほうがいい。
「わかった。同行してもらおうか。」
「えぇ!?いいんですか?」
驚いたように鈴仙が尋ねる。
まぁ、そうだろうな。
素性も分からない男と未知の森に同行するんだ。
だが・・・。
「鈴仙。ここは私を信じてくれないか?野生の直感というか。この男と同行したほうが得策と思うんだ。」
決して悪い奴じゃない。
それに、少なくとも私たちには情報が足りない。
ここはとりあえず、この男を信じてついていってみるのが良いと思う。
鈴仙はしばらく考えた後。
「まぁ、ここで会ったのも何かの縁ですしね。とりあえず同行、お願いできますか?」
鈴仙も同意してくれたようだ。
「おぉ!信用してくれてサンキューな。まかせろ。あんたらの身の保障はバッチリだ!」
そういって、葉月は楽しそうに森に入って行く。
「ナズーリンさん・・・。」
「とりあえず、様子を見よう。危険だと判断したら、逃げればいいさ。」
これでもしぶといネズミさ。
撒くことには自信がある。
こうして、3人は森へと進む。
この男と共に行動することは、果たして吉とでるか凶とでるか・・・。
葉月…ヴァンホーテn違うかw