Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

大きく、小さい向日葵

2010/07/28 14:35:52
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辺り一面に向日葵の花が咲き誇る太陽の畑。その黄色に染まった世界の中に一つだけ咲く白い大輪の花。
その下で私、風見幽香は向日葵の手入れをしていた。

「……ふう、こんな所かしらね」

一人呟き、手の中にある白い日傘をくるくると回す。と、目に一瞬だけ日光が入った。

「あら?」

見ると、布地の一部に穴が開いている。
この日傘は弾幕も防げるんだけど……ちょっと酷使しすぎたかしら?

「修理……しなきゃね……」

もう百何年と使い込んでいるしね。大した事無い時間でも無くてはならない物になってるわ。

「でも……」

この日傘は特注品。普通の傘屋じゃ直せない。なら行く所は一つしかない。ないんだけど……

「何か……ねぇ?」

虚空に問い掛けても、誰も答える筈もない。

「……いや!今回はちゃんと理由があるのよ!だから恥ずかしくなんてないわ!恥ずかしくなんて……」

……駄目。顔が赤くなる。墓穴を掘っちゃったわね。

「……よし」

こういうのは深く考えちゃ駄目。何も考えずに、ただただ無心に行けばいいのよ!

「頑張らなきゃ……」

何を、と思ったがまた墓穴を掘りそうなのでそこで止めておいた。





***





店の扉を潜ると、カウンターの向こうにアイツはいた。気だるそうに本を読んでいるわね……何時もの事ね。

「やぁ、いらっしゃい。幽香」

「え、えぇ」

幽香。
ただ名前を呼ばれただけなのに何故こんなにも心が躍るのだろう。

「今日はどうしたんだい?」

「コレ」

言って、日傘を出す。

「壊れちゃったのよ。修理してほしいの」

「あぁ、分かった。まぁどれぐらい壊れてるかにもよるから、よく見せてもらえるかい?」

「えぇ」

日傘を渡す。

「あっ」

その時、彼の手が私の手に触れた。

「……ん、どうかしたかい?」

「な、何でも無いわ!」

「そうかい?」

「そ、そうよ!早く直して頂戴!」

「あ、あぁ……」

ちょっと手が触れただけなのに、なんでこんなにもドキドキするのよ!あぁもう今絶対顔真っ赤だわ!

「……フム、これくらいなら直ぐに……って、幽香?」

「はぇっ!?ななな何?」

「……そっちに何か気になる物でもあったのかい?」

「い、いえ別に?」

いけないいけない、気が付いたら思いっきり後ろ向いてたわ。まだ顔赤いんだろうなぁ……

「そうか。まぁこれくらいなら一時間もあればすぐに直るよ」

「そう。じゃあお願いするわ」

「あぁ」

言って、彼は修理の為に奥に行ってしまった。

「……ハァ」

何故か溜息が出た。

「もう……馬鹿」

本当に馬鹿だ。

彼も……私も。





***





暫く待っていると、扉の鈴が鳴った。

「おーい香霖、邪魔する……ぜ?」

「あら、白黒じゃない」

「げーっ幽香!」

◆◆◆

「ジャーンジャーンジャーン!」

「……衣玖、いきなりどうしたの?」

「いえ、空気を読んだだけです」

「……そう」

◆◆◆

「何でお前が此処にいるんだぜ!?」

「何?私が此処にいちゃおかしいかしら?」

「お、おかしくはない……のか?」

「聞かないでよ」

「ま、まぁそんな事はどうでもいい!私の香霖に手を出すならいくらお前でも許さないからな!」

「あら、何時から彼は貴女のものになったのかしら?」

「私が生まれたときからだぜ」

「残念だったわね。私と出会った時にはもう既に彼は私の―――ッ!?」

「ど、どうした?」

「ななっ、なななななななな何でも無いわよ!?」

な、何て事言おうとしてたのよ私!『彼は私のもの』?むむむ無理無理無理!は、恥ずかしすぎるわ!

「!……ははーん」

「な、何よ?」

「そっかそっかー、香霖はお前のものだったかー」

「なぁっ!?」

ななな、何言ってるのよコイツ!?

「悪かったなー幽香ー、お前の香霖に勝手に手ー出してー」

「あ、あぅぅ……」

『お前の香霖』の部分を強調して言葉を投げかけてくる。挑発って分かっていても、顔が赤くなる。

「そっかそっかー、私が生まれる前からなー。なら<自主規制>を<自主規制>とか、<自主規制>を<自主規制>したり、<自主規制>が<自主規制>で<自主規制>とかもやってるんだもんなー?」

「うぁぁぁぁあ……!」

なんて事言うのよコイツ!?雄しべと雌しべが<自主規制>?そ、そんな事って……

「あと<自主規制>が<自主規制>で<自主規制>も<自主規制>だし、<自主規制>だって<自主規制>が<自主規制>だもんなー?」

「う、うぅう……」

は、恥ずかしい……そんな事なかったのに、言葉を聞く度に頭の中で映像が映し出されちゃう……

「<自主規制>が<自主規制>で<自主規制>も<自主規せ……」

ガンッ!!!

「……少女が使う言葉じゃないよ、魔理沙」

「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

……あ、霖之助。魔理沙は……転げ回ってるわね。殴られたのかしら?いい気味だわ。

「……さて、すまなかったね幽香。魔理沙が迷惑をかけたみたいで」

「ふぇ?え、えぇ……」

彼の顔を見ると、何故か顔が赤くなる。当然だ。今の今まで魔理沙の言葉でよからぬ考え事をしていたんだから。本人が目の前にいるとどうしても反応してしまう。

「……?」



















ガシッ












「ふぇっ!?」

かかかかかかか彼の手が顔に、顔にぃ!
む、無防備すぎよ幽香!このままじゃ、キ、キスされちゃ……ふぁああああ!?かっ、顔が近づいてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!??














ピトッ



















「……ふぇ?」

……え?おでこ?

「少し熱があるみたいだが?」

……あぁ、そういう事か。

「え?な、何言ってるのよ?私は妖怪よ!?」

……でも、この距離は……

「……それもそうか。あ、はいこれ」

「あ、あぁ。有難う……」

あぁ、もうちょっとあのままでも……いや、あれ以上は理性が持たないから良かった……のかしら?
まぁとにかく渡された傘を受け取る。

「あっ」

その時、また手が触れた。

「………………」

「ゆ、幽香?顔が真っ赤だが、大丈夫か?」

「な、ななななななな何でも無いわ!」

「いや、しかし……」

「何でも無いって言ってるでしょう!?」

「あ、あぁ……?」

「じゃ、じゃあね!」

「あ、おい!」

何か言ってたけどもう聞こえない。
太陽の畑に向かって全速力で飛ぶだけだ。





***





「うぅ~」

此処は太陽の畑。黄色に染まった中、たった今直されたばかりの一輪の白い花は閉ざされて、私の横に置いてある。
体の下には緑。横に目を向ければ黄色。目を閉じれば―――

『幽香』

「ふわあぁぁぁぁあああっ!?」

飛び起きた。な、何で頭の中にまで出てくるのよ!

「それもこれも……全部あの日傘の所為よ!」

言って、横に置いてある日傘を見る。
純白の布地は、彼が張り直してくれた事を物語っている。

「あ……」

日傘を見ていたら、一つ思い出した。

「代金……」

恥ずかしさの余り飛び出してきてしまったが、代金を払うのをすっかり忘れていた。

「……また行かなきゃ……」

また恥ずかしい思いをしなきゃならないのか……ハァ。

でも。

「でも……」


























また一つ、彼に会いに行く理由が増えた。

それが何だか、とても嬉しかった。
『大』妖怪だけど、乙女で『少』女なゆうかりん(『向日葵』)。
そんな幽香が大好きな唯です。

『そうだ、幽香霖書こう』

朝起きて最初の思考がこれだった。誰だ電波飛ばした奴。
深夜脳ならぬ寝起き脳で書いたから絶対gdgd。許してくれ。
最後に、ここまで読んで下さり、有難う御座いました!

http://yuixyui.blog130.fc2.com/
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
衣玖さんwwww
幽香可愛いよ!幽香!!!後、電波飛ばした人ナイス!!
2.名前が無い程度の能力削除
げぇ?幽香に吹いたわwww
3.名前が無い程度の能力削除
幽香霖ktkr
きっと俺からの電波ですww
こう暑い日が続くと幽香霖でも読まないと凌げない…
ありがとうございました♪
4.brownkan削除
あれ、幽香が・・・・可愛い・・・?

それにしても衣玖さん、空気が読める女である。
5.けやっきー削除
>げーっ幽香!
笑わせてもらいましたw
6.名前が無い程度の能力削除
げぇ?幽香て、孔明かよww
7.削除
>>奇声を発する程度の能力 様
幽香可愛いですよね!

>>2 様
吹きましたかそうですかw

>>3 様
貴方でしたか。こちらこそありがとう!

>>brownkan 様
(二重の意味で)何を今更w

>>けやっきー 様
笑ってくれましたかw

>>6 様
えぇ、孔明です。
8.名前が無い程度の能力削除
ちくちょう、今日もゆうかりんは可愛いよ!
9.削除
>>8 様
明日も明後日も、てゆうかもうずっとゆうかりんは可愛いよ!