Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

小悪魔です、咲夜さんの鼻は確かだった事が発覚しました。

2010/07/11 15:34:51
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一応、下に示す物からの続き物となっております。
作品集55「小悪魔、主人とその友人の関係を心配する事。」
作品集59「小悪魔です、本日よりアリスさんの紅魔館居住が始まります。」
この二つを読んでからでないと、話の前後関係が解らず、どうしてアリスが紅魔館にいるの?などとなる可能性があります。
お手数ですが、できれば前述の二つを読んでから、此方をお読みください。


お久しぶりです。小悪魔です。
アリスさんが紅魔館の居候となってから暫くが経ちました。
アリスさんが来てからというもの、アリスさんが使役しているお人形さん達が私やメイド達のお仕事を手伝ってくださるようになったのでお仕事が非常に効率的になりました。
例えば、今まで適当にお掃除を済ませていた楽天家の妖精が、お人形さんと一緒に働いた事でお掃除の楽しさに目覚め。
お仕事で割り当てられていた分だけでなく、プライベートな部分でも喜んで掃除をするほどになったと言うような話を聞きました。
妖精メイド達がお掃除した後を険しい顔をした咲夜さんが睨んで回ると言ったようなことも最近はめっきり無くなって。
今まで忙しそうに歩き回って(走るのはメイド長としてのプライドが許さないんだそうな)ばかりだった咲夜さんも、ゆっくりしている姿をよく見かけるようになりました。
疲労からくるストレスから解放された事で、人当たりも多少丸くなり。体格も多少丸くなり。
いえ、咲夜さんが働いていないと言う事ではないんですよ。
咲夜さんもやっぱり人間な訳で、何かをするにはエネルギーが必要な訳で、エネルギーを摂取するのは食事な訳で。
そんな訳で、咲夜さんは見た目にそぐわない大食いだったんです。胃袋がすっかり拡張されてしまっていたのです。
今まではそれでよかったのです。食べた分を全部お仕事で消費していたのですから。
ところがどっこい、アリスさんのお人形さんがお仕事を手伝ってくれるようになって、お仕事の量だけが人並に(と、いってもまだ常人の2倍3倍は働いています)減ってしまったもので。
宙ぶらりんになってしまったエネルギーが、咲夜さんの体にまとわりついてしまった、と言う訳です。
食事の量を抑えようと必死に努力する咲夜さんの姿は。
レミリア様の言葉を引用させてもらうとするのならば、「非常に可愛らしかった」です。こあー。

***

「それじゃあ、パチュリーにお願いね。」
「はい。月が出ている間・・・でしたっけ?」
「そうよ。あなた達にも迷惑をかけて済まないと思っているわ。」
「いえいえ、ほかならぬアリスさんの頼みですから。御健闘をお祈りします。」
「悪魔に祈られたんじゃ神様も困るでしょうね。」
「全くです。」

紅魔館にきてから、数か月。
アリスさんは、決まって満月の日になると、人払いを頼みにこられます。
月と言うのは魔術にとって重要な要素ですから、実験に使う事は対して珍しい事ではありません。
加えて例の白黒に聞いた所、アリスさんが満月の夜に自宅で何かをされているのは紅魔館に来る前からやっている事だそうで。
私達にとっては、それはそれだけの事、だったのです。が。
「納得いかないわ!」
それを「肯」としない人が、一人だけ。
「人形に組み込む魔術の回路についても相談したし!式の構成も批評してあげた!
 スペルカードについても討論したし、その時に何冊か本だって貸してあげた!」
拳で机を叩く乾いた音が図書館に響きます。
その衝撃で机の上に積んであった本の山が崩れました。
日頃、あれほど本を大切にされているパチュリー様とは思えない剣幕で続けてまくしたてます。
「それに料理についても、服のデザインの事についてだって!」
「・・・いや、その二つについてはパチュリー様は役には・・・」
「お黙りっ!」
おお、怖い怖い。
ぎりりと歯ぎしりしながら、小動物なら睨み殺せそうな呪いの籠った視線でパチュリー様は私を睨みつけます。
「パチュリー様、苛々するのは解りますけれど私に当たらないでくださいよ。パチュリー様らしくもない。」
私がそういうと、パチュリー様も自分の非を認めたのか、そっぽを向いて不機嫌そうに鼻を鳴らされました。
「ほらほら、そうやって不貞腐れていては可愛らしいお顔も台無しですってば。
 今回が駄目でも、次はきっと上手くいきますって。」
「先月も同じことを言ったのよ、小悪魔。
 そう思って私はアリスが実験に用いるであろう要素について深く関わってきたんじゃないの。考えうる限り全ての物についてね。
 それでも、アリスは私を閉め出した。」
それは、と言葉につまる私の方を見ようともせずに、組んだ両手の甲に額を乗せて考え始めるパチュリー様。
そうして、淹れた紅茶が冷めるのには十分すぎる程の時間が経った頃、パチュリー様はようやく額をお上げになられ。
「許可が得られないとするのなら、勝手に覗くしかないのかしらね。」
ぽつりと、そう呟かれました。


「や、やっぱりやめませんか?パチュリー様・・・。」
「別にあなたがやめるのなら勝手にやめれば良いわ。私は使い魔に対してそれを強制する力を持たないし。望んでもいない。
 あなたが帰ると言うのなら私一人でやるというだけの話よ。」
実験をするのならば当然探知の結界も張るだろうから気付かれてはいけないと、極限まで出力を抑えてしまっておいた水晶玉を引っ張り出して。
机の上に鎮座しているそれに、パチュリー様が徐々に魔力を流し込み始めます。
「こぁ・・・私がその場にいなくたって、どうせ一緒にやっていたと思われるだけじゃないですか・・・。」
「だったら四の五の言わずに黙ってなさい。」
私の弱音をばっさり斬り捨てて、パチュリー様はあくまでもアリスさんの実験を覗く腹積もり。
どうなられても知りませんからね、本当に。
注ぎこんだ魔力に感応して、透き通っていた水晶が曇りはじめ。
その曇りに、アリスさんの部屋が薄ぼんやりと映し出されていきます。
それはアリスさんの部屋を斜め上から見た視点で、アリスさんの部屋の大部分が視野に入っています。
それはアリスさんの実験の全貌を見る為であり、またアリスさんに気づかれ難いよう、離れた部分に視点を置くといった事も考慮した上の結果です。
元々そこにあった魔力を活性化させただけなので、新しく魔力のラインを作るのよりは気付かれ難く。
パチュリー様の慎重な操作もあって、アリスさんに気付かれる事なく、水晶玉はアリスさんの部屋をくっきりと映し出すことに成功しました。
そこに映し出されたアリスさんの部屋には、アリスさん自身の魔力で複雑な陣が描かれており。
その終端にあたるらしい部分で、アリスさんが最後の仕上げらしき事を行っていました。
パチュリー様は、ふむ、と興味深げに頷いて、身を乗り出して水晶玉に見入ります。
「パチュリー様、あの陣は・・・。」
「私とあの娘とじゃ習い覚えて来た術が違うから詳しい事は言えないけれど、月の力を使っているのは確かね。
 まあ満月の日にやる事を考えれば当り前の話かもしれないけれど。」
だけど、解せないわね、とパチュリー様。
「あの陣、どうやら時間に対して干渉するものみたい。
 それに、これは推測なのだけれど、おそらくアリスが居る所が効果の現れる場所じゃないかしら。」
あの娘、自分の時間なんて弄って、一体何をするつもりかしら、と。
パチュリー様は、怪訝な顔をして首をひねられるのでした。

私とパチュリー様の混乱をよそに、アリスさんは着々と準備を進めて行き。
やがて月が中天に差し掛かかる3歩程手前。
「・・・小悪魔、気がついた?」
なんですか?と覗きこむ私に、パチュリー様は水晶玉の一点を指さして。
「アリスが縮んでいるわ。いえ、退行と言った方がいいかしら。」
指し示す指の先、パチュリー様の言葉通り、アリスさんはみるみる縮んでいき。
そうして、外見年齢がレミリア様と同程度になった頃、ようやく退行が収まりました。
隣にいるパチュリー様が、声にならない声で「信じられない」と呟きます。
その目は驚きで丸く見開かれており、おそらくは、私もそれと同じような顔でその光景に見入っているのでしょう。

「あの陣の影響でしょうか。」
思わず漏れた私の疑問に、パチュリー様は首を振り。
「私もそう思ったのだけれど、どうやら違うみたいね。まだあの陣は起動していないわ。
 どちらかと言えば、元々掛かっていた魔法が解けたといった感じね、あれは。」
とすると、あの姿が彼女の本当の姿なのかしらね、とパチュリー様は呟きます。
と、いう事は。
アリスさんをこの館に迎え入れる時に咲夜さんが言った「アリスってば超乳臭い、ベッドに連れ込んで舐めまわしたい(うろ覚え)」という言葉は・・・。
・・・悪魔の狗なんて言われてても、人間だと思っていたのに・・・本当に犬並の嗅覚の持ち主だったなんて・・・。
「末恐ろしい人ですねえ・・・。」
「何の話?」
「いえ、ちょっと。こちらの話です。」
「?」

そのような会話がなされているとも知らず、アリスさんは自分の退行が止まった事を確かめると隣に置いてあった大きな布を体に巻き、なにやらその下でごそごそし始めました。
どうやら、縮んだ事で丈が余り邪魔になった服を脱いでいるようで、ぽいぽいと布の脇から今までアリスさんが来ていたであろう服や下着が放り出されます。
とはいえ、私もパチュリー様もその服に注意をはらっているような余裕は持ち合わせていませんでした。
これからの事を見逃すまいと、必死になってアリスさんを見ていたのですから。

やがて月が中天に差し掛かる頃になり、窓から差し込む月光がアリスさんの足元の陣の中心部分。
開いて置かれた、アリスさんがいつも小脇に携えているグリモアを照らし出すと、グリモアが輝き始めました。
それはアリスさんの髪の色のような、黄金色の光で。
部屋中が光に満たされた頃、アリスさんの体に再び異変が起こり始めました。
「・・・年を、取ってる?」
それは、まさしく成長でした。
或いは人間が成長するのを何倍速もの速度で観察すれば、おそらくその様な風景を見る事ができるのでしょう。
背が伸び、布の下でアリスさんの体が少女特有の丸みをおびて行くのが目で見てとれます。
顔も、あどけない幼女の表情から、理智に富んだ少女のそれへと変わって行き。
そうして、普段見慣れた「アリスさん」に戻った彼女は、グリモアを回収すると、足元に転がっている服の袖に手を通し始めました。

パチュリー様は「・・・成程、これは私達に内容を隠そうとする筈だわ。」と呟き、水晶玉の機能を停止させました。
これ以上覗いていては、気付かれる恐れがあるからでしょう。
「・・・小悪魔。」
用済みになったであろう水晶玉を収納しようと手に取った所で、パチュリー様に呼びとめられました。
「この事、他言無用よ。いいわね。」
私の目を真っ直ぐと見つめてそう仰られるパチュリー様に対して、私は黙って首を縦に振りました。
「了解致しました。パチュリー様。」

*****
「ようパチェ、さっき小悪魔の奴から聞いたんだけどさ、アリスって実は幼女だったんだって?」
「あ、パチュリー様、探したんですよ。
 アリスさんが実は幼女だったって本当の話ですか?こあちゃんから聞いたんですけど。」
「パチュリー様、実はとある事情でディスペルを習得する必要が出たのですが、どうか伝授しては頂けませんか?
 いえ、よう・・・アリスが私を待っているのです。」
「ねえパチュリー、さっきね、こあがね・・・。」

「小悪魔ァァァァ!」
アリスは何も知らない。

**
人形が仕事を手伝うと聞いた時の反応

美鈴「門番の仕事で傷がついたりしないよう気に掛けてあげよう。」
咲夜「手伝ってくれるのは有難いんだけど、妖精達に怠け癖がつかないかしら。」
パチュリー「小悪魔より有能なようならあの子に暇を出そう。」
小悪魔「パチュリー様が邪悪な事を考えている。そんな気がする。」
フラン「ふとした拍子に壊したりしないように気をつけよう。」
レミリア「よし!人形の服を脱がせてやるぜッ!あそこが本物と同じかどうか見てやるッ!」

**

今回の話とは全く関係の無い話なのですが。
魔理沙が再建中のアリス家でまたもや火災が発生したそうです。
出火の原因となったのは、魔理沙が壁を塗るために使っていた塗料。
「たまたま」魔理沙が缶の蓋を閉め忘れたらしく。
「おりしも」連日、晴天続きの熱気で揮発した塗料が。
「偶然」嵌めこみ窓に使う予定だった、球形のガラスが収束させた太陽光で熱された事で。
「運悪く」火事となってしまったそうです。

追記:
>>1様
有難うございます。励みになります。

>>2様
「後輩の手前、わざととはいえ失敗なんかできるわけないじゃないの」との事です。

>>3様
紅魔館の住人的にはアリスの滞在が伸びた方が嬉しいのです。

>>4様
失念しておりました。
ご指摘ありがとうございます。
急いで追加させて頂きました。

>>5様
悪魔の犬という二つ名は伊達では無かったのです。文字通り。
蛍石
[email protected]
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
レミリアwwwwww
面白かったです
2.名前が無い程度の能力削除
こぁ口軽すぎw
パッチェさんお願いです、咲夜さんに「間違えて」ロリスと同じくらいまで退行する魔法を伝授してください。
3.名前が無い程度の能力削除
とうとうロリス来たー!!待ってました!うひょー!
ちょ、アリスの家がぁぁw
4.名前が無い程度の能力削除
差し出がましいようですが、シリーズのリンクもしくは作品集番号&タイトルを明記したほうがこれから読む人に優しいのではないかと。
5.名前が無い程度の能力削除
お久しぶりですこあー。咲夜さんの嗅覚半端ないな。ディスペルとかw
出来ればおぜうの長文語りまたみたかったです こあー
6.名前が無い程度の能力削除
待ってました!
アリスまだ帰れないんだw
7.無休削除
よし、新作きた!ロリスきた!お嬢とメイド長が相変わらず幼上で瀟洒だ。

取りあえず口の軽い小悪魔可愛い。こあ~
8.名前が無い程度の能力削除
面白え~っ