「大変よ。図書館の本が検閲されることになったわ」
緊張感を孕んだ声が静まり返った図書館で響いた。
その声の主はパチュリー・ノーレッジ。この図書館の主でもある。(そして紅魔館の居候でもある)
「だ、誰に検閲されるっていうのよ?」
戸惑いを隠せない様子で聞き返したのは皆もご存じ、人形師のアリス・マー・ガトロイドだ。
余談だが、彼女の名前をこのように区切ると大変怒られるので要注意だ。
「ガトロイドの言うとおりだぜ。もうちょい私達に詳しく説明してもらおうか」
「ちょっと魔理沙・・・笑ったり泣いたりできなくするわよ?」
言っているそばからアリスを『ガトロイド』呼ばわりしたのは、あの霧雨魔理沙だ。
案の定アリスに怒られても「ごめんだぜ!」と悪びれる様子もなく返した彼女はまさに傍若無人と言えよう。
「いいわ。貴方達をこの図書館に呼んだのは、協力を頼む為だからね」
「いくら出す?」
「図書館が使えなくなって困るのは貴方でしょう?」
「協力させてもらおうか・・・ついでにアリスも」
「まあ、私も偶に使わせてもらってるし・・・」
―――パチュリーの話によるとこうだ。
先日、紅魔館の誇るメイド長こと十六夜咲夜が図書館に入って何やら調べ物をしていたのだが、
彼女はとあるジャンルのコーナーで突然黄色い声を上げてパチュリーに抗議してきたという。
「セクシー本コーナーか?」
「(格闘系の)漫画コーナーかもしれないわね」
「そんなコーナーないわよ!回想の中に入ってこないでよ!」
説明中に勝手に割り込んできやがった魔理沙とガトロ・・・アリスに文句を言うパチュリー。
これも余談だが、格闘系漫画コーナーは小悪魔の自室にある・・・らしい。(byアリス)
話を戻そう。そのジャンルのコーナーとは、生物学的な書物が置かれている所で、まあ、必然的に素っ裸な絵もあり、
変な所でピュアな咲夜は、その本の挿絵等を見て赤面しながら『お嬢様と妹様の目に毒です!』などと言ってきたという。
そこでパチュリーが半笑いで『貴方はギリシア彫刻を見ても同じことを言うのかしら?』と返した所、
咲夜に『この紅魔館はピュアな人(妖怪)が多いんです!貴方とは違うんです!』と涙目で反論されたという。
そして、先程妖精メイドにメイド長による検閲決行の旨を伝えられ、慌てふためいて、暇そうなアリスと魔理沙を呼んだのだという。
「事の成り行きは以上よ」
「最後の『暇そうな』は余計だったな」
「私もあんまり暇じゃないんだけど・・・」
『暇そうな』発言に文句を言う二人。
客観的に見ても、今回の事の発端はパチュリーの『貴方はギリシア(ry』発言の所為だろう。
失言が多い魔女である。(過ちはいつだって消せない過去なのです)
「ま、そういうことでね、私一人と小悪魔だけじゃ咲夜相手だとアレだからね、貴方達に一仕事して貰おうという訳なの」
「そんなこと言ってもどうするんだ?奴は時間を止められるんだぜ?スペカルールでメイド服をあられもないことにするのか?」
「とりあえずそのコーナーに行ってみましょう」
「そうね、アリスの言う通り。案内するわ」
パチュリーに案内されて、件のコーナーに辿り着いた魔女御一行。
小悪魔が本棚の隅で、もたれ掛かるようにして体育座りをしているのは見なかったことにした。
「あの子ったら今鬱の気があるのよ」
「・・・見なかったことにしたんだからお前は何も言ってくれるなよ!」
「・・・優しいのね。人間って哀しいわ。だって皆(変な所で)優しいんだもの」
アリスはこの時、既に呆れ顔だったが、そんなことはお構いなしに本棚に向き合う3人組。
本棚の上の方には『いきものコーナー』と書かれていた。
「・・・ププッ、ハハハハハハハ!『いきものコーナー』だってぇ!?」
突然大爆笑する魔理沙。笑い方が某地上最強の生物みたいで何か嫌だ。
「仕方ないじゃない!レミィと妹様にもわかりやすいようにしてるのよ!」
「いや、でもな、やっぱりお前ら過保護だわ。咲夜にしろ、お前にしろ・・・」
「いや、やっぱり子供には優しくしないと、ね?」
「・・・あのな、レミリアもフランもこの館では最年長だろ?」
「ハッ・・・」
「ハッ・・・じゃねーよ!何その今頃気づきましたみたいな表情は!」
今回ばかりは魔理沙が正論である。
その後、アリスがいつの間にか帰っていたことを知り、慌てて追跡する魔理沙。
パチュリーが後ろの方で『待って~』と言っているが振り返らない。振り返らないのがイイ女の証なのだ。
「おいアリス待ってくれよ!私達に愛想を尽かしたのはわからんでもないが、乗りかけた船だろう?」
「別に愛想を尽かした訳じゃないし、面倒になったわけでもないわ・・・それにあのコーナーがなくなると私も困るし・・・」
「えぇ!?あの如何わしいコーナーに興味あるのか!?私なんか立ち入ったこともなかったぜ!?」
普段クールなアリスが本を読みながら興奮している姿を想像して赤面する魔理沙は可愛かった。
「だから如何わしい本が置いてある所じゃないって言ってたでしょ!人形作りに生物の構造とか諸々の知識がいるのよ!」
「なるほど・・・じゃあお前は何か秘策が有って家に帰るのか」
「そうよ。この前チルノ相手に実験した最終兵器が」
「怖ッ!チルノ相手に実験とか人のすることじゃないぜ!大人げない!この鬼!オーガ!」
「私はとっくの間に人間辞めてるわよ」
「・・・・・・!!」
魔理沙はアリスから負のオーラを感じてそれ以上喋るのを止めた。
というより、思考を停止させないと涙が止まらなくなるのだろう。女の子だもん。
その後、アリス邸から人形をとってきた二人。
この人形に魔力を充填して巨大化させたものをゴリアテ人形と呼ぶのだ。
「思ったんだけどさ、人形ならなんでもゴリアテ化できるんだろ?」
「そういえばそうね」
「わざわざ家に帰る必要があったのか?」
「いや、だって私人形とかあまり持ち歩かないし・・・」
「衝撃の事実だろそれ!じゃあ人形をわざわざ取りに帰るために・・・?」
「うん。いや、別に魔理沙は私に付いてこなくても良かったのに」
魔理沙は怒りに震えた。
しかしアリスの絶妙な腰のラインを後ろから眺めているとそんな怒りも吹っ飛んでしまうのだった。
「くそ、いい腰しやがって!」
そう言ってアリスの腰のあたりを両手で鷲掴みにする魔理沙。
アリスは鷲掴みにされても反応がない。
感度が悪い(別に卑猥な意味ではない)のかと思って再び鷲掴みにする。
そこでアリスはおもむろに口を開いた。
「魔理沙、仏の顔も三度まで、よ」
魔理沙は恐怖に震えた。
セクハラもほどほどに、だ。
そんなこんなで紅魔館の図書館に戻ってきた二人。
パチュリーは『遅いのよ』とでも言いたげなジト目で二人を待っていた。
「そろそろ咲夜が来るわ。二人とも準備は良いかしら?」
「ええ、私に任せておきなさい」
「如何わしい本の為なら普段出さない本気も出す女なんだ、このアリスって奴は」
「魔理沙」
「すみませんでした」
アリスはその場で持ってきた人形に魔力を充填してでっかくした。
これが弾幕ごっこなら『試験中ゥゥ!ゴリアテ人形ォォォ!!』などと毅然とした表情でスペカ宣言をしないといけないのだが、
別に弾幕ごっこでもないのでやらない。ちなみに『試験中ゥゥ!!』と宣言する時はかなり恥ずかしいらしい(byアリス)
そして咲夜がやってきた。
「よーし、パチュリー様。観念して自室のベッドの上で咽び泣いているといいですよ。小悪魔もそのまま体育座りしているといいわ」
入ってくるなり暴言を吐いて、「いきものコーナー」まで飛んでいくメイド長。
が、そこで見たものは彼女を戦慄させた。
「これは・・・」
図書館の本棚は恐ろしく背が高い。
その本棚よりも更に巨大で、雄大で、プロレスラーで例えるとアンドレ・ザ・ジャイアント氏を彷彿とさせる存在感。
「それが私、ゴリアテ人形だ」
「な・・・な・・・」
なかなか渋い台詞を呟くゴリアテ人形。
ゴリアテ人形が「いきものコーナー」をその巨体で塞いでいる為、時間を止めようがどうしようもない。
退けることもできないし、爆発でふっとばすこともできない。
「お手上げよ・・・これは一体誰の仕業?」
「アリスよ」
「パチュリー様!?まさか救援を!?」
「貴方の負けね、咲夜。ちなみにその巨大人形に触れると目からマスパが出る仕様になっているわ」
咲夜は心の底から(興味本位で触らなくて良かった)と思った。
咲夜は、変なものを見つけるとすぐに触ってしまう可愛い癖があるのだ。
その頃、ゴリアテ人形の内部には魔理沙とアリスがいた。
「暑い・・・暑くて死ぬぜ・・・」
「仕方ないじゃない、着ぐるみ状態だもの」
大変分かりやすいことに、ゴリアテ人形の台詞担当がアリスで、目からマスパ担当が魔理沙となっている。
さっきの渋い台詞はアリスのノリの良さによって実現した奇跡(?)である。
「それにしても・・・こうしていると春雪異変でお前と会った時のことを思い出すぜ」
「この状況で!?」
「私が寒いのを我慢して『な、なんだか居心地がいいぜう~寒』と言った時にいきなり現れて『えっ・・・こんな殺伐とした夜がいいんスか?』と返してきたお前のドヤ顔が未だに私の脳裏に刻みついて離れないんだ・・・」
「なんか色々と違う気がする」
アリスは決して語尾に『~ス』なんて部活の後輩みたいな言葉づかいはしないのだ。乙女だからね。
「そして私が勝利した時の、お前のアヘ顔が妙に扇情的で、降りしきる雪も相まって・・なんというか、セクシーだったというのも私の心の隙間にしみ込んで忘れさせてくれそうにもないんだ・・・」
「アヘ顔って・・・」
「あのアヘ顔を見なかったら、私はアリスとここまでの関係にはならなかっただろうな」
魔理沙は口に出してから(恥ずかしいこと言っちゃったぜ☆)とでも言いたげに、赤面して俯いてしまった。
そんな魔理沙の様子を見て、
「ここまでの関係って・・・どこまでよ?」
そう言い放ったアリスの表情はドヤ顔だった。
緊張感を孕んだ声が静まり返った図書館で響いた。
その声の主はパチュリー・ノーレッジ。この図書館の主でもある。(そして紅魔館の居候でもある)
「だ、誰に検閲されるっていうのよ?」
戸惑いを隠せない様子で聞き返したのは皆もご存じ、人形師のアリス・マー・ガトロイドだ。
余談だが、彼女の名前をこのように区切ると大変怒られるので要注意だ。
「ガトロイドの言うとおりだぜ。もうちょい私達に詳しく説明してもらおうか」
「ちょっと魔理沙・・・笑ったり泣いたりできなくするわよ?」
言っているそばからアリスを『ガトロイド』呼ばわりしたのは、あの霧雨魔理沙だ。
案の定アリスに怒られても「ごめんだぜ!」と悪びれる様子もなく返した彼女はまさに傍若無人と言えよう。
「いいわ。貴方達をこの図書館に呼んだのは、協力を頼む為だからね」
「いくら出す?」
「図書館が使えなくなって困るのは貴方でしょう?」
「協力させてもらおうか・・・ついでにアリスも」
「まあ、私も偶に使わせてもらってるし・・・」
―――パチュリーの話によるとこうだ。
先日、紅魔館の誇るメイド長こと十六夜咲夜が図書館に入って何やら調べ物をしていたのだが、
彼女はとあるジャンルのコーナーで突然黄色い声を上げてパチュリーに抗議してきたという。
「セクシー本コーナーか?」
「(格闘系の)漫画コーナーかもしれないわね」
「そんなコーナーないわよ!回想の中に入ってこないでよ!」
説明中に勝手に割り込んできやがった魔理沙とガトロ・・・アリスに文句を言うパチュリー。
これも余談だが、格闘系漫画コーナーは小悪魔の自室にある・・・らしい。(byアリス)
話を戻そう。そのジャンルのコーナーとは、生物学的な書物が置かれている所で、まあ、必然的に素っ裸な絵もあり、
変な所でピュアな咲夜は、その本の挿絵等を見て赤面しながら『お嬢様と妹様の目に毒です!』などと言ってきたという。
そこでパチュリーが半笑いで『貴方はギリシア彫刻を見ても同じことを言うのかしら?』と返した所、
咲夜に『この紅魔館はピュアな人(妖怪)が多いんです!貴方とは違うんです!』と涙目で反論されたという。
そして、先程妖精メイドにメイド長による検閲決行の旨を伝えられ、慌てふためいて、暇そうなアリスと魔理沙を呼んだのだという。
「事の成り行きは以上よ」
「最後の『暇そうな』は余計だったな」
「私もあんまり暇じゃないんだけど・・・」
『暇そうな』発言に文句を言う二人。
客観的に見ても、今回の事の発端はパチュリーの『貴方はギリシア(ry』発言の所為だろう。
失言が多い魔女である。(過ちはいつだって消せない過去なのです)
「ま、そういうことでね、私一人と小悪魔だけじゃ咲夜相手だとアレだからね、貴方達に一仕事して貰おうという訳なの」
「そんなこと言ってもどうするんだ?奴は時間を止められるんだぜ?スペカルールでメイド服をあられもないことにするのか?」
「とりあえずそのコーナーに行ってみましょう」
「そうね、アリスの言う通り。案内するわ」
パチュリーに案内されて、件のコーナーに辿り着いた魔女御一行。
小悪魔が本棚の隅で、もたれ掛かるようにして体育座りをしているのは見なかったことにした。
「あの子ったら今鬱の気があるのよ」
「・・・見なかったことにしたんだからお前は何も言ってくれるなよ!」
「・・・優しいのね。人間って哀しいわ。だって皆(変な所で)優しいんだもの」
アリスはこの時、既に呆れ顔だったが、そんなことはお構いなしに本棚に向き合う3人組。
本棚の上の方には『いきものコーナー』と書かれていた。
「・・・ププッ、ハハハハハハハ!『いきものコーナー』だってぇ!?」
突然大爆笑する魔理沙。笑い方が某地上最強の生物みたいで何か嫌だ。
「仕方ないじゃない!レミィと妹様にもわかりやすいようにしてるのよ!」
「いや、でもな、やっぱりお前ら過保護だわ。咲夜にしろ、お前にしろ・・・」
「いや、やっぱり子供には優しくしないと、ね?」
「・・・あのな、レミリアもフランもこの館では最年長だろ?」
「ハッ・・・」
「ハッ・・・じゃねーよ!何その今頃気づきましたみたいな表情は!」
今回ばかりは魔理沙が正論である。
その後、アリスがいつの間にか帰っていたことを知り、慌てて追跡する魔理沙。
パチュリーが後ろの方で『待って~』と言っているが振り返らない。振り返らないのがイイ女の証なのだ。
「おいアリス待ってくれよ!私達に愛想を尽かしたのはわからんでもないが、乗りかけた船だろう?」
「別に愛想を尽かした訳じゃないし、面倒になったわけでもないわ・・・それにあのコーナーがなくなると私も困るし・・・」
「えぇ!?あの如何わしいコーナーに興味あるのか!?私なんか立ち入ったこともなかったぜ!?」
普段クールなアリスが本を読みながら興奮している姿を想像して赤面する魔理沙は可愛かった。
「だから如何わしい本が置いてある所じゃないって言ってたでしょ!人形作りに生物の構造とか諸々の知識がいるのよ!」
「なるほど・・・じゃあお前は何か秘策が有って家に帰るのか」
「そうよ。この前チルノ相手に実験した最終兵器が」
「怖ッ!チルノ相手に実験とか人のすることじゃないぜ!大人げない!この鬼!オーガ!」
「私はとっくの間に人間辞めてるわよ」
「・・・・・・!!」
魔理沙はアリスから負のオーラを感じてそれ以上喋るのを止めた。
というより、思考を停止させないと涙が止まらなくなるのだろう。女の子だもん。
その後、アリス邸から人形をとってきた二人。
この人形に魔力を充填して巨大化させたものをゴリアテ人形と呼ぶのだ。
「思ったんだけどさ、人形ならなんでもゴリアテ化できるんだろ?」
「そういえばそうね」
「わざわざ家に帰る必要があったのか?」
「いや、だって私人形とかあまり持ち歩かないし・・・」
「衝撃の事実だろそれ!じゃあ人形をわざわざ取りに帰るために・・・?」
「うん。いや、別に魔理沙は私に付いてこなくても良かったのに」
魔理沙は怒りに震えた。
しかしアリスの絶妙な腰のラインを後ろから眺めているとそんな怒りも吹っ飛んでしまうのだった。
「くそ、いい腰しやがって!」
そう言ってアリスの腰のあたりを両手で鷲掴みにする魔理沙。
アリスは鷲掴みにされても反応がない。
感度が悪い(別に卑猥な意味ではない)のかと思って再び鷲掴みにする。
そこでアリスはおもむろに口を開いた。
「魔理沙、仏の顔も三度まで、よ」
魔理沙は恐怖に震えた。
セクハラもほどほどに、だ。
そんなこんなで紅魔館の図書館に戻ってきた二人。
パチュリーは『遅いのよ』とでも言いたげなジト目で二人を待っていた。
「そろそろ咲夜が来るわ。二人とも準備は良いかしら?」
「ええ、私に任せておきなさい」
「如何わしい本の為なら普段出さない本気も出す女なんだ、このアリスって奴は」
「魔理沙」
「すみませんでした」
アリスはその場で持ってきた人形に魔力を充填してでっかくした。
これが弾幕ごっこなら『試験中ゥゥ!ゴリアテ人形ォォォ!!』などと毅然とした表情でスペカ宣言をしないといけないのだが、
別に弾幕ごっこでもないのでやらない。ちなみに『試験中ゥゥ!!』と宣言する時はかなり恥ずかしいらしい(byアリス)
そして咲夜がやってきた。
「よーし、パチュリー様。観念して自室のベッドの上で咽び泣いているといいですよ。小悪魔もそのまま体育座りしているといいわ」
入ってくるなり暴言を吐いて、「いきものコーナー」まで飛んでいくメイド長。
が、そこで見たものは彼女を戦慄させた。
「これは・・・」
図書館の本棚は恐ろしく背が高い。
その本棚よりも更に巨大で、雄大で、プロレスラーで例えるとアンドレ・ザ・ジャイアント氏を彷彿とさせる存在感。
「それが私、ゴリアテ人形だ」
「な・・・な・・・」
なかなか渋い台詞を呟くゴリアテ人形。
ゴリアテ人形が「いきものコーナー」をその巨体で塞いでいる為、時間を止めようがどうしようもない。
退けることもできないし、爆発でふっとばすこともできない。
「お手上げよ・・・これは一体誰の仕業?」
「アリスよ」
「パチュリー様!?まさか救援を!?」
「貴方の負けね、咲夜。ちなみにその巨大人形に触れると目からマスパが出る仕様になっているわ」
咲夜は心の底から(興味本位で触らなくて良かった)と思った。
咲夜は、変なものを見つけるとすぐに触ってしまう可愛い癖があるのだ。
その頃、ゴリアテ人形の内部には魔理沙とアリスがいた。
「暑い・・・暑くて死ぬぜ・・・」
「仕方ないじゃない、着ぐるみ状態だもの」
大変分かりやすいことに、ゴリアテ人形の台詞担当がアリスで、目からマスパ担当が魔理沙となっている。
さっきの渋い台詞はアリスのノリの良さによって実現した奇跡(?)である。
「それにしても・・・こうしていると春雪異変でお前と会った時のことを思い出すぜ」
「この状況で!?」
「私が寒いのを我慢して『な、なんだか居心地がいいぜう~寒』と言った時にいきなり現れて『えっ・・・こんな殺伐とした夜がいいんスか?』と返してきたお前のドヤ顔が未だに私の脳裏に刻みついて離れないんだ・・・」
「なんか色々と違う気がする」
アリスは決して語尾に『~ス』なんて部活の後輩みたいな言葉づかいはしないのだ。乙女だからね。
「そして私が勝利した時の、お前のアヘ顔が妙に扇情的で、降りしきる雪も相まって・・なんというか、セクシーだったというのも私の心の隙間にしみ込んで忘れさせてくれそうにもないんだ・・・」
「アヘ顔って・・・」
「あのアヘ顔を見なかったら、私はアリスとここまでの関係にはならなかっただろうな」
魔理沙は口に出してから(恥ずかしいこと言っちゃったぜ☆)とでも言いたげに、赤面して俯いてしまった。
そんな魔理沙の様子を見て、
「ここまでの関係って・・・どこまでよ?」
そう言い放ったアリスの表情はドヤ顔だった。
そして魔理沙は泣いていい
このアリスに惚れそうだww
魔理沙とはアリスの腰のラインについて一晩語り合えそうだ。