【注】手乗りこいしがぶがぶ。キャラ崩壊しています(主にさとり様が)
目が覚めると妹が――妹が小さくなっていました。
「……ふぅ。すっきりしました」」
急な便意に催され目を覚ました古明地さとりはお手洗いから帰る途中であった。
その時である。
「……ちゃーん!……いてー!」
遠くから小さな声がする。
いや、遠くのように感じるけれど割と近いところから聞こえる……。
そして、その声はとても聞き覚えのある声だ。
「お姉ちゃーん!私だよー!気づいてよー!」
「こいし!?どこ!?」
「下!下だよ!下を見て!」
「下?下と言われても……」
下を見てみると――ちょうど私の手に乗るような小さい、しかし見覚えのある何かがいた。
その小さい可愛らしい何かが私に手を振っている。
「あ、お姉ちゃん。やっと気づいてくれたね」
「やっぱりこいしなの!?どうしてそんなに小さくなっているの!?」
その小さくなってしまったこいしをひとまずすくい手に乗せる。
……誤ってスリッパで潰してしまわないように。
「わかんなーい。気づいたらこんな風になっていたの」
「……地上で悪いものでも食べてきたのかしら」
「失礼な。地上には素敵なものがたくさんあるのよ?地底の料理なんかより全然美味しいわ!」
「それって私の料理より美味しいってことでしょ……。へこむわ」
「だって本当のことなんだもーん」
「そこは嘘でもいいから『だけどね、お姉ちゃんの料理も同じくらいおいしいよ!(お姉ちゃんの料理)だいーすき(照)』とか言うべきでしょう!……ではなくて!」
いけないいけない。話をすり替えられた。
「えーっ、一人コントもう終わりなのー?」
「終わりです!……ごほん。小さくなった理由はともかく。なら、どうしてこんなところに?」
こいしがする必要のない手を使っての説明をし始める。なんなんだこの可愛い生き物は。
「わたし、ベットの上で寝ていたはずなんだけどなー。気づいたらここにいたのよ。起きてみたらいつもと見える世界が違うんですもの。吃驚よ」
そこで私は一つ疑問に思ったことを口にする。
「小さくなったのに服は着ているんですね」
「お姉ちゃんのえっち。服も一緒に小さくなっていたのよ」
その仕草に私の理性が崩壊しかける。
ああなんて可愛らしいの!可愛すぎるでしょう!?ああ今すぐ抱きしめたいわ!こいしちゅっちゅ!
「お姉ちゃん、どうかした?……お姉ちゃんがたまたま通りかかってくれて本当によかったわ……朝になったらおくうあたりに踏まれていたかもしれなかった」
「私が踏んでいたかもしれないわよ?」
こいしが震える。無意識状態のこいしでも恐怖することがあるのか。
それにしても……ああ!なんて可愛いの!怯えるこいしきゅん可愛いこいしぃいいいいいいいいいい!
「(なんだろ……急に寒気が)」
こいしは先ほどとは別の意味で震えた。
「それにしても眠たいわ……お姉ちゃん、お願いがあるの。私を私の部屋まで連れてって。じゃあ……おやす……みー……すぅすぅ」
「あ、こいし!?ちょっと!いきなり眠らないで!」
しかし、こいしはもう既に眠りへと身を任せたようだった。
すぅすぅ、と可愛らしい寝息を立てながら眠っている。はぁあん、可愛い。
「どうしようかしら……」
何を迷っているのかというと「こいしを『こいしの』部屋に連れていくか、それとも『私』の部屋に連れていくか」ということだった。
ああ、駄目よさとり妹をそんな目で見ちゃでもこいしがこんなに可愛すぎるからいけないのよ……そうよ可愛すぎるからいけないのよ!
さとりが悶々と考えていた時間、およそ10秒。
こうして古明地さとりは自分の欲に素直になった。正に「イドの解放」である。
――さとりの部屋。
さとりは小さくなってしまったこいしを胸の上でそっと抱きしめる。潰れてしまわないように。
「(こいし……)」
依然こいしは眠っている。
「(いつもこうやって抱きしめることが出来たらいいのに)」
さとりは寂しく思う。
「(こいし……!)」
こいしがどうして小さくなってしまったのかは分からないけれど。
今はこんなにも近くにいる。こんなにも小さくなってしまったけれどこんなにも近くにいてくれる。
それが幸せだった。
こいしも幸せそうにすやすたと寝息を立てている。
「(ッ!、可愛すぎますよ、こいし!)」
こいしを見て思わず悶えてしまう。
可愛い。
ああこいしどうして貴女はそんなに可愛いのこいしこいしぃいいいいいいいいいいいい!
もう一度ぎゅーっと抱きしめる。
そして、こいしをベッドの上にそっと置いて覗き込むようにこいしを見つめながらベッドに顔を乗せる。
こいしはすーすー眠っている。
私は思わず微笑む。
かーわーいーいー!キャー!
幸せな気分に浸りながら私はいつのまにか眠ってしまっていたのであった……。
目覚める。
「!」
目覚めるとお姉ちゃんの顔が目の前にあった。
「(あれ……?お姉ちゃん?どうしてお姉ちゃんが私の部屋に?)」
周囲を見回してみる。どこをどう見ても私の部屋ではなかった。
「ここはお姉ちゃんの部屋……」
状況を整理してみる。
確か……私は何故か小さくなっていて。そこに偶然通りかかったお姉ちゃんに助けてもらって。
お姉ちゃんに『私の』部屋に連れて行ってもらうよう頼んで眠ったはずなんだけど。
どういうわけか、ここはお姉ちゃんの部屋で。
おっかしいなー。お姉ちゃんも寝呆けていたのかしら。
そう思いながら、お姉ちゃんの顔を見てみる。
どうしてベッドで寝ていないんだろう。
お姉ちゃんはベッドに寄りかかるようにして眠っていた。
「(お姉ちゃん、もしかして泣いてた?)」
お姉ちゃんの睫毛に涙が付いていた。
綺麗……。
お姉ちゃんの涙を手でぬぐおうとする。
だけれど、今の私は小さすぎてその手が届かない。
「(どうしてお姉ちゃんが泣いていたのかは分からないけれど……)」
お姉ちゃんのおでこに全身を使って抱きつく。
「ん……」
さとりがそれに反応する。
あはっかわいい!
ふと、お姉ちゃんの手の方を見る。
「(お姉ちゃんの指綺麗……)」
こうして妹も「イドの解放」してしまったのである。
そして――
「ん……んー!?」
目覚めると妹に指をかじられていました。
「こいし!やっ、こそばゆいわ!」
それでもこいしははむはむと指をかじるのをやめてくれない。
だけれど、気持ち良くて……このままでいいかも、と思ってしまった。
「ああ、こいし駄目!だめぇエエエエエ!!!」
という夢を見ました(さとり)。
よし、そのままお姉ちゃんと指がぶがぶしあうんだ!
こいしちゃん抱きしめて眠ったら無意識に指じゃない何かの突起をがぶがぶとかじられて(以下検閲削除