Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

禁書に触れてはいけません!

2010/04/09 04:20:28
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「こっちが禁書の棚。普段は魔法を施して、並大抵の実力じゃあ破れないようにしてあるわ」
「ありがと、パチュリー」
「しかし妹様も物好きね。禁書を読んでみたいなんて……一応、小悪魔を付けておくけど、もし何かあったら叫んで頂戴。私が駆け付けるから」
「ん、分かった。それじゃあ、よろしくね小悪魔」
「はい、お供しますね。私が居れば大丈夫です!」

 小悪魔が自信満々に言うのを見て、パチュリーは禁書エリアから去った。まだ書かなきゃいけないことや読みたい本があるらしい。
 今回のことの始まりは、フランドールの好奇心からだった。
 今まで何度も図書館に来たことはあるが、いつも禁書エリアは禁止されていた。理由は言わずもがな、危険だからだ。本から繰り出される純粋物理攻撃程度なら、それこそ紅魔館に面子が負けるわけない。
 だが、禁書にはたくさんの種類がある。
 その中には、極めて稀ではあるが、本の中に開いたものの魂を封印するものや、開くとブラックホールのような空間が広がっていて、吸い込まれそうになるものまであったりする。
 そうなると、厄介なことこの上ない。
 そんな説明を受けたというのに、フランドールが興味を示したのは、その後に付け加えられて説明のせいだった。

「どんなことが書いてあるんだろう~」
「私やパチュリー様でも、内容を把握していない禁書もありますからね。逆に、一度攻略して把握しているものもありますけど」

 その説明とは、禁書はリスクが高い分、そのリスクを乗り越えたときに読める内容は、非常にレアなものが多い。ということだった。
 一体どんなことが書いてあるのか、読んでみたい。そんな欲求がフランドールを襲った。
 もちろん、パチュリーは反対したが、結局は弾幕ごっこで決着をつけて、負けてしまったパチュリーは言うことを聞かざるを得なかった。

「小悪魔、これ開けても良い?」
「それは……確か、開けたら爆発するタイプですよ。対策は、あらかじめ結界を張ること。魔法爆発ではなく純粋爆発なので、それだけで防げます」
「内容は?」
「えーと、なんか究極魔法とかいうのが載ってました。メドローなんとかっていう、相手を消滅させる呪文です」
「ふーん、興味ないやー」

 持っていた禁書を本棚へと戻す。
 ありとあらゆるものを破壊する程度の能力を持つフランドールにとっては、そんな完全消滅呪文なんてものには全く惹かれなかった。
 何か面白そうなものはないだろうか、と本棚を探すフランドール。
 その横で、何故か禁書の棚にあった『走れメロス』を読んでいる小悪魔。

「これは……なんだろう? 鍵が付いてるけど」
「ん? 私も初めて見ました。しかも、魔力を感じませんね」
「表紙のこの文字、スカーレットって書いてある」
「もしかして、日記ですかね?」

 その紅い本は、鍵付きの日記だった。なるほど、魔力も何も感じないわけだ、と小悪魔は納得した。装飾はボロッとしてしまっているが、それでも紅い色は全く薄れていない。
 表紙のスカーレットの文字。
 それは、フランドールの興味を引くのには充分なものであった。

「ん、開かない」
「鍵が必要っぽいですね」
「えい」
「わーお、流石。鍵の部分だけ破壊しましたね」

 なんの躊躇も無しに、鍵を破壊して日記を開くフランドール。
 そして、最初の一ページ目には、こう書かれていた。

 『今日から簡単にだが、日記をつけようと思う。私の大切な妹、フランドールの成長日記なんて、良いかもしれない。』

「これ、お姉様だ……!」
「え、レミリア様の日記ですか?」
「うん、私のことについて書いてあるみたい」

 思わず夢中になって、読んでしまう。
 なんで禁書の棚にレミリアの日記があるのか。それはもしかしたら、誰かに見られるのが恥ずかしかったのかもしれない。ここならば、パチュリー以外は誰も寄らないと思ったのだろう。
 

 『日記を始めて一週間が経った。やはりフランを閉じ込めているのは、心苦しい。しかし今ここで解放してしまえば、破滅の運命を辿ることが目に見えている。せめて、もし紅魔館が襲撃されたとしても一番安全な地下深くへ。これが今の私がただ一人の妹に出来る、精一杯だ。』


「お姉様……」

 レミリアの想いが伝わってくるようで、フランドールは目を瞑って、日記をぎゅっと抱きしめた。
 小悪魔は、何も言えなかった。ただ、今は何も言わない方が良いとも思った。
 フランドールは、次のページを捲る。


 『フランは寂しがっていないだろうか。』
 『あぁ、フラン、会いたい。けれど、どんな顔して会えば良いか分からない。』
 『会いたい。』
 『フラン愛してる。』
 『フランフランフラン。』
 『フラーン!』


「……あれ? なんか段々とおかしくなっている気がする……」
「ですね」

 少しずつ、様子が変わっているのが分かった。
 とても嫌な予感がしたが、先を見ることにする二人。


 『わざわざ技術の高い妖精メイドたちに頼み、隠しカメラを作ってフランの部屋に設置してみた。いや、決してやましい気持ちは無い。心配なだけだ。やましい気持ちは無い。本当に無い。フラン可愛い。』


「明らかにやましい気持ちバリバリだー!? というか、妖精メイドたちの中にそんな技術持ってる子いるんだ!?」
「驚きですね、いろいろと。どうします? 持って帰りますか?」
「……ううん、いらない。むしろ処分しておいて欲しい」
「了解です」

 盛大なため息を吐いてから、違う本を探す。
 日記は、一応今は元の場所に戻しておいた。

「それにしても、本当にいろんな本があるねー。見た目色鮮やかな本や、見た感じただの本と変わりないものとか」
「はい、でも禁書ですから、油断は禁物です」
「ん、分かった。あ、これなんてどうかな?」

 フランドールが手に取ったのは、緑色の本。見た目はなんら、そこらへんにあるような普通の本と変わりがない。
 そしてそれは、小悪魔が知らない禁書だった。

「それは……私も知らないですね」
「そうなんだ。開けてみようかな」
「気をつけて下さい。一応、簡易的なものですが、呪いなどを含む対魔法障壁と純粋物理攻撃を弾く結界を張っておきます」
「うん、ありがとう」

 小悪魔が、パチュリーからあらかじめ渡されていたマジックアイテムを取り出す。それらの効果によって、力の弱い小悪魔でも障壁や結界を扱うことが出来る。
 しっかりと張れたことを確認したのち、二人は目を合わせ、準備が出来たことを再確認した。

「いくよ、小悪魔」
「はい、どうぞ!」

 勢いよく、本を開いた。
 なんと、中からパチュリー・ノーレッジが飛び出してきた。
 顔だけ。

「どういうこと!? というか、顔だけってどんな状況!?」
「なんでパチュリー様が!?」

 予想外すぎることに、顔だけ出ているパチュリーに問い詰める。
 パチュリーは、周りをキョロキョロと見渡した後、どんな状況にいるのか気付いた。

「あぁ、なるほどね。それじゃあ、戻るわ」
「いやいや、ちょっと待ってよ! 説明してよ!?」
「そうですよ!」
「んー仕方ないわね。ちょっと待って、今ちゃんと出るから」

 そう言って、うにうにと動くパチュリー。

「うわぁ……」
「なんというか、子どもが見たら泣き出しますね」

 本から顔、続いて両手、首、とどんどんパチュリーの体が出てくる。
 まさに、子どもには見せられない光景だ。子供じゃなくても、人によってはこの光景は軽くトラウマになるだろう。
 しかも、中々出れないのか、頭や上半身を激しくぶんぶんと揺らし始めた。長い髪が暴れる。これは、大人でもショッキングな光景かもしれない。
 フランドールは若干引いている。小悪魔も、乾いた笑いを浮かべていた。

「ん、ぁ、っと、やっと出れたわ」
「……うん、お疲れ様」
「それで、なんでパチュリー様が?」
「これには深い理由があるのよ。嘘だけど」
「嘘なの!?」
「嘘なんですか!?」

 本が窮屈だったのか、大きく伸びをするパチュリー。

「一時期、転移魔法を研究していたときがあったのよ、それでね、戦略にも使えるかなと思って、本を媒体とした転移魔法を作ったの。あらかじめ魔力を込めた本を散らばらせておくだけで、それらの本に移動できるようなもの。結果は、魔力が分散しすぎてあまり使えなかったけどね」
「えーと、つまり……」
「その本が、これということですか?」
「そうね。もう何処に置いたか忘れていたけど。まだ魔力の残りが僅かにあったみたね。そのせいで、暴発したってところかしら」

 パチュリーの説明を聴いて、フランドールも小悪魔も、大きなため息を零した。そのため息には、今までの驚きやら疲労やら呆れやら、様々なものが混じっていた。

「はぁ……なんか疲れちゃった」
「禁書はどうだったかしら?」
「なんか、別にもういいやって感じかなー。興味も薄れちゃったよ」
「そう。まぁ、禁書に興味なんて持たない方が良いわよ。それより、咲夜の作ったおやつを食べていた方が楽しいと思うわ」
「ん、そうだね。あーなんかお腹空いてきちゃったから、咲夜のところに行ってくるよ」

 そう言って、フランドールはパチュリーと小悪魔に、またねーと言って図書館を出て行った。
 フランドールの姿が見えなくなってから、小悪魔はパチュリーの方へと向いた。

「パチュリー様、わざと違うエリアに案内しましたよね?」
「あら? 分かっていたのに、黙っていたの?」
「パチュリー様なりの考えがあるんだろう、って信じていましたから。でも、何故?」

 そう、パチュリーがフランドールに案内したエリアは禁書のエリアではなかった。
 図書館内を把握している小悪魔は、そのことに気付いたか、あえて黙っていた。

「だって、やっぱり妹様を危険な目にあわせるなんて真似、出来るわけないでしょう? それに万が一のことがあったら、レミィに顔を合わせられないわ」

 禁書は、本当に未知数なのだ。
 何が起きるかなんて、分からない。万が一のことを考えるのも、不自然ではない。

「なるほど。やっぱり、パチュリー様を信じて良かったです。ですが、私が気付くことは分かっていましたよね? もし、私がここは違うエリアなんて言ったら、どうするつもりだったんですか?」
「あら、それはありえないわね」

 くすっと笑い、パチュリーは言った。

「だって、私も貴女を信じていたもの」
「……え? それだけの理由ですか?」
「充分な理由だと思うけど?」
「……パチュリー様には敵いませんね」

 小悪魔は呆れたように、本日何度目か分からないため息を吐いた。
 だが、その呆れの中には、少し嬉しい気もちも混ざっていた。

「さて、小悪魔、紅茶を一杯淹れて」
「はい、分かりました。少しお待ちを」

 パチュリーはそう言って、いつもの場所へと座った。
 いつも通り、小悪魔の紅茶を待ちながら。
 
どうも、喉飴です。
久し振りに、フランちゃんとパチュリーさんと小悪魔を書きました。
相変わらずタイトルが思いつかなかったりします。そして、結局こういうタイトルに。
そんなこんなではありますが、少しでも楽しんでもらえたら、嬉しいです。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
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コメント



0.簡易評価なし
1.無評価名前が無い程度の能力 削除
久しぶりのパチェフラだー!
ぱっちぇさんの妙なアグレッシブも変わらないな!

そして日記の中でもお嬢様は相変わらずですね…
でもやっぱりフランはみんなから愛されてるなー
2.無評価みずあめ。 削除
妹思いのお嬢様……かと思いきや! さすがのおぜうさまでした。
いえ、妹思いなのは確かでしょうが……w
信頼で結ばれたパチュリーさんとこあ、とても良かったです。
3.無評価名前が無い程度の能力 削除
究極の魔法と聞いてちょっと期待してしまったw
4.無評価名前が無い程度の能力 削除
この雰囲気いいなぁ。
喉飴さんのふらぱちぇこあ、大好きです。
5.無評価こじろー 削除
パチェのお胸様やお尻様がつっかえて本から出れないと思うと信仰心が鼻からあふれだうぼぁ
6.100点名前が無い程度の能力 削除
転移魔法の本が意外と使えるかもしれない件

転移魔法の本を魔理沙に盗ませる
 ↓
夜中、魔理沙の家に転移する
 ↓
寝てる魔理沙の耳元で「本返せ本返せ…」
 ↓
魔理沙、本を返しに来る
 ↓
こうして図書館は平和になったのだ
7.無評価名前が無い程度の能力 削除
感動!!
8.無評価名前が無い程度の能力 削除
ほのぼの地下組ですね。
でもおぜうさまの日記の場所に送り込むパッチェさんマジぱねぇ。
9.無評価名前が無い程度の能力 削除
それ妹思い違う
妹想いやっ……!
10.無評価奇声を発する程度の能力 削除
もう、素晴らしい!としか言えません。
11.無評価ぺ・四潤 削除
ふらんちゃんが禁書に興味があるっていうから、ついに大人の階段上るのかって思って……
そして禁書エリアで小悪魔が読んでた走れメロスはてっきりこう……
息を弾ませ全身から汗を吹き出したメロスが……いや、何でもないです。
12.無評価名前が無い程度の能力 削除
喉飴さん相変わらす甘い!!

喉飴どころか黒糖飴より甘い!!
ちくしょう、またも電車内で2424しちゃいましたよもう!
貴方のおかげで今じゃ小悪魔がぶっちぎりでかわゆいです
13.無評価名前が無い程度の能力 削除
もっとパチュフラ分が多めでもイイんだぜ?
喉飴さんなら絶対にできる!!
14.無評価喉飴 削除
>>1様
久し振りでした!
フランちゃんは愛される子です。

>>みずあめ。様
ある意味、妹思いですw
二人の絆はこれくらいかなと勝手に妄想しています。

>>3様
メド○ーアは最強魔法です、多分w

>>4様
なんだかんだで仲良いみんな。
そう言ってくださると、嬉しいです。

>>こじろー様
私も(ry

>>6様
怪奇現象ですねw

>>7様
ありがとうございます!

>>8様
パチュリーさんは隠れSだと信じてます。

>>9様
レミリア様にとっては同じなのです!

>>奇声を発する程度の能力様
わひゃっふ、ありがとうございます!

>>ぺ・四潤様
さすがですw素晴らしき妄想力w

>>12様
小悪魔をもっともっと好きになりましょう!

>>13様
私のパチュリーさんとフランちゃんは、あくまでも友達感覚ですからw