Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ブン屋よ永遠なれ

2010/03/26 00:55:46
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妖怪の山に住まう鴉天狗、射命丸文。
知っての通り、彼女は新聞記者でもある。
元々マスコミというものは、大抵の人妖には好かれるような存在ではないが、
新聞記者として動いているときの彼女は、特に迷惑極まりない輩だった。
物腰こそ丁寧だが、強引極まりない取材に信憑性の低い記事。
更に言動のそこかしこから露骨にバカにしてる風味が読み取れるアレに、好感を抱ける奴はそうそういないだろう。

慇懃無礼なパパラッチ天狗。

それが幻想郷に住まう大抵の人妖の、共通見解だった。

……だが、もう一つの事実がある。
それは実力者ほど、あの迷惑記者をそれほど悪く言わないということだ。
容赦のよの字もない博麗の巫女ですら、本気で追い返そうとはしなかった。

記事のためなら、場合によっては自ら事件を起こす事すら辞さない彼女が、何故嫌われないのか。
その理由を求め、同じ鴉天狗の記者である姫海棠はたては手帳とペンを握り、妖怪の山を降りたのだった。




















ケース:巫女(赤い方)
「毒舌? そりゃアレだけフルボッコにされたら、憎まれ口のひとつも出るでしょ。自業自得だけど。
 むしろ表面の上だけでも礼儀正しく振舞うあいつに敬服すら覚えるわ。
 私だったら絶対途中で逆切れして、罵詈雑言どころか弾幕飛ばしちゃうわね」



ケース:泥棒
「あいつか。あいつは……ある意味、私の理想さ。
 何度打ち落とされてもさ、あいつは諦めないんだ。
 どんなに絶望的な壁や天井を前にしても、余裕の笑みを崩さない。
 死ぬ気で努力すれば越えられない壁なんてない、それをあいつは何度も体現してみせた。
 あいつは全力で向かってきた。だから私も全力でぶつかった。そしてあいつも私も星になった。
 ――それだけだぜ」



ケース:酔いどれ鬼
「ごっこ遊びとはいえ、割かし本気で攻撃したんだけどねぇ。
 鬼の一撃を受けても引かず媚びて省みない。
 鴉天狗ってのはずる賢くてあんまり好きになれないけど、あいつの、新聞に対する根性だけは認めてやってもいいね」



ケース:山の神様(ちっちゃい方)
「ああ、彼女? そりゃ楽しかったよ。普通の弾幕ごっこもいいけど、ああいう変則的なのも楽しいね。
 人間と違って、天狗が相手なら、万が一の事も心配もせずに『思いっきり』遊べるし。
 ……取材? 何のこと?」



ケース:巫女(青い方)
「ああ、彼女ですか。もちろん楽しかったですよ。妖怪退治も悪くないですけど、ああいうのも新鮮でした。
 それに、たかが数枚の写真でアレ程美味しい妖気を吸ワセテいただけるなら、毎日でもお願いしたい位です。
 ……取材? 何のことですか?」



ケース:天人
「ええっ? あの子ドMなんじゃないの!? だって……あんなあからさまに反則臭い弾幕で、
 何度もボコボコにされて、そのくせ全然大した事無いように振舞って挑発してくるんだもん。
 つい私と同――じゃなくて! ええと、私もより無理ゲー臭いのをぶつけちゃうのよね」



ケース:尼さん
「『しゅざい』とは、楽しいものなのですね。修行の一つか何かなのでしょうか。
 遠慮はいらないとの事でしたので、普段よりもガンガン行かせてもらいました。
 ボロ雑巾みたいになった彼女の姿をみたときは、少々ガンガン行き過ぎたかと青ざめたのですが……。
 何百枚もの札らしきものから数枚を手に取ると、すぐに元気いっぱいの笑顔で飛んで行ったので安心しました。
 お互い良い修行になったようで何よりです」



ケース:吸血鬼
「迷惑ですって? そんなことある訳ないでしょう。私の妹が狂気を克服できたのは、
 あの天狗が身を挺して何度も何度も何度も何度も何度も何度も破壊されながら、あの子と向き合ってくれたからなのよ。
 しまいにはあの子ったら、テングコワイテングキモイテングコワイテングキモイって感謝の涙を流し始めてね。
 暴れても天狗の話題を出すとすぐに大人しくなるの。
 本当に、あの記者はどれだけ感謝しても足りない、我が家の恩人よ」



ケース:亡霊
「いったい、何が彼女を突き動かすのかしらね。
 血と汗と涙と鼻水を垂れ流しながらね、シャッターを切るの。被弾しながら――まるで見当違いな方向にね。
 そして弾幕を破ったあとの笑顔がとても綺麗なの。どう見ても満身創痍なのに、妙に余裕たっぷりで。
 あの笑顔が見たくてね、つい避けられっこないようなスペルカードを作っちゃうのよ。
 そういう趣味はあんまり無かったと思うのだけれど。……貴女も少しは理解できるわよね? こういう気持ち」



ケース:土蜘蛛
「私は地底でも決して力のあるほうじゃないんだけどね、弾幕勝負なら一つだけ切り札を持ってるのさ。
 と言っても、あんまりにも避けにくすぎたから、普段は禁じ手にしてるんだけど。
 あいつ、こっちの弾消せるじゃない。だからちょっと使ってみたんだけれどね……。
 ……執念って、ああいうのを言うんだろうね。何度糸に弾かれ、振り落とされても喰らい付いてくるんだ。
 まぁ、さすがに何度目かでコツを掴んだあとは速攻で破られちゃったけど。
 ……本当、伝説の盗賊も、あれほどの執念があったら天国に行けたのかもね」



ケース:地獄鴉
「うにゅ? 誰それ? 折檻されたお尻が痛くてそれどころじゃないのよー。
 え? うん。ちょっと前に何でかは忘れたけど全力出しちゃって、危うく地底を全壊させるところだったらしいの。
 もうさとり様と鬼と山の神様がカンカンになっちゃって。ほんとに、何であんな事しちゃったのかなー」



ケース:覚妖怪
「迷惑ですって? そんなことある訳ないでしょう。私の妹が第三の眼を再び開いてくれたのは(ry」



ケース:竹林の姫
「ええ、覚えてるわ。過去の事は割とすぐに忘れる方なんだけど、さすがに2598回も挑まれちゃ……ね。
 私の難題に挑戦してきた数ある男達の中にも、アレ程諦めの悪い奴はいなかったわ。
 悪い気はしなかったわよ。求婚とは違うし、途中でちょっとうんざりしたのも事実だけど、
 我ながら加減間違えた気がしないでもない一枚天井を破られた時は……数百年ぶりに、思わず涙ぐんじゃったかも。
 ……毒舌? それこそ覚えてないわね」



ケース:閻魔様
「まったく、業が深過ぎる。彼女は生きながらにして無間に堕ちてしまっている。
 手段と目的が入れ替わっている事にすら気付けない。気付いていても止まれない。
 ――救えませんね。私が出会った時にして、既に手遅れだったと言う事ですか。
 ある意味希少ですよ? ……閻魔にすら見限られるモノというのは。
 それはもう、私の範疇ですら裁ききれない、と言う事ですから。
 まさしく規格外。
 神か、英雄か。死後、彼女はどのような存在になるのやら。
 …………さて。あなたも、同じ道を歩みますか?」


















日が暮れて。
幻想郷の実力者たちへのインタビューを終えた姫海棠はたての顔には、一つの固い決意が見て取れた。
偉大なる先達への万感の思いを込め、不敵な笑みと共に、彼女は宣言した。





「さあ――山に引きこもろう」
懺悔します。
ダブルスポイラープレイ中、少女達に対し、何度も聞くに堪えない罵声を飛ばしてしまいました。
そしてそんな自分に気付いたとき、同時に気付いたのです。
あれだけ叩きのめされても決して怒らず、声も荒げない彼女は、菩薩の如き慈愛と、海のように深い懐を持った少女であるということに。

それでは読んでいただき、ありがとうございました。
隙間風
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
なるほど…
2.名前が無い程度の能力削除
今作は銀閣寺かと思ったがうろ覚えだったようだ
3.名前が無い程度の能力削除
引きこもるなww
4.奇声を発する程度の能力削除
凄いですね…
5.名前が無い程度の能力削除
オチが秀逸だったwww
6.名前が無い程度の能力削除
文の背中があまりにも遠い事に気づき、心がブレイクしてしまったんですねwww
7.名前が無い程度の能力削除
金閣寺に2598回かかったとはいえとれたのか…

\すげぇ/
8.ずわいがに削除
うぜぇ丸www
9.名前が無い程度の能力削除
そんなはたて嬢に送る言葉……

君にならできるよ(笑)
10.名前が無い程度の能力削除
手段の為ならば目的を選ばないという様な
どうしようもない連中は確実に存在するのだー

弾幕ごっこは妖怪遊び。思いっ切りやんなきゃつまんない
11.決してあきらめない程度の能力削除
あきらめんなよお前!
駄目駄目駄目駄目あきらめたら!
やれるよやれる、絶対できるって!
がんばれがんばれ!
どうしてそこであきらめるんだよそこで!
ダブスポ応援してる人たちのことも思ってみろって!
俺だって一万枚撮影しても駄目だった金閣寺、なんとかして天井もぎ取ろうって頑張ってんだよ!
そこの射命丸よりかかってんだぞリアルで!
だから姫海棠、お前も一緒に――Never Give Up!(シャキーン!)