Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

古道具屋と使い魔 前編

2010/03/05 14:48:14
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 注意!
 このSSは作品集50・51の『現人神の居る道具屋シリ-ズ』から設定を受け継いでいるかもしれません。
 よければそちらも読んでおいてくださると……嬉しいなっ!





 ◇








 はじめは、ただの些細な興味心からだった。

 変わり者が多いといわれる幻想郷でも、【あの人】ほど変わった人は見たことがなかった。

 まるで幼い人間の子供のような飽くなき探究心。

 外見はもはや子供とはいえない姿をしているけれど。

 その、純粋で、真面目で、一生懸命な彼の姿に、私は気付かぬうちに惹かれていた。
 



 ~~~~~~~~~~~~~~~




「やれやれ、まさかこんな夢のような場所があるとはね・・・」

 紅魔館の地下にある大図書館。
 とある理由で、ここ紅魔館のメイドである十六夜咲夜に連れられてきた彼・・・森近霖之助は、
 その図書館の膨大な本の貯蔵量を見、呟いた。
 
「夢のような場所、ですか?」
「ああ、少なくとも僕にとってはだがね。
 なるほど、魔理沙が本を借りたくなるというのもわからなくもない。」
「泥棒ですから霖之助さんはやめてくださいね。」
「善処しよう。だが、これほどまでに膨大な量の本を
 一体誰が管理して・・・」
「・・・誰か呼んだ?」
「うん?」
 
 声が聞こえた方に霖之助が視線を向けると、そこには紫色の服に身を包んだ
 少女が、大量の本が置かれたテーブルのイスに座っていた。

「パチュリー様、起きていらしたのですか?」
「当たり前じゃない、今何時だと思っているの?
 で、この人間は誰かしら。」
「僕は森近霖之助、魔法の森にある古道具屋【香霖堂】の店主をしている。
 パチュリー・・・といったかな、君がこの図書館の管理を?」
「ええ、そうよ。」

 返答を聞くと、「ふむ・・・」と霖之助は考え込む。
 その様子を見たパチュリーは、釘を刺すように一言付け加えた。

「いっとくけど、本の貸し出しならやっていないわよ。
 どこかの白黒が、勝手に持ち出していっちゃうからね。」
「むう、やはりそうかい?」
「別に静かに読書してくれるならいいけど。
 あとは本を汚さないように。」
「それについては十分心得ているつもりだよ。」
「そ、わかってるならあとは好きにするといいわ。
 私は読書してるから、わからないことがあれば小悪魔に聞いて頂戴。」

 そう言うとパチュリーは再び手元の本を開き、視線を本に戻す。
 読書を邪魔されることはとても不愉快なことだと霖之助自身もわかっているため、
 これ以上彼女に質問することは控えた。

「では私は紅茶を淹れてきましょう、霖之助さんも如何ですか?」
「ああ、では頼もうかな。」
「わかりました。」
 
 瞬時に咲夜の姿が消える。やはり何度か見ていると、こんな超常現象・・・もとい、
 超人現象も見慣れてしまうものなのだろうか、と霖之助はふと思った。
 さて、と霖之助は目の前に立ち塞がるすさまじい量の本が入った本棚の大群を前にして呟く。

「ここにならばあると思いたいが・・・まずは、外の世界から入ってきた本を探すとするかな。」
 



 ~~~~~~~~~~~~~~~




「あれれ・・・どこにやっちゃったかなぁ・・・?」

 広く、とても一目ではその全容を見ることなど出来ないであろう大図書館。
 その中のとある本棚の前で、何やら小悪魔があたふたと何かを探していた。
 どうやら本を探しているようである。

「おかしいなぁ、さっき持ってきたときはあったんですけど・・・」
「・・・何かお探しかい?」
「ひゃっ!?」

 霖之助に突然、背後から声をかけられて驚く小悪魔。
 悪魔が人間(正確には半妖だが)に驚くとは、実にシュールな光景である。
 
「・・・そこまで驚かれるとこちらも反応に困るのだが。」
「え、あ、すみません、ついビックリして・・・
 というか、初めて見ますけど貴方は・・・?」
「僕は森近霖之助、魔法の森にある古道具屋の店主をしている。
 今日はちょっと調べ物がしたくてね、ここを使わせていただくよ。
 それより、さっきから一体何を探しているんだい?」
「えーっと・・・まだ未整理だった本を整理していたんですが、
 そのうちの一冊がどっかにいっちゃったみたいで・・・」
「本?・・・・・・もしかして、そこに落ちていたこの本かい?」

 そう言うと、脇に挟んでいた本を小悪魔に差し出す。
 どうやら探していた本のようで、彼女はすぐにそれを受け取った。

「あっ・・・わざわざ見つけてくださったんですか?
 よかったぁ・・・あの、ありがとうございます。」

 お礼をいうと、小悪魔は霖之助に対しペコリと頭を下げた。

「偶然にも僕がその本が落ちているのを見つけただけさ、礼を言われるほどの事じゃない。
 ・・・それより、君が小悪魔かい?」
「はい、そうですけど・・・何か?」
「僕は外の世界に関する本を探しているんだが、こうも膨大な貯蔵量の中から
 一人で探すのはとてもじゃないが大変でね、手伝ってもらいたいのだが・・・」
「確かに初めての方がこの中から探すのは大変ですからね・・・
 わかりました、確かこちらに置いてありますのでついてきてください。」
「助かるよ。」

 そういわれ、案内する彼女の後ろをついていく霖之助。
 少し歩いたところで、小悪魔が霖之助に話しかけた。

「外の世界に関する本を読みたいなんて、珍しいですね。
 パチュリー様ですら流し読みするようなものばかりなのに・・・」
「ああ、言い忘れたが僕の店は香霖堂といってね、主に外の世界から流れ着いた品を扱っているんだ。
 僕も外の世界の本は数冊所持しているが、ここならもっとたくさんあると思ってね。」
「まあ、確かに数え切れないぐらいあるといえばありますけど・・・
 というか、書かれていることを理解されているんですか?」
「いや、はっきりいえば7割方は意味不明だね。
 外の世界の本はどうも特有の略語が多すぎる。」
「はあ・・・・・・あ、この棚です。」
「うん?」

 小悪魔の示した本棚を見ると、確かに外の世界特有の題名がつけられた本がズラリと並んでいた。
 どうやら会話している間に着いたらしい。
 霖之助がそれに気付いたのを確認すると、小悪魔は再び彼に頭を下げた。

「何かありましたら、私かパチュリー様を呼んでください。
 たぶん、すぐに来ますので。」
「ああ、ありがとう・・・・・・さて。」

 小悪魔に礼を言った後、本棚に向き直った霖之助は、まず近くの一冊から
 手に取り、読み始めた・・・
 



 ~~~~~~~~~~~~~~~




 霖之助が紅魔館に訪れてから数時間後、外は日も沈み真っ暗な闇の世界と化していた。
 一通りの仕事を終えて休息していた小悪魔は、そういえば図書館に客人が来ていたことを思い出す。
 確か名前は霖之助、といったか。
 時計の針は夜の9時を刺しており、普通ならばとっくに帰っている時間。
 見た感じ問題は無さそうだが、とりあえず読んだ本がちゃんと戻されているかどうか確認をしに
 小悪魔が先程の本棚のところへ向かってみると・・・

「(あ、まだいた。)」

 案の定、霖之助は先程の本棚の前に座り、熱心に本を読んでいた。
 読み終わったと思われる大量の本で周りを囲んで。
 物好きな人もいるんですね、などと思いながら霖之助に声をかける。

「・・・まだいらしたんですか?」
「ん?ああ君か・・・いやはや、やはりここに来て正解だったようだ。
 僕の所持している外の世界の本もいくつかあるが、その大半が今まで
 見たこともないモノばかりだったのでね、つい読み漁ってしまったよ。
 ・・・ところで、今は何時だい?」
「もう日が暮れましたよ。」
「・・・ふむ、それは長く居過ぎたかもしれないな。
 ではこの本を読み終えたら帰り支度を・・・」
「・・・はあ、まさかとは思いましたが、まだ帰っていませんでしたか。
 少しは分別をつけたほうがいいのでは?」
「うん?」

 声がした方を見ると、呆れた様子でこちらを見ている咲夜の姿があった。
 呆れるのも当然・・・といえば当然だろう。

「もうお嬢様も元気に起きていらっしゃいます。
 下手に外をうろついたら、どこぞの闇妖怪みたいな輩に襲われますわ。」
「ふむ、いくら僕でもそれはちょっと困りものだな。」
「で、でしょう?ですから、その・・・・・・
 今夜は、紅魔館に泊まってはいかがですか?」
「何?」

 咲夜からの思わぬ申し出に、霖之助は自分の耳を疑った。

「それは助かるが・・・いいのかい?
 勝手に僕のような者を泊めて・・・」
「お嬢様なら貴方の事は知ってるし、大丈夫よ。
 部屋なら腐るほど余ってるいるし、それに・・・」
「それに?」
「・・・お嬢様も、話相手ができて退屈しないでしょうから。
 それじゃ、部屋に案内しても宜しいかしら?」
「ああ、ありがとう。」

 霖之助は咲夜に礼をいうと、大人しく彼女の後ろについていった。
 その様子を、小悪魔は不思議そうに眺めながら呟く。

「あれ・・・?レミリア様は今日、神社に泊まるっていってたような・・・
 実はもう帰ってきているんですかね?」

 そんなことをぼやきながら、再びいつもの仕事に戻っていった。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~




「パチュリー様、おはようございま・・・ってあれ?」

 翌朝、大図書館に訪れた小悪魔が最初に見たのは、既に読書に勤しんでいる霖之助だった。
 彼は入ってきた小悪魔に気付き、挨拶してきた。

「やあ、君か。朝早くからお邪魔させていただいているよ。」
「ず、ずいぶんと早いんですね・・・」
「うむ、僕はどちらかといえば朝は強い方でね。
 早起きは三文の徳、ともいうだろう?」
「まあ、そうですけど・・・朝早くから図書館で
 読書っていうのもどうかと思いますけど。」
「勤勉といってほしいな、そこは。」

 そんな会話を交わしながら、霖之助は読む本のページをめくり、
 小悪魔も読んでいる本の内容が気になるのか、いつの間にか近くに寄って来ていた。

「・・・あ、これは少し前に見たことがありますよ。
 確か仮想の世界での冒険を体感できる道具で、【超遊戯少年】ってやつですよね。」
「うむ、だが見る限りこれはその【超遊戯少年】とやらを改良し、縮小と軽量化かつ
 色彩豊かにした遊具のようだね。」
「色彩豊か、ですか?」
「ああ、前のこの【超遊戯少年】でも十分に冒険を体感することはできるが、
 性能はいささか不十分であり、表示される画面も白黒と彩りに乏しかったようだ。
 だがこの改良型はその問題であった性能・彩の乏しさを著しく改善し、
 より高度で魅力的な冒険を楽しめるようにしたのだろう。」
「へー・・・森近さん、ですよね?はこれで遊んだことがあるんですか?」
「僕の店にも何点か、こういう品は置いてあるからね。
 もちろん実際に遊んだこともある。」
「いいなぁ・・・」

 霖之助がそう答えると、小悪魔は少し羨ましそうに呟いた。

「・・・君は何か、こういう道具で遊んだことはないのかい?」
「はい、大概は図書館で過ごしているもので・・・
 というか、紅魔館から出たことも無いんですよね。」
「そうか・・・それではさぞかし退屈だろう。」
「いやいや、そんな退屈なんてことはないですよ?
 私はここでパチュリー様の手伝いができて満足していますし、
 紅魔館の皆さんも優しいですから、退屈だなんて思いません。
 でも。たまには別の何かをしたいなーとは思ったりしますけど・・・」
「あらそう?なら今度は買出しにでもいってもらおうかしら。」

 どこかで聞いた声が・・・と思い振り向くと、そこには予想通り
 咲夜が立っていた。

「いい機会だし、この際人里にでもいってみる?
 今から買出しにいこうと思っていたところだし・・・」
「え、えぇ!?で、でも私なんかでお役に立つかどうか・・・」
「結構な量を買うから、一人でも多くいると助かるのよね。
 荷物持ちぐらいなら、貴女もできるでしょう?」
「よかったじゃないか小悪魔、念願の図書館外の仕事だ。
 僕はここで本を読んでいるからがんばってくるといい。」
「あら、もちろん霖之助さんにも来ていただきますわ。」
「・・・うん?何故僕が?」
「一宿一飯の恩ぐらいは返していただかないと、
 お店の評判にもきっと響きますわ。」
「・・・それは困る、貴重なお客を減らすことだけは避けたいものだね。」
「では、出かける準備をお願いしますね。
 門のところで待っていますので。」


 咲夜はそういい残すと、いつものように一瞬で姿を消した。
 霖之助はやれやれ、といった様子で小悪魔と一緒に図書館をあとにした。
紫「さて、これは一体どういうことかしら?」
Cr「・・・私にも何がなんなのか・・・さっぱりでございます。」
紫「これは記念すべき貴女の10作品目。
  その記念すべき10話目が、私メインじゃないとはどういう?」
Cr「・・・その前に後書きを書いてもいいでしょうか、紫様。」
紫「3分間待ってあげるわ。」

 ~以下後書き~

どうも、覚えている方はお久しぶり、そうでない方は始めましてです。
前回の投降から5ヶ月ぐらい放置していたことをまずお詫びしますorz
最近なぜか小悪魔が可愛く思えてきたので、こぁ霖?小悪霖?な話を
書いてみようと奮闘したわけですが、微妙に咲霖になっているような気がしないでもない・・・(汗
PCの方にも暫く触れてなかったのもあったりして、元々低い文章力が更に低下しています・・・
でも霖之助に対する愛情は夢に出るぐらいだからきっと変わってない、うん、そのはず(殴
とりあえず、次は早めに書ければいいなぁ・・・

最後まで読んでいただき有難うございました!

 ~以下処刑タイム~

紫「それで、何か言い残すことは?」
Cr「・・・・・・・・・。」
紫「・・・・・・・・・。」
Cr「霖之助ー!私だー!結婚してk(弾幕結界」
Crown
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
>Cr「霖之助ー!私だー!結婚してk
だが許さん
2.名前が無い程度の能力削除
>Cr「霖之助ー!私だー!結婚してk
させねぇよ?

ええい、ちょっとどもりながら咲夜さんのほうから泊まるように進言してきて、咲霖展開が無いのはどういうことだ
3.名前が無い程度の能力削除
>Cr「霖之助ー!私だー!結婚してk(弾幕結界」
てめぇ抜け駆けすんな

これはパチュリーさんと意気投合してネッチョネチョだろJK
4.名前が無い程度の能力削除
>Cr「霖之助ー!私だー!結婚してk
断固阻止

この嫌味の無い雰囲気が好きですね
人里編に超期待してます
5.名前が無い程度の能力削除
さすが咲夜さん。
事前準備は万端だ。