Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

よろしくね!

2009/12/31 23:55:59
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「今年もあと一時間だね」
「あと一時間なのに、図書館で時間を費やすのかしら?」
「ぶぅ、だってお姉様は神社行っちゃうし、美鈴も咲夜もお仕事だし、一人じゃあつまらないし」

 図書館には数自体は少ないが、小説や漫画といったジャンルも置いてある。一人、部屋で籠っているよりは、パチュリーが居る図書館で何か読んでいた方が楽しいという判断だった。
 もう頻繁に訪れるため、パチュリーもいちいち出て行けとは言わない。

「ま、良いけどね。何か飲む? 紅茶くらいなら淹れてあげるけど」
「あれ? パチュリーが淹れてくれるの?」

 いつもは小悪魔に任せっきりのパチュリーが、珍しく立ち上がり、フランドールにそう言った。
 フランドールは、あまりの珍しさに少し驚く。

「小悪魔には休暇を出したわ。年末だから帰郷もしたいでしょうから」
「え!? 小悪魔帰郷したの?」
「えぇ、なんでも大変らしいわよ、小悪魔の故郷。なんか、第五次チラリズム大戦の真っ最中らしいわ」
「何その争い!?」
「チラリズムしながら弾幕勝負をするという戦いよ。負けた時は脱がされた時という、過酷なルール」
「それに小悪魔参戦しに行ったの!?」
「えぇ、そうよ。まぁそんなことより、何飲む?」
「え、や、じゃあ紅茶」
「分かったわ」

 フランドールは、紅茶を淹れるパチュリーの様子を目で追う。正直なところ、パチュリーが自分で紅茶を淹れる場面など見たことが無かったため、不安があったのだ。
 だが、それは無駄な心配に終わることとなる。

「ふぁ~……パチュリー、なんか格好良いね」
「そう? 普通に淹れているだけよ?」

 雰囲気や姿勢で、なんとなく上手に淹れるだろうということが分かった。例えば、咲夜が紅茶を淹れる時のような、そんな空気。そういうものを、フランドールは感じとった。
 そんなフランドールの目の前に、パチュリーが今淹れたばかりの紅茶が置かれる。

「いただきます」
「どうぞ」

 それに手を伸ばして、ゆっくりと口に運ぶ。
 一口含むと、思わず感嘆のため息が漏れるような、そんな味。

「パチュリー、美味しいよ」
「久し振りに淹れてみたけど、そう言ってもらえると安心だわ。まぁ、咲夜には敵わないけどね。ありがとう」

 フランドールの言葉に、パチュリーは素直にありがとうと返す。
 咲夜には敵わないと言うが、充分な味だった。

「まさかパチュリーにこんな特技があるなんて」
「特技って程でも無いわよ。知識で美味しい淹れ方というのを、学んだことがあるだけよ」
「良いなぁー私も何か学んでおこうかなー」
「知識は役に立つわよ。そうね、妹様には性の知識を……」
「いらないよ!?」
「じゃあ、吸血鬼の特殊な吸血プレイの知識を……」
「だからいらないってば!」
「我侭ねぇ。ならとっておきの知識、胸が大きくなる知識を」
「え? そ、それはちょっと知りたいかも……」
「ただし、一度膨らんだら止まらない。結果、爆発するわ」
「怖っ!? 絶対嫌だよ!」
「我侭すぎよ、妹様!」
「なんで私が怒られるパターン!?」

 何故か怒られたフランドール。
 紅魔館の知識人は、無駄な知識まで知っているようだった。
 フランドールは、とりあえず落ち着くために、紅茶を口に運ぶ。相変わらず、紅茶は美味しかった。それにより、少し落ち着くことが出来た。

「そういえば妹様」
「んにー?」
「年越し蕎麦食べる?」
「あ、食べようかな」
「用意してないけどね!」
「なら言わないでよ」

 図書館に紅茶はあっても、さすがに蕎麦までは無かった。
 はぁ、とため息を吐くフランドール。

「そんなため息吐いても、蕎麦は出ないわよ」
「いや、いらないよ。紅茶だけで充分」
「そう。おかわりいる?」
「あ、いるー」

 紅茶を飲んで、適当に会話して、本を読む。
 ただそれを繰り返す。
 残り少ない時間が、少しずつだが、確かに減っていた。

「ねぇ、パチュリー」
「ん?」
「一年、いろいろあったね」
「そうね」
「なんだかんだで、楽しかった」
「えぇ、私も同じ意見だわ」

 二人とも、視線は本から離さずに、会話する。
 別に仲が悪いわけでもない。
 ただ、これが二人にとっては普通なだけ。

「あと何分で年明け?」
「一分も無いんじゃない?」
「アバウトだね」
「そりゃあそうよ。いちいち正確な時間なんて確認してられないわ。たかが一年に一度訪れる出来事、騒ぐこともない」
「むぅ……パチュリーは冷めてるなぁ」
「魔女だからね」
「意味が分からないよ」

 そんなやりとりをしている内に、年は呆気なく明ける。
 特に騒がしいこともなく、ただ静かに時が過ぎた。

「パチュリー」
「んー?」

 本から目を離さなかったさっきとは違い、今度はパチュリーの方向へとしっかり向く。
 パチュリーも、本を閉じてフランドールの方向へと向いた。

「明けましておめでとう! 今年もよろしくね!」

 笑顔で、元気良くそう言った。
 えへへ~、と可愛らしい笑顔だ。

「ん、こちらこそ。今年もよろしくね、妹様」

 普段あまり笑わないパチュリーが、穏やかな笑みを浮かべながら、そう返した。
 互いに、なんとなく握手を交わす。
 新しい年が、始まった。
 
間に合いました。
今年最後はフランちゃんとパチュリーさんで。
みなさん、良いお年を!
喉飴でしたー!
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
明けましておめでとう!!!!今年もよろしくお願いします!!!
新年早々良いお話をありがとう!!!
2.ぺ・四潤削除
あけましておめでとうございます! 最後に何かアップされてるかと思って見てみたら一番乗りぃィ!!
て一度送信したら先を越されてたwww 
やっぱり貴方のフラパチュは相変わらずで何よりです。

「特殊な吸血プレイの知識を……」母乳は血液からの成分でできていますが、そういうことか!!!
3.名前が無い程度の能力削除
明けましておめでとうございます!!やってくれる人だった貴方は!
いつもより多少静かなパチェフラ、ごちそうさまです。そして今年もよろしくお願いします!
4.名前を表せない程度の能力削除
あけましておめでとうございます!
豊胸に興味のある妹様がなんともwwよしオレが手伝っ(きゅっとしてry
レミリアは霊夢と一夜を明かすのでしょうか?
今年もすばらしい作品期待しております。
5.名前が無い程度の能力削除
明けましておめでとうございます!
パチュリーと妹様の年明けは静かで素敵です。
今年も素晴らしい作品が投稿されますことを心待ちしています。
6.H2O削除
あけましておめでとうございます!!
第五次チラリズム大戦が気になりすぎるwww
7.名前が無い程度の能力削除
お姉様が妹様に性知識を授ける話を向こうでまってます(ぇ
8.名前が無い程度の能力削除
あけましておめでとうございます! そして私は小悪魔の故郷へちょっといってきますwwww
9.喉飴削除
>>奇声を発する程度の能力様
明けましておめでとうございます。
よろしくなのです。

>>ぺ・四潤様
明けましておめでとうございます!
今回は少し抑えてみました。

>>3様
明けましておめでとうございます。
いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします。

>>名前を表せない程度の能力様
明けましておめでとうございます。
レミリアは霊夢の元で、宴会をしたと思いますw
ありがとうございます。

>>H2O様
明けましておめでとうございます!
チラリズム大戦はある意味聖戦ですw

>>7様
待たないでくださいw

>>8様
明けましておめでとうございます!
では私もご一緒しま(ry
10.ずわいがに削除
喉飴さんの書くフランドールは幸せ過ぎて困……らないなw