「やほ、パチェ。調子はどう?」
「……レミィ? 珍しいわね、貴女がこっちにくるなんて。……調子は、まぁ、ぼちぼちってとこかしら。魔法の研究もいつも通りよ」
「そ。座らせてもらってもいいかしら?」
「ええ。―――小悪魔、お茶を二人分お願いね」
「じゃ、遠慮なく。……あー、疲れたわ。やっぱり日傘さしてるとはいえ、日中に出かけるのはつらいわー」
「そうそう、レミィ、貴女どこ行ってたのよ。咲夜なんて、お嬢様が私を捨てたー、とか言って泣いてたわよ?」
「ちょっと人里の方に、ね」
「人里に? それと咲夜を連れて行かないのは何か関係あるの? それに何をしに? ―――ああ、小悪魔ありがとう。下がっていいわよ」
「咲夜を連れて行かなかったのはあのスキマとの間に取り決めがあってね。人里に入る時、従者を連れず、博麗の巫女と共にいることってのが。今まで人里なんて行く機会無いと思ってたから言うの忘れてたわ。―――それじゃ、いただくわ」
「どうぞ。……まぁ、レミィならその扱いも当然かもしれないわね。人間からしてみれば畏怖の対象には変わりないわけだし」
「そりゃそうなんだけどね。でもそれなら霊夢ももう少しやる気出してほしいもんだわ。渋って渋って大変だったわよ」
「ふぅん。お疲れ様。……で、何をしに行ったの?」
「ああ、寺子屋というものを見に、ね。妖精メイドがあまりにも使い物にならないって咲夜が珍しく弱音を吐くもんだから、ちょっと教育ってどんなもんかと思って」
「そのくらいなら、私がやってもいいのよ?」
「知識を与えるってだけの教育ならパチェに任せてもよかったんだけどね。でもあいつらに必要なのは知識じゃなくて、常識よ。パチェ、貴女、自分で常識あると思う?」
「……どこぞの白黒よりは」
「てんで駄目ね。―――というわけで、私が一肌脱いだってわけ」
「……そう。で、その様子からみるに収穫はあったみたいね」
「ええ。実際、教育法もあの獣人に聞いてみたんだけど、なかなか有意義なものだったわ。……でもね、それよりももっとすごいことを発見してしまったの」
「それは?」
「日本語のすごさ、よ。具体的にいえばひらがな。国語とやらの教科書を見せてもらったときと、子供が質問した時に思ったの」
「……えっと、詳しく聞いていい?」
「そうね、例えば……紙ある?」
「その辺にあるの使っていいわよ」
「ありがとう。……で、例えば、先生ここの問題がわかりません、というのをひらがなにするとね」
「『せんせー、ここのもんだいがわかりませーん』……なるほど、一気にロリチックになったわね」
「そう、それが言いたかったのよ。ひらがなにするだけで語感が変わる。英語にはこんなのなかったわ」
「……確かに。そう考えてみると、すごいわね、ひらがな」
「でしょう? これは固有名詞にも使えるわ。十六夜咲夜、紅美鈴」
「『いざよいさくや、ほんめいりん』……懐かしい、貴女に泣きついてた時期の咲夜が思い浮かんだわ。門番の方はまぁ、元から子供っぽいところがあるからそんなに変わらないけど」
「他には、呼称にも。お兄ちゃーん」
「『おにいちゃーん』……ロリチックを通り越して、ぺドいわ。……なに? ニヤニヤして」
「いやいや、パチェの口からそんな言葉が聞けるなんて生きてて良かったなぁ、と」
「……謀ったわね」
「ふふっ、ごめんね。……他にも色々あるわよね。ゴレイヌとか」
「『ごれいぬ』、ね」
「かわいいでしょう?」
「ゴレイヌが誰なのかは置いといて、かわいいわね」
「うんうん、そうよね。次はファンタジー北島」
「『ふぁんたじいきたじま』……誰?」
「細かいことは気にしないの。で、どう?」
「渋いわ」
「そう、渋いわよね。可愛さ、ぺドさだけでなく渋さも表現できるのよ、ひらがなってのは」
「確かに面白いわ。……で、他には?」
「ふふ、パチェも乗ってきたわね。他には、そうね……パンティ」
「『ぱんてぃ』」
「エロオヤジでしょう?」
「エロオヤジね。なんだかひどくねちっこい雰囲気があるわ」
「さすがひらがなね、なんでもありだわ」
「そうね」
「ほか、スペカもいけるわ。虚人「ウー」」
「『きょじん「うー」』……なんでかしら、レミィ。貴女の顔が思い浮かんだわ」
「え、なんで?」
「さぁ……。で?」
「そうね、一時期話題になったゴリアテとか」
「『ごりあて』」
「かわいいわよね」
「かわいいわね。で、次は?」
「うーん、ポテトチップス」
「『ぽてとちっぷす』」
「かわいさの中に、切なさも混じってない?」
「切なさ? ……ぽてとちっぷす、ぽてとちっぷす……。言われてみれば、そうかもね」
「でしょう? 切なさもいけるという万能具合よ」
「ふむふむ。次は、と言いたいところだけどそろそろネタ切れなんじゃない?」
「確かにそうねえ、じゃ、最後に―――」
「―――ラスボス」
「『らすぼす』」
「かわいいでしょう?」
「かわいいわね」
Fin.
まあ、そんな事は置いといて日本語って本当に凄いねw
ってセリフだったら
開幕瞬間抱きついて『もうやめてー』っていうまでなでくりまわしてぷにぷにしてちゅっちゅします。
懐かしい名前だな
ひらがなってすげぇや。
ロリヴォイスパッチェさん…素敵
日本に生まれてよかった!
アンラッキー
ひらがなはにほんじんのうみだしたぶんかのきわみだよ。
平仮名は偉大。そんなSSでした。
……び、微妙!!
それはともかく、とても楽しめました。
レミリアとパチュリーにかわいいって言ってもらえるらすぼすさんいいなぁ。
しかし、たしかに同じ言葉でも、カタカナで書いてあるかひらがなで書いてあるかだけで、えらく受ける印象変わりますよね。
「レミリア」よりは「れみりあ」、「パチュリー」よりは「ぱちゅりー」の方がより親しみやすいなあと感じるワタクシ。