「最近ぱちゅりー様の様子がおかしいんです」
満月の夜。満点の空の下の紅魔館のテラスにて、めずらしい組み合わせが見られた。
当館の当主であるレミリア・スカーレットと、大図書館の雑用係である小悪魔が一緒に紅茶を飲んでいるのだ。
レミリアのティータイムに小悪魔がいきなり乱入した形なのだが、カリスマ溢れる広い心で放置を決め込んだレミリアは優雅に紅茶を飲んでいた。羽がピクピクしててかわいい。
その様子を見て小悪魔は椅子にどっかりと座ると、ティーポットから直接紅茶を飲みだした。熱さを気にせずぐびぐびと飲んでいる。いい飲みっぷりだ。
対するレミリアはカリスマがはみ出る広い心でクッキーを噛み砕いた。眉間がピクピクしててすごくかわいい。
少しのにらめっこの後、レミリアは小さなため息を一つ吐き出し、しぶしぶといった感じで小悪魔の相手をしてやることにした。
「で、パチェがどうしたの?」
鋭い目を小悪魔に向ける。常人ならばそれだけですくみ上がって何も言葉を発することができないのだが、あいにく小悪魔には通用しなかった。あろうことかクッキーを口いっぱいに頬張り、恍惚の表情を浮かべている。
さらにもう一枚と手にしたクッキーをレミリアは神の速度で掠め取った。そのまま器用に長い犬歯でクッキーを壊さずに挟み込む。
レミリアとしては犬歯で怖さアピールのつもりなのだろうが、力加減が難しいのか唇がプルプル震え、口の端からよだれが垂れそうになっている姿は別の所で効果は抜群だった。
咲夜が新しく準備している紅茶がより紅く染まるのも仕方が無い。
「レミリア様のケチ」
最初に言っておく。勇気と無謀を履き違えてはならない。
仏の顔も3度まで。レミリアのカリスマも3分間だけである。
レミリアはバチバチしている紅い大きな槍を薄い胸元から取り出し、湖の方へと勢いよく投げた。
それは遠くで遊んでいた氷精の頭にみごとに当たり、「\あいた/」という声が此処まで聞こえてきた。
氷精から一本を取ったことを確認した夜の王は、ゆっくりと振り向く。
そして誰しもが傅くであろう笑顔で小悪魔に向かって問いかける。
「で、パチェがどうしたの? 詳しく話してみなさい」
「こぁ、……ぱ、ぱちゅりー様の異変はあの日から始まったのだと思います」
星達の自己主張の激しい空の下、満月の光りに照らされたテラスで行なわれるささやかな会合。
今夜は楽しい夜になりそうね。と咲夜は自分の入れた紅茶を一人瀟洒に飲んでいた。
<パチュリーの健康法~短編~>
~1日目~
私はいつものように本の仕入れと整理を行なっていたのですが、ふと見慣れない本を見付けました。
その表紙には筋肉隆々の男性二人が体からなにやら漂わせながら上半身裸で組み合ってました。
もしかしてガチムチレ○リングみたいな腐女子のガラスハート直撃タイプかと、胸をダバダバさせながらタイトルを見てみると・・・・・・
「『一週間で出来る北斗神○』? ぱちゅりーさま~この本なんですか?」
「あら、懐かしいわね。ずっと前に美鈴に貸していた本よ」
「内容は・・・・・・特殊な呼吸法らしいですね。もしかしたら喘息に効くかもしれないですよ?」
「そうね。少し読んでみようかしら」
内心目的と違う本の内容に舌打ちしながらも、タダでは転がらないのがこの小悪魔です。
ぱちゅりー様の写真を頂けたらヘドロの上でも転がりますけど。
とにかくこの時は、ぱちゅりー様に感謝されて頭なでなでしてもらえるかも~。
むしろもっとすごい所をなでなでしてもらえるかも。いゃん♪ と妄想に身を投じていたのです。
妄想はいいですよね。なにせタダで生きる活力が沸いてきます。
むしろ妄想さえあったらご飯いらないくらいで、って嘘です咲夜さん後生ですからクッキーを持っていかないでください!
あうえぅ~。
~3日目~
この日は本棚の整理をずっとしていてちょっと足がむくんでまして。
恥ずかしいので黒タイツを穿いてごまかしてたのですよ。
でも使い魔思いの優しいぱちゅりー様の目はごまかせなかったみたいです。
以前も本棚の棘が内腿を刺した時、瞬時に飛んでこられて少し浮き出た血を舐め取ってくださいました。
あれは流石の私でも背徳心が沸きました。このままもっと・・・・・・と、話が反れましたね。
とにかく、ぱちゅりー様が休憩中の私に声を掛けてくださったんです。それだけならよかったのですが・・・・・・
「小悪魔。足疲れてない? 今楽にしてあげるわ」
「いえ大丈夫です、まだまだ元気「ほわたぁ!」ぎゃぁぁぁぁ!」
「あれぇ間違えたかなぁ?」
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『元気100倍コアクマンのポーズをとったら
右ひざだけが無くなっていた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
私も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
マッサージだとか秘孔だとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしい日陰少女の片鱗を味わったぜ…
~5日目~
この日も本棚の整理で少し疲れてました。
というかここ数日ずっと本棚の整理でしたね。
ぱちゅりー様に言われたとおりに並び替えていたのですが……
途中でめんどうじゃなかった、疲れてきたので美鈴さんにも手伝っていただきました。
最後に穴をほったり良く分からない旗を置いていたのですがアレは意味があったのでしょうか?
そしてようやく全て並べ終えた私達の所にぱちゅりー様がやってきたのですが……
「小悪魔。腕とか疲れて~」
「げげ元気100倍です!愛と勇気だけが友達です!コアクマッスルボマーもこの通りフルパワーで出せます!」
どぶっはぁ!
「むきゅ~・・・・・・」
「こあぁぁぁぱちゅりー様ぁぁぁ!」
カリスマしゃがみガードの体制から、元気100倍コアクマンのポーズへと繋げるコアクマッスルボマーの力は絶大です。
この技を見たものは皆血まみれになって死に絶える為、厳重に封印していたのですが、生命の危機を感じたのでつい使ってしまったのです。
それが見事にぱちゅりーさまのアゴにクリティカルヒット!
そのまま天井に大の字の穴を開けて、夜空をお星様になってしまいました。
何故か美鈴さんも鼻血を出して親指を立てたまま倒れてましたがそっちは放っておいて、急いで追いかけましたよ。
そうそう、案外月って近いのですね。
~7日目~
そして昨日です。
いつもの日陰少女服に身を包んだぱちゅりー様が自信満々の表情で休憩中の私を呼び出したんです。
どうしていつも休憩中なんでしょう? 新手の嫌がらせかもしれません。
・・・でもぱちゅりー様と居る時間は楽しいからいいのですけど。
「小悪魔。ちょっとそこに立って」
「はい? ここですか?」
「ほわたぁ!」
「ひゃんっ」
「なっ! 巨乳のせいで新胆中まで指が届かないだと!?」
「い・・・・・・」
「い?」
「いゃぁ~~~~~~!!」
「ひでぶっ!!」
「こあぁぁぁパチュリー様ぁぁぁ!」
いやぁびっくりしました。ぱちゅりー様はいきなり私のさくらんぼにピンポンダッシュをされたのです。
心の準備をしていなかった私は、バッシィン!とコアクマスナップをぱちゅりー様の頬にクリティカルヒットさせてしまいました。
ぱちゅりー様は勢い良く吹き飛び本棚を10個ほど貫いたあと、倒れた本棚と大量の本の下敷きになってしましました。
そして倒れた本棚は後ろの本棚を次々を倒して行きました。
倒れた本棚から飛び出した本が魔方陣を描き、そこからでた弾幕が掃除用具のバケツを撃ち落としてしまいました。
それを被ってしまった妖精メイドが別の妖精に叩かれて方向転換しながら落とし穴に誘導されて、穴の先に置いてあったバネで勢いよく飛び出したかと思うと、そのおしりには文字が書かれた旗が沢山付いてました。
『こうまかんスイッチ♪』ってなんでしょう?
短い歌が流れた後、急にガラガラガラと山積みになった本が崩れてきました。
そっちを見てみると、なんとぱちゅりー様が立っておられたのです!
倒れていく本棚を見ていてぱちゅりー様のことを忘れていたのではないか? そんな小さなことはどーでもいーんですよ!
あれだけのダメージを受けてまだピチュらないなんてまさに奇跡なんです!
ただ気になったのは、ぱちゅりー様が上半身裸でしかも超マッスル、つまりマッチョリー様になっておられたんですよ!
さすがの私もこれにはびっくりです。マッチョになったとはいえ、おっぱい丸出しで恥ずかしくないのでしょうか?
でもそこは雑用係かつマッチョリー様の側近。すぐに私の上着を着せようと駆け寄ったのですよ。私かっこいい!
「パチュリー様!?」
「北○神拳奥義 天龍呼吸○。それは静から動へとげほっ」
「よかったパチュリー様生きておられたんですね!救出が遅れて申し訳ありません。決して忘れていたわけじゃなくてですね。あ、とりあえず之を着てください。風邪引きますよ」
「小悪魔、ありがげほっげほっぶほぁっ!」
「あれ、パチュリー様? パチュリー様ぁぁぁ!」
しかし喘息は治ってなかった為か、ぱちゅりー様は舞った埃に喉をやられて、倒れてしまいまみた。
・・・
「失礼。かみまみた」
「で?」
レミリアは紅茶を一口飲んで一言だけ声を発した。
しかしその一言は的確に今の空気を表している。
無意味、無関心、ぶっちゃけうざい、巨乳死すべし。
「以上です」
小悪魔もレミリアに一文だけ返す。
あとは言わずもがなという目をしている。
レミリアがじっと見つめていると、瞳がキラキラと輝きだした。
何かを期待するようでいて、無邪気な輝きだ。
恋する乙女な私17歳☆と言っているスキマ妖怪と同じ目というと分かりやすいだろうか。
「紅秘儀:アイブレイク」
「きょあ!?」
うさんくさい目を潰されて紅い絨毯の上を転がる小悪魔。
綺麗なふとももは見えていても、絶対におふぁんつが見えないところが小悪魔っぽさのアピールだろうか。
美鈴がここに居たら間違いなく当たり一面血の海だ。
「で、マッチョリーもとい、パチェの様子がどうおかしいのかしら?」
「帽子の月が三日月から満月になってたんですよ」
・・・
一瞬の空気の硬直。
咲夜が気を使って時間を止めたのかもしれない。
「……はい?」
「だから帽子の月が三日月から満月になってるんです」
「……」
「……・こぁ?」
レミリアは「女は黙ってグングニル」と体で表していた。遠投まであと10秒。
「こぁ! だってぱちゅりー様といえば三日月ですよ!?」
遠投まであと5秒。バチバチと力がみなぎっているのが分かる。
「以前どうして三日月なんですか?って聞いてみたのですよっそうしたら」
遠投まであと3秒。今宵の満月ぱうわぁは絶好調だ。
「「私には欠けているものがあるの。だから三日月なのよ」って仰ってて、それでおかしいと思ったのですよ!」
満を持して、グングニルがふるぱぅわーで投げられた。
ただし湖の方に向かって……………………\あいた/
一方的に行なわれたレミリアVSチルノ戦は、2-0でレミリアの完全勝利で静かに幕を閉じた。
「なるほど。そういうことね」
「こ、こぁ~……死ぬかと思いました」
レミリアは何かに納得したのか、うんうんと頷いた後、女の子座りをした半泣きの小悪魔に目線を合わせてある一言を口にした。
「――貴女の存在が私の心を満たした」
「こぁ! ぱちゅりー様の詩集第184巻82541ページ4行目ですね! 昨日更新されていたので読ませていただきました!」
「そういうことよ。おめでとう小悪魔。心から御祝いするわ」
「こぁ?」
「心配しなくてもいいから図書館に戻りなさい。パチェがまっているわ」
「こぁ~? 分かりましたー」
さっきまで震えていた小さな羽根を羽ばたかせ、大きな胸を揺らしながら小悪魔は部屋から出て行った。
その背中を見つめながらレミリアは呟いた。
「巨乳しすべし」
数分後、世紀末と化している図書館にて。
「はぁぁぁぁぁぁ・・・・・・『天○活殺』!!」
「ぱ、ぱちゅりー様!? こあぁっぁぁあ!!」
次の日、晴れやかな結婚式が紅魔館で開かれたが、新婦だけ何故か後ろ向きに歩いていた。
めでたしめでたし?
――貴女の胸を射止めるにはどうすればいいのかしら。
言葉は無理。伝えたいことを言い切るまえに息が続かない。
文字は恥ずかしい。ずっと残ってしまうもの。それは私が耐えられない。
どうしたらいいの? ねぇ、貴女しっているなら教えて頂戴。
『パチュリー詩集第69巻1151ページ44行目より』
あの曲が頭の中で流れたw
パチェこあに幸あれ
誤字かと思いましたが・・・此処もかんだという事?
おっと申し訳ない、診察の時間でしたか。永遠亭行ってきます。
やぁうどんげちゃん。今日もいい目をしているね。
>ちょっと医者になってくる
えーりん先生に弟子入りだと!?そんなこと俺がゆ"る"さ"ん"!
>なんだこれは、笑いが止まらないwww
楽しいひと時を過ごしていただけたなら、それだけで幸せでございます。
体はネタで出来ている。血潮はノリで、心は勢い。 幾たびの(ry
>あの曲が頭の中で流れたw
さぁ早く本棚が倒れていく様子を幻視し、途中の音楽も脳内再生させる作業に戻るんだ。
>知識の魔女に世紀末が加わり最強に見えたと思ったが喘息のが強かった
北○百むきゅ拳は最強ですが喘息のせいで息が続きません。なんという悲劇。
むしろ北○百むきゅ拳食らいたいのに、食らえないのが悲劇なんやな。
>誤字かと思いましたが・・・此処もかんだという事?
誤字報告ありがとうございます。小悪魔も噛んだし僕もかみまみた。
むしろ噛んだということにしておきましょう。そのほうがかわいいし。