白玉楼の昼下がり
畳敷きの古風な和室に、年代物の文机。
その上に置かれた半紙に魂魄妖夢は筆を走らせていた。
ちょんちょん、まる。
「こんなものかな」
ニ、三度読み返して納得がいったのか、その書き連ねた和紙の間に吸い取り紙を仕込み、
束ねて置く。
「ごめんくださーい」
「はーい」
そう呼ばれて慌てて駆け出す妖夢。
声からすると、八雲家の優秀なほうの式神だろうか。
しっぽもふもふできたらいいな、と、思ったのが悪かったのか、
それまで書いていた和紙を文机の上に置きっぱなしとしてしまい、結果として
きらーん
白玉楼のお嬢様の餌食となったのだった。
「妖夢」
「……」
「ね、私が悪かったわ。だからこっちを向いて」
「……」
いらえもない。
幽々子から見えるのは、「私怒ってます」とでもいいたげな背中だけだ。
妖夢が九尾の狐とちょっとした世間話をした後、(尻尾は触らせてもらった)
後始末の途中だったことを思い出して、先ほどの部屋に戻ってみれば。
「あらあらあらあら」
興味津々で妖夢の書いた文章を読みふける幽々子が居たのだ。
それからの妖夢は頑固だった。
「幽々子様のばか」
幽々子の弁解もなんのその。
その一言だけ言ったかと思うと、妖夢はその場に正座をして、まんじりとも動かなくなってしまった。
顔を見ようと正面に回ろうとしようとするも、妖夢は背中に目がついてるかのごとくくるくる
回って決して顔を見せようとしない。
果たして、幽々子の全面降伏となったわけである。
いつもとは逆に、まるで幽々子が妖夢の機嫌を取っているかのようだ。
「妖夢がそんなに私に見せたくなかったとは思わなかったのよ。
だって、妖夢が書いたお話、ちゃんと面白かったんだもの」
ピクッ
妖夢がわずかに反応を見せた。
これは脈ありと見て幽々子は続ける。
「めるひぇんっていうのかしら。
ふわふわかわいらしい、砂糖菓子みたい良いお話だったわよ」
「……それが、よくないんです」
背中越しに、初めて妖夢が口を開く。
「私は剣士、幽々子様をお守りする警護役。
それならば世の全ては、筆ではなく剣で語るべきなのです。
そんなふわふわしたところを幽々子様に見られては……」
「あらいいじゃない。
妖夢は私の警護役であるかもしれないけど、一人の女の子でもあるのよ。
ちょっと位ふわふわしたところがないと、私、心配よ。それに」
ちょん、と妖夢の書いた冊子を掲げて言う。
「ちゃんと先を書いてくれないと気になってご飯も咽を通らないわ」
畳敷きの古風な和室に、年代物の文机。
その上に置かれた半紙に魂魄妖夢は筆を走らせていた。
ちょんちょん、まる。
「こんなものかな」
ニ、三度読み返して納得がいったのか、その書き連ねた和紙の間に吸い取り紙を仕込み、
束ねて置く。
「ごめんくださーい」
「はーい」
そう呼ばれて慌てて駆け出す妖夢。
声からすると、八雲家の優秀なほうの式神だろうか。
しっぽもふもふできたらいいな、と、思ったのが悪かったのか、
それまで書いていた和紙を文机の上に置きっぱなしとしてしまい、結果として
きらーん
白玉楼のお嬢様の餌食となったのだった。
「妖夢」
「……」
「ね、私が悪かったわ。だからこっちを向いて」
「……」
いらえもない。
幽々子から見えるのは、「私怒ってます」とでもいいたげな背中だけだ。
妖夢が九尾の狐とちょっとした世間話をした後、(尻尾は触らせてもらった)
後始末の途中だったことを思い出して、先ほどの部屋に戻ってみれば。
「あらあらあらあら」
興味津々で妖夢の書いた文章を読みふける幽々子が居たのだ。
それからの妖夢は頑固だった。
「幽々子様のばか」
幽々子の弁解もなんのその。
その一言だけ言ったかと思うと、妖夢はその場に正座をして、まんじりとも動かなくなってしまった。
顔を見ようと正面に回ろうとしようとするも、妖夢は背中に目がついてるかのごとくくるくる
回って決して顔を見せようとしない。
果たして、幽々子の全面降伏となったわけである。
いつもとは逆に、まるで幽々子が妖夢の機嫌を取っているかのようだ。
「妖夢がそんなに私に見せたくなかったとは思わなかったのよ。
だって、妖夢が書いたお話、ちゃんと面白かったんだもの」
ピクッ
妖夢がわずかに反応を見せた。
これは脈ありと見て幽々子は続ける。
「めるひぇんっていうのかしら。
ふわふわかわいらしい、砂糖菓子みたい良いお話だったわよ」
「……それが、よくないんです」
背中越しに、初めて妖夢が口を開く。
「私は剣士、幽々子様をお守りする警護役。
それならば世の全ては、筆ではなく剣で語るべきなのです。
そんなふわふわしたところを幽々子様に見られては……」
「あらいいじゃない。
妖夢は私の警護役であるかもしれないけど、一人の女の子でもあるのよ。
ちょっと位ふわふわしたところがないと、私、心配よ。それに」
ちょん、と妖夢の書いた冊子を掲げて言う。
「ちゃんと先を書いてくれないと気になってご飯も咽を通らないわ」
ああ、書くだけじゃなく実際にちゅっちゅすればよかろうなのだ…
『ふわふわちゅっちゅ』になる事間違いなしですよー。
幽々子様だけじゃなく僕までご飯が食べられないwww
御馳走様です!!