作品集45 「くせなおしガスが散布されたようです」のちょっと前のお話です。
「どうぞ」
「あら、ありがとう」
小悪魔が紅茶を入れてくれるのもすっかり日常になった。
最初はひどい味だったが、今ではこれが無いと落ち着かない。
お茶菓子までセッティングしたところで声をかける。
「下がっていいわよ」
「それでは失礼します」
小悪魔はいつものように頭を下げ、ゆっくりと扉に向かって歩く。
その後姿を見ながら、私の目はただ一点に集中していた。
尻である。
小悪魔のお尻はよい。
ぷりぷりした尻はもちろん良いし、きゅっと締まったのも良い。
だが最も良いのはタイトスカートにつつまれた尻だ。
小悪魔のお尻はその条件を完璧に満たしている。
私が彼女を召還した際にもっとも重視した点はこれだ。
図書館司書の制服にこれを採用したのも私の仕事効率を上げるためである。
良い尻は私のモチベーションを上げるし、徹夜仕事でしょぼしょぼした目を慰めてくれるのも尻だ。
さわることなどとんでもない。相手に気づかれてしまうではないか。
自然に咲く花が一瞬のきらめきを見せるように、飾らない尻にはそのよさが在る。
下着で矯正するのは私の趣味ではない。
そう、良い尻をみることは、良い書を見ることに通じる。
目の前にあるものを繊細に観察し、足りないものは想像で補い、そこから新しい何かを得る。
ほら、やることは変わらないではないか。
そんな思考を走らせているうちに、小悪魔が扉を閉じて退出する。
今日も良いものを見た。
紅茶を啜りながら私はさっきの光景をかみ締めるのだった。
さすがはパチュリーさん、尻魅力について良く判っていらっしゃる。