「ようパチュリー。なに読んでるんだ?」
「今週の『Magic』よ」
魔女会の最中、私はパチュリーに声をかけた。
珍しく分厚いハードカバーでなく、薄い本を手にしていたのに気がついたからだ。
「マジック?そのまんま過ぎて何の本か分からんな」
「魔界出版発行の魔術専門学術雑誌よ」
「学術雑誌?それはつまり自分の研究内容を発表するってことか?
魔女の掟も適当になったもんだな」
「あら、人間の癖にずいぶん古い考えに毒されてるのね。最近の流行は選択と集中。
複雑になりすぎた魔術を浅く広く修めるのではなく、情報交換を積極的に行って、専門分野のトップを目指すのが私の魔女の理想像よ」
「いや、私は師匠から魔術は秘匿するものだと習ったぜ」
「そうね、魔女狩りの時代ならそれが正しかったわ。
でも、今は魔女を迫害する者もいないし。
それに魔界では昔からこっちのほうがメジャーな考え方よ?」
パチュリーは相変わらずどこ出身なのか分からないことを言う。
その話にアリスが乗ってくる。
「そうね、私はずっと魔界育ちだったから、かえって秘匿する方が違和感を感じるわ」
「それだったらお前の魔道書、私に見せてくれよ」
「いやよ、だれが自分のアイデアをわざわざ剽窃されるような危険を冒すもんですか。
まあ、後百年ぐらいあったらこの内容の研究もまとまるだろから、それからなら見せてあげてもいいわよ」
「そのころには私は生きてないだろうぜ?」
肩をすくめてそう言う。
「まあ、これと『Sorcery』ぐらいは読んどきなさい。
魔界でも有数のIF値(shInki Factor)を誇る権威ある学術雑誌よ。
最新の研究動向を把握しておくことは悪いことじゃないわ」
そういって(本当に珍しいことに)快く先週分の雑誌をパチュリーに貸してもらった。
それからしばらくして。
「意味がわからないんだぜ……」
自分でも憔悴したと思える顔で私は紅魔館を訪れていた。
ここ最近は貸してもらった雑誌二つを読むのに費やしたが、
「まさか全部魔界語だとはおもわなかったぜ」
魔法は魔界が本場。当然、雑誌に載っている論文もほとんど魔界語だ。
辞書を引きながらゆっくり読んだが、研究内容自体が高度すぎて訳がわからなかった。
恥を忍んで今日の魔女会で先輩二人に教えてもらうことにしたのだ。
「まあ魔界でも超一流の雑誌だからね。
でも、せめて自分の専門分野くらいは分かりなさいよ。」
小悪魔に紅茶を注がせながらパチュリーが言う。
「でもあんまり私の専門ってあんまり載ってないんだよな。星の魔法って天文と占星術が基本だろ?
そっからパワーに走るのはなかなかなくてな」
「そういう意味じゃああなたの研究はオリジナリティがあるといえるのかもね。
それこそどっかに投稿してみたらどう?
私魔界語ネイティブだから添削ぐらいならしてあげるわよ」
アリスも紅茶のおかわりを頼みながら言った。
「そうはいっても私、他人に魔法技術を公開するのは抵抗があってなあ」
「あら、魔界でもトップクラスのh指数(Hieda-index)を誇るアリス・マーガトロイドの指導を断るなんて、魔理沙は贅沢者ね」
「ちょっとパチュリー。あなたこそこの間、精霊魔術学会のBest Paper Awordもらってたじゃない」
どうやら雑誌に投稿したことが無いのは私だけらしい。
「そうだな、気が向いたら書いてみるとするかな」
後付けの話でも十分納得しました
そして魔理沙が田舎者!
すみませんでした
あと小悪魔が子悪魔になってる点が少々気になりました。
2つの雑誌はネイチャーとサイエンスかな?
異世界の魔界じゃ関係ないね!
神綺自身が魔法で魔界作っちゃってるわけだし