「ひーまー!」
「妹様、ライブラリーでは静かにして」
「だって、暇なんだもん」
フランドールは木製の椅子に腰掛け、足をぷらぷらさせている。
少し、頬を膨らませていたりなど、行動が幼いことがうかがえる。
パチュリーは溜め息を吐く。
「ならレミィに遊んでもらえば良いじゃない。レミィがこの前、妹様と朝までジョグレス進化したいって言ってたわよ」
「多分私のしたいタイプの遊びじゃないから嫌」
「わがままねぇ。大体さっきまで読んでた文庫本はどうしたの?」
「んー? これ?」
机の上に置かれた文庫本に手を伸ばす。座ったまま取ろうとするが、届きそうで中々届かない。バランスを崩し倒れそうになる。
「危ないわよ」
「あ、ありがとうパチュリー」
斜めになり、倒れかけた椅子をパチュリーが支えてくれた。
「いえ、お礼を言われることはしてないわ」
「え?」
フランドールがパチュリーを見ると、パチュリーはめっさ笑顔だった。
嫌な汗が、背中を伝う。
「一度安心させておいて次の瞬間、それを裏切ってみるわ」
「う……わわっ!? うにゅ!」
支えていた手を離す。
それにより、フランドールは椅子ごと崩れ落ちた。
衝撃でスカートが捲れ上がっていたりと、いろいろ危なかっしいポーズだ。
「パチュリー酷い!」
「妹様、まさか……そんな」
「え?」
「何も下に穿いてないなんて……」
「なっ!? ちゃんと穿いてるよ! ドロワーズ穿いてるよ! ほら、見て!」
「あら、自分から下着を見せつけるなんて、妹様意外にえっちね」
「あぁもう! なんなのよ!」
わざとらしく恥ずかしそうに言うパチュリーを、壊してやりたくて仕方無いと思うフランドール。
「まぁこんなつまらない冗談は置いといて」
「どこからどこまでが冗談だったのか分からないよ」
「妹様、暇なら趣味を作るのはどうかしら?」
「え、趣味?」
意外にもまともな意見に、少しキョトンとする。
フランドールは考える。今まで確かに趣味らしきものは特に無かった、と。
「でも、どうすればいいのかなぁ」
「好きなものを趣味にすればいいのよ。例えば私なら読書、小悪魔なら日記、レミィなら暇潰し、咲夜なら日記、美鈴なら日記とか」
「日記率高いね!?」
「まぁ良いじゃない。妹様も日記つけてみる?」
うみゅ、と悩むフランドール。
館からあまり出られないフランドールにとって、日々を綴ることが楽しいか、いや、さほど楽しくは無いだろう。
「う~ん、日記は嫌」
「そう。なら他に……そうだ妹様、小説を書いてみたら?」
「うにゃ? 小説?」
「そ、案外楽しいかもしれないわよ」
「でもアイディアが浮かばないし……」
「適当で良いのよ。例えば『レミィの奇妙な冒険』とか『レミィの美味しいレストランンンッ!』とか『魔法先生魔理沙!』とか」
「ちなみにパチュリーは書いたりしてるの?」
「私? 秘密よ」
本で顔を隠しながら、パチュリーはそう言った。
小説、たった二文字の単語だが、非常に重苦しくフランドールは感じた。
「う~ん、私には似合いそうに無いよ」
「なら絵本は?」
「絵本かぁ……」
「いろいろあるじゃない。『傘血像』とか『桃色太郎』とか『妬まし太郎』とか『ミスティアの恩返し』とか」
「私には根本的に書くってこと自体が似合わない気がするよ」
フランドールは自分が小説を書いていたり、絵本を作っている姿が想像出来なかった。
ふむ、とパチュリーは顎に手をやり、考える。
「やっぱりレミィとジョグレスするのが妹様にとって一番楽し――」
「違うから!」
「まだ話してる途中だったのに……」
むきゅう、となるパチュリー。
「まぁ無理に趣味を作る必要も無いけど」
「パチュリーが言ったんじゃん」
「あくまでも勧めただけで、強制的に作れとは言ってないわ。妹様、今凄く悩んでるじゃない? そんな悩んでまで作れとは言わないわ」
「でも、暇だし……」
「暇ならいつでも相手してあげる。レミィだって、美鈴だって、咲夜だって、小悪魔だって、みんな相手してくれるわ。それじゃあ駄目かしら?」
滅多に見せない笑顔で、そう言うパチュリー。
なんとなく、目を逸らし俯いてしまう。
「駄目じゃあないけど……それじゃあみんなに迷惑がかかるじゃん」
「あら、迷惑だと思ってたら少なくとも私は、図書館から追い出して結界を張るなりしてるわよ。レミィだって迷惑なら問答無用で地下に幽閉したりするでしょう」
「……うにゃ」
ポンと頭に手を置かれる。
「むぅ~子ども扱いしないでよ。パチュリーより年上で大人なんだからぁ」
「そう、それは失礼したわね」
軽くクスッと笑って、手をどける。
フランドールは、ずれた帽子をギュッと押さえる。
「さぁ、行ってらっしゃい」
「え?」
「レミィのトコ。なんだかんだで、レミィは楽しく遊んでくれると思うわ」
「パチュリーは遊んでくれないの?」
「私よりレミィと遊んだ方が妹様は楽しくなれるというだけよ。せっかく今日はレミィが居るのだから、遊んでもらって来なさい」
レミリアは最近外出していることが多い。咲夜を連れて、神社へ行っているのだろう。
だから、パチュリーは今日は遊んでもらえば良いと言う。
最近、あまりフランドールとレミリアが会話を交わすとこすらない。
「私、パチュリーと話してるのも楽しいよ?」
「ありがとう妹様。けどね、レミィはたった一人の姉でしょう。ちゃんと甘えられる人には甘えた方が良いわよ」
「ぅ……」
「お姉様大好き~ちゅっちゅはみはみ、とかいつも妹様が言ってるように言えばレミィ喜ぶわよ」
「そんなこと言ってないよ!?」
「それに、そろそろちょうどレミィが起きる頃」
「え?」
「ちゃんと捕まえておかないと、神社に行っちゃうかもしれないわね」
「ぅみゅ……」
神社へ行ったなら、大体夜になる前くらいまで帰って来ない。
しかも、帰って来たら来たで、すぐ眠ってしまったりする。
「さぁ、行ってらっしゃい。私なら比較的いつでもここに居るけど、レミィは自由人だから分からないわよ」
「う……うん!」
フランドールは立ち上がる。
「ありがとうパチュリー!」
そう言って、図書館から出て行った。
ふぅ、と溜め息を吐くパチュリー。
「レミィも妹様も、世話がやけるわ」
「パチュリー様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃっ!?」
突然、背後から小悪魔に勢いよく抱き付かれ、思わず可愛らしい声を上げてしまう。
「な、何よ小悪魔!」
「いや、さっきパチュリー様がフランドール様に『甘えられる人には甘えた方が良い』って言ってましたから、私はパチュリー様に甘えようかなと」
「……ロイヤルフレアと賢者の石、どっちが良いかしら?」
「ちょ!? パチュリー様!?」
「……はぁ」
溜め息を吐き、小悪魔の腕の中を移動して、正面を向く。
そして、小悪魔の頭に手を置き、髪を指先で優しく梳く。
「え、ちょ、パチュリー様!?」
「たまには貴女を労ってあげよかな、なんて思った」
小悪魔はくすぐったいのか、少し身をよじった。
「パチュリー様、嬉しいのですが理性がもちそうにありません」
「……あんまり調子に乗るようなら、葬り去ってあげようかしら」
「あー、でも今なら葬り去られても幸せのまま消え去れそうです」
「……バカ」
喉飴さんのパチュリーはこうじゃないとね。
それでいて綺麗に締める所もニクイぜ
小悪魔じゃなくてもメロメロだぜ
もちろん次は「レミフラ」ですね?
喉飴さんは好きな飴玉は何ですか?
自分は甘露飴です!
しかし相変わらずナイスなパチュこあ
さぁもっと小悪魔さんを労ってあげて
そしてベッドに連れ込まれてしまへwww
これしか言えない。
物凄く迷惑そうな趣味ですなw
二次創作である限り、書く人によってキャラクターには差が存在するものですが、喉飴さんのところのパチュリーも姉妹に挟まれて苦労しているようですねw
ちょっと昔の作品を意識しつつ書きました。
楽しんでもらえて幸いでぃす!
>>2様
私もパチェさんにメロメロです。
>>ふぶき様
私はいろんな飴好きですよ~最近は10円のあわ玉キャンディーを買いました。
>>4様
ジョグレス進化したら凄いことになりそうですw
>>5様
ここには投稿出来ない内容になりますねww
>>奇声を発する程度の能力様
糖分30%ですぜ。
>>無在様
ちょちょっと運命操作されたりw
普段ふざけつつもなんだかんだで世話焼きなパチュリー、といった感じですかねw
というかフランの言動がいちいち可愛くて破壊力抜群すぎるwww
「エクスフラドル!」
「Stingレミィ!」
「「ジョグレス進化ぁぁぁっ!!」」
『パイルフラレミ!……ってレミフラじゃないの!?』
『お姉さま……これが、反逆よっ!』
こうですね、分かりません。
かつてのジューリーノ先生の片鱗がまだ消えていなくて良かったです。
面白かったのです。
ぺこり。
ぜひフランちゃんに執筆して頂きたい。
お話30点、テンポ31点、キャラクター42点
3つ合わせて103点