真夜中。
草木が眠り月が浮かび風祝が小さな寝言を囀る頃。
八坂神奈子と洩矢諏訪子は一枚の紙を挟んで顔を突き合わせていた。
間に広げられているのは、簡単な幻想郷の地図。
人の里を中心として、博麗神社や紅魔館、魔法の森などがざっくばらんに記されている。
余白部分には、余り所在が知られていない永遠亭や白玉楼が、彼女たちによって書き加えられていた。
さらりさらり――神奈子が地図へと幾つかの小さな円を描く。
「……こんなもんかね」
筆を柔らかく奪い、諏訪子が北東――妖怪の山に大きく丸をつけた。
「此処も。ちょいと古い地図だからね。ウチが載ってない」
加えたのは、『此処』、つまり、彼女達が住む守矢神社。
「……いいの。私がつけた円は信仰の集まり具合なんだから」
「尚更、此処が一番大きいと思うんだけど」
「いいったらいいんだ」
筆を奪い返し、己がつけた円をなぞる。
神奈子の意味のない行為に諏訪子は苦笑いを浮かべた。
否定したわけでもないのに意固地な態度をとられても困る。
諏訪子は地図へと視線を戻す。
博麗神社をはじめとして、人の里、紅魔館、白玉楼など、様々な場所に円は書かれていた。
円の大きさは概ね等しく、だから、神奈子の言葉には無理がある。
信仰の集まりは勿論のこと、場所場所によって変わるのだから。
故に、神奈子がつけた円の意味は、分社のある地点だと推測できた。
諏訪子は思う。
此方に来てからまだ僅かしか経っていない。
だと言うのに、よくぞこれほど分社を建て、信仰を得ているものだ、と。
幻想郷には元より神々を敬う下地がある。
此処には山があり河があり――自然があった。
要は、その権化とも評される彼女達を受け入れるのも容易だったのだ。
とは言え、何もしないで信仰が集まる訳でもない。
神奈子の、否、神奈子と諏訪子の風祝、東風谷早苗の奮闘があってこそだ。
西へ東へ、早苗は幻想郷を飛び回る。
博麗神社や人の里、紅魔館に分社を建てられたのは、まさに彼女のお陰だろう。
諏訪子の頭に、早苗の姿が浮かぶ。
童。
少女。
そして、――。
あんなに小さかった童が、大きくなったものだ――諏訪子は目を細め、低く笑った。
「……もうちょっと欲しいわねぇ」
「いや、十分だろ。下手したら、もうあんたより大きいんじゃないか」
「何の話よ、なん……あぁ、うん、胸か。ガン見するな。あんたは昔から硬いままねぇ」
「硬い!? 小さいとかぺったんとかじゃなくて、硬い!?」
「うん。硬いじゃん」
「硬いけど!」
どぅどぅ。
今まさに揉みかからんとする諏訪子を押さえ、神奈子は自身の台詞を補足する。
「欲しいって言ったのは、信仰よ信仰。この頃、頭打ちなのよねぇ……」
「なんだ、そんな事か……って、そうなの?」
「そうなの」
鸚鵡返しの頷きに、諏訪子もふむと腕を組む。
一拍後、あっけらかんと言った。
「まぁ、いいじゃん」
「そうねぇ、いいかーって、いい訳あるかぁ!」
父符‘ちゃぶ台返し‘。
妙に堂にいっていたが、問題が二つ。
神奈子は男神ではなく、ちゃぶ台もなかった。
ひらひらと舞う地図を畳に戻し、諏訪子は笑いながら続ける。
「そりゃ信仰はあるに越した事はないよ。
だけど、あんたの力も大分戻ってきたろ?
だったら、後は時間の経過に任せればいいじゃないか」
一度根付いた信仰は、緩やかに、だけれど確実に神奈子の力の元となる。
諏訪子はそれでいいと想っていた。
急く必要はない。
笑む諏訪子に、それでも神奈子は言葉を返す。
「そう言って早苗が満足するなら構わないけどね。でも、あの子は満足しない。それに……」
視線が逸らされる。
神奈子は再び地図に向かった。
また無為に円をなぞるのだろうか――今度の推測は、外れた。
円はなぞられた。否。重なる様に加えられた。重ねられたのは、諏訪子の描いた円。
加えられたのは、大きな大きな、湖。
「……あんたの力は、まだ十分と言えないだろう」
弾かれたように諏訪子は顔をあげ、神奈子を見る。
神奈子は未だ下を向いたまま、円を重ねていた。
無為な行為だ。
――けれど、諏訪子には堪らなく愛おしく想えた。
「ふん……その通りだよ、馬神奈子」
「んだとぉ! 誰が馬鹿だ、誰が! 婦符‘ちゃぶ台返し‘!」
「いや、それ意味ないって。――ちょいと待ってな。酒持ってくるから」
追撃――オンバシラ――を容易にかわし、襖へと歩く。
「真面目な話だから酒はなしってあんたが、あ、こら、神の声を聞けー!?」
喚く神奈子を残し、諏訪子は足早に部屋を出た。
振り向く事なく、台所へと走る。
火照る頬が、彼女を急かした。
「素面でいられるかってんだ」
お酒入りまーす。本篇ここからでーす。
「いい? 早苗が友達――霊夢や魔女々々呼んでんだから、さっきみたいな大声は厳禁だよ。って言うか、怒られた」
「わかってるわかってる。で、その酒は――!? そ、それはっ!」
「銘酒‘神殺し‘……神奈子、好きだろ」
「好き! 大好き! 喉を焼くような味わいが……あぁ!」
「静かにって言ってんでしょうが。……ま、まぁ、でも、好きなものはしょうがないよね。繰り返してもいいデスヨ?」
お酒入りましたー。
「だっかっら! 信仰得る為にゃ現世利益打ち出していかなきゃ駄目なのよ!」
「むぅ、確かに。七福神の連中とか、無駄に羽振り良かったもんねぇ」
「でっしょ!? よっし、明日から私は幻想郷の豊穣神となる!」
「や、元から農業神。ん、秋姉妹の仕事、とっちゃうの?」
「やっぱ止めた!」
酔いましたー。
「よし、こうしよう! 私とあんたがフフフになる! 乾坤一つになれば出来ぬ事など何もない!」
「ダメよ、だめ、駄目駄目よ! そんな漠然とした能力、見向きもされないわ!」
「そ、そっか。……そんなに駄目駄目言わなくても」
「だって……! もっと具体的な利益じゃないと、あんたが早く戻れないじゃないの!」
「よしわかった神奈子。とりあえず、利益云々は置いといて、フフフになろう。漢字表記は婦々婦」
良い感じに回ってきましたー。
「なぁ、じゃあ、こう言うのはどうだろう。分社で水の供給。神様がくれた水。『ケロちゃんが愛した水』」
「いつの間にかアルプスから奥大山に変わるのね! でも、私は軟水より硬水の方が好きよ!」
「あー、神奈子、ミネラル足りてないもんねぇ。ぶっちゃけ、便秘」
「か、神様はご不浄なんてしません!」
「ふふ、違うよ、神奈子」
「――神奈子は、ご不浄なんてしないんだ」
「あぁ、諏訪子! 抱いて!」
「神乳‘洩矢の鉄の胸‘!」
「やん、かたーい!」
止まりませーん。
「さっきの、分社に何か置くってアイデアはいいわね。頑張ってお粥作っちゃう!」
「うん、すぐに腐りそうだから止めようか」
「む。だったら、私も水か」
「いやいや。酒なんてどうだい? 神奈子の酒。旨そうじゃないか」
「諏訪子……。わかったわ。でも、その名前じゃ捻りがないわね。何かないかしら」
「神奈子が作るんだよ? 決まってるじゃん。――『神奈子を愛でる酒』。決まりだね」
「あぁもぉ! 愛でて、諏訪子!」
「っしゃ、二回戦っ!!」
止まりませーん。
「はっ!? 私と諏訪子の酒と水があるのに、早苗が何もないなんて駄目よ!」
「考えているに決まっているじゃない! 早苗はミルク!」
「で、出ません! あの子からそんなのは出ません!」
「って言うか好きだなこのネタ! じゃあ、果物方面でどう!?」
「いい! 凄くいい! 酒、水、ジュース! かんっぺきねっ!」
「『神奈子を愛でる酒』!」
「『ケロちゃんが愛した水』!」
「そして、そう――」
二柱の声が、体と同じく重なった。
「『早苗のラ――」
――熱を持った輝きが、彼女達を覆う。
――幾多の小さな人形が、彼女達へと迫る。
「日符‘ロイヤルフレア‘!」
「呪符‘ストロードールカミカゼ‘っ」
「奇跡‘ミラクルフルーツ‘ぅぅぅっ!」
――赤い線の様な弾幕が、彼女達を貫いた。
「ブジげふぁ!?」
ピチューンピチューン。
息まき顔を赤らめる風祝と人形遣い、魔女の後ろで、巫女と魔法使いは首を傾げていた。
「……なぁ、霊夢。煩いのを注意しに来ただけなのに、なんでアイツらはあんなに怒ってんだ?」
「さぁ……? ち、ちょっと早苗、弾幕でグリグリしない! 痛そうだから!」
日が明けましたー。
神奈子と諏訪子は、早苗に改めて昨晩の経緯を説明した。
幾度か弾幕が撃ち込まれたが、全てを聞き終え納得する早苗に二柱は安堵の息を零す。
早苗は彼女達の風祝と言う立場であったが、彼女達にすればその一言で終わる関係でもなかった為だ。
以降、幻想郷の方々にある守矢神社の分社では、彼女達の名を冠した飲料が置かれることと、あいなった。
「緑茶! 緑茶ですからね!」
「なー、早苗。『早苗のラブグリーンティ』ってネーミングは凄くどうかと思うぞ。なぁ」
「凄くどうかと思う。弾幕に『フルーツ』ってあるんだから、……ら、な、なんでもないっ、なんでもない!」
「……霊夢も意外と」
「アリス。顔が小悪魔じみてるから止めなさい。って、早苗も! 嬉しそうにしない!」
――そして、彼女達の望みどおり、徐々にではあるが信仰の集まりもよくなったそうな。
めでたしめでたし。
<了>
草木が眠り月が浮かび風祝が小さな寝言を囀る頃。
八坂神奈子と洩矢諏訪子は一枚の紙を挟んで顔を突き合わせていた。
間に広げられているのは、簡単な幻想郷の地図。
人の里を中心として、博麗神社や紅魔館、魔法の森などがざっくばらんに記されている。
余白部分には、余り所在が知られていない永遠亭や白玉楼が、彼女たちによって書き加えられていた。
さらりさらり――神奈子が地図へと幾つかの小さな円を描く。
「……こんなもんかね」
筆を柔らかく奪い、諏訪子が北東――妖怪の山に大きく丸をつけた。
「此処も。ちょいと古い地図だからね。ウチが載ってない」
加えたのは、『此処』、つまり、彼女達が住む守矢神社。
「……いいの。私がつけた円は信仰の集まり具合なんだから」
「尚更、此処が一番大きいと思うんだけど」
「いいったらいいんだ」
筆を奪い返し、己がつけた円をなぞる。
神奈子の意味のない行為に諏訪子は苦笑いを浮かべた。
否定したわけでもないのに意固地な態度をとられても困る。
諏訪子は地図へと視線を戻す。
博麗神社をはじめとして、人の里、紅魔館、白玉楼など、様々な場所に円は書かれていた。
円の大きさは概ね等しく、だから、神奈子の言葉には無理がある。
信仰の集まりは勿論のこと、場所場所によって変わるのだから。
故に、神奈子がつけた円の意味は、分社のある地点だと推測できた。
諏訪子は思う。
此方に来てからまだ僅かしか経っていない。
だと言うのに、よくぞこれほど分社を建て、信仰を得ているものだ、と。
幻想郷には元より神々を敬う下地がある。
此処には山があり河があり――自然があった。
要は、その権化とも評される彼女達を受け入れるのも容易だったのだ。
とは言え、何もしないで信仰が集まる訳でもない。
神奈子の、否、神奈子と諏訪子の風祝、東風谷早苗の奮闘があってこそだ。
西へ東へ、早苗は幻想郷を飛び回る。
博麗神社や人の里、紅魔館に分社を建てられたのは、まさに彼女のお陰だろう。
諏訪子の頭に、早苗の姿が浮かぶ。
童。
少女。
そして、――。
あんなに小さかった童が、大きくなったものだ――諏訪子は目を細め、低く笑った。
「……もうちょっと欲しいわねぇ」
「いや、十分だろ。下手したら、もうあんたより大きいんじゃないか」
「何の話よ、なん……あぁ、うん、胸か。ガン見するな。あんたは昔から硬いままねぇ」
「硬い!? 小さいとかぺったんとかじゃなくて、硬い!?」
「うん。硬いじゃん」
「硬いけど!」
どぅどぅ。
今まさに揉みかからんとする諏訪子を押さえ、神奈子は自身の台詞を補足する。
「欲しいって言ったのは、信仰よ信仰。この頃、頭打ちなのよねぇ……」
「なんだ、そんな事か……って、そうなの?」
「そうなの」
鸚鵡返しの頷きに、諏訪子もふむと腕を組む。
一拍後、あっけらかんと言った。
「まぁ、いいじゃん」
「そうねぇ、いいかーって、いい訳あるかぁ!」
父符‘ちゃぶ台返し‘。
妙に堂にいっていたが、問題が二つ。
神奈子は男神ではなく、ちゃぶ台もなかった。
ひらひらと舞う地図を畳に戻し、諏訪子は笑いながら続ける。
「そりゃ信仰はあるに越した事はないよ。
だけど、あんたの力も大分戻ってきたろ?
だったら、後は時間の経過に任せればいいじゃないか」
一度根付いた信仰は、緩やかに、だけれど確実に神奈子の力の元となる。
諏訪子はそれでいいと想っていた。
急く必要はない。
笑む諏訪子に、それでも神奈子は言葉を返す。
「そう言って早苗が満足するなら構わないけどね。でも、あの子は満足しない。それに……」
視線が逸らされる。
神奈子は再び地図に向かった。
また無為に円をなぞるのだろうか――今度の推測は、外れた。
円はなぞられた。否。重なる様に加えられた。重ねられたのは、諏訪子の描いた円。
加えられたのは、大きな大きな、湖。
「……あんたの力は、まだ十分と言えないだろう」
弾かれたように諏訪子は顔をあげ、神奈子を見る。
神奈子は未だ下を向いたまま、円を重ねていた。
無為な行為だ。
――けれど、諏訪子には堪らなく愛おしく想えた。
「ふん……その通りだよ、馬神奈子」
「んだとぉ! 誰が馬鹿だ、誰が! 婦符‘ちゃぶ台返し‘!」
「いや、それ意味ないって。――ちょいと待ってな。酒持ってくるから」
追撃――オンバシラ――を容易にかわし、襖へと歩く。
「真面目な話だから酒はなしってあんたが、あ、こら、神の声を聞けー!?」
喚く神奈子を残し、諏訪子は足早に部屋を出た。
振り向く事なく、台所へと走る。
火照る頬が、彼女を急かした。
「素面でいられるかってんだ」
お酒入りまーす。本篇ここからでーす。
「いい? 早苗が友達――霊夢や魔女々々呼んでんだから、さっきみたいな大声は厳禁だよ。って言うか、怒られた」
「わかってるわかってる。で、その酒は――!? そ、それはっ!」
「銘酒‘神殺し‘……神奈子、好きだろ」
「好き! 大好き! 喉を焼くような味わいが……あぁ!」
「静かにって言ってんでしょうが。……ま、まぁ、でも、好きなものはしょうがないよね。繰り返してもいいデスヨ?」
お酒入りましたー。
「だっかっら! 信仰得る為にゃ現世利益打ち出していかなきゃ駄目なのよ!」
「むぅ、確かに。七福神の連中とか、無駄に羽振り良かったもんねぇ」
「でっしょ!? よっし、明日から私は幻想郷の豊穣神となる!」
「や、元から農業神。ん、秋姉妹の仕事、とっちゃうの?」
「やっぱ止めた!」
酔いましたー。
「よし、こうしよう! 私とあんたがフフフになる! 乾坤一つになれば出来ぬ事など何もない!」
「ダメよ、だめ、駄目駄目よ! そんな漠然とした能力、見向きもされないわ!」
「そ、そっか。……そんなに駄目駄目言わなくても」
「だって……! もっと具体的な利益じゃないと、あんたが早く戻れないじゃないの!」
「よしわかった神奈子。とりあえず、利益云々は置いといて、フフフになろう。漢字表記は婦々婦」
良い感じに回ってきましたー。
「なぁ、じゃあ、こう言うのはどうだろう。分社で水の供給。神様がくれた水。『ケロちゃんが愛した水』」
「いつの間にかアルプスから奥大山に変わるのね! でも、私は軟水より硬水の方が好きよ!」
「あー、神奈子、ミネラル足りてないもんねぇ。ぶっちゃけ、便秘」
「か、神様はご不浄なんてしません!」
「ふふ、違うよ、神奈子」
「――神奈子は、ご不浄なんてしないんだ」
「あぁ、諏訪子! 抱いて!」
「神乳‘洩矢の鉄の胸‘!」
「やん、かたーい!」
止まりませーん。
「さっきの、分社に何か置くってアイデアはいいわね。頑張ってお粥作っちゃう!」
「うん、すぐに腐りそうだから止めようか」
「む。だったら、私も水か」
「いやいや。酒なんてどうだい? 神奈子の酒。旨そうじゃないか」
「諏訪子……。わかったわ。でも、その名前じゃ捻りがないわね。何かないかしら」
「神奈子が作るんだよ? 決まってるじゃん。――『神奈子を愛でる酒』。決まりだね」
「あぁもぉ! 愛でて、諏訪子!」
「っしゃ、二回戦っ!!」
止まりませーん。
「はっ!? 私と諏訪子の酒と水があるのに、早苗が何もないなんて駄目よ!」
「考えているに決まっているじゃない! 早苗はミルク!」
「で、出ません! あの子からそんなのは出ません!」
「って言うか好きだなこのネタ! じゃあ、果物方面でどう!?」
「いい! 凄くいい! 酒、水、ジュース! かんっぺきねっ!」
「『神奈子を愛でる酒』!」
「『ケロちゃんが愛した水』!」
「そして、そう――」
二柱の声が、体と同じく重なった。
「『早苗のラ――」
――熱を持った輝きが、彼女達を覆う。
――幾多の小さな人形が、彼女達へと迫る。
「日符‘ロイヤルフレア‘!」
「呪符‘ストロードールカミカゼ‘っ」
「奇跡‘ミラクルフルーツ‘ぅぅぅっ!」
――赤い線の様な弾幕が、彼女達を貫いた。
「ブジげふぁ!?」
ピチューンピチューン。
息まき顔を赤らめる風祝と人形遣い、魔女の後ろで、巫女と魔法使いは首を傾げていた。
「……なぁ、霊夢。煩いのを注意しに来ただけなのに、なんでアイツらはあんなに怒ってんだ?」
「さぁ……? ち、ちょっと早苗、弾幕でグリグリしない! 痛そうだから!」
日が明けましたー。
神奈子と諏訪子は、早苗に改めて昨晩の経緯を説明した。
幾度か弾幕が撃ち込まれたが、全てを聞き終え納得する早苗に二柱は安堵の息を零す。
早苗は彼女達の風祝と言う立場であったが、彼女達にすればその一言で終わる関係でもなかった為だ。
以降、幻想郷の方々にある守矢神社の分社では、彼女達の名を冠した飲料が置かれることと、あいなった。
「緑茶! 緑茶ですからね!」
「なー、早苗。『早苗のラブグリーンティ』ってネーミングは凄くどうかと思うぞ。なぁ」
「凄くどうかと思う。弾幕に『フルーツ』ってあるんだから、……ら、な、なんでもないっ、なんでもない!」
「……霊夢も意外と」
「アリス。顔が小悪魔じみてるから止めなさい。って、早苗も! 嬉しそうにしない!」
――そして、彼女達の望みどおり、徐々にではあるが信仰の集まりもよくなったそうな。
めでたしめでたし。
<了>
本編wwww
そしてすわかなを、一心不乱のすわかなを此処に体現するのですよ。
アリっさん、パッチュさん、サナーエさん、お疲れ様です。
駄目な保護者にときめきます。
ぺこり。
守矢神社を信仰するしかないじゃないか
まさか『神奈子をめでる酒』と『ケロちゃんの愛した水』の飲みっこか!
さなえ☆さんも立派なフルーツになりましたね