紅魔館の地下に位置する図書館。そこでは、小悪魔と私――パチュリー・ノーレッジがケーキ消失事件についての方針を固めていた。すぐに解決するかと思っていたのに、ここまで手間がかかるとは思わなかった。
小悪魔の意見を採用し、「館の者全員が容疑者」という立場から、咲夜やメイド妖精にも話を聞く方向だ。
私は手元の本に目を落とす。現実と並行した物語小説『夢幻館』。読み進めているうちに、そちらもケーキ消失事件の方向性が決まったらしかった。
「――次は厨房ね」
私は確信を得る。次は厨房を訪ねるべきなのだと。そこで咲夜とメイド妖精にアリバイを問えばいいのか、判らない。だが『夢幻館』は確実な未来を指し示してくれた。『夢幻館』が解決する物語なら、『夢幻館』の通りに行動すればこの事件は解決するはずだ。私はそう考えている。
しかし小悪魔は半目で私を見るのだ。
「『夢幻館』……本当に信用できるんですか?」
「さっきと同じことをいってる。――これを読んでみなさい」
私はそのページを開き、小悪魔に突きつける。そこにあるのは幽香とくるみのやり取りのシーンだ。現実と類似している『夢幻館』は紅魔館と対応する登場人物がいる。私は幽香、小悪魔はくるみに対応しているのは明らかだ。そして。
「あなたに対応しているはずのくるみは、そんなことをいってないんだよ」
『夢幻館』と違う行動を取れば、もしかしたら私達はこの事件を解決できないかもしれない。
けれど小悪魔の弁はこうだ。
「それなんですよ。『夢幻館』とこの紅魔館は必ず一致しているわけではないんです。それでは、そのうち足をすくわれますよ」
……『夢幻館』は何らかのブラフがあると?
「今までの出来事を予言して、的中させている。これからもこの『夢幻館』は、この事件を解決する手がかりをくれるだろう。――否定する根拠なんかないよ」
宣言する。完璧だと思うが、何もおかしいところはない。
うむ。
しかし小悪魔は不服そうに頬を膨らませ、そっぽを向いてしまった。それでどうして探偵の助手が務まるのだろうか――私は『夢幻館』の登場人物一覧を眺めながら嘆息した。
「まあいいや。厨房にいってくるよ」
いって、踵を返す。小悪魔がいなくても、例え探偵の助手がいなくても、探偵は事件を解決できるものさ。
一歩踏み出す。
すると、視界の端、本棚から顔を出してこちらを窺っている姿を見つけた。金の髪と純な宝石の羽を持つ少女の姿。私は彼女を知っている。
呼ぶ。
「どうしたの、フラン?」
呼ばれたフランドール・スカーレットはおずおずとこちらに近づいてくる。館の主人の妹――『夢幻館』には、対応する登場人物はない。それは彼女がケーキ消失事件の被疑者から外れるということを意味しているのだと、私は考える。
「えとね、その……」
フランはいいにくそうにもじもじしていた。遠慮することなんてないのに。
少し時間をかけて彼女はようやく、ここに来た用件をいう。
「……救急箱ってないかな」
救急箱? それは誰かが怪我をしたというのだろうか?
紅魔館にも救急箱はある。紅魔館にいるのはレミリアだけではないからだ。しかし、それは咲夜の管理下にあったと思うが――。
私は見る。
私と小悪魔がさっきまでついていた机。その上に放置されていた紅茶のカップが消え、その代わりに紅い十字の描かれた木の箱があることに。
それは目的の救急箱だった。私は指を差して示す。
「あれよ。持って行きなさい」
「うん、ありがとう」
フランの言葉は私達にも、虚空にも向けられたものだった。
――それにしても、『夢幻館』の幽香はくるみに指を噛まれていた。そして、救急箱。紅魔館では誰が指を噛まれたのだろうか――。
そんなことを考える。そして、私は小悪魔に見送られながら図書館を出た。
□ □ □ 事情聴取4 厨房
幽香は厨房を訪れる。くるみの「館の者全員が容疑者」という助言もあるし、幻月の手にケーキが渡るまでの経緯を知っておく必要があると思ったからだ。
ケーキは外で買ってきたものか、それとも厨房で作ったものか。
厨房に足を踏み入れると甘い香りが漂ってきたので、後者であると考えた。
「あ、幽香様」
メイドのひとりが気付き、こちらに向かってくる。
「今日はケーキを作っておりまして、もうすぐに届けようと思っていたところです」
「そう、嬉しいわ」
私は笑顔で返す。さっき、くるみに指を噛まれた一件で平静ではなかったが、そこはやはり館の主人としての貫禄を見せなければいけなかった。
くるみに噛まれた指は、傷口をそのままにしてある。放っておけばすぐに直ると思ったからだ。
メイドはその傷に気付いたようだ。その表情は吃驚。
慌てたようにいう。
「ど、どうされたんですかその怪我!? 大丈夫ですか!? 痛くないですか!? 舐めてもいいですか!?」
「うん、殴ったり蹴ったり潰したりする」
□
――この『夢幻館』という館は変態ばかりか。私は嘆息する。
メイドの話を聞きながら、私は『夢幻館』を読む。現実と同期する『夢幻館』を読んでいれば、話を聞いていなくても大方わかったのだが……少し差異が大きくなった気がする。だがそれも誤差の範囲だろう、と自分を納得させるように頷く。
「……あの、パチュリー様? それで今日は一体何の御用でしょう?」
メイド妖精は私を訝しむような目で見ていた。本を読みながらでは悪いか。仕方がないので私は返答する。
「ああ、うん。そのケーキについて聞きたいことがあってね」
はあ、とメイド妖精が答える。彼女の後ろには、作業の最中であろう妖精たちがこちらを見ていた。
厨房の中心を陣取る台の上には、白い粉が入った袋や黄色の粘質が付いているボウル、下ごしらえされた果物など様々な物が置かれている。
「これはケーキの材料?」
予想の付くことだが、一応尋ねておく。
「はい。小麦粉、卵、グラニュー糖、赤ワイン、竹の花、ベラドンナ、ストロベリー、クランベリーにブルーベリー、ラズベリーも取り揃えてあります。生クリームは……」
「……聞いても仕方ないわ」
つらつらと、指折り数えながら品目を唱えるメイド妖精の言葉を、私は手で制止する。全て聞いていては非常に面倒だ。
彼女は「せっかく憶えたのに……」とうなだれるが、すぐに周りの者に「大丈夫大丈夫!」やら「どんまい!」やらいわれて気を取り直していた。
……不意に頭痛に似た感覚が起こり、私は眉間を押さえる。その正体は疑問か。
「こんなのが勝手にケーキを食べるかしら……?」
疑問、というよりは、否定したくなる衝動。もしもメイド妖精の中に犯人がいたとして、こんな暢気な連中のおかげで私は貴重な時間を失ったのだというのは、とてもじゃないが信じたくない話だ。
「もういいわ。ところで――」
メイド妖精など端から問題ではない。ここからが本題だ。
「一体誰がレミリアにケーキを持っていったのかしら?」
その質問に、場にいた全員が不思議そうな顔をした。それがなぜか私は判らない。
メイド妖精たちは辺りを見回す。誰かを探しているように見えた。
そして、うなだれるところを見る限り、目的の人物は見つからなかったようだ。しばらくして顔を上げ、申し訳なさそうにいう。
「おそらくメイド長が持っていったんだと思います」
「おそらく?」
はい、とメイド妖精は頷く。メイド長――十六夜咲夜がレミリアにケーキを持っていった。それだけではどこに疑問も浮かばない。おそらく、と頭に付ける必要もないはずだ。それを、おそらく、と付けるのは。
「――その姿を誰も見ていないのね?」
「はい。――メイド長は私達のケーキ作りについてご指導くださっていました。それで一段落着いたので元の勤務に戻られたのです。そのあと私達でケーキの飾り付けを済ましたのですが、気がついたらケーキが一切れ分無くなっていました。それで、おそらくメイド長が持っていったんだと」
――咲夜には時を操る能力がある。ぶっちゃけミステリーキラーな能力の持ち主だ。
さっき、救急箱を持ってきたのも彼女だろう。しかし、その姿は見ていない。
……私が最後に咲夜の姿を見たのは事件発生よりも前。
『夢幻館』を拾って紅茶を頼んだときから、私は彼女の姿を見ていない。
一体彼女は事件発生当時何をしていたのだろうか――?
「それも本人に尋ねればいいだけね。「ケーキを持っていったのは誰か?」答えて頂戴。――咲夜ー。咲夜ー?」
私は虚空に呼びかける。
呼ばれた彼女は厨房の入り口から――歩いて入ってきた。
「居たならさっさと出てきなさい」
壁に向かって声を張った私が馬鹿みたいじゃないか。
「いえ、今通りかかったところです」
咲夜はそ知らぬ風にいう。このメイドは、今日は面倒な振る舞いをする。
「だったら、もう一度説明するのは面倒だわ。手間をかけさせてくれるわね」
「いえ、質問は聞こえていたのでお答えできますわ」
彼女は厨房のメイド達に目を遣り、作業に戻るように指示する。
そして、私をじっと見詰める。
「……ここでは何ですので、場所を変えましょう。よろしいですか、パチュリー様」
私は黙って頷いた。
□ □ □ 事情聴取4 メイド
長い廊下。
幽香はメイド夢月の後ろについて歩く。夢月は一見不規則に進んでいるようだったが、他のメイドの姿を見かけなくなったところから、わざと人目のない場所を目指していたのだとわかった。つまり、これから彼女が話そうとしている内容は私以外の誰にも聞かれてはならない内容だということだ。
夢月は足を止め、こちらを振り返る。
向かい合って一対一。他の誰の姿もない。
彼女は私の手元を見ていた。そこにあるのは『紅魔館』――しかし彼女が見るのは別のもの。
「その手、大丈夫?」
くるみに噛まれた指。痛みはないが、まだ傷は癒えておらず、血がだらだらと流れている。
「ほら、貸しなさい」
夢月は左手で私の手を取る。右手には紙の芯に巻かれたガーゼ。それを私の指に絡ませる。
「……重症っぽく見えるように多めにしとく?」
「いらないから。そういうの、いらないから」
始端は巻きつけの中に固定される。終端はガーゼと同じ色のテープで留める。
そして、両手で私の手を包む。夢月の手から、柔らかい熱が伝わる。とりわけ傷に近い部位が温かく感じるのは、それだけ血の流失が激しかったことを意味しているのだろうか――。彼女の手が私に触れている間、ぼんやりとその手つきに見とれていた。
「出来ました」
いって、手が離れる。
「……ありがとう」
人気のないところで、二人きりの傷の手当が終わる。
私はガーゼが巻かれた自分の手を見詰める。開いた指の向こうに夢月の姿を見る。
――図書館で方針を固める前に、私が考えていた容疑者は三人だ。
被害者の幻月、助手のくるみ……そして、メイドの夢月。
夢月がこの事件の犯人と成りうるのだろうか。私は迷った。迷いを持っていいのだろうか、悩んだ。
それでも私は問わなくてはいけない。私は探偵なのだ。
「まさかこれだけのために私をここに連れてきた、ってわけじゃあないわよね?」
□
なんだか夢月が犯人臭いな、と『夢幻館』を読みながら思う。
紅魔館で対応するメイドは咲夜しかいない。すると紅魔館でのケーキ消失事件の犯人は咲夜になるのだろうか。どちらにしても、私は彼女の話を心して聞かなくてはならない。そして私は迷わされてはいけない。迷うことに悩まされてはいけない。
『夢幻館』を閉じる。ハードカバーの表紙は、何か警告を示しているように見えた。
私は迷わない。
犯人を必ず見つけ出せるさ。
だから、問う。
「レミリアにケーキを持っていったのは貴方?」
私の正面。
咲夜はゆっくり目を閉じる。神妙な面持ちで、言葉を紡ぐ。
「お嬢様にケーキをお持ちしたのは私ではありません。もちろん証明など出来ませんが」
「じゃあ誰が持っていったっていうのよ?」
厨房にいたメイド達は咲夜だといっている。彼女達はケーキの傍にいたのだからその言葉は確かだろう。咲夜がケーキを持っていったのでなければ、辻褄が合わない。
彼女の言葉は続く。
「私はお嬢様より先に妹様にケーキを届けていました。そのあと事件の話を聞きましたので、事件が起きたのは私が厨房と妹様の部屋を往復している間でしょう。道中のメイド達が証言してくれるはずです。そのあとのことは、パチュリー様が事件を捜査していることを美鈴から聞いたので、私もパチュリー様のお力になれるようメイドほぼ全員のアリバイを取っていました。が――ほとんど白でしょう」
「質問に答えなさい。誰がレミリアにケーキを持っていったの?」
私は答えを急かす。だが、彼女はなかなか口を割らない。
「メイドはケーキ作りに参加したもの以外みんな通常勤務に徹していました。お互いにアリバイを保証できます」
「――回りくどいわね!」
怒鳴る。
咲夜は、動じない。じっと私の目を見詰めている。
そして、ゆっくりと言い放つ。
「ケーキを持っていったのは、誰でもありません」
それは残念そうな口調。
しかし、厨房から消えたケーキは1切れ。レミリアが食べようとしていたケーキも1切れ。数の都合が付くわけもなく、ケーキの総量が増えることはないのだから、減ることもない。厨房にあったケーキとレミリアのもとにあったケーキは同一であるはず。
なら、レミリアのもとにケーキを持っていったのは誰か?
「パチュリー様、お察しください」
その言葉は、ただひとつの意味を示していた。
□
「まさか――?」
まさか、と。ケーキを持っていったのは、他の誰でもなければ、彼女しかいない。
その疑問を肯定するように、
「私は、そう考えてる」
夢幻館のメイド、夢月は言い添える。
「行って、幽香。――犯人を懲らしめてくるのよ」
□ □ □ 推理
幽香は飛んだ。廊下に散在するメイドを吹き飛ばさんとする勢いで。
その身体は怒りに燃えている。それでも頭だけは冷静に保とうとしている。
「犯人は貴方――」
夢月の言葉が確かなら、メイド達は容疑者から外していい。そして夢月もだ。アリバイは簡単に確認が取れるが、今は後回しでもいい。
門番のエリーも白。くるみも白。ついでに私も身に覚えがないので白だ。
――犯人は奴しかいない。
ずっと携えていた『紅魔館』に目を落とす。その中では、図書館が主パチュリー・ノーレッジも同じ結論に達したところだった。
□
パチュリーは『夢幻館』を閉じる。あとはもう犯人を追い詰めるだけだ。その本はもう要らなかった。
飛ぶ。
空を駆ける。
もっと速く、この怒りをぶつけるように。
その先にあるのは――現場のテラスだった。
□ □ □ 詰問
レミリア・スカーレットはテラスにいた。椅子にかけ、用意した紅茶を口に含む。
「ぬるいわね。しかも、やっぱり不味い」
……そりゃあ、ケーキを食べようとする前に用意したものだから、当たり前か。
ケーキは行方不明。残った私は独り、不味い紅茶を啜っている。なんと不様なことか。私は肩を落とす。やるせない気持ちが身体を支配していた。せめてでもパチュリーがケーキを盗んだ犯人を連れてきてくれれば、この気だるさも吹き飛ばせるかもしれない。そんな淡い希望を抱きながら、私は庭を眺めていた。
退屈だ。
「何か起こらないかしら」
「――だったら、おあつらえ向きなものがあるわよ」
パチュリーの声。
それがテラスに続く部屋から響いた、そのとき、奥に見える扉が弾け飛んだ。
そして瞬く間も無く手にしていた紅茶のカップが火を噴いた。
突然の出来事に、思わず放り投げる。
その一連の行動に遅れてやってくるのは、酷く落ち着いた冷たい声だ。
「はぁい、レミィ」
パチュリー・ノーレッジがそこにいた。こちらを睨みつけていた。
何か巨大な怒りの念を持って。
何故このような事態になっているのか、判らない。ただ本能が訴えるのは、彼女に触れてはならない、という危険信号。
「ど、どうしたのパチェ……?」
どもる。
そんな些細なことは気にも留めず、憎悪の念を渦巻きながら、パチュリーはこちらに一歩近づいてくる。彼女の声はいやにゆっくりで、今まで聞いたことがないほど低い。
「とんだ茶番だったわ、レミィ。よくもこんな詰まらないことに付き合わせてくれたわね。……それなりの覚悟は出来てる?」
剥き出しの敵対心。
とりあえず、まずいということだけは判る。
一旦誤魔化すことにする。
「待って、ほらここ、殿中、殿中だから、パチェがご乱心!」
「ふん」
パチュリーは鼻で笑う。それから、吐き捨てるようにいう。
「ねぇ、あんたはいったわよね? さもしい根性を持った奴がこの館に居るということが許せない、って。――そんなさもしい根性を持っているのは誰かしら?」
その問いの答えは判る。だから、私は答える。
「それは……ケーキを持っていた犯人よ」
その言葉に、パチュリーは吹っ切れる。
「――よくいってくれたレミリア・スカーレット! 一切れのケーキの前に大人しくこの大地から去ね!!」
□
ここから幽香が幻月を美しく残酷に追い掛け回すような可愛くいえばトムジェリ展開があるのだが割愛する。
□
「落ち着きなさいパチェ! 貴方は履き違えているわ!」
すでにテラスは崩れ落ち、部屋は爆発を起こして半壊している中、私は息も絶え絶えだったが、どうにかしてパチュリーに向かって声を絞り上げた。
しかし彼女は不敵な笑みを浮かべる。それは怒りの裏返しなのだろう。
「何を履き違えているというの? あんたは厨房に入り、たまたまあったケーキをこっそり盗んできた。自分でお茶の用意までしてね。摘み食いはみっともないと思ったが、急かすのもみっともなかった、というのが犯行動機」
……確かにその通りだ。
私は彼女のいった通り、ケーキを見つけた私は、咲夜が私のもとにケーキを持ってくる前にそれを頂戴した。
言い訳することはないが……。
「……不規則な生活を送っていると中途半端な時間に食欲が湧かない?」
「へえ」
それだけだ。
パチュリーは私の問いを無視して言葉を続ける。
「あんたは誰かに見られていないか確かめていた。テラスの外にも誰かいないか探していて、門番に声をかけられたけどどうにかやり過ごしたわ。そしてケーキが無くなった責任を他の誰かになすりつけようとした。でも残念ね。私も小悪魔も、仕事をしていたメイド達も、すでにケーキを運ばれていたフランも容疑者から外すことができる」
「滅茶苦茶よ、パチェ」
「何が?」
私は息を吐く。どうやら、この知識人は怒りに狂い、本当に大事なことを見落としているらしい。
だから私は説明せねばならない。
「まず――私が厨房からケーキを持っていったのは認めるわ」
「去ね」
「落ち着いて。私が探すよう頼んだのは、私のもとからケーキを持っていった犯人よ」
そうだ。私はケーキを口にしていないのだ。
確かに私は厨房からケーキを取ってきたが、私のもとからケーキを盗ったのは私ではない。
「一緒……じゃないわね」
パチュリーは気付く。
「でも誤差の範囲」
非難するように彼女の名を叫ぶが、彼女は全く構わない。
それからパチュリーが聞き分けを持てるようになったのは随分後だった。
ケーキを持ち出した犯人は登場人物表に載ってる被害者のレミリア
でもケーキを消した犯人はフラン
きゅっとしてどかーん?
割愛部分は番外編を書くんですね分か(ry
前回~とタグで表記するなら、作品名でタグ付けた方が分かりやすい気はします