「ねぇアリス」
「んー何?」
アリスは、パチュリーの図書館へ訪れ、読書をしていた。もちろん、ちゃんと許可を得て、だ。そういうアリスの律義なトコをパチュリーは好いていた。
先程まで互いに読書をしていたため、沈黙が続いていたのだが、珍しくパチュリーから話掛けるということで、それは破られた。
「アリスは、犬と猫どっちが好き?」
「……いや、両方とも結構好きだけど特別どっちが好きってのは無いわ」
「そう。じゃあ、にゃーんって言って」
「は?」
パチュリーの意味分からない発言に止まるアリス。
しかし、パチュリーはそんなアリスを全く気にしないで続ける。
「あ、声小さくて聞こえなかったかしら? にゃーんって言って」
「いや、何で?」
「絶対にアリス似合うと思うのよ」
「どんな理由よ!?」
アリスは、それなりにパチュリーと親しくなったとは思ってはいたのだが、未だにパチュリーの考えだけは分からなかった。
「じゃあ、わーん、で良いわよ?」
「意味が分からないわよ!?」
「言ってくれないの?」
何故言わないのか、信じられないといった表情のパチュリー。
「言わないわよ?」
「どうしても?」
「どうしても」
「なら複雑骨折しちゃえばいいのに!」
「何でよ!?」
「アリス、ここ図書館だから静かにして?」
「あぁ! 腹立つけど、来客の身だから強くは言えない!」
「あの……アリスさん」
アリスが頭を抱えて叫んでいると、小悪魔に肩をポンと叩かれ、話し掛けられた。
「え、あ、何かしら小悪魔?」
「その、一応図書館ですから御静かに……」
「何この理不尽な空間!?」
小悪魔の追撃によって、アリスはよりダメージを受けた。
「パチュリー様、お使いに行って来ます」
「ちゃんと買う物覚えてる?」
「失礼な、覚えてますよ。りりょくのつえ、オリハルコン、賢者の石、それにカンパンと酸素ボンベですよね?」
「流石小悪魔ね。じゃあ行ってらっしゃい」
「はい、行って来ます」
「何に使うの!? っていうか前三つは何処で買えるの!?」
小悪魔は笑顔でアリスの方へ振り向き、
「ポカパマズさんのトコで買えますよ」
「誰!?」
小悪魔はアリスのツッコミを無視してお使いに出掛けた。
図書館にはアリスとパチュリーだけが残る。
すると突然、パチュリーが立ち上がり、目の前に座っているアリスの背後へと回る。
そして、
「きゃっ!?」
「んー」
抱き付いた。
暴れるアリス、離さないパチュリー。
「ちょ、何なのよ突然!?」
「離して欲しかったら、にゃーんって言ってみなさい」
「何でよ!?」
「じゃないとずっとこのままよ?」
「う~……」
がっちりホールドしているパチュリーから逃れるのは難しい。
しかも、アリスにギュッと密着しているため、何か柔らかいものが押しつけられているわけで、アリスにそんな恥ずかしい状況耐えられるわけがないわけで――
「ぅ……にゃ、にゃーん……」
アリスの顔を真っ赤にして呟いた言葉に、時が止まった。
数秒後、時は再び動き出す。
「ごふぁっ」
「え、パチュリー!?」
パチュリーが吐血した。
それと同時にホールドが緩む。そのおかげで、脱出が出来たアリスは、吐血したパチュリーを支える。
「だ、大丈夫? パチュリー」
「ええ、大丈夫よ……だからお願い、わふぁ~って言って」
「何で!? ていうか最初わーん、じゃなかった!?」
「お願い……じゃないとまた吐血しちゃうわ」
アリスとしては、これ以上の恥ずかしい思いはしたくなかった。
しかし、普段本を借りている恩もある。さらに、パチュリーがお願いをすることなんて滅多に無いのだ。
葛藤するアリス。
「お願いアリス……」
「うぅ……」
アリスの腕の中、弱々しい声で、潤んだ瞳で、お願いするパチュリー。
普段からか細い声が、今はよりか細い。
支えている腕から伝わるパチュリーの体温。
煩いくらいに響くアリス自身の鼓動。
「わ……」
「わ?」
「わふぁ~……」
頬を朱に染め、恥ずかしさのあまりに肩を震わせながら言うアリス。発した声は普段のパチュリーと同じくらい、か細いものだった。
「アリス……」
「きゃっ!」
突然、アリスの腕に支えられていたパチュリーが起き上がり、そのまま正面からアリスに抱き付いた。もうそれはそれはギュッと。
「あぁ、アリス、貴女は本当に可愛いわ!」
「ちょ、パチュリー! 何でそんないきなり元気なのよ!?」
「元気にしてくれたのは貴女でしょう?」
ギュッと抱き付くパチュリー。アリスの耳元で可愛い可愛いを言い続けているから、アリスとしては早く離れて欲しかった。
「アリスは、優しいわよね。その優しさは、魔法使いとしては未熟だけれど」
「褒めてるのやらけなしてるのやら分からないわよ」
「褒めてるのよ。私は貴女のそういうところが」
パチュリーは抱き付いていた状態をやめ、アリスの瞳を見つめ――
「大好きよ」
「っ!?」
ふにゃっと、柔らかい笑みを浮かべて、言った。
普段、あまりこういう表情を見せないパチュリーだからこそ、ギャップが凄まじかった。
その笑顔は、魔女ではなく、ただ一人の見た目相応な少女のもの。
だけれど、やはり少しだけ大人っぽい色気を帯びた、笑顔。
それは、パチュリーだからこそ、生まれる、笑顔なのだった。
そして、それを至近距離真正面から見たアリスは、思わず顔に紅葉を散らし、そっぽを向いた。
「だから貴女がこれから魔法使いとして、より成長していっても、その優しさは無くさないで――って、アリス聞いてるの?」
もはやアリスは聞いて無かった。
パチュリーのさっきの笑顔が印象に残りすぎて、まともにパチュリーのことが見れない。
「ちょっと、無視? アリス?」
「……」
話し掛け続けるが、返事をしないアリス。
結局、小悪魔が帰ってくるまでアリスは元に戻らなかった。
もっとも、その時にはパチュリーは、アリスに無視され続けていたことにより拗ねてしまっていたため、パチュリーの機嫌を直すために、またアリスが恥ずかしい思いをすることとなってしまった。
おらおら早くにゃーんって言えよパチュリーさんよぉ!!
次は見た人を即効糖尿病するパチュアリを期待したいですなぁ。
くそぅ、気になる、気になるよ『喉たん』!(ふっふっふ、私の爛れた脳内は作者様をも萌えっ娘に仕立てうわなにをするきs)(すいません駄目人間ですすいません)
それはそうと良いパチュアリ。
それはそうとっ!良いア!リ!パ!CHU!!
至極当然なちゃめしごとなので弐回言っちゃいました。恥かちっ!
色々パチュリーが可笑しいw
ついでに小悪魔も可笑しいw
うんいつもの紅魔館の風景だな。
しかしいつも受けに回るよねアリスってw
楽しかったです。
にしても、パチュリーも大変なものを盗んでいきましたですかwww
次回は、しんみりしそうですね
なんか最近は冒頭を読むだけで喉飴さんの作品だと判断できるようになりました。
にゃーんは卑怯だろ・・・
>先程まで互いに読者をしていたため、沈黙が続いていたのだが
読者→読書ですかね
いやーしかし、微糖の意味を再認識させられましたわw
わたし的にはアリスは猫よりは犬属性だと思う。しかも血統書つきの。
馴れ合わず孤高を保ってるんだけど、いったん優しくされると豹変してそばを離れなくなるような。
それにしても、わふぁ~の威力は異常
……!? ……『甘い』の定義って何だっけ?
>がっちりホールドしているパチュリーから逃れるのは難しい
いつの間にか、パチュリーはマチョリーになっていたのか……
喉飴さんの描写力が着実にレベルアップしている……。げに恐ろしや……
「にゃーん、わふぁ~」
「パチュリー、無表情で言っても怖いわよ……」
>>sirokuma様
満足していただけてなによりです!
>>3様
私自身までなってしまいそうですww
>>謳魚様
ポカパマズさんはDQ3ですねw喉たんですかw好きなように呼んで下さって構いませんよw
>>5様
分かる人には分かりますよね、やっぱりw
たまには攻めるアリスを書いてみましょうかね。
楽しんで下さってなによりです。
>>6様
小悪魔はレベルが高そうですw
『頑張れ小さな女の子』は遅筆で地味に頑張ってます。
>>コメ10様
個人的評価ですのでw
それは凄いですw私としては覚えてもらえて嬉しいです! 振り返るとあの絵本シリーズから地味に時間が経ってます。
>>修行様
私はわふぁ~派!
>>9様
最近は誤字が必ず1つある気がします。本当に申し訳ないです。わざわざありがとうございます。
私もアリスは犬派『わふぁ~』だと思ってますw
>>無在様
あくまでも個人的な評価なんでw
そう言って下さると嬉しいです!
修行成果が発揮されてると幸いでぃす!
パッチュパッチュでそこまでよ!なものをなぁ!!
オレは一発目のにゃーんで撃沈だ、この飴ちゃんがぁwww
たまんねー!!!!
糖尿病になって死にそう。。。orz
しかし勇者を息子(or娘)に持つお方のところへ買い物とは……果たして小悪魔の運命やいかに!
>「お願い……じゃないとまた吐血しちゃうわ」
吐血? いいえここはあえて鼻血です。
パチュリー大好きさんですかww
飴ちゃんですかw好きなように呼んで下さいw
>>13様
私ドラクエ大好きですw
>>奇声を発する程度の能力様
次はより甘さ控え目にしましょうかw
>>名前を表示しない程度の能力様
小悪魔なら多分大丈夫な気がしますw
ああもうだめ。
血糖値上昇しまくりですよ。
楽しんでもらえたようでなによりでぃすw
しかし、このパチェさん色々と大変だ。
……
うー、わっほい!