カラン、と音が聞こえた。諏訪子はハッと身を強張らせ、窓の外でぽつぽつと落ち始めた雨粒を眺めるのを辞めた。けれど、長い沈黙を破ってようやく聞こえてきた音は誰かの声ではなかった。テーブルのうえに置かれたジュースグラスの中から聞こえてきた音だった。グラスはひどく汗をかいている。
諏訪子は向かいに座る神奈子の顔を見た。彼女は真剣な顔つきだったが、頼りない表情をしていた。その視線の先には、諏訪子の隣に座る早苗がいる。
諏訪子は早苗の顔を見ることができないでいた。
まるで性質の悪い空気の塊が、水の底の泥のように沈んでいて、三人を取り囲んでいるかのようだった。
――お願いがあるんです。
諏訪子は昨晩の早苗の言葉を思い出した。
――今度こそ勇気を出そうと思うんです。だから、その、そばにいて欲しいんです。
そこから先の早苗の言葉――勇気を出す目的――は思い出したくない。あのときの早苗の照れたような顔を思い出すと胸がいたむ。
諏訪子の視線に神奈子が気づく。つかの間、ふたりは見つめあった。だが、問いただすような神奈子の瞳に恥じ、諏訪子が先に視線をそらした。ふたたび、窓の外を見るともなしに見る。逃げているのはわかっていた。早苗は気付いている。そして諏訪子か神奈子のどちらかが口を開くのを待っている。だが諏訪子は時間を稼ごうとしていた。なんのために? 意味などない。ただ逃げたいだけだった。時間を稼いで稼いで……、だが稼いだ先にはなにもない。
窓の外から参拝客が見えた。妖怪の家族のようだった。彼らは窮屈そうに、たったひとつの傘のしたで微笑みあっていた。父親、母親、娘。今ではざあざあと降り注ぐ雨が、彼らを潰そうとでもするかのように襲いかかっている。だが彼らを守るたったひとつの盾は堅牢だった。
私たちはいったいどこで間違えてしまったのだろう。どうしてあの家族のようになれなかったのだろう。
諏訪子は思う。そしていま一度神奈子を見た。神奈子は、諏訪子と早苗の両方をその目でとらえようとしているようだった。神奈子の瞳の中には諏訪子と早苗のふたりがいるのだろう。諏訪子と神奈子と早苗の三人はいつも一緒のはずだった。
「実は」
と神奈子が口を開いた。だがその先が続いてこない。彼女はうつむき、テーブルの上を見つめる。そんな場所に答えなどあるはずもないのに。
どうしてその先を言ってくれないの。諏訪子はそう思ったが、そう思う自分が一番卑怯者だともわかっていた。
神奈子は顔を上げて助けを求めるように諏訪子を見た。
「そういう、ことだったんですね」
やがて早苗はそう言った。
雨がやむ気配はない。
でも、加奈子ではなくて神奈子だ…誤字は控えるように
それと、どういう話の状況なのかも良く分からないし
これから続くのかどうかも良くわからない
書くのは良いけど、もう少し頑張って欲しい
来週までに再提出してください
雰囲気はよかったと思います。この3人に何があったんだろう・・・・・・
作品自体が無いのと同じです。
読んで思ったことは、起承転結の起しかない様に感じられます。
これが短編物とすると、さて話が始まるってところで終わってるから物語じゃないです。
連載物としたとしてももう少し話を進めたほうが良いと思いました。
じゃないと何を伝えたいか読者側に伝わりませんし。
内容的にきになるので続編に期待
神奈子に告白したい早苗が諏方子を頼る
でも諏方子と神奈子は既にくっついてる
諏方子はそれを言い出せない
早苗はそれを知らなかったが話の終りの方で二人の態度で気付く
でオケー?
雰囲気は結構好み
次回作待ってます
多分、なんていうか雰囲気系を狙ったんだろうなぁというのは分かるんだけど。
雰囲気系だからって雰囲気さえあれば良いって訳じゃないと思うよ、くらいしか感想が出せない。
勇気は認めるが、投げっぱなしはイカンな。
ご指摘ありがとうございます。修正しました。
お見苦しいところを見せてしまい申し訳ありません。
>>雰囲気
良い、好みだと書き込んでくださった方ありがとうございます。
>>読んでくださった皆様
ショートショート風のものでオチをつけたつもりだったのですが、伝わらなかったのは力不足です。
たしかにスカスカなのかと思います。申し訳ありません。
「神奈様と諏訪さまがラヴラヴバカップルライフの為に早苗さんを密かに博麗に嫁がせようとしている」とか「諏訪ダイエット大戦を終結させて『今日の!御褒美は!モンブラン!』と有頂天な早苗さんの楽しみを二柱が奪ってしまい詰問されていて我が身可愛さに神奈様が諏訪さまを売ったトコですね分かります」などの妄想を促進させる作用のSS…………!(違)
これが読み解く力の無い私の精一杯な感想らしきもの!(すみません拙いモノで)
あとタグの『加奈子』様を直してあげて下さいまし……。
今後に色々と期待してます