Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

足音

2009/02/11 02:07:51
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 図書館に響く足音で、それが誰のものなのか分かるようになったのは、いつ頃からだったろうか。
 私が一日の大半を過ごす紅魔館の大図書館はとても広いため、私がいつも本を読むスペースと図書館入り口の扉とは短くない距離がある。だから私に用事があるときは、入り口の扉を開けたら私の名前を大声で呼べば済むのだが、多くの者は私が読書中に大きな音を立てられることを嫌っていることを知っているため、私の近くまでやってきて、初めて私に声を掛ける。
 だから、誰かが図書館の中に入ってきてから、私に近付いてくるまでの足音に敏感になってしまった。それに、図書館はとても広いが人の気配はほとんど無いため、足音のような細かな雑音でも、よく音が響くのだ。
 ……まぁ、ただ単に、頻繁に図書館を訪れる者もそうそういないため、足跡で誰がその足音の持ち主であるかを判別しやすいだけなのかもしれない。

 例えば紅魔館のメイド長である十六夜咲夜の足音は、コツ、コツという、硬いものに硬いものをぶつけているかのような音である。ヒールのあるブーツを咲夜が好んで履くためであろう。いくら読書に耽っていても、その足音を聞けば、そろそろ午後三時であり、おやつの時間だということも分かるのである。

 例えば小悪魔の足音は、若干咲夜の足音よりも鈍い音がする。音の大きさも、咲夜のそれより小さい。これは、小悪魔が咲夜よりも図書館に響く足音に気を遣ってくれている所為だと思う。私が読書をしている間に、彼女は私が読みたいと彼女に伝えた本を取ってきてくれ、さらに私が読み終えた本を、この広い図書館の決められた場所に返してきてくれる。紅魔館の大図書館の中で生活することの多い私にとっては、小悪魔が一番身近な同居者であるのだ。その分彼女は私のことを良く理解してくれていると思う。

 例えば永遠に紅い幼き月の異名を冠する、紅魔館党首のレミリア・スカーレット――レミィの足音は、あまり音の大きさが大きくない。むしろ小さいと言ってもいい。彼女は威厳を保つためなのか、元々そのような歩き方が好きなのかは分からないが、胸を張って堂々と歩いている。もう少し体躯に大きさがあれば、どしん、どしんといったような音になるのだろうが、生憎彼女は子供のような姿であり、体重も軽い。従って、彼女の歩く音は鈍い音ではあるが、音が小さい。

 例えば紅魔館の門番である紅美鈴の足音は、なんと殆ど聞こえない。本人曰く、大図書館では私が本を読んでいることが多いため、気を使って足音はなるべく立てないようにしているらしい。本人は気を使ってくれているのはありがたいことだと思うのだが、それではまるで不法侵入者のようだと思った。

 しかしよくよく考えてみると、この図書館において足音を立てない不法侵入者は、ありえないことなのだ。普通、この図書館に足音を立てない侵入者はまず来ない。よく大図書館に侵入と略奪を繰り返しにやって来る普通の鼠――ではなく普通の魔法使いこと霧雨魔理沙がその典型例である。
 彼女が初めて図書館を訪れたとき、入り口の大きなドアが丸々消し炭になっていたのも、今ではいい思い出……では断じて無いが、まだ記憶に新しい出来事である。つまり、彼女は自分の足音を全く気に掛けずに、堂々と正面から図書館に入ってきて、私と弾幕ごっこの末に、本を奪い去っていくことが常であるのだ。ここまで堂々としている泥棒も、そうそういないであろう。……全く自慢にもならない話であるが。

 話が逸れた。何の話だったっけ。……ああそうだ、足音の話だ。

 ここで例外を挙げてみる。
 レミィの妹であるフランドール・スカーレットは、まず足音ですらないことが多い。図書館の入り口から、羽をパタパタさせて飛んでくることが多い。彼女はよく、ゆっくりと飛行しながら、そのまま私の背後から首元に抱きついてくる。多少息苦しくなるものの、かわいらしい奴めと思う。
「きょうはなんのほんをよんでるの?」なんて聞かれたら、いつものように彼女にも分かりやすく本の内容を説明してやる。たまに、絵本を読み聞かせてあげることもある。多くの場合は、普遍的な童話である。童話など昔から伝わる物語には、教訓を孕んだものや基本的な倫理観が提示されているものが多い。妹様は自分の食料である血と、形を持った人間が結びつかなかったという。それはどう考えても基本的な概念が欠如しすぎている。知識として知っておく分には何も問題ないだろうと思い、私は彼女が理解できる範囲で、いろいろなことを教えているのだ。……レミィの弱点とか、白黒の鼠が来たときの対処方とか。ちゃんと、イタズラ心も大事であることも教えている。

 私が足音に関してそのように頭を巡らせていると、図書館の扉が、ギッ! という小高い音と共に開いた。この音は、扉を勢いよく開けたときに鳴る。誰か急ぎの用事なのかしらと思い、手の中の本にしおりを挟み、テーブルの上に置いた。

「パチェぇ~! フランが反抗期になっちゃった~!」

 椅子から立ち上がって扉の方へ向くと、レミィが泣きながらこちらへ向かってきていた。
 どうやら彼女の言葉から察するに、私がこの間フランに、
「もしレミィに気に入らないことがあったら、『お姉さまなんて大っ嫌い!』って言って、その後ずっとレミィが何を言ってもシカトしてやるといいわ」

 と、吹き込んでやったことを、フランがどうやら実行したらしい。
 このときばかりは彼女も威厳のあるような足音ではなく、本当にただの人里の子供のような軽い音の足音であった。
 そして私は、久しぶりにレミィの涙が見れたので、計画通り! と思いながら心の中でガッツポーズを決め、近付いてきたレミィの頭をそっと撫でてやるのだった。

 ああ、レミィかわいい。
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれはパチュリーの話を書いていたら
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        いつのまにかレミィかわいいよレミィになっていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    マイナス点だとかそそわスレだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


 携帯で読んで頂いた方はAAが崩れていると思います。済みません。
 ここまでお読み頂き、ありがとうございました。



 コメントありがとうございました!

>>1. 欠片の屑 さん
 足音に関しては殆ど私の想像ですが、楽しんで頂けたら幸いです。
 儚月抄のせいで、パチュリーは計算高いイメージがあったり。
 個人的にかなりの策士だと思います。

>>2. 名前が無い程度の能力 さん

ぜ         昼寝しようよ
う          お     ウ
さ          と     フ
まこっちでお兄さん     フ

>>3. 名前が無い程度の能力 さん
 自重できませんでした。>あとがき
 楽しんでもらえたようでよかったです。
Taku
http://3ehorloge.web.fc2.com/
コメント



1.欠片の屑削除
足音一つでもこう色々と表現があるんですね。
勉強になりました。
でも、パチェさんは暢気だなぁ……w
2.名前が無い程度の能力削除
>いつのまにかレミィかわいいよレミィ
どう考えてもごく自然な反応です。おぜうさま可愛いよウフフ。
3.名前が無い程度の能力削除
後書きwww

これはいい図書館ww