Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

お嬢様の決意?

2009/01/29 23:04:21
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           ※     ※     ※




「お邪魔するわ」
「あら? 珍しいわね」

とある日の深夜。
暇をつぶしていた紅魔館の主……レミリアは親友のいる大図書館に来ていた。

「たまには本を読んで夜を明かすってのもいいかと思って」
「へぇ、じゃああっちの方にいい本があるわ」

そういってパチュリーが指差した方を見ると、すでに小悪魔が用意したのか?
その本棚の周辺に薄っすらと明かりが灯っていた。

「ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして」

簡単にお礼を言い、その目的の本棚へ向かう。

「さてと」

本棚に到着したレミリアは本棚を見上げる。

「もしお取り出来ない本があればお取りいたしますが……」
「大丈夫よ、貴女は下がっていていいわ」

その言葉を聞いた小悪魔はペコリと頭を下げてパチュリーの元へと戻っていく。

「フゥ」

さすがにこれだけの本があるとどれを読もうかと悩むわね。
腕を腰に当てて、ひとつ大きな溜息を付いた後で、背中の羽を羽ばたかせて本棚の上の段から順序良く
自分が読んでみたいと思える本のタイトルを見てゆく。
どの本もタイトルだけでは、どんな内容なのか分かりづらい。
それに、自分が読めない言葉で書かれていたりする物もあるから、タチが悪い。


数分後。
上から順に棚を凝視していたレミリアの目にある本が釘付けになった。
タイトルからして、興味をそそられていて、気が付いたら手に取っていた。

『ふ、フン! まあ、参考までに見るだけよ!』

でも、その本を見る目はまるでとても面白い物を見つけて好奇心の篭った目で見る子供の目そのもの。
そして、パラパラと頁を捲る。

「あの~、もしよろしければ、椅子を持ってきたのでお座りになられては?」

その様子に気が付いた小悪魔が椅子を持って、私に声を掛ける。

「静かにして!」

思わず小悪魔に向けてキツイ口調の言葉を浴びせてしまったわ。

おかしいわ、何で私はこんなにカリカリしているんだろう?
それもこれも、すべてこの本のせいよ。
何よ、この本の主人公は?
私に無い物をすべて持っているみたいだわ。
でも、まだ全部読んではいないから、どうなるのか分からないけど……

「ねぇ、パチェ。 この本借りてもいいかしら?」
「いいわよ。 でも汚さないでね」
「分かっているわ、ホラ小悪魔! ちょっと手伝って。この本全部私の部屋に運ぶの手伝って」

半泣き状態の小悪魔を見て、さらに言葉を掛ける。

「さっきは失礼したわ、謝るから。 さ、手伝って」
「は、はい」

私と小悪魔の2人でその本を全部私の寝室へ持っていく。
全部で約20冊位はありそうね。
でも、同じタイトルでも本の大きさが違っていたり、タイトルが微妙に違うんだけど、多分同じお話よね?

「これで全部です」
「ええ、ありがとう」

小悪魔は軽くチョコンと礼をして、私の部屋を後にしていく。

さて、じゃ今から気合を入れて読みますか!

そして「第1巻」と描かれた一冊に手を伸ばし、自分のベッドにダイブする。





     ※    ※



読めば読むほど、素晴らしいわ。
やっぱり吸血鬼はこうでないといけないわ!

なんというカリスマ!
この本の主人公は私には無い物をすべて持っているわ!

それに良く見て行ったら、私と共通点がたくさんあるじゃないの!

「吸血鬼」「炎を使う」「妹がいる」「忠実な従者がいる」

ああ、なんで同じ条件なのに、ここまで違うのよ!
「う~!」とか「食べちゃうぞ!」とか言われまくっている私とは偉い違いよね。

それに、この余裕たっぷりの台詞と行動。
なるほど、参考になるわ!
常に冷静でいることが、カリスマをゲットする為の第一歩なのね。
この本の主人公に感謝しないといけないわ。



そうと決まれば!!




     ※    ※



それじゃ、まず形から入らないといけないわ。
それにはまず、この「吸血鬼」という呼び方を変えないといけないわ。
じゃあ、この本の主人公にあやかって、今日から私は「吸血姫」よ!
いいわね? 咲夜!

「はい、お嬢様」

うん、いい返事ね。

じゃあ次よ。
この衣装を作りなさい。

「え? こ、これですか?」
「そうよ? この服のデザイン画が見えないかしら?」
「いえ……でも、この服装ですと、ちょっと露出が……」
「いいから作りなさい。 命令よ」
「は、はい、分かりました。 ちょっとお時間をいただければ……」


数時間後


「お嬢様、出来ました」
「うん、良い出来ね。 さすが咲夜ね」
「じゃ、着るの手伝ってくれないかしら?」
「え? よろしいんですか?」
「……なんでそんな喜んだ顔をしているのかしら?」
「いえ、なんでもありません。 お嬢様」


数分後

「うん、これでいいわ」
「お似合いですわ、お嬢様」
「じゃあ、後はこの髪型を真似て……」
「私がお手伝いします」
「いや、咲夜にはやってもらわないといけない事があるの」
「え? 私にですか? なんなりとお申し付けください」
「じゃあ、これを作って着てくれないかしら?」

「……ご冗談をお嬢様。 これは一体何の仮装ですか?」
「いいから着るの。 これは命令よ」
「……はい、わかりました……」


さらに数時間後

「お嬢様……これでいかがでしょうか?」
「いいわ! これは完璧な出来ね!」
「ううっ、でも何か息苦しいんですけど」
「我慢なさい! それとあまりしゃべらない様に!」
「ええっ! なんでですか!」
「いいの、そういう設定なんだから」
「え? なんの設定ですか!!」
「まだいいじゃないの。OVAだったら台詞なんてないんだからね!」
「ううっ、わ、わかりました~」
「さ、じゃあ行きましょう! はぐれ神魔……じゃなかったわ、悪い妖怪を闇に戻さないと!! 行くわよ! 咲夜!!」
「お、お嬢様! お待ちくださ~い!!!」




【大図書館】


「ああもう、すぐに感化されるんだから」

図書館の窓の外に白い着物を着た小さい影と、全身を真っ黒なマントで覆われた大きめな影の2つが飛んでいく。

「ま、すぐに飽きるでしょう」

そうつぶやきながら、パチュリーはテーブルの上にあったまだ暖かい紅茶に口をつける。





……この一件がその後、「紅魔館の主と従者。 漫画のコスプレをしながら夜空を飛ぶ!」というタイトルで
  文々。新聞に載ってしまうなんて事も知らずに……
元ネタが分かったアナタはいいお年頃。

うん、やっぱり僕は今スランプの様だ。

追記:元ネタは数名の方が仰っている様に、「吸血姫 美夕」です。
厄20年位前の漫画(あとOVA)と、数年前に深夜アニメで放送されていましたので、知っている人は知っている……と思います。

>レミリアは炎なんて使いましたっけ?

コメントで仰っている方もいらっしゃいますように、
東方紅魔郷のスペル「吸血鬼幻想」と「スカーレットシュート」の間の
通常弾幕で、炎の弾幕があります。
あと、こじつけですが、永夜抄のボムの「不夜城レッド」のエフェクトも、
炎に見えない事も……ないと思いますw。
苦有楽有
http://blue.ap.teacup.com/hinahina8918/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ちくしょう!わかんねぇ!
これがジェネレーションギャップか…
2.名前が無い程度の能力削除
垣野内成美の吸血姫美夕でしょうか?
ずいぶんと懐かしい……
3.名前が無い程度の能力削除
懐かしいなあ。
>でも、同じタイトルでも本の大きさが違っていたり、タイトルが微妙に違うんだけど
こまけえ、でもよくわかる。
4.名前が無い程度の能力削除
脇の開いた着物を着て、「これで霊夢とおそろいだわ」 と喜んでいる吸血姫美夕ですね、わかります。
霊夢に「苦しい…喉が渇くの……」と血をねだって針でピチューンされる所まで幻視しました。
5.名前が無い程度の能力削除
……そもそもレミリアって炎使いましたっけ?
6.名前が無い程度の能力削除
さっぱりわからないのです…
吸血姫と聞いて月姫が浮かんだけど全然違うし…

ちなみにお嬢様は紅魔郷で炎使ってきますよ
7.謳魚削除
あぁ確かに炎の弾幕有りますね。なるほどですー。
アニメとOVAは知らないのですが漫画の『新吸血姫美夕~西洋神魔編~』のみならば全巻持ってます。
垣野内成美先生は仕事人!
8.名前ガの兎削除
おぜうさまアンタって人?はwwwwww
9.欠片の屑削除
なるほど、こう昇華されましたかw
10.時空や空間を翔る程度の能力削除
タイトルは知っていが・・・
内容は把握出来てない私

あれ、記録が混乱中www
11.削除
懐っかっしっいっwww