注意:前回の続きです。
________13:00 人間の里周辺
魔理沙「…………」
魔理沙「(……人間の里が見えてきたな)」
魔理沙「(あのメイドの話だと、この辺だと思うが……)」
魔理沙「(…………お、いた。あれだな。
なんだか小さくなっちゃって、まあ……)」
魔理沙「よー、アリス。ご無礼」
アリス「…………ま、魔理沙!?」
魔理沙「あー、悪い悪い。ご無礼じゃなくてご無沙汰だったな。
ま、どっちでもいいか」
魔理沙「で、だ。お前はこんなところで、なにorzしてるんだ?」
アリス「…………。
うるさいわね。ほっといてよ」
魔理沙「ずいぶんな目に遭ったようだが、そんな様子じゃあ、魔法石コレクションはいただきだな」
アリス「賭けはあなたの勝ちでいいわ。
わたしはもう…………戦う権利を失った」
魔理沙「元より負けるつもりなんかないけどな。
だが、お前はその前にわたしのパートナーなんだ。
勝手に退場されちゃ困るんだよ」
魔理沙「おい、そこにいる奴。いい加減、隠れてないで出て来いよ。
こいつから奪ったスペルカード、全部返してもらうぜ」
???「…………ハァイ、魔理沙」
魔理沙「…………!? お前はっ!?」
霊夢 「うふふ、ごきげんよう。今日もいい天気ね」
魔理沙「……白々しい奴だな。
おい、霊夢。まさか、本当にお前がやったのか」
霊夢 「やった? ちょっと誤謬があるんじゃない。
その言い方だと、まるでわたしが悪い事でもしたみたいじゃないの。
お互いがデュエリストである以上、対峙したらその場で戦わなければならないのは当然の事だと思うけど?
あと、それに別に隠れてたわけじゃないわ。
お腹が減ったから、そこの木陰でお弁当を食べてただけ。
あなたのせいで中断になっちゃったけどね」
魔理沙「正直、信じられないな。アリスがお前なんかに負けるなんて、
何かの間違いとしか思えないぜ」
霊夢 「その娘のヘコミ具合を見たら、疑いの無い事実だということがわかるでしょう?
あなたはついさっき、わたしに完膚無きまでに敗北した。
そうよね、アリス?」
アリス「…………」
魔理沙「ったく、そんな落ち込むことないだろ。
デュエルモンスターズは所詮カードゲーム、大局を占めるのはやっぱり運なんだよ。
主人公だろうがなんだろうが、一回ぐらい負けることもあるって」
アリス「……一回だけじゃないわ」
魔理沙「何?」
アリス「一回だけじゃないのよ!
一度やって、あと一歩のところで負けて悔しかったから、またデュエルを申し込んだの。
でも、それでも勝てなかった。3回目も同じ。
気がついたら、5枚あったはずのスペルカードは、全部霊夢にとられていたのよ!」
霊夢 「ふん。もともと、これが本来の実力差だったのよ。
負け犬はいい加減視界から消えなさい」
魔理沙「…………お前、やっぱり様子がおかしいぜ。
いつもの霊夢は、デュエルする事自体を誰よりも楽しんでプレイしていた。
自分がどれだけ惨めに負けても、勝敗よりもロマンのあるコンボや連携を追い求めていた。
だから珍しく勝った事があっても、敗者を貶めるような事は絶対に言わなかった……。
一体、お前に何があったんだ」
霊夢 「今までがどうかしていたのよ。わたしは目が覚めたの。
どれだけ美しく確率の低いコンボを決めようが、負ければ何の意味も為さない。
負ければ無為、無価値、無関心。勝利こそ至上のカタルシス。
そう教えてくれたのは……魔理沙、あなただったじゃない」
魔理沙「ああ? そりゃ、勝てたほうが楽しいとは言ったかもしれないさ。誰だってそうだもんな。
でも、それじゃあ本当の意味でデュエルを楽しんでいるとはいえない。
本当のデュエルは、お互いのデュエリストの心が通じ合った時にこそ生まれるんだ」
アリス「(魔理沙……)」
魔理沙「だから、お前は間違ってる。
勝負に勝ったからって、どんなことでも許されるわけじゃない。
敗者に唾を吐きつけるような態度は、真のデュエルから最も遠い地点にある。
これだけ言ってもわからないっていうなら……
お前の間違った考え、わたしのデッキで粛清してやるぜ」
アリス「駄目よ、魔理沙!
いくらあなたでも、今の霊夢には絶対に勝てないわ。
だって、あいつのデッキは……」
魔理沙「おっと、お前がこの前言ってたように、わたしにあいつの戦術を知る権利は無いぜ。
相手がなんであれ、一応そこはフェアじゃないとな」
霊夢 「フン。ねえ、魔理沙。
わたしからしてみれば、あなたが並べたお為ごかしの方こそ、デュエルに最も必要の無いものよ。
全ては感情論をきれいに取り繕った幻想。
一皮剥けば、何のことはないナンセンス。
なんならわたしがそれを教えてあげるわ。あなたの望み通り、デュエルを通してね」
魔理沙「上等だよ。
わたしはスペルカードは今3枚しか持っていないが、お前はだいぶ持っているだろう。
アリスから奪った分のスペルカードを賭けてもらう。それでいいな?」
霊夢 「足りないわね。
わたしはスペルカードはもう10枚ほど持ってるけど、この娘から勝ち取ったカードは5枚。
あと2枚分はどう帳尻を合わせるつもり?」
魔理沙「そうだなぁ……じゃあ、毎日わたしが遊びに行ってやる。
お前が暇で退屈しないようにな。それでどうだ?」
霊夢 「そんなのいつもの事じゃない。あんたがいても退屈なのに変わりはないけど」
魔理沙「む。割とマジで言ってみたんだが、駄目か。
じゃあアリス秘蔵のマッサージ人形でどうだ?
あれは肩だけじゃなくて、腰から足首まで隅々を揉んでくれるんだ」
アリス「い、嫌よ。あれ作るのに5日かかったのよ。
というか、動かすのは結局わたしなのよ」
霊夢 「わかったわ」
魔理沙「そうか、じゃあそれで」
アリス「嫌って言ってるでしょうぅ」
霊夢 「いや、そうじゃなくて、こちらから提案があるわ。
魔理沙が負けた場合、スペルカードはいらない。
でもその代わり、あなたが負けたその時は、わたしのパートナーになるのよ」
アリス「……何ですって?」
魔理沙「ん? あれ?
それじゃあ、わたしは別に勝っても負けてもどっちでもいいってことか」
アリス「よくないわよっ。わたしのスペルカードはどうするの。
あんまりふざけると人形投げるわよ。もちろん、爆発するタイプの」
魔理沙「あー、でもそうなるとお前、紫はいいのか?
お前のパートナーはあいつのはずだろ」
霊夢 「別にどうだっていいわ、あんな奴。
大会が始まったらすぐいなくなっちゃったしね。
まあ、わたしに強力なカードをたくさんくれたことだけは感謝してなくもないけど」
魔理沙「強力なカードだと……?
……ははぁ、わかったぜ。
お前に妙なこと吹き込んだのは、やっぱりあいつだったんだな。
そんなことだろうと思った」
霊夢 「そんなのどうだっていいって言ってるでしょう。
それより、どうかしら?
もちろん、無条件でパートナーになってくれてもいいのよ。
もともと、あなたはわたしと大会に出るはずだったんだからね」
魔理沙「断固お断りだぜ。
わたしもいろいろと間違った奴とは組みたくないからな。
お前に勝って、呪縛から解き放ってやる。
その勝利に駆られた妄執の呪縛からな」
霊夢 「…………そう。残念ね。
なら、多少痛い目を見ても仕方ないわ。
デュエルで直接目を覚まさせてあげる。この、わたしの最強のデッキでね!」
魔理沙&霊夢「デュエル!!」
魔理沙【青き眼の白竜使い】LP8000
VS
霊夢【アサイカリエアーゴーズ帝】LP8000
魔理沙「コイントスだ。どっちにする?」
霊夢 「そうね。じゃあ、裏」
魔理沙「…………裏だな」
霊夢 「なら、わたしは後攻でいいわ」
魔理沙「先攻を譲ってくれるっていうのか。余裕だな」
魔理沙「だが、今に後悔させてやるぜ。わたしのターン、ドロー!」
魔理沙「モンスターを裏守備でセット。カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
魔理沙 LP8000:手札4:裏守備、伏せ1
霊夢 LP8000:手札6:無し
霊夢 「わたしのターン、ドローするわ」
霊夢 「ふっ、まずはこれね。サイバー・ドラゴンを特殊召喚!」
《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》 †
効果モンスター(準制限カード)
星5/光属性/機械族/攻2100/守1600
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在していない場合、
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
魔理沙「(サイドラか。アリスのデッキにも投入されてるカードだが……
後攻を選んだのは、こいつをデッキに入れてたからか)」
霊夢 「攻撃表示よ。さらに、エアーマンを召喚」
《E・HERO(エレメンタルヒーロー) エアーマン/Elemental Hero Stratos》 †
効果モンスター(制限カード)
星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300
このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、
次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●自分フィールド上に存在するこのカードを除く
「HERO」と名のついたモンスターの数まで、
フィールド上の魔法または罠カードを破壊する事ができる。
●自分のデッキから「HERO」と名のついた
モンスター1体を選択して手札に加える。
霊夢 「エアーマンの誘発効果発動。
デッキから、E・HEROアナザー・ネオスを手札に加える」
魔理沙「(あっさりとアド+1か。
だが、エアーマンとともにサイドラも入ってるってことは……)」
魔理沙「どうやらそのデッキはガチガチのスタンダード。グッドスタッフのようだな。
いつの時代も勝つ事を極限まで追求していくと、
結局は単体で強いカードばかりを集めたものになってしまう。
哀しいもんだな」
霊夢 「なんとでも言うがいいわ。優先されるのは、いつの時代も勝者の言のみ。
あなたの言葉が意味を成すのは、わたしに勝つことができてからよ」
霊夢 「バトルフェイズよ。サイバー・ドラゴンで、裏守備に攻撃!」
魔理沙「シャインエンジェルだ。破壊される」
《シャインエンジェル/Shining Angel》 †
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1400/守 800
このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の
光属性モンスター1体を自分のフィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
その後デッキをシャッフルする。
魔理沙「だが、墓地に送られたことで誘発効果発動。
デッキから2枚目のシャインエンジェルを特殊召喚するぜ」
霊夢 「でも攻撃表示よ。エアーマンでシャインに攻撃!」
魔理沙「ダメージは受けるが、もう一度効果発動だ。
さあ来い! カイバーマンを特殊召喚!」LP8000→7600
《正義の味方 カイバーマン/Kaibaman》 †
効果モンスター
星3/光属性/戦士族/攻 200/守 700
このカードを生け贄に捧げる事で、手札から「青眼の白龍」1体を特殊召喚する。
霊夢 「あ、誰かと思ったら社長じゃない」
アリス「カイバーマンって……。じゃあ、魔理沙はブルーアイズデッキなの?」
魔理沙「ああ。こいつで、あいつにデュエルの楽しさを思いださせてやろうと思ってな」
アリス「そんな……無茶よ!
霊夢は制限カードをありったけ詰め込んだグッドスタッフなのよ。
ブルーアイズを入れたファンデッキでなんて、敵うはずがない!」
霊夢 「アリスの言う通りよ。
だいたい、わたしはそのデッキと戦ったことがある。
そんな事故ばかりの重すぎるデッキで、なおさら勝てる道理なんて無いわ」
魔理沙「だが、うまく回ったときの破壊力も知っている。そうだろ?」
霊夢 「……フン。カードを1枚伏せて、ターンエンドよ」
魔理沙 LP7600:手札4:社長、伏せ1
霊夢 LP8000:手札4:サイドラ、エアーマン、伏せ1
魔理沙「いくぜ。わたしのターン、ドロー!」
魔理沙「さっそく社長の起動効果を発動するぜ。
このカードをリリースすることで、手札のブルーアイズを特殊召喚する!
現れろ、ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン!!」
《青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)/Blue-Eyes White Dragon》 †
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。
どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。
霊夢 「出たわね、ブルーアイズ。まさかこの早い段階で召喚してくるなんて」
魔理沙「こいつでお前を正気に戻してやる。覚悟するんだな」
魔理沙「ブルーアイズで、エアーマンに攻撃! 滅びのマスタースパーク!!」
霊夢 「今のわたしに、そんな単純な攻撃が効くわけない!
トラップ発動。聖なるバリア、ミラーフォース!」
《聖なるバリア-ミラーフォース-/Mirror Force》 †
通常罠(制限カード)
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する。
霊夢 「ブルーアイズは破壊よ。
そんな召喚方法するから、これでまたアドバンテージ差がついちゃったわね」
魔理沙「そいつはどうかな?
こっちもリバースカード発動だ! 正統なる血統!」
《正統なる血統/Birthright》 †
永続罠
自分の墓地から通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。
魔理沙「今破壊されたブルーアイズを蘇生するぜ!」
霊夢 「なっ……! あらかじめそのカードを伏せてたっていうの!?」
アリス「この展開を予測していたわけね。さすが魔理沙」
魔理沙「当然だぜ。まだバトルフェイズは終わっていない。
ブルーアイズでもう一度エアーマンを攻撃だ。
くらえっ! 滅びのマスタースパーク!!」
霊夢 「チィ……鬱陶しいわね」LP8000→6800
魔理沙「これでアドも戻ったな。ターンエンドだ」
魔理沙 LP7600:手札4:青眼の白竜、血統
霊夢 LP6800:手札4:サイドラ
霊夢 「目障りなドラゴン……このターンで消し去ってやるわ。ドロー!」
霊夢 「手札から、おろかな埋葬を発動。デッキから黄泉ガエルを墓地に送るわよ」
《おろかな埋葬/Foolish Burial》 †
通常魔法
自分のデッキからモンスター1体を選択して墓地へ送る。
その後デッキをシャッフルする。
魔理沙「(黄泉ガエルまで入れてるのか……まずいな。
このデッキには、モンスターを除外するカードは少ないぜ)」
霊夢 「さらに、サイバー・ドラゴンをリリース!
風帝ライザーをアドバンス召喚!」
《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》 †
効果モンスター(制限カード)
星6/風属性/鳥獣族/攻2400/守1000
このカードの生け贄召喚に成功した時、
フィールド上のカード1枚を持ち主のデッキの一番上に戻す。
魔理沙「(……風帝! こいつはまずいぜ……)」
霊夢 「ライザーの誘発効果発動。場のカード1枚をデッキトップに戻す。
わたしが選ぶのは、もちろんブルーアイズよ!」
アリス「(くっ、まさに外道カードね。
デッキトップに戻す効果は、時として破壊よりも厄介になる……。
場のカードを除去されたうえに、次のドローまで無駄になってしまうのはきついわ)」
霊夢 「最上級モンスターは召喚にひどく手間がかかる。
ブルーアイズなんて効率の悪いモンスターを入れてるからよ。
しょせん、時代遅れの観賞用のカードね」
魔理沙「こいつは外せないぜ。なにせ、わたしの魂のカードだからな」
霊夢 「くだらないわ。何にせよ、これであなたのフィールドはがら空き。
いけ、風帝ライザー! 魔理沙にダイレクトアタック!」
魔理沙「……ぐああっ!」LP7600→5200
霊夢 「ふふっ、きついのをもらっちゃったわね。あと残機2ってところかしら。ターンエンド」
魔理沙 LP5200:手札4:無し
霊夢 LP6800:手札3:ライザー
魔理沙「……2機もあれば十分だぜ。
まだまだこれからだ。ドロー!」
魔理沙「ところで、さっきのセリフは聞き捨てならないな。
わたしのブルーアイズが観賞用だなんてあるはずがない。
効率が悪いカードかどうか、身をもって確かめるがいいぜ!」
魔理沙「手札から、古のルールを発動!」
《古のルール/Ancient Rule》 †
通常魔法
自分の手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する。
霊夢 「(な……まさかまた??)」
魔理沙「かつてデュエルモンスターズが生まれたばかりの頃は、モンスターは効果が無い代わりに、
上級モンスターでも生け贄なしで召喚することができた。
この魔法カードはその過去のルールをモチーフにしているわけだな。
まあそんなわけで、また拝ませてやるぜ。青眼の白龍を攻撃表示で特殊召喚!」
青眼の白龍 攻撃力3000
アリス「凄いわね……。何より、魔理沙のブルーアイズに懸ける想い。
わたしにも伝わってくるわ」
魔理沙「いつの時代も、攻撃力においてはブルーアイズがナンバー1だぜ。
風帝ライザーに攻撃! 滅びの、マスタースパーク!!」
霊夢 「くうぅっ……! 一度ならず二度までも……」LP6800→6200
魔理沙「ライザーは破壊だ。メインフェイズ2でモンスターをセット。
さらにカードを2枚伏せてターンエンドだ」
魔理沙 LP5200:手札1:青眼の白竜、裏守備1、伏せ2
霊夢 LP6200:手札3:無し
霊夢 「(くっ……わたしが押されている? それも、あんなファンデッキなんかに……)」
霊夢 「……そんなことありえるはずがないわ! ドロー!」
霊夢 「スタンバイフェイズに、墓地の黄泉ガエルの効果を発動!」
《黄泉(よみ)ガエル/Treeborn Frog》 †
効果モンスター(制限カード)
星1/水属性/水族/攻 100/守 100
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
この効果は自分フィールド上に「黄泉ガエル」が
表側表示で存在する場合は発動できない。
霊夢 「このモンスターはわたしのスタンバイフェイズに場に魔法・罠カードが無い場合、
墓地から特殊召喚することができる。
よって、黄泉ガエルを守備表示で特殊召喚よ!」
魔理沙「(永続的な壁・生け贄ソースか……。やっぱりカエルは鬱陶しいぜ)」
霊夢 「メインフェイズよ。手札からグランモールを召喚するわ」
《N(ネオスペーシアン)・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》 †
効果モンスター(制限カード)
星3/地属性/岩石族/攻 900/守 300
このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、
ダメージ計算を行わず相手モンスターとこのカードを
持ち主の手札に戻す事ができる。
霊夢 「そしてバトル。グランモールで、ブルーアイズに攻撃!」
霊夢 「そしてこの瞬間、グランモールの効果発動。
このカードが戦闘をおこなった時、ダメージ計算前にこのカードとバトルしたモンスターを手札に戻す。
ブルーアイズを手札に戻すわ!」
魔理沙「モグラとか氏ねよ……」
アリス「声に出てるわよ。女の子はそういう事言わないの」
魔理沙「おっと。失敬だぜ」
霊夢 「カードを1枚伏せてターンエンドよ」
魔理沙 LP5200:手札2:裏守備、伏せ2
霊夢 LP6200:手札2:カエル、伏せ1
魔理沙「わたしのターンだぜ。ドロー」
魔理沙「カードを2枚伏せて、場の裏守備を反転召喚する。メタモルポットだ」
《メタモルポット/Morphing Jar》 †
効果モンスター(制限カード)
星2/地属性/岩石族/攻 700/守 600
リバース:自分と相手の手札を全て捨てる。
その後、お互いはそれぞれ自分のデッキからカードを5枚ドローする。
魔理沙「お互い手札を全て捨てて、5枚ドローするぜ」
霊夢 「(メタポだったか……。モグラが落ちてしまったわね)」
魔理沙「よーし、手札も補充できてホックホクだぜ。
さらにわたしは、サファイアドラゴンを召喚!」
《サファイアドラゴン/Luster Dragon》 †
通常モンスター
星4/風属性/ドラゴン族/攻1900/守1600
全身がサファイアに覆われた、非常に美しい姿をしたドラゴン。
争いは好まないが、とても高い攻撃力を備えている。
魔理沙「サファイアドラゴンで、カエルに攻撃だ」
霊夢 「この瞬間、トラップ発動よ。次元幽閉」
《次元幽閉/Dimensional Prison》 †
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体をゲームから除外する。
霊夢 「サファイアドラゴンは除外。これなら蘇生も不可能ね」
魔理沙「(くっ、さすがに簡単には攻撃は通らないか……)ターンエンドだ」
魔理沙 LP5200:手札4:メタポ、伏せ4
霊夢 LP6200:手札5:カエル
霊夢 「手札が増えたのはわたしも同じ……後悔するがいいわ。ドロー」
霊夢 「黄泉ガエルをリリースし、氷帝メビウスを召喚!」
《氷帝メビウス/Mobius the Frost Monarch》 †
効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2400/守1000
このカードの生け贄召喚に成功した時、
フィールド上の魔法・罠カードを2枚まで破壊することができる。
魔理沙「(今度は氷帝か……いいところで引かれたな)」
霊夢 「メビウスの誘発効果発動。魔理沙の場の伏せカード2枚を破壊する。
右の2枚を破壊するわ」
魔理沙「……召喚師のスキルと、蘇りし魂だぜ」
霊夢 「ふふふ、また性懲りも無くブルーアイズを蘇生するつもりだったようね。
メビウスで、メタモルポットに攻撃よ」
魔理沙「くっ……けっこうダメージでかいな」LP5200→3500
霊夢 「このままターンエンドよ」
魔理沙 LP3500:手札4:伏せ2
霊夢 LP6200:手札5:メビウス
魔理沙「(帝の攻撃力は2400……。今のままじゃ動けないぜ)」
魔理沙「わたしのターン、ドロー」
魔理沙「モンスターを裏守備でセット。ターンエンドだ」
魔理沙 LP3500:手札4:裏守備、伏せ2
霊夢 LP6200:手札5:メビウス
霊夢 「メタポの効果を使っておきがなら事故るなんて。
まったく、言わないことじゃないわね。そんなデッキを使っているからよ」
魔理沙「誰が事故ったなんて言ったんだよ。今はチャンスを窺っているだけさ」
霊夢 「……ああそう。悠長に待ってる間に、ライフが無くならないといいわね。ドロー」
霊夢 「スタンバイフェイズに、墓地の黄泉ガエルの効果発動。
守備表示で特殊召喚するわ。
そして、死霊騎士デスカリバー・ナイトを召喚」
《死霊騎士デスカリバー・ナイト/Skull Descovery Knight》 †
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1900/守1800
このカードは特殊召喚できない。
効果モンスターの効果が発動した時、
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを生け贄に捧げなければならない。
その効果モンスターの発動と効果を無効にし、そのモンスターを破壊する。
霊夢 「デスカリで裏守備に攻撃よ」
魔理沙「くっ、これは仮面竜だぜ」
《仮面竜(マスクド・ドラゴン)/Masked Dragon》 †
効果モンスター
星3/炎属性/ドラゴン族/攻1400/守1100
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、
デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
その後デッキをシャッフルする。
魔理沙「戦闘で破壊されたことで、仮面竜の効果が発動する。
デッキからドラゴン族を特殊召喚……」
霊夢 「ふふ、残念ね。デスカリバー・ナイトの誘発即時効果発動。
効果モンスターの効果が発動したことで、このカードをリリースしてその効果を無効にする。
よって仮面竜の効果は不発よ」
霊夢 「そして、もうあなたの場にモンスターはいない。
メビウスでダイレクトアタック!」
魔理沙「う……わあああっ!」LP3500→1100
霊夢 「カードを1枚伏せて、ターンエンドよ」
魔理沙 LP1100:手札4:伏せ2
霊夢 LP6200:手札5:メビウス、カエル、伏せ1
アリス「魔理沙……!」
アリス「(……駄目だわ、やっぱり。
上級モンスターを出しても除去。裏守備も対応されるし、まるで隙が無い)」
アリス「……もういいわ、魔理沙。あなたはもう十分よく戦った。
ここでサレンダーしても、誰も文句を言う奴はいないわよ」
霊夢 「フフフ……アーッハッハッハ!! アリスもずいぶん殊勝になったものね!
いいじゃない、魔理沙。実に魅力的な提案だわ。
わたしは別にそれでも構わないわよ。これ以上恥をさらしたくないでしょうしね」
霊夢 「それに、ここまでやられれば嫌でも十分理解したでしょ。
本当に間違っているのは、わたしとあなた、どっちだったのかしらね?」
魔理沙「……何度も言わせるな。ガチカードの応酬に、アド重視のプレイング。
間違ってるのはお前の方だ。
それに、このままサレンダーなんかする気もさらさら無いぜ。
だってまだ勝負はついていない、そうだろ?」
アリス「(魔理沙……)」
霊夢 「まだそんな強がる余裕があるっていうの……。気に食わないわね。
もっとゆっくりいたぶるつもりだったけど、もういいわ。
次のわたしのターンで、あなたは終わりよ」
魔理沙「おっと、じゃあその前にわたしのターンを凌いでもらわないとな。ドロー!」
魔理沙「…………きたな。ようやく攻撃らしい攻撃ができそうだ」
魔理沙「まずは、場のリバースカードを使わせてもらうぜ。永続魔法、生還の宝札」
《生還の宝札/Card of Safe Return》 †
永続魔法
自分の墓地からモンスターがフィールド上に特殊召喚された時、
デッキからカードを1枚ドローする事ができる。
アリス「墓地からモンスターが蘇生したときに、カードを1枚ドローできるカード……。
ということは、またブルーアイズを?」
魔理沙「そういうことだぜ。まずは、仮面竜を攻撃表示で召喚する」
魔理沙「そして場の仮面竜を除外し……
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚だぜ!」
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》 †
効果モンスター
星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400
このカードは自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター1体を
ゲームから除外する事で特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度だけ、自分のメインフェイズ時に手札または自分の墓地から
「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を
自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
霊夢 「ダ……ダークネスメタルですって!?
たったモンスター1体のコストでそんなカードを……」
魔理沙「攻撃表示だ。そして、優先権を行使してダークネスメタルの起動効果発動。
このカードは毎ターンノーコストで、墓地のドラゴン族を特殊召喚できるんだぜ」
魔理沙「伝説は何度でも蘇る! 墓地から、ブルーアイズを攻撃表示で特殊召喚!」
青眼の白龍 攻撃力3000
霊夢 「……またなの!? ええい、倒しても倒しても!」
魔理沙「墓地から特殊召喚が成功したことで、生還の宝札の効果が発動するぜ。
カードを1枚ドロー」
魔理沙「ミラフォをあんな序盤に使ったのは早計だったようだな。
遠慮なく2体で攻撃できるぜ」
魔理沙「ブルーアイズで氷帝メビウスに攻撃!
滅びのマスター・スパァーーーク!!」
霊夢 「ぐうぅっ、メビウスは破壊……」LP6200→5600
魔理沙「さらにダークネスメタルドラゴンで、黄泉ガエルに攻撃!
ダークネス・メタル・フレアだぜ!」
霊夢 「そっちは通さない! 伏せカードオープン、エネミーコントローラー!」
《エネミーコントローラー/Enemy Controller》 †
速攻魔法
次の効果から1つを選択して発動する。
●相手フィールド上の表側表示モンスター1体の表示形式を変更する。
●自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。
相手フィールド上の表側表示モンスター1体を選択する。
発動ターンのエンドフェイズまで、選択したカードのコントロールを得る。
霊夢 「上の効果よ。ダークネスメタルを守備表示に変更するわ」
魔理沙「ターンを終了するぜ」
魔理沙 LP1100:手札5:青眼の白龍、ダークネスメタル、宝札、伏せ1
霊夢 LP5600:手札5:カエル
霊夢 「……わたしは負けるわけにはいかないのよ! ドロー!」
霊夢 「(レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン……。
あいつを場から取り除かないと、ブルーアイズを破壊してもまた復活されてしまう。
それだけは阻止しなければ……)」
霊夢 「異次元の女戦士を召喚するわ!」
《異次元の女戦士/D.D. Warrior Lady》 †
効果モンスター(制限カード)
星4/光属性/戦士族/攻1500/守1600
このカードが相手モンスターと戦闘を行った時、
相手モンスターとこのカードをゲームから除外する事ができる。
アリス「(また制限カード……)」
霊夢 「異次元の女戦士で、ダークネスメタルドラゴンに攻撃よ!」
魔理沙「守備表示だが、数値はこちらの方が高いぜ」
霊夢 「承知の上よ。でもこの瞬間、女戦士の誘発効果発動。
このカードとダークネスメタルを除外するわ。異次元に消え去りなさい!」LP5600→4700
魔理沙「ダメージ覚悟でダークネスメタルを消しにきたか。
お前、ひょっとして、少し焦りがでてきたんじゃないか?」
霊夢 「……っ!? 焦りですって?
そんなこと、あるはずがない!」
霊夢 「…………いいわ。もう本当に容赦なんてしないからね」
霊夢 「メインフェイズ2で、手札から魔法カード発動! 強制転移!」
《強制転移/Creature Swap》 †
通常魔法(準制限カード)
お互いが自分フィールド上モンスターを1体ずつ選択し、
そのモンスターのコントロールを入れ替える。
選択されたモンスターは、このターン表示形式の変更はできない。
アリス「(あれは……お互いの場のモンスターを入れ替えるカード)」
霊夢 「わたしの場には黄泉ガエル。あんたの場にはブルーアイズしかいない。
この意味がわかるわね? あんたの大好きなブルーアイズはいただくわよ」
霊夢 「あんたは次のターン、自らが愛してやまなかったカードによって終焉を迎える。
素敵ね! アッハハハハハ!」
魔理沙 LP1100:手札5:カエル、宝札、伏せ1
霊夢 LP4700:手札4:青眼の白龍
魔理沙「……言いたい事はそれだけか? ならドローさせてもらうぜ」
霊夢 「あらあら。
さすがの魔理沙も、ブルーアイズを奪われては気落ちせざるをえないようね。
いいのよ? 遠慮せずサレンダーしても」
魔理沙「霊夢、やっぱりお前は何もわかっちゃいない。いや、何も覚えちゃいないんだ。
カードを数値や効果で判断している今のお前には、ブルーアイズを攻撃力の塊にしか見えていない」
霊夢 「ハハッ、事実そうじゃない。ステータスだけの重くて使えないモンスター。
何が違うっていうの?」
魔理沙「このターンで見せてやるよ。カードに秘められた無限の可能性ってやつを。
そして思い出させてやる。
デュエルにおいて本当に大切なものは、何かってことをな!」
魔理沙「手札から、高等儀式術を発動!」
《高等儀式術/Advanced Ritual Art》 †
儀式魔法(制限カード)
手札の儀式モンスター1体を選択し、そのカードのレベルの合計が
同じになるように自分のデッキから通常モンスターを選択して墓地に送る。
選択した儀式モンスター1体を特殊召喚する。
魔理沙「このカードの効果で、デッキから2枚目のサファイアドラゴンを墓地に送るぜ」
アリス「(ブルーアイズデッキで高等儀式術……ということは……)」
魔理沙「当然召喚するのはこいつだ。現れろ! 白竜の聖騎士!」
《白竜の聖騎士(ナイト・オブ・ホワイトドラゴン)/Paladin of White Dragon》 †
儀式・効果モンスター
星4/光属性/ドラゴン族/攻1900/守1200
「白竜降臨」により降臨。
フィールドか手札から、レベルが4以上になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。
このカードが裏側守備表示のモンスターを攻撃した場合、
ダメージ計算を行わず裏側守備表示のままそのモンスターを破壊する。
また、このカードを生け贄に捧げる事で手札またはデッキから
「青眼の白龍」1体を特殊召喚する事ができる。
(そのターン「青眼の白龍」は攻撃できない。)
魔理沙「白竜の聖騎士の、起動効果発動!
このカードをリリースすることで、デッキからブルーアイズを特殊召喚できる!
降臨せよ、新たなブルーアイズ!」
青眼の白龍 攻撃力3000
霊夢 「……なるほどね。ブルーアイズ同士を攻撃させて相打ちにしようってわけ。
わたしはそれでも構わないけど、魔理沙らしからぬ犠牲的な戦術ね」
魔理沙「おいおい、そんなことするはず無いだろ。
わたしはお前に思い出させてやると言ったんだ。
デュエルの醍醐味ってやつをな!」
魔理沙「手札から、沼地の魔神王を召喚だ!」
《沼地の魔神王(ましんおう)/King of the Swamp》 †
効果モンスター
星3/水属性/水族/攻 500/守1100
このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。
その際、他の融合素材モンスター1体は正規のものでなければならない。
また、このカードを手札から墓地に捨てる事で、
デッキから「融合」魔法カードを手札に加える。
その後デッキをシャッフルする。
アリス「融合素材代用モンスター……?
…………まさか、究極竜を呼ぶつもり!?」
霊夢 「究極竜ですって? ……ふん、できるはずがないじゃない。
青眼の究極竜なんて、あんなもの、そうそう召喚できるものじゃないわ。
あのカードの融合素材は、青眼の白龍が3体必要。
そのうち1体を沼地の魔神王で代用したとして、あと1枚はどうするつもりかしら。
まさかアニメみたいに都合よく手札にあるっていうの?」
魔理沙「いや、わたしの手札にはもうブルーアイズは無い。
だが、3体目ならちゃんとそこにいるだろ」
霊夢 「(…………そこ?)」
霊夢 「(……!? まさか、わたしの場!?)」
アリス「魔理沙……まさか、あなた!?」
魔理沙「そういうことだぜ。お前のフィールドとあわせれば、ブルーアイズは3体分揃う!」
魔理沙「これがわたしの切り札だ!
リバースカードオープン! 超・融・合!!」
《超融合(ちょうゆうごう)/Super Polymerization》 †
速攻魔法
手札を1枚捨てる。自分または相手フィールド上から融合モンスターカードに
よって決められたモンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
このカードの発動に対して、魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。
(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)
霊夢 「(……相手の場のモンスターも素材にできる融合カードですって!?)」
魔理沙「お前の場のブルーアイズは返してもらうぜ。
手札を1枚を捨て、場のブルーアイズ2体と沼地の魔神王を融合!」
魔理沙「今こそその姿を現す時だ! 3体融合召喚!」
魔理沙「ブルーアイズ……アルティメットドラゴン!!」
《青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)/Blue Eyes Ultimate Dragon》 †
融合モンスター
星12/光属性/ドラゴン族/攻4500/守3800
「青眼の白龍」+「青眼の白龍」+「青眼の白龍」
霊夢 「(…………あ、アルティメットドラゴン! 凄い……)」
アリス「攻撃力4500の究極竜……凄い! 凄いわ、魔理沙!」
魔理沙「はっはっは。だろ~? かっこいいだろ~」
魔理沙「なあ、霊夢。お前もそう思わないか?」
霊夢 「っ……!? 何よ。急に……」
魔理沙「お前もデュエリストなら感じたはずだぜ。
強いコンボが決まったときの、声にならないような喜び。
低い確率を綱渡りして、強力なモンスターを召喚できた時の湧き上がるような興奮。
どうだ? お前も今、わたしのコンボを見て凄いと思っただろ?
胸がドキドキしてるだろ?」
霊夢 「わ、わたしは…………別に……」
魔理沙「やっと思い出してくれたみたいだな。それでいいのさ。
まぎれもなく、デュエルを最高に楽しんでるって証拠だからな。
この感覚をいつも追い求めて、お前は一発逆転のE・HEROデッキを使っていたんじゃないか」
霊夢 「…………やめてよ! わたしはもうそんな自分は捨てたの!
E・HERO? あんな非効率でイラストが気持ち悪いデッキなんて知らないわ。
どんなカードだろうと望むべき結果を出せなければ、何の意味も為さない。ただの紙クズよ。
だから、過去の自分は捨てたの。
わたしは…………もう勝つ事でしか、自分を証明できないのよ!」
アリス「霊夢……」
魔理沙「……そうか。なら、この一撃で今度こそ正気に戻してやる。
行くぜ! アルティメットドラゴンの攻撃!」
魔理沙「超融合によってブルーアイズを失った今、お前の場を守るモンスターはいない。
ブルーアイズ・アルティメットドラゴンで、霊夢にダイレクトアタック!」
魔理沙「いけえっ! アルティメット・ファイナルスパァーーーク!!」
霊夢 「……きゃああああああああ!!」LP4700→200
魔理沙「…………」
魔理沙「(少し残ったか…………だが)」
魔理沙「よかったな、アリス。これでお前の復帰は叶いそうだぜ。
まあ、賭けはわたしの勝ちなのは譲らないけどな」
アリス「言われなくても、賭けの魔法石はちゃんとあげるわ。
でも……わたしの復帰はやっぱり無理みたいね」
魔理沙「? 何言ってんだ。あと一押しなんだぜ?
なんでお前がそんな弱気に……」
霊夢 「…………この瞬間、手札誘発の誘発効果が発動するわ」
魔理沙「(……? 霊夢?)」
霊夢 「冥府の使者ゴーズを…………守備表示で特殊召喚」
《冥府の使者ゴーズ/Gorz the Emissary of Darkness》 †
効果モンスター(制限カード)
星7/闇属性/悪魔族/攻2700/守2500
自分フィールド上にカードが存在しない場合、
相手がコントロールするカードによってダメージを受けた時、
このカードを手札から特殊召喚することができる。
この方法で特殊召喚に成功した時、
受けたダメージの種類により以下の効果を発動する。
●戦闘ダメージの場合、自分フィールド上に「冥府の使者カイエントークン」
(天使族・光・星7・攻/守?)を1体特殊召喚する。
このトークンの攻撃力・守備力は、この時受けた戦闘ダメージと同じ数値になる。
●カードの効果によるダメージの場合、受けたダメージと同じダメージを
相手ライフに与える。
魔理沙「(ゴーズ!? しまった……!)」
アリス「わたしもここまでは追い詰めることはできたわ……。
でも、最後の最後であのカードの召喚を許してしまった。
あとはそのまま押し切られて終わりよ」
霊夢 「ゴーズが特殊召喚されたことで、さらに冥府の使者カイエントークンを守備表示で特殊召喚する。
カイエンの攻守は、ダイレクトアタックされた時のダメージと同じ。
よって、カイエントークンの攻撃力は……」
冥府の使者カイエントークン 攻撃力4500
魔理沙「(究極竜と同じ、か……」
霊夢 「……馬鹿らしいわね。そう思わない?
どれだけいいデュエルをしようが、あと一歩まで追い詰めようが、
このカードが出てくるだけで状況は一変する。
スタンダード同士の戦いでは、先にこのカードを引いた方が勝ちなんて
言われたこともあったくらいだわ」
霊夢 「色々あったけど、これで本当に最後。
あんたの言う通り、確かにわたしの内心では、なにか心躍るものがあったかもしれない。
それは認めるわ。
もしかしたら、これだけ楽しかったデュエルは本当に久しぶりだったのかも……」
霊夢 「でもね、結局はそんなこと無意味なの。
ゴーズの召喚を許してしまった以上、もはや大局は決した。
あなたは手札を大幅に使い切って切り札を場に出したけど、
わたしはそれと同等のモンスターをいとも容易く召喚してしまった。
残るのは、わたしが勝者であなたは敗者という、厳然たる事実だけなのよ……」
魔理沙「……寂しそうだな」
霊夢 「…………」
魔理沙「今ようやくわかったぜ。やっぱりお前は、本当は勝ちたくなんてなかったんだ。
そんなガチガチのグッドスタッフなんて、本音は使いたくはない。
純粋に、ただ楽しいデュエルがしたかった。
レベルの高い大会に参加して勝ち進むために、無理してそんなデッキを使ってたんだ。
そうだろ?」
霊夢 「…………ないで」
魔理沙「ん?」
霊夢 「……わかったような口をきかないで!」
魔理沙「!?」
霊夢 「大会に参加するため? ふん、違うわね。
わたしは、純粋に強くなりたかったのよ。
強くなって、あんたたちを見返してやりたかった。
わたしの力を、見直してもらいたかった……」
魔理沙「そんなデッキで勝ったところで、わたし達がお前を見直すと思ったのか?」
霊夢 「……うるさい!!
あなたがわたしじゃなくてアリスを選んだのだって、この娘の方が強いと思ったからじゃない!」
魔理沙「…………」
霊夢 「……っ…………」
アリス「…………なるほど。そういうことだったのね。
霊夢、あなた本当は魔理沙と一緒に組んで大会に出たかったんでしょう。
でも魔理沙は自分じゃなくて、ルールを覚えたばかりのわたしを選んだ。
そして、選ばれなかったのは自分に力が無いせいだと思い込んだ……。
だから見返してやりたいなんて思ったのね」
霊夢 「…………」
魔理沙「……霊夢、それは違うぜ。
わたしがこいつを選んだのは……まあ、お前と組むより勝てそうだってのも少しはあったかもしれないが、
本当の理由は、こいつと組んだらきっと楽しくデュエルができると思ったからなんだ。
お前の実力が低いからじゃない。
だいたい、お前は弱くなんてないよ。
そんな勘違いをしている奴がいるとしたら、それはお前自身だけだ」
霊夢 「…………ありがと。面と向かって言われるとちょっぴり恥ずかしいけど、
悪い気はしないものね」
魔理沙「ああ。じゃあ、この際だから言っておくよ。
お前の事は、わたしはちゃんと認めてるんだぜ。
だからもうそんなデッキは、お前には必要ないんだ」
霊夢 「……そうね。
でも、デュエルは非情よ。
勝者か敗者、それが確定するまで、戦いはやめることができないのはわかるでしょう。
この圧倒的優位な状況で、わたしがサレンダーすることは認められない。
あなたは…………どうするの?」
魔理沙「安心しろよ。むしろ、これからが本当のデュエルだ。
逆境からどうやって切り抜けていくかも、デュエルの醍醐味の一つだしな」
霊夢 「(魔理沙……)」
霊夢 「ふふ、そうかもしれないわね。
よーし、じゃあ見せてもらおうかしら。
この圧倒的な状況をどう覆すのかを!」
魔理沙「おお! わたしは弾幕同様、一度言ったことは曲げない主義だぜ。
わたしのブルーアイズデッキで、そのデッキを打ち破ってみせる。
勝つのはわたしだ!」
アリス「でも……あなた実際どうする気よ?
手札はたった2枚しかないし、このターンの戦闘はもう終わっちゃったわよ」
魔理沙「誰もこのターンでなんとかするなんて言ってないだろ。
なにせ、デュエルは始まったばっかなんだからな」
魔理沙「(……とはいったものの、わたしの手札はこの2枚だけ。
次の霊夢のターンは凌げるかもしれないが……それだけじゃ駄目だ。
勝ちには至るには、あと少し決定的なものがないと……)」
魔理沙「(……次のドローに賭けるしかないな)」
魔理沙「わたしはメインフェイズ2で、絶対魔法禁止区域を発動!」
《絶対魔法禁止区域/Non-Spellcasting Area》 †
永続魔法
フィールド上に表側表示で存在する全ての
効果モンスター以外のモンスターは魔法の効果を受けない。
アリス「(通常モンスター支援カード……!
これで究極竜は魔法効果を受けなくなったわ)」
魔理沙「まだだ。さらに光の護封剣!」
《光の護封剣/Swords of Revealing Light》 †
通常魔法(制限カード)
相手フィールド上に存在する全てのモンスターを表側表示にする。
このカードは発動後(相手ターンで数えて)3ターンの間フィールド上に残り続ける。
このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上モンスターは
攻撃宣言を行う事ができない。
魔理沙「これでターンを終了するぜ」
魔理沙 LP1100:手札0:究極竜、カエル、禁止区域、護封剣、宝札
霊夢 LP 200:手札4:ゴーズ、カイエントークン(攻守4500)
霊夢 「…………」
霊夢 「(こんなガチデッキを使っているのに、胸の興奮がおさまらない。
いや、このデッキを使っているからじゃないわ。
この胸の高鳴りは、魔理沙への期待感。
この状況に瀕して、あいつがどう切り抜けてみせるか、それが楽しみでたまらないのね……)」
霊夢 「(魔理沙は勝つと言った。
だから、あえてわたしも本気で行かせてもらうわ。
勝利のためじゃなく、デュエルをめいっぱい楽しむために!)」
霊夢 「(そして……本気のわたしを打ち破って見せて!)」
霊夢 「わたしのターン、ドロー!」
霊夢 「魔法が通じないなら他の方法で破壊するまでよ!
手札から、ならず者傭兵部隊を召喚!」
《ならず者傭兵部隊/Exiled Force》 †
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1000/守1000
このカードを生け贄に捧げる。フィールド上のモンスター1体を破壊する。
霊夢 「優先権を行使、起動効果発動!
このカードをリリースし、究極竜を破壊!」
魔理沙「くっ……究極竜が」
霊夢 「まだよ。手札からサイクロンを発動!
光の護封剣を消し去る!」
《サイクロン/Mystical Space Typhoon》 †
速攻魔法(制限カード)
フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。
アリス「(そんな……魔理沙の布陣が、こうもいとも簡単に突破されるなんて)」
霊夢 「これで、あなたの場のモンスターは黄泉ガエルのみで伏せカードは無し。
そしてわたしの場にはゴーズとカイエンの2体。
さすがに、これで決まったようね」
魔理沙「さあてな。こんなとき、あいつなら何て言うか知ってるか?」
霊夢 「あいつ?」
魔理沙「正解は、『そいつはどうかな?』さ」
アリス「武藤遊戯だったの……」
霊夢 「じゃあ防いで見せなさい! ゴーズとカイエンを攻撃表示に変更!」
霊夢 「バトルフェイズよ。冥府の使者ゴーズで、黄泉ガエルに攻撃!!」
魔理沙「くっ、破壊だな……」
霊夢 「そして、カイエントークンで魔理沙にダイレクトアタックよ!
これで終わりだわ!」
魔理沙「……この瞬間、墓地のネクロ・ガードナーの誘発即時効果発動!」
《ネクロ・ガードナー/Necro Gardna》 †
効果モンスター
星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
霊夢 「(……何!? ネクロ・ガードナー!)」
魔理沙「このカードを除外することで、カイエンの攻撃を無効にするぜ!」
アリス「……九死に一生ね。
でも、何でそんなカードを……」
魔理沙「捨てたのは超融合の時だ。
デッキに入れたのは、カイバーマンをサーチする為の増援のバリエーションってだけだったんだがな。
デッキに入れておいて助かったぜ」
霊夢 「ふふ、それでこそ魔理沙ね。バトルフェイズは終了するわ。
カードを1枚伏せて、ターンエンドよ」
魔理沙 LP1100:手札0:禁止区域、宝札
霊夢 LP 200:手札2:ゴーズ、カイエントークン(攻守4500)、伏せ1
魔理沙「わたしのターンだ……」
霊夢 「正真正銘、最後のターンね。
どう? 場にモンスターは無く、手札も0。
自信のほどをお聞かせ願いたいんだけど」
魔理沙「言ったはずだぜ。そのデッキを打ち破ってみせるってな。
撤回は無しだ」
霊夢 「(……さっきと変わらない、自信に満ちた表情。
絶対的に不利な状況とわかっていても、瞳から強い意志の輝きは、微塵も消えていない……)」
霊夢 「(だからわかる。そう、きっと…………魔理沙なら……)」
魔理沙「(……このドローで全てが決まる。
この窮地から脱して、あのデッキを破ってこそ、
初めて霊夢の思考にとりついていた呪縛から解き放つことができるんだ)」
魔理沙「(……絶対に、救い出す!)」
魔理沙「ドロー!!」
魔理沙「…………来たな。わたしは、思い出のブランコを発動!」
霊夢 「(……思い出のブランコ!?)」
《思い出のブランコ/Swing of Memories》 †
通常魔法
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に破壊される。
魔理沙「墓地からブルーアイズを特殊召喚する! 蘇れ、ブルーアイズ!」
アリス「(カイエントークンは倒せなくても、霊夢のライフは200……。
ブルーアイズでゴーズに攻撃すれば、魔理沙の勝ち……だけど)」
霊夢 「さすが魔理沙、引いてくると思ったわ。
でも、あなたの起死回生の手段が蘇生カードってことぐらい、予測できていたわよ!」
魔理沙「何だって!?」
霊夢 「特殊召喚にチェーンしてトラップ発動! 奈落の落とし穴!」
《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》 †
通常罠
相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時、
そのモンスターを破壊しゲームから除外する。
霊夢 「……これで、ブルーアイズは除外されるわ。
もうあなたに何一つ手段は残されていない。
せっかくのディスティニードローだったのに、残念ね」
霊夢 「(…………本当に、残念だったわ)」
魔理沙「いや、それはまだわからないぜ?」
霊夢 「え……?」
アリス「そうよ。顔を上げて、魔理沙の場をよく見てみなさい」
霊夢 「場って、別に何も残って……」
霊夢 「(…………あっ! 生還の宝札!?)」
魔理沙「今、お前は少し処理を間違っていたな。
奈落の落とし穴を発動するなら、特殊召喚じゃなくて生還の宝札へのチェーン発動だ。
よって、ブルーアイズが除外された後、生還の宝札の効果でわたしは1枚ドローすることができる。
そしてこれが正真正銘、わたしに残された最後のドローだ」
霊夢 「(そんな…………。じゃあまさか、ここで……)」
魔理沙「(…………頼むぜ、わたしのデッキよ。
この想いが届くなら、願わくば与えてくれ。奇跡を起こす力を!!)」
魔理沙「ドロー!!」
魔理沙「…………」
霊夢 「…………」
アリス「…………引いたのね、魔理沙」
魔理沙「ああ。わたしの勝ちだ! 手札から、龍の鏡を発動!!」
《龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)/Dragon's Mirror》 †
通常魔法
自分のフィールド上または墓地から、
融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、
ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。
(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)
霊夢 「(龍の……鏡)」
魔理沙「このカードは、墓地から決められたモンスターを除外することで融合モンスターを特殊召喚できる。
わたしは、墓地の青眼の究極竜と沼地の魔神王を除外し……」
魔理沙「ブルーアイズ達よ、限りなき至高の究極へと飛翔せよ!」
魔理沙「いくぜ!! 究極融合召喚、マスター・オブ・ドラゴンナイト!!!」
《究極竜騎士(マスター・オブ・ドラゴンナイト)/Dragon Master Knight》 †
融合・効果モンスター
星12/光属性/ドラゴン族/攻5000/守5000
「カオス・ソルジャー」+「青眼の究極竜」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードを除く自分のフィールド上のドラゴン族モンスター1体につき、
このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
霊夢 「(魔理沙……。やっぱり、あんたって奴は……)」
アリス「究極竜騎士の攻撃力は5000……! これで、今度こそ!」
魔理沙「この一撃で、全てに決着をつける!
いけえっ、マスター・オブ・ドラゴンナイト!」
魔理沙「冥府の使者カイエントークンに攻撃!!
ブレイジング・ギャラクシー・クラッシャー!!!」
霊夢 LP200→0
*
アリス「……魔理沙っ!」
魔理沙「ガッチャだぜ! やっぱり、デュエルは楽しくやらないとな!」
アリス「何言ってんの。こっちは終始ひやひやものだったわよ、まったく」
魔理沙「終わりよければ全てよし。過程もよければ尚よしだぜ」
霊夢 「…………そうやって、あなたはいつも笑って済ましてしまうのね」
魔理沙「わたしの本分だからな。いけないか?」
霊夢 「……別に。いいんじゃない、それで」
アリス「どうやら、霊夢も正気に戻ったみたいね」
霊夢 「わたしは元から正気よ。まあ、でも確かに目は覚めたわ。
その……悪かったわね」
魔理沙「わかればいいさ。アリスもいつのまにか持ち直したみたいだしな」
アリス「……なんだか、今のデュエルを見ているうちにどうでもよくなっちゃったのよ。
落ち込んでる自分が馬鹿みたいな気がしてきてね。
思えば、デュエルで負けてもがっかりする必要なんかなかったんだわ」
アリス「(魔理沙にも、少し教えられたことだし……)」
アリス「まあそれに、わたしのデュエルシーン自体がカットされちゃ主人公補正も使えないしね」
魔理沙「お前の理屈は自分本位すぎるぜ……」
霊夢 「アリスもごめんなさい。スペルカードは返すわ」
アリス「別に謝られる事なんかないわよ。勝負で負けたのは事実なわけだしね。
まあ、もらえるものはもらっておくけど」
魔理沙「お前には遠慮の二文字は無いのか」
アリス「一文字ぐらい残ってるわよ。
だから……1枚は返すわ。あなたの勝ちは勝ちだもの。
これがあれば、あなたはもう決勝進出なんでしょ?」
霊夢 「……本当に、いいの?」
アリス「ええ。あなたには、十分その資格もあるしね。
でも勘違いしないでよ。
まだあなたがわたしより上だって、決まったわけじゃないんだからね」
魔理沙「ああ、勝負はまだついていない。
本当の意味じゃ、まだわたしたちはデュエルをしていなかった。
決着は、それなりに相応しい場所でつけようぜ」
霊夢 「決勝トーナメントね。そうこなくちゃ」
アリス「あれ? 魔理沙、あんたスペルカード何枚持ってんのよ」
魔理沙「今4枚だな。ひょっとして、お前の分をくれるのか?」
アリス「馬鹿言わないでって言いたいところだけど、不覚にも借りができちゃったのは認めるわ。
まあ、残りはいずれデュエルで返すから」
魔理沙「いや、今カードで返せよ……」
霊夢 「いつもの事ながら、この二人はひょうきんね…………ん?」
???「…………あらあら、ふうん」
アリス「!?」
魔理沙「この声は……」
霊夢 「紫!」
紫 「……うふふふふ」
紫 「すっかり仲直りしちゃったのね。なんだか残念」
アリス「まったく、あの人はいつもこっちの都合なんかお構い無しに現れるのね。
といっても、今は声だけみたいだけど。
隠れてないで、姿を現したらどうなの」
紫 「呼ばれて飛び出て」
魔理沙「うわっ! 首だけ出すな!」
紫 「こっちも立て込んでるのよ。
あいにく、今あいてるのは首だけしかなくてね」
アリス「よく言うわ。年中冬眠してるくせに」
紫 「いい事を教えてあげる。冬眠は冬にしかできないから冬眠なのよ」
魔理沙「別にいい事じゃないし、そんなこと誰でも知ってるぜ」
紫 「それはそうと…………霊夢、あなた負けたのね」
霊夢 「…………紫。わたしは、もういいの。
無理して勝つ必要なんて無いって、わかってしまったから。
デュエルで勝利する事よりも、ずっと大切でかけがえの無いものがある。
ようやく、それに気づくことができたから」
紫 「そう。でも、負けは負けよね。
せっかくこのわたしがパートナーになってあげたっていうのに、
とんだ見込み違いだったようだわ。
やはり、弱者は如何しても弱者。
背伸びをしようが、手を伸ばそうが、栄光の影すら踏むこと叶わない。
そんなデュエリストに価値なんか無いわ」
霊夢 「…………」
魔理沙「おい、お前! なんてことを言うんだ」
霊夢 「……いいのよ、魔理沙。負けは負けだもの」
紫 「あら、誤解しないで。別に霊夢を蔑みに来たわけじゃないの。
一応わたしのパートナーなのだしね。
むしろ、あなたたちの健闘を称えにきたのよ」
アリス「何ですって?」
紫 「前世紀のスタンダードとはいえ、往年の最強デッキを下す人間がいるとは、
正直予想していなかったわ。
あと、アリス。あなたも……まあ本編ではカットされてたけど、
わたしが与えたデッキに曲がりなりにもあそこまで戦えたら、賞賛を受けるには十分なことよ」
魔理沙「お前に褒められることほど、気持ちの悪いことはないぜ。第一、胡散臭い」
アリス「まったくもって、魔理沙の言う通りね。
だいたい、あなた。率直にきくけど、なにか企んでるでしょう?
わたしのカードを盗ませたり、霊夢をけしかけたり……一体何を考えてるのよ?」
紫 「企みは人々の間に溝に流れる水。濁流なら底が見通せないのは道理でしょう」
魔理沙「お前とわたし達の間には、濁った泥水が流れてるってのか。
ならわざわざ乗り越えてまで、そっち側に行きたくはないな」
紫 「でも、本当に危険なのは澄んだ清流の方。
手に掬って、喉を清めるのもいいかもしれない。
でも一度下してみれば、あなた達も思い知るかもしれないわ」
アリス「意味わかんないわね。だいたい、あんたはもうスペルカードは集めたの?」
紫 「あら。そんなもの、わたしの能力を使ってこっそり集めれば簡単なことよ」
魔理沙「ズルするなよ……」
紫 「冗談よ。ちゃんととっくに6枚揃ってるわ。
実は今、首から下はもう神社にいるんだけどね。
すでにかなりの人数が、予選を通過しちゃったみたいよ」
アリス「何ですって? それ本当なの!」
紫 「もちろん。吸血鬼に亡霊、天狗に蓬莱人。すでにいろんな顔ぶれが揃ってるわね。
でもその分、残るイスも少ないみたいよ。
もって、あと4人ってところかしら」
霊夢 「四人!? じゃあ、あんたたちも急がないと。
わたしは進出が決定したとして、あと三人分しか余裕はない」
アリス「そうね。となれば、ここで生首の戯言なんか聞いてる場合じゃないわ」
魔理沙「急いで対戦相手を2人分見つけないとな。
二人共、カードは4枚もってるんだ。あと1戦やれば、6枚くらいたまるだろ」
紫 「そう急いでも、その辺の石につまづくのが落ちよ。
骨折でもしたくなければ、ここは落ち着いてわたしの話を聞きなさい」
霊夢 「そんな年寄りじゃないわよ……」
アリス「何よ? 話って」
紫 「それはそれは耳寄りな話よ。
対戦相手が欲しいなら、わたしが用意して差し上げようかと思ってね」
魔理沙「用意だと?」
アリス「ふん、見え透いてるわ。
霊夢が駄目だったから、しびれを切らしてわたし達を直接潰しに来たってわけでしょう」
魔理沙「なるほどな。どうりで話がとんとん進むと思ったぜ。
よっぽどわたし達を勝ち進めたくないらしいな」
紫 「つくづく心外ねぇ。さすがのわたしも心が痛むわ。
良心からの親切が、こんな見当違いの誤解を受けてしまうなんて。
それに、出る杭は早めに打っておくものでしょう?」
アリス「語るに落ちたわね。というか、明らかに言ってることが矛盾してるわ」
紫 「落ちたんじゃなくて、故意に落としたのよ。
時間も惜しいでしょうし、そろそろ相手を呼んであげましょう」
紫 「藍! 橙!」
橙 「はーい」
藍 「……ここに」
魔理沙「って、や~~~っぱりこいつらか」
紫 「藍はもう決勝進出が決定してるわ。でも、スペルカードはたくさん余ってるからね。
だから今からやるのは、わたし達にとってはほんの時間潰しの戯れよ」
橙 「あのぅ……紫様。わたしは0枚のまんまなんですけど」
紫 「そうなの? あらま」
アリス「ちゃんと段取りしときなさいよ……」
藍 「橙は別に決勝に昇る必要は無いよ。わたしのパートナーは別にいるからね。
ただ、今は頭数が足りないから連れて来ただけさ」
魔理沙「つまりこれで2対2ってわけか。そこの生首はやらないのか?」
紫 「あいにくと、そろそろお茶の時間なのよ。
そんなわけだから、霊夢。あなたの家の茶の間借りるわよ。
というか、首から下はもうそこにいるんだけど」
霊夢 「嫌な言い方しないでよ……」
紫 「あなたもわたしのパートナーなら、早くこちらにいらっしゃい。
確か、戸棚にお茶菓子があったわよね。先にいただいておくわよ。
それでは、ごきげんよう」
霊夢 「……消えちゃった。たぶんわたしが帰った頃には、もう無くなってるわね。
あのお茶菓子、高かったのに……」
アリス「それにしても、2対2……タッグデュエルってわけね」
藍 「そういうことだ。もしお前達が敗北した場合、スペルカードは全ていただく」
魔理沙「全てだと?」
アリス「いいわ、どうせもう時間も少ないしね。
これで負けたら終わり。わかりやすくていいじゃない」
橙 「ちょっと、そこの大道芸師。さっきはよくもやってくれたわね。
おかげで、藍様から一週間マタタビ禁止を宣告されちゃったわよ」
アリス「けっこうなことじゃない。依存症のあなたにはちょうどいい骨休めだわ」
橙 「そんな~。あれが無いと、わたし生きていけないのよぅ」
藍 「ああ、実はわたしもそう思っていたんだ。
最近の橙は寝る時、目を開けながらよだれをたらしているからな。
禁断症状かと思ったし、もうやめたほうがいいぞ」
魔理沙「まったく、舐められたもんだな。
おい、そんな奴と一緒とはずいぶん余裕じゃないか。
間違いなく足をひっぱるぜ」
藍 「お前達の心配などいらないよ。
橙は頭は良くないが、腐ってもわたしの式。
連携させたら右に出る者はいない」
橙 「(腐っても……)」
アリス「上等だわ。
正直、わたしは2連続で魔理沙に主役をとられて気が立ってるの。
あなたたちには、わたしの怒りを鎮めるための供物になってもらうわよ」
藍 「ふん。紫様からは、適当に遊んで来いと言われている。
そっちの方こそ、簡単に倒れられては興が削げるというものだ。
それでは見せてもらおうか、お前達の力を!」
・・・・・・To be continued
まあ、それだと勝ち目なしかwwww
とりあえず・・・・・・・・・・モグラ氏ね!!
スタンダードって、意外にもデッキ破壊やロック並に嫌われますよね。
それを正面から受け止め、なおかつ自分の信頼するカード達の力で勝ちにいく魔理沙は本当に主人公してます。
「遊戯王」「東方」両方の面から見ても、十分にバランスの取れた良作だったと思います。
次回以降も期待しています。
デッキ破壊型はで無い予定なのですかね?
でも、スタンダードのカードも昔とは変わったな~と手札戻しがペンソルが主流だった頃が懐かしいですw
次回も楽しみにしてます~
クラミ痔あ氏とご指摘のコメントくださった方へ感謝とお詫びしますorz
俺が遊戯王やってないせいかな?