Coolier - 新生・東方創想話

Contrainess Jealousy

2011/09/20 20:36:38
最終更新
サイズ
43.59KB
ページ数
1
閲覧数
1911
評価数
9/36
POINT
2090
Rate
11.43

分類タグ



br>


注意 ご注意 ご用心

さとり×パルスィの様な、そうでないような

大分性格が想像と違うかもしれません、口調も違うかもしれません ご注意
体格が違うかもしれません、これは文章では伝わりませんが、重ねてご注意

ご用心 これにて終了

























夕食をご馳走するからすぐに地霊殿に来やがってください


                古明地 さとり







[或いはただの紙切れ]

ある日の私の家の前に置かれていたそれは、一言で表せと言われるならば実に奇妙な手紙だった。
何が奇妙かって聞かれれば―――――そしてそれに対して私に答える義務があるならば私は口よりも前に手が出ることは間違い無いだろう。それでもなお説明を求めるならばいちいち丁寧に答えてやる。
まず、こういった「至急」とか「急いで」とか言う手紙をわざわざ家の前に置くんじゃない、私は大抵の場合橋に居るから気がつかない場合があるのは向こうとしても重々承知のはずだ。それにこの文面はおかしい、どこからどう好意的に見ても十中八九これはおかしいと答えなければならないだろう。最後に一つ言いたいがここまで来たのなら私に直接言えばいいだろう、橋と私の家はすぐそばだ、読む時間といちいち突っ込む時間がもったいない。

ふむふむ、しかしよく見てみると文体に崩れが見られる。さとりはこういった事務仕事に手を抜くような性格では無い事だけは信用できるのでこの崩れは適当ではなく何かに急いでいたと考える方が妥当だろう。何か急ぎの用事を夕食の「ついでに」押し付けるつもりか。

思わずため息が漏れそうになる、あいつと付き合っていると碌なことが無い。せめて面倒で無い事を願う事しかできないのが辛い所だ。
よく家に侵入してくるわ、出来そうも無い無理難題を押し付けて来るわ度々使い道がさっぱり理解できない物を送って来るわ宴会中に隣で猥談を始めるわ、それら全てが「私に対する」嫌がらせ、ただそれだけの目的に帰結することや。
そんな話をこの前さとりに会いに来ていた閻魔に対して愚痴っていたら「それじゃ、なぜあなたはさとりと付き合っているのでしょうか」と言われた。

さあ、なぜだろうか。私はその時から今までの間、その疑問を当然の様に「保留」と書かれた箱の中にしまいこんでいる。
深く考えても良いしその時間ならば十分なほど、陳腐な表現を用いるとすれば「腐るほど」あるので朝から晩まで、春からその次の春まで食事睡眠さとりの相手をしているとき以外その事を考えていても良いくらいだ。
だが私は未だにそれを実行に移した試しがない、それに実行に移そうとも思わない。
なぜならば私がそんな事をしているのは多分そう考える時間よりも馬鹿らしくて、下らなくて、それこそ考えるのも馬鹿らしい理由だからだ、他でもない私が考えている事だ、どうせやっぱり碌でもない事に違いは無いのだろう。
そこに行き着いた時の、行き着いてしまった時の落胆や馬鹿らしさは今の状況の何倍にも勝る事は考えなくとも分かる事だから私はその辞令を保留箱の奥底へとしまったままなのだ。

さて、そんな砂漠の砂を手で掬うような話を延々と考えている暇人である事が丸わかりの私は今何をしているのか。
私は今、家のすり減った畳の上に横になりながら「いきたくねぇ…」とぶつぶつ呟いていた、つまりさとりの待ち構えているであろう地霊殿に行かないことを前提として考えていたのであってつまりすなわち、それが何を意味するかと言うと、私はさっぱり外出する準備を全く行っていなかった。

私に残されているのは三種の選択肢
1. 素直に地霊殿に行ってさとりの歓待と言う名の嫌がらせを受ける
2. 少し、このまま一時間ほど時間をおいて行く、その後の展開は同じ
3. いっその事行かない、そして迎えに来たさとりかそのお付に連行される、その後の展開は以下略
4. 三つだと言ったでしょうが

…ふむ、最終的には同じ結末へと行き着くか。あんまりと言えばあんまりだがやはりと言えばやはりな結果だ。
とするともうこのまま何の準備もせずに行ってしまうか、少し時間をおいてならまだしも連行されたら夕食は無しなんてあんまりなことを言われかねない。
それに今月私の財布のひもは固いのだ、私が無理に引っ張っても開かないくらいに、理由としては私の毎週末恒例地底和菓子めぐりの旅があるのだがそれについては誰の興味も引かない瑣末事なので何も言わないことにする。

兎に角、私は今いろいろと窮地に立たされているのだ、妖怪だから餓死なんて滅多にある事では無いがそれでも不便極まりない事に空腹は人間と同じように感じるので食事はとっておきたい。
そう思うとさとりの夕食の誘いは非常に魅力的だ、あそこは料理人もいるし素材も十分すぎるほどにある、悪い所と言えばあまりの格差に私が妬む気を起こせなくなってしまう所か、畜生、なぜこんな格差が生まれるのだ、性格悪いくせして妬ましい妬ましい平坦な体くせして妬ましい妬ましい。
しかしつべこべ言ったところで話は進まず、会議は回らない、ともかく行く事にしようか。あの見つめ三つ目妖怪の居る所へ、限りなく足は重いが。
風呂は帰ってきた後で良いだろう、どうせ汗なんて殆どかいてないし、それに風呂は就寝前の晩酌前と決めているのだ。

箪笥から洗ったばかりの襦袢を取り出して羽織る、この時期にそんな物は必要ないが所謂気持ちの引き締めと言うやつだ。
玄関に降り立ち、高下駄をはき、表へと出る。手には当然ながら何も持っていない、他人の家に行くときに土産を持って行く風習があるのであれば今頃私は蔵を持っているだろう。

外に出るとひゅうと薄ら寒い風が何もない縦穴を吹きぬけていた



[或いは小麦粉に小豆を入れた物]

かっぽかっぽと耳に良い音が響く、石畳を下駄で叩く音があちらこちらから聞こえてくる。
旧都街道は全面石畳、私が居た京の都の街並みに似ているのでこの音は私の人間だったころの好きな音なのだろう、今となってはもう忘れてしまったが。

それにしてもさとりの用事とはなんなのだろう、閻魔絡みの用事だけは避けたい。なんであのちっこいのの持って来る書類はああも面倒くさいのが多いのか、本人によると「組織の末端の宿命にして避けられない運命です」と大変疲れた様子で言っていた、やはりあの閻魔もさとりと同じような位置づけなのか。

そんな時、私の鼻はふっと漂ってくる良い匂いを敏感に察知した、これが水橋パルスィ七大兵器の三、パルパルノーズである。

説明しよう!パルパルノーズとは橋姫の力によって異常発達した鋭い嗅覚の事である!
これを使えば和菓子の匂いを嗅いでどこの店のどんな和菓子かを当てる事が出来るしさとりや勇儀、閻魔などの厄介そうな輩の匂いを嗅ぎつけて退避するなり隠れるなり先手を打つことができるのである!
しかしさとりはパルスィがどこに居ても大体の当たりをつけて思考の居場所を掴む事でパルスィの居場所を掴めるしその所為で先手も打てない、勇儀は持ち前の勘ですぐ見つけるし戦ったところで勝てない、閻魔の前では逃げも隠れもしたくないので正直くだらない事にしか使えないのである!

…止めておこう、我ながらあまりの情けなさに泣けてくる。
なぜ奴らが私を見つけられるのかは分からない、人ごみに紛れていても顔を隠していても「ここなら絶対にわからないだろう」と思っているとずかずかと近寄られて「ああ、パルスィじゃないか、丁度良かった用事があるんださあ行こう今すぐ行こうさあさあ」と腕をひっつかんで連行してゆくのだ、なにか探知機の様な物がついているのではと疑った事すらある。間違っていなくても私は驚かないだろう。

それにしてもこれは良い匂いだ、この香り高い苺大福を売っているのはここから直進10分程の距離にある大福「太郎屋」しか無いだろう、確か御主人はこれで5代目の由緒ある大福店で大福と言えば太郎屋と通る程の老舗だ。

この店の新名物「苺大福」は地底産と違って瑞々しい苺に感激した御主人がわざわざ香り高く、瑞々しさも十分な苺をそれ専門の妖怪に依頼し開発してもらい、かつその特徴をいかに大福に込められるかの研究を重ねた珠玉の逸品だ。
瑞々しすぎて大福が柔らかくなりすぎた為、皿に乗せた大福を串で切り分けて食べる独特の食事法を取るがそのまどろっこしさと独創性がかえって受け、今では長蛇の列ができる程となった。
――――――――――地底凹凸社出版「地底ぐるめWarかー 初回」より抜粋

いかん、記事の抜粋を読んだだけで涎が
食いたい、しかし用事がある、しかし食いたい、猛烈に食いたい、ああ食いたい
食うか、どうせさとりの用事は頼み事だし、数時間遅れただけじゃ怒られないだろうし、それに私が用事を聞く義務は無いわけだし。
我ながら無理やりすぎる理由づけも済んだ事だし私は早速行列見向かってふらふらと歩きだした。
しかしそんないい加減な事を天は見逃す筈も無いらしい、お天道様には地底が見えない筈だが。

「あっ」
「あっ」

行列に向かった私を待っていたのは、同じように行列に並んで大福を食わんとしているさとりの姿だった。
まさかこんな所に私を呼び出した張本人が居るとは、ちょっとさぼろうと思っていた私にとってこの状況はなんだか居心地が悪い気分だがしかし、至急の用事を出した奴がなぜこんな所に居るのだ、お前は地霊殿で私を待って居るべきではないのか、そんなことを言おうとするとさとりが先手を打って「パルスィは地霊殿に来るように言ったのにどうしてこんな行列に並ぼうとしているのでしょう」と言ってきた。少なくともお前はそのことを言える立場では無い。

「地霊殿に行くとするとこの店は寄り道になるのですが」
「それって自分にも同じことが言えるって気がつかないの?」
「あっ」

さとりいかにも「しまった」と言う顔をした、恐らくあまりにも慌てていてこの事をすっかり忘れていたのだろう、見ていて少しは面白かったがそう考えていることがばれたのかすぐに元の無表情に似た顔に戻ってしまう。
「私はなにも悪い事をしていませんが、なにか?」と言った風な目でこちらを見られると果てしなくいらっと来るがその視線がきょどきょどと辺りを忙しなく移動している所とか顔からひっきりなしにだくだくと流れている汗とかを見ていると思わずにまっとした微笑がこみ上げてくる。

「それで、あんたはなんで此処に居るのかしら?」
「……も」
「も?」
「……黙秘権」
「黙らっしゃい」

何が黙秘権だ、人のあれこれ(私は妖怪だが)はあれこれ探るくせして。
それでこの秘密を本人の目の前で暴露してはにやにやしてるくせして何を言うか、私は和菓子の食べ過ぎで少し太った事を暴かれて「少し太ってる方が可愛いですよ」とか言われたのでやり場のない怒りやら恥ずかしさに風呂に入りながら絶叫するはめになったんだぞ。

「いえ、やはり多少肉付きが良い方が素敵だと思いますよ。」
「突っ込むところはそこなのか、そして冷静に心を読んでくるんじゃない。全部に突っ込んだらきりが無いからこの二つだけにしておくわ。」
「いえいえ、さとりですから」
「この会話のどこに遠慮する要素があるのか私にはちっともわからない。さっぱり分からないし分かろうとも思わない。」

ああ、果てしなく面倒くせえ
こいつと付き合うときに必要なのは「忍耐力」「体力」「スルースキル」である事は言うまでもないが私には最後がどうしても、決定的に、致命的に足りない様だ、他の二つには自信があるが。
そうでもなければどうしてこの数分と言う短い間にこんなにげっそりと疲れなければならないのだ。そもそも私がなぜ疲れなければならないのだ。まさに理不尽だ。

私がこの世に理不尽さと我が身に降り注ぐ面倒くさい事と厄介な事に頭を痛めているとさとりはニコニコと微笑みながらこちらに手を差し伸べて来た。
さとりの手は、小さくて、白くて、指が長かった

「さあ、行きましょうか。」

……
………

ぱこっ

「いたいです」

取り敢えずその顔があまりにも清々しそうで妬ましかったから
取り敢えずその顔をしばらく見つめている自分に気がついてしまった恥ずかしかったから
取り敢えずなんだかんだあって苺大福が食べられなかったから
私はさとりの頭を叩いた
ピンク色のくせのある髪の毛がばふっと跳ねた



[或いはただの色つきガラス]

地霊殿
地底の者であれば残らず恐れる阿鼻叫喚の館
心を読む恐ろしい妖怪の住処にして閻魔が度々来訪し、神の化身のおわす玉座
地獄の丘に聳え立つ荘厳な洋風の城の下にはかつて幾人の罪人を閉じ込め、断末魔を響かせた灼熱地獄
死体を持ち運ぶ火車、神の化身を宿らせた地獄烏を侍らせ、鬼すらも縮み上がる小さな妖怪の住む孤高の城

そんな地霊殿はきっとどこからどう見ても癒し系で萌え要素溢れた動物と、思わず腹が鳴る音が聞こえてきそうなほど旨そうな料理の香りと、そこに住んでいる限りなく厄介極まりない性格を持っている奴らと、一部の馬鹿と、破天荒だったりする来客と、数少ない常識人の悲鳴とそれに比例するかのように増える量の胃痛薬でできているんだろうと私はここに来訪するたびに感じる。

ステンドグラスをあしらった豪勢な窓を尻目にこれまたどでかい、きっと誰も開ける事が出来ないからいつも開けっ放しなのであろう扉をぬけるとこれまただだっ広いエントランスホール、ここだけでダンスパーティができてしまいそうなほどの広さのそこから血管のように伸びてゆく無数の、これまた長い長い廊下の一つの終着点に厨房と、そこに隣接する食堂。今の時間帯は焼き魚と、野菜の切る音と、食材を狙うペットと、それを阻止するべく活躍するペットの戦闘音と、煮え立つ中身を擁する無数の鍋と、そこからもくもくと出てくる湯気で溢れかえっているのだろう。

「そろそろ解放してください」
「いや、お燐に報告するまではこのままね」

途端にじたばたし始めるさとりを見ながら私はそんな想像をしながら地霊殿へと続いてゆく道のある丘を登っていた。
地霊殿は旧都を抜けて奥の、さらに奥の、嫌になるくらい奥に位置している、買い出し係はさぞ大変だろう。
周辺には薄暗い闇が覆い丘陵地帯を抜けてゆかねばならない、延々と、黙々と。
そしてその道を今私は手を後ろで組まされたさとりと、それを後ろで縛りつけて監視している私の分身とで歩いていた。こういう時分身は非常に便利だ、勇儀には「分身は便利役なのかい?」と言われたがあながち間違ってはいないだろう、私の使い方はまさに「痒い所に手が届く」だ。

「だからって縛るなんて事は」
「お嫌なら簀巻きにしてあげましょうか、それとも十字架を背負わせてあげましょうか」
「…いえ、このままで」

さとりは同意したようだが目には僅かに反抗の色が伺えた、こいつめ逃げるつもりか、元々呼んだのはさとりだから私が行かなくてはどうにもならないだろうに。
溜息が出そうになる、どうして私はこいつの用事を聞く事を前提に行動しているのだろうかと。いいえと言えない性格なのか。
なんでこんな奴の面倒を見ているのかは私にもわからない、何度も言うようだがさっぱり分からないし分かろうとも思わない。そもそも私とこいつがなぜ付き合っているのかすら分からない。なにせ地霊殿と橋は旧都のあちらとこちら、地底で一番遠い所にあると言っても差しさわりは無いだろうにどうしてわざわざ私に用事を言いつけるのか、やはりからかいたいからか。

「それはパルスィが面白いからですよ」

さとりがにんまりとした笑みを浮かべながら答えた、勝手に心を読むなと言いたいが言ったところでこいつが言う事を聞くとは到底思えない、無精卵が孵化するのと同じぐらいにありえない。
そもそも本人に面白いからと堂々と言う時点で握った拳が固くなる。せめて誤魔化せ。
一回本気で殴り合おうと思ったけどさとりの能力を使えばこちらの攻撃なんてすぐにかわされるに決まっているしその隙をつかれて好き勝手やられる姿しか想像できない、こいつは肉体的に弱いがので全然痛くなさそうだが。

このやりようの知れない怒りはお燐にありとあらゆることを余すことなくありのままに報告することで晴らそうと私は固く決意した。

あ、こら、逃げるなさとり



ようやく丘陵地帯を越え、丘を登り終えて、息も絶え絶えな若干引きこもり気味の私と何故か平然としている完全に引きこもりのさとり、さて違いは何だろう。

「踏んできた場数の違いですね」
「どの口がそんなことを言うのかしら、それに場数ならこっちも相当数踏んできてるわよ。」

丘を登っている最中さとりは体重を完全に分身に預けていた、一方私はその分負荷がかかり、更に分身の分の妖力も消費する為大体2.5人分ほどの妖力を消費しなくてはならなかった。さとりの体力がある訳では無い、断じて。

顔を持ち上げると地霊殿の荘厳な影が見える、重厚な石畳の扉と背後のエントランスからの光を受けて輝くステンドグラス。
雑多な色を寄せ集めて、薄い光を寄せ集めて、来ない客を待ち続けるステンドグラス
色つきの透明な板、壊れやすい器、まるであいつのような

来客者の少ないこの地霊殿で外に向けたステンドグラスのどこに意味があると言うのだろう。幾ら華々しい光を出したところで観客の居ない役者になぞ何の意味が無いと言うのに。

「役者が大勢の観客の為に演じているのだとは限りませんよ」

さとりがぼそりと、でもよく響く声で呟いた。
響いたのは周りが静かだからだろうか、それとも私の心が静かだったからだろうか。

「ただ一人の観客の為に、ただ単調な劇を延々と繰り返す役者が居てもおかしくは無い、そう思いません?」

例えそのただ一人の観客が眠りこけているとしても、そう言ってふふっとさとりは笑った。
来客の居ない劇場で一人終わりの来ない劇を演じ続ける役者、仮面を着け、けばけばしい衣装を着け、踊り歌い話し続ける孤独なピエロ。

ただただ滑稽で、ただただ悲しい一人劇場

「…自覚しているとすれば、大したピエロよ、あんた」
「ご拝謁いただき誠に光栄、ありがとうございます」

くるっと踵を中心に回転し、お辞儀の仕草を見せる
決して優雅ではないけれど、その仕草に悲観している様子は無かった
まったく、大したピエロね。そう心の中で反復する
悲観している様で全然悲観してなくて 笑っている様で泣いていて どこかでひっそりと苦しんでいて
少しは自分の気持ちを外に出しても良いのに、どうせあいつには隠し事が向かないのだから。
それは私が昔からさとりに持っている一番大きな不満だった。

「それにパルスィ、観客ならいるじゃないですか」

何を言っているのか、そんな表情でさとりは白いステッキをこちらに向けた。
ステッキと言うにはそれはあまりにも短すぎたけど、指と呼ぶにはそれはあまりにも白すぎた、まるで淀川の清流に泳ぐ白魚の様な指が少し宙を彷徨った後、つうとこちらに向けられた。

「水橋パルスィと言う名の観客が」

誰も居ない様にひっそりとしている小劇場、段の上には三つ目のピエロが一人
観客は一人きりでぼろぼろの衣服に明日の希望も持たない様な目つきをしていて
ピエロはピエロでだれも踊らないような陳腐な踊りを壊れた機械の様に延々と繰り返していて
でもしかし、観客はピエロを見て目を僅かばかりに輝かせている
ピエロはそんなただ一人の観客を見て踊り続けている

そんな不気味極まる情景が思わず頭に浮かんでくるから、思わず私は頭を振った
馬鹿らしい、ピエロは踊りながらこと切れ、観客はそのまま餓死するだけだと言うのに。

しかしいくらそんな情景に嫌悪極まりない事を考えていてもさとりは何を考えているのかわからない笑みを浮かべたまま黙っていた。
その笑みは無表情そうで、よくよく見ると哀しさが僅かばかり垣間見えるような気がした。
それは私に向けられたものなのか、さとり自身に向けられている物なのか、それとも此処に居ない誰かに向けてのものなのか、心を読めない私にはさっぱり分かる事が出来なかった。



[あるいはただの突飛な考え]

地霊殿のだだっ広いエントランスを抜け、その中の一本の廊下をさとりを半ば引きずりながら歩いていた、いい加減足が棒になりそうだ、と言うかさとり、少しは歩く努力をしろ。

「私は箱入り娘ですし、地霊殿の主ですし、見た目幼いですし」

ここまで意味が分からないさとりの理由づけを私は初めて…いや初めてでは無い。
私が初めて聞いたさとりの訳の分からない言い訳は私が橋に居た時になぜか上から降って来ての「今日はこんなに空が青いから」だった、いまだに原因は聞き出せずにいる、ついでに言ってしまうとあれが直撃してたら私は今頃地霊殿の地下で灰になっているだろう。悪かったら火焔猫の傍に居るとか。どちらも可能な限りご遠慮願いたい展開だ。

そんなこんなでうぐうぐ言いながらさとりを引っ張っていると急にさとりが進行方向とは逆方向に走り出そうとしたので慌てて分身を出して確保した、さとりはそのままじたばたしている。

「いえいえ、これから先は私が歩いてゆけますから」
「じゃあさっきまでのあのぐうたらっぷりは何だったのよ」
「演技です」
「少し黙りなさい大根道化師」
「酷い!?」
「ここまで引っ張ってこさせて挙句逃げようとした奴を私がそのままにしておく訳が無いでしょう?」
「あ、いえ、私はこのまま歩いてゆけますって、信じて下さい」
「どうせこの状態のままあの火焔猫に会うと色々と詮索された挙句叱られるからせめて自分で歩いて行って誤魔化そうとする腹積もりでしょ」
「……」

さとりは相変わらず黙秘権を貫いているようだがだくだくと止めども無く流れ続ける汗ときょきょろおどおどと動く視線で考えが丸わかりだ、二択の場合でこういった状況の場合こいつ程読み易い奴はそうと居ないだろう。

どうやらさとりはまだ逃走手段を考えている様であたりをきょろきょろと見まわしていたが背後からかかった声によって遂に万策尽き果てた。

「…さとり様、何やってるんですか」
「………」
「さとり様?」
「……げ」
「げ?」
「げぇっ!?お燐!」
「何言ってるんですか」

さとりに軽くチョップを決めたお燐は軽く私の方を見てきた、ちなみにチョップを決められたさとりは床にひざまずいで悶絶していた、そんなに痛そうには見えなかったのだが。
一度ちらっとこっちを見て、じーっと妙に湿気た眼差しでさとりを見て、またちらりとこちらを見て、今の時間を確認して、更にさとりを見て、じーっと見て、嫌になるくらい胡散臭そうな目で見て。

「…さとり様は今から説教ですね」
「そんな、殺生な」
「いい加減橋姫のお姉さんに迷惑かけるの止めて下さいって言ったでしょう!?」
「あれは迷惑ではありません、ただのちょっかい、馴れ合い、じゃれ合いです」
「どう見ても迷惑です、本当にありがとうございました」
「いやいや…そんなことは無いからさ…」
「ほら、お姉さん恐縮しちゃってるじゃありませんか!」
「そんな事よりお燐、ご飯まだ~?」
「あれは恐縮ではありません、ただの駄々っ子ポーズです」
「言い訳にしても苦しすぎますよそれ、さあ行きますよ」
「パルスィ、助けて下さい」

私は勿論助ける訳が無いので生暖かい目でお燐に連行されていくさとりを見ていた。
そう言えばお燐の説教はさとりがその無意味性と非合理性について延々と語っていたがあの様子だとどう見ても反省はしていなさそうだった。かくして胃痛薬の使用量は増える。

それにしても主人にチョップをくらわせたり嫌な物を見る目で見つめたりお説教したりとあの火焔猫は本当に従者なのだろうか、ペットだが。どちらにせよ従者に説教される主人と言う構図が成り立っていると言うのは極めて不味いような気がする、そう考えながら私ができる事と言えばせいぜい奥の食堂へ向かうしかできなかった。



[あるいは土を固めて焼いた物]

…痛い
お燐にチョップされた頭が痛いです、そもそもあのチョップは動作がさりげない割にえげつない威力を持っています、お燐に言わせたところ「これが火焔猫に代々伝わる拳法『猫チョップ』」とか言っていました、猫チョップはもっと私が悶絶するほど可愛かったのだと思うが気のせいだったんでしょうか。決して私が悶絶する痛さを持つ攻撃でもなかったのだと思うんですが。
そう言えばお燐がまだ私に拾われたばかりの頃は本当に可愛かったと記憶しています、もう猫パンチだの猫じゃらしにじゃれつく姿だのはこの世に天使が舞い降りたとしか思えないほどの可愛さでした。
それがなぜ今はこんなどこかのお母さんポジションになってしまったのか、育て方を間違えたのでしょうか。うぬぬ

これは今後の猫教育の方針を変えざるを得ないのでは、そう私が延々と考えていると鼻が腹をすかせる匂いを嗅ぎつけました、前を見てみると「食堂」と書かれた扉が見えます。いつの間にか食堂の方に歩いて行ってしまうほど腹が減っていたらしいですね。
今日はパルスィを食事に呼んだのでした、そう言えば彼女はなにが好きなのかは聞いていませんでしたが恐らく何でも食べるだろうと思います。本人によると「食えれば食う」と言っていたしその言葉に嘘は無いと。さとり妖怪の私が言う事ではありませんが彼女の考えている事はころころ変わるので、「大福が食いたい」とか考えていると思ったら次の瞬間には「そういえば最近開発された抹茶アイスとか言う物が食いたい」と考えて私を混乱させることもしばしばなので、好き嫌いはそんなころころ変わるものでは無いと信じましょう。
今日はこいしが食卓に着いているといいんですが、全てはこいしの無意識なので私には予想も何ともできないのが悲しい所です。

銀色のドアノブを握って右に回すとガチッと言う硬質な音と共にドアのロックが外れる、そのままドアを押し開け食堂へと入る。

「ああ、やっと来た。そんなにあの火焔猫の説教は長ったらしかったのかしら。」
焼き魚を食べているパルスィがまず最初に声をかけてきました、心の中では「ざまあないわね」と言っていたので後でお仕置きです。

「うにゅうにゅうにゅうにゅ」
茹で卵をせっせと腹の中におさめているお空はこちらの方を見てそう言いながらも卵を詰め込んでいました、そんなに美味しいのでしょうか。心の中では「うにゅうにゅうにゅさとりさまうにゅうにゅうにゅゆで卵うにゅうにゅ」と全然要領を得ないし「うにゅ」の文字がゲシュタルト崩壊しそうな事を考えていました。やはりゆで卵は主人より大切らしいのでその価値観を改めるべく後でお仕置きです。

「あ、さとり様。今日の夕食は焼き魚に白米、味噌汁、それに胡瓜の漬物です。」
この中で一番まともなことを言ってくれたのはやはりお燐だったですが後で再教育です。
心の中では「さっさと座ってさっさと食べて下さい」と言っていました、生意気なのでやはり再教育です。

「おう、来たか!まずは駆けつけ一杯」
星熊勇儀、なぜあなたがここに居るのでしょう、記憶の限りでは呼んでませんが。
お燐はこちらを心配そうにちらと見ながら『すいません、いつの間にか入られてました』と話しかけてました、やはり再教育ですね、そりゃもうねっちょりと。

勇儀はどうせ酒の事しか考えていないので放っておいて、食卓に着く事にしましょう。
漂ってくるのは焼き魚の香ばしい香りと真っ白なごはんの温かい湯気、どちらも地上との交流の産物、それに豆腐の入った味噌汁に…

「お燐、漬物が無いようですが」
「あれま、勇儀さん全部食べちゃいました?」
「んあ~?くってにゃーだよぅ…」
「…すみませんさとり様、どうやら勇儀さんみたいです。追加を切って来ましょうか?」
「いえ、良いですお燐。そんな事よりあなたは後で私の部屋に来なさい」
「…?はい、わかりましたが?」

きょとん、と返事をするお燐とこちらを呆れたような目で見るパルスィの対比が凄まじいですね、そんな目でこちらを見ないで下さい。『あんたはまた碌でもない事この上ない事を考えているわね、その無駄な思考が実に妬ましいわ』痛い、痛いですパルスィ。

パルスィの痛い視線と思考を避けるように黙々と食事を続けることにしましょう、この魚は骨が多いようですね、取り辛いです。周りを見るとパルスィとお燐は器用に小骨まで取り除いています、やはり普段から慣れているのでしょうか。お空と勇儀さんは食ってから骨を吐き出してますね、豪快、それ以上の言葉は必要ないでしょう。


そう言えば前は、今よりずっと前、私達が地霊殿に来たばかりの頃はこんなことを考える事も出来なかったことを思い出します。食事と言えば私一人が食べるもので、偶にこいしが帰って来て一緒に食べたりする事が楽しみだったり、偶に閻魔様が同席してあまりの威圧感に恐縮したりすることもありました。

それから私がお燐やお空を拾ってきて、まだ人型になれなかった二人にご飯を作ってあげたりして、人型になってからはお燐に料理をまかせっきりで、それから次々にペットを拾ってきて、勇儀さんが時々乱入し来るようになったり、それから…

「さとり様?ご飯のお替りは要りますか?」
「うにゅうにゅうにゅうにゅ」
「勝ってぇ~来るぞとぉ~勇ましくぅ~!」

いつの間に我が家はこんなに賑やかになったのでしょう、こんな明るくて、騒がしくて。



手に入れてしまえば、失うのが怖くなるだけなのに
いつ失うかすらもわからないと言うのに。



「なに湿気た面してんのよ」

ふと、隣を見るといつのまにかパルスィが空になった茶碗を持って隣に立っているところでした。
無愛想な声を放つ無愛想な白い顔、髪はくすんだ金糸を編んで、目には淀んだ緑色の宝石、エメラルド、グリーンアイ、リバイアサン

「おや、もう食事は終わりですか?見かけによらず大食漢のあなたにしては珍しい」
「誰が大食漢よ、それにまだ終わりじゃないわ、これからもう一杯貰いに行くの」
「程々にしてくださいね」
「嫌ね、ある分だけ食べちゃうかも。折角の駄賃よ、上手に使わなくちゃ。」

まあ、幾ら食べられたところで大した支障は出ませんが
私がぽかん情けない顔をしていたからでしょうか、パルスィは薄く、本当に薄く、困ったような微笑を浮かべました。パルスィは滅多に笑うことが無いのでこの表情は貴重です、写真を持っていたら迷わずシャッターを押していたでしょう、そんな事をして後でどうなるかは分かりませんが。

「こっちが嫌んなるくらいぼーっとしちゃってさ、なに考えてんだか」

こっちはさとり妖怪じゃないんだから言ってくれなきゃ分かんないわよ、とさっきの微笑はどこへやら再び無愛想な顔に戻ってしまったパルスィはまたぐちぐちと文句のような事を呟き始めました。パルスィの様なツンデレと言うものはこういう場合心の中で慰めてくれたりするものだと外から来た本に書いてあったので救いを求めてみましたが『昔からあんたは暗い顔して一人で抱え込もうとして訳がわかんないったらありゃしないわよ、その癖私に関わろうとしたり、本当訳が分かんないわ』と考えていました、あれでオブラートに包んでいる方でしたか。

「あんたの事だからどうせつまんない事でうじうじ悩んでるんでしょうけどね」



気がつくと
目の前にはうっすらと緑の光を湛える宝石があった、食堂の赤く暖かい光の中でその緑はひどく冷たく、まるで氷の塊の様で。

水底の色は緑色では無く深く暗い青だと言うのに、それはまるで人間だった彼女が最後に見た光景をそっくりそのまま切り取ったかのようで



ふいっと、こちらを見つめていたパルスィは興味を失せさせたように茶釜へ向けて歩き出してしまいました。

『どうせあんたの事だから、あいつらを見て婆臭い感傷に浸っているんでしょうけど』

なぜかこちらの考えている事を言い当てたのでしょう。
パルスィは茶碗にご飯をよそりに行ってしまったので、それっきり私はなぜパルスィが話しかけて来たのかを知る事は出来なくなってしまいました。



[あるいは梅の塩漬け]

ひととおり食べ終わった私は久しぶりの満腹感を満喫していた。
橋守の安月給では滅多に食べすぎる事が出来ないので、さとりに地霊殿に来るよう言われた時はいつもたっぷりと食べる事にしていた、食べ物をいっぱい持っているさとりが妬ましい。そんなにいっぱい食べて大丈夫なのかと言われることがあるが私は体重なんか知らない事にして食べている、太っていれば痩せている奴を妬めるし、それに私はあまり太らない体質なのだ。貧乏性とか言うな
これで食後の菓子でもあれば上出来だがまあ贅沢は言ってられないだろう、さとりも何故かちらちらとこちらを見ているし。

火焔猫は台所で食器を洗っているし地獄烏の方は机に突っ伏し見事な鼻提灯を出しながらて寝てるし勇儀の方は相変わらず飲んだくれてるし、本当になにしに来たのか分からない。それにしてもあそこまで見事な鼻提灯は思わず割りたくなる。

「駄目ですよ、お空は寝起きが悪いと危ないのです」
「まるで腫れ物ね、腫れ者か」
「どちらでも良いでしょう、ともかくまた地霊殿の天井が落ちるなんてことは避けたいものです、閻魔にはしこたま怒られるし修復には時間がかかるしで碌な事が無いんですよ」
「…そいつはまた厄介極まりないわね」

そう言え、騒動のきっかけでこのバ鴉に神様の力を授けたとか言う神様の事をさとりはどう思っているのだろう、こいつにとってすれば地底に新しい文化やら食べ物やらなんやらを取り入れたり地上と親睦を結ぶきっかけになった反面身内を勝手にいじくられたって事だから複雑だろう、もしかして今だに怒っていたりするのだろうか。

「非常に図星ですね、的中賞にこの梅干をあげましょう」
「こいつはどうも」

何だか知らないが梅干をもらった、酸っぱい。そう言えばさとりは梅干が苦手とか言ってたっけ、「この酸っぱいのが生理的に受け付けないんです」とか。そこが旨いと思うんだが、酸っぱくない梅干なぞ梅干では無いと言うのが私の持論だ。

「実に羨ましい性格ですね」
「あんたが好き嫌いしすぎるだけでしょ」
「反論の余地がありません」

食堂の照明の技術は確か地底に伝わる灯篭の技術を地上の技術屋と技術交流して改良し、できた物だと言うのを聞いたことがある。なんでも地底は発電所にできそうな土地が少ないから広大な土地のあるこの地霊殿の一室で発電して地霊殿だけで使用しているんだとか。それだけの事に全力を費やせて満足できるとは技術屋とは何とも妬ましい奴らなのだ。あるいはよっぽど暇人の集団だったのか。

ともかく地上と交流が生まれて、地底はだいぶ変わった。
技術にせよなににせよ、交換されて、伝わって、少しは面白味のある暮らしになってきたように感じる、なにせ私は賭け事なんてやらないし喋くってばかりのタイプでもない、となると食べる事と寝る事しかないが寝ているといつかは飽きるし食べるにしても地底にはまるで娯楽としての食事に向いている食べ物がまるで無かった。そう考えると私は地上との交流の件では多少痛い目にあったとはいえデメリットは背負ってないのでは、と思う。
交流にしても私が居る薄暗い縦穴を通るよりどこかの馬鹿がこじ開けたどでかい穴を使っているようだし。

そう考えていると橋守の仕事はどうしたとでも言いたげなさとりの目線とかちあった。
橋守なんて今までも形だけの役職だったし、私としても面倒くさい仕事は嫌なのでこのままでも良いと心の中で答えておく、その代わり給料は安いが。

「いい仕事が在りますよ、高給料低リスク」
「聞くだけは聞いておこうかしら」
「地霊殿の雑務」
「お断りしておくわ」

低リスクなのは分かる、高給料なのは羨ましい
だがさとりの代わりに山の様な処理を捌いたりペットの分の食事を用意したり買い出しの為にあの遠い路を飛んで行ったりしなくてはならないとなるとどれだけの給料でも断るだろう、さっきも言った通り私は面倒くさい仕事は苦手なのだ。



[あるいは水を溜めた容器]

「それで、用事は何しから」

そういえばさとりが私を地霊殿に呼んだのはなにかの用事があったからだった、そう思い出したので今更ながら聞いてみる。別にこのまま放っておいて帰ってしまっても良のだが後々「あの時の借りを返してもらいましょうか」とか言っていいようにこき使われるのは御免なので、さとりならやりかねない。

「…ああ、私も今言おうとしていたところです」

こいつ、完全に忘れてやがった
呼んだ癖して完全に忘れてやがった
そんな目でさとりを見ているのは私でなくさとりの後ろでエプロンを脱いでいたお燐だった、こんな目で見られる辺り主人としての威厳が無さすぎるのではないかと私は常日頃思っている。因みにそんな目で見られているさとりは居心地が悪そうにもじもじしていた。自分の非が分かっているのであればさっさと謝ったらどうなのかと言いたいがこいつは心を読めるので心の中に留めておいてじーっと湿った眼で睨みつける事にする。

お燐は蔑むような目でさとりを見ている
私はじっとり湿った目でさとりを見ている
お空はなりゆきでさとりを見ている
勇儀は責め立てるようにさとりを見ている、いつの間に素面に戻ったのだ
十の瞳がさとりを囲んでいた

「あ…え…」

じーっ

「……」

じーっ

「すみませんでした」

…良しっ



「それで、改めて聞くけど用事はなにかしら」
「ああ、ええ、パルスィ、今日は地霊殿に泊まっていってもらいます」

いきなりなにを言っているんだこいつは、そう言いたいのをぐっと堪える、私は大人だ、大人と言うのは思い付きで行動しない事だ、つまりさとりは見かけ通り子供だ。
深呼吸を一回、もう一回

「それで、改めて聞くけど用事はなにかしら」
「今日は地霊殿に泊まっていってもらいます」
「もう一度聞くけど用事はなにかしら」
「地霊殿に泊まっていってもらいます」

おかしいぞ、何回聞いても同じ答えしか返ってこない、普通なら此処で何か選択肢が出て来る筈だろう。
さとりは相変わらずきょとんとした目でこちらを見てくるし、お燐は「すみません」と言った風に手を合わせているし、一体何があったんだ。
まあ、地霊殿に泊まるならいいだろう、前にも地霊殿の宴会で酔いつぶれて一泊したことがあったがベットは清潔でフカフカだし、私の家の煎餅布団で寝るよりも断然いいだろう、妬ましいが。
だが問題が一つある、どうしても聞かずにはいられないが聞くのが堪らなく恐ろしい事が。

「それで、私はどこで寝るのかしら」
「私の部屋です」
「ごめん、やっぱ無理だわ」

だれが好き好んでこいつの隣で寝るものか、絶対に寝ている私の顔に落書きしたリするつもりだろう、それか耳元で何か呪いの言葉を語り続けるとか。させるか、即座に帰ろうとする私の手にずっしりと重量がかかる。見るまでも無くこの軽さはさとりだ。

「頼みますから」
「絶対に嫌」
「え?何ですか?聞こえなかったです」
「絶対に嫌って言ってるのよ!」
「え?何ですか?聞こえなかったです」

このやろう、どうしても泊まらせていくつもりか。ぶんぶんと手を振って振り解こうとするがその小さな体のどこにそんな力があるのか振りほどけない、どうしても離れない。

「はーなーせー!」
「いーやーでーすー!」

なぜだ、なぜそんなに固執する。そんなに私にちょっかいをかけたいのか
意地とばかりにそろそろ痛くなってきた腕を振り回す、負けじと腕に捕まるさとり、完全に泥仕合だ。そろそろ止めたいが止め所が分からない。

「頼むよお姉さん、さとり様もこんなに頼んでるからさ」

ぽん、と私の肩を叩きながら仲裁に入ったのはやはりお燐だった。顔には明らかに精神的な疲労の兆候が見て取れる、そろそろ薬が無くなってきたのかもしれない。
さとりに言われるとやる気がおきないがお燐に言われると納得しそうになる、恐らく普段の行動の違いだろう。
しかしさとりと寝るのは私にとってよほどの覚悟が必要な事なのだ、生半可な覚悟では引き受けられる事では無い、相変らず掴まったままのさとりが不服そうな目で見ているが仕方がないだろう。

「明日の朝食と昼食もつけるからさ」

ふむ、それならいいか。

「私の頼みはお燐の食事二食分に劣るのですか」

食事二食分あればさとりからのちょっかいも大抵は受け流せるという意味だ。
そう言おうかと思ったがさとりはしくしくと泣き真似を始めたのでやはり心の中に大切にしまっておくことにした。

「しくしくしくしく」



かぽーん

地霊殿の浴室はそんな擬音が聞こえてきそうな浴室だ、とにかく広い、まるで旧都の銭湯の様な広さだ。特にこのシャワーの数は住人と来客を総動員してもまだ倍以上余るだろう多さだ、誰がこんなに使うのか。
旧都に点在する銭湯は広い所が最大の特徴だ、そして常に酔っぱらった鬼が数人屯している所も特徴だ、小心者の妖怪ではまるで近寄れないといった点で旧都の銭湯は下手な料亭より敷居が高くなっている。
なぜならば酔っぱらった鬼が時々先頭に集まってしまうと即席宴会が開かれ無関係な他の妖怪まで皆巻き込まれてしまうからだ。
当然銭湯と言うのは気密性が高く、湯気が立ち込めている為宴会を数十分も続けようものなら辺りは酔っぱらったりのぼせたりあるいはその両方だったりする死体が死屍累々する戦場と化す。
その為一週間に数回は医者には巻き込まれた形の体が弱い妖怪が担ぎ込まれる事になるらしい、その癖鬼は丈夫なので数分寝てればまた起き上がって宴会を続けると言うのだから妬ましい事この上ない。

「むう、いい湯加減」

そう言えば私がこの浴槽につかるのは初めての事になる、だからと言ってどうと言うことは無いのだが。初めての事だ…うむ、極めてどうでもいい。
しかしこれほどいい気分だと酒を持ち込んで晩酌と洒落込んでもよかったかもしれない、あるいは湯上りにきりっと冷やしたのを一杯やるとか。

「お燐に用意させましょうか」

そう言いながらさとりが湯けむりの中から姿を現わした、妬まし…くない。
いや、ここまで清々しい程妬ましくないのは初めてだ、ああ妬ましくない。
そう考えていたらさとりがチョップを決めて来た、痛くないので大人しくくらっておく。

「…バストアップ運動と言うのをやってみましょうか、それともトレーニングをやってみましょうか」
「どっちにしても長くは持たないでしょうから止めておきなさい」

かぽん、とさとりが湯につかる音がした。
私にとってはだいぶいい湯加減だがさとりにとっては多少暑いようでもう顔が赤くなってきている、弱い。

「我慢大会でもしましょうか、賭け金は日本酒一升」
「…絶対…勝てると思って…るんでしょう」
「当然、勝てない勝負は引き受けないのが主義だから」
「…私は受けませんよ」
「あら、残念」

勝てない勝負を引き受ける程さとりは甘くは無ないだろう、あるいはそんな熱さが無いと言うのか。
なにかに向けて努力するとか言う気持ちは、すでに私の中で凍り付いて流れ出してしまったらしい。その方が楽だから気にしたことは無いが。
さとりもその類らしく私達が勝負をすることと言ったら精々かき氷をどちらが早く食べ切れるかとかそういった馬鹿な事しかない、感情が左右する競技はさとりの独壇場だし逆にそうでない者は大抵私が勝ってしまうからだ。どちらも相手の得意競技で勝負しようとはしない。

情熱も、何かに打ち込もうとするやる気も、何もかもを捨てて、燃やし尽くしてしまった残り滓が私たちなのだと時々思う。
どういった理由でそれを捨ててしまったかなんて言うのはくだらない事で、ただ残っているのは何に対しても他人事のように思えてしまう冷めた自分だけで。
そうやって生きてきた、私も、恐らくはさとりも。
どれだけ冷めていようと、変わらない物なんていくらでもある。

お湯は時間が経つと冷めてしまうが、沸かせばまたお湯になる。
ならば私達はどうなのだろうか、溶けて流れてしまった中身が戻って来るのだろうか。

「さあ?私にはどうでも良い事ですね」

投げ槍極まりない答え、だがそれに同意せざるを得なかった。
どうでもいい、そう、どうでも良いのだ。今を生きてさえいれば。

そんな事を考えているとがらっと扉が開いて大柄な影が入って来た。
ふむ、実に妬ましい、パルパルパルパル。隣を見るとさとりも妬ましげな視線を送っていた。
そんな視線をものともしない勇儀はいつもの快活な笑みを浮かべて、ついでに湯船の傍に酒瓶を何本も置きながら。

「おう!二人とも晩酌に付き合わないかい?」

…何度も言っている通り私達は相手の得意分野には近寄らないのだ。



[あるいは綿を詰めた物]

いかにも機能性を重視した机に椅子、それにクローゼット。本棚には様々な書類やよく分からない本が山積みになっていて、当然の様に整理整頓された部屋。

「ふうん、あんたの部屋って意外に散らかってないのね」
「仕事に支障が出ますから」

私は度々さとりに頼まれて書類仕事を手伝う事があるのだが、大抵の場合リビングなど広いスペースを使ってやるのでさとりの部屋には入ったことが無かった。
雑多に散らかっているのかと思っていたのだがなかなにか綺麗な部屋なので驚いた、そして少しつまらない。
そう言えば、地霊殿にはまだ私が入っていない部屋がたくさんある。今度散策してみようか。

「ああ、止めた方が良いですよ。ペットの中には勝手に部屋を開けられるのを嫌がるのもいますから。ひょっとしたら食べられてしまうかもしれません」
「…あんたそんな物騒なのどこで拾ってきたのよ」
「いえ、拾ってきたのが育ってしまったんです、この間閻魔様が引っ掛かって絶叫をあげていました、助けたのですが消化液がなぜか衣服にだけかかってやや卑猥な眺めになっていましたが」

丸呑みにされて閻魔は無事だったのか、しかしこれじゃ探索どころか迂闊に迷う事も出来ない、迷った挙句変な扉を開けてしまって丸のみなんて冗談じゃないぞ。いつから地霊殿は変態生物の跋扈する危険地帯と化したのか。ああ、目の前に一人居るか。

「失礼ですね、私のどこが変態生命体ですか」
「まずは鏡を見なさい、それがあなたにできる善行よ」

鏡を見ても私しかいませんよ、とか言っているさとりは放っておいて私は先程から気になって仕方が無い物があった、ベットの下に押しこまれるようにして放置されている一冊の冊子だ。表紙は黒くて何か白い文字か書いてある
そこまで見た所でさとりがこちらを思いっきり振り向いた、あまりに勢いが強すぎてベットの下を覗こうとした私と思いっきり頭がかち合ってしまい、凄い量の火花が飛び散る程に。

「――――――っつ!」
「おおおぉぉぉぉぉぉ……」

共に床に体をなげうって頭を抱えながら悶絶する、痺れるほど痛い、まともに声が発せられないほど痛い。
そんな状態からさとりはよろよろと立ちあがってベッドの方向へと少しずつ進み始めた、どうやら目的はベッドの下の冊子らしい。理不尽な痛みに耐えている私はさせるかとばかりに半ば這うようにしてさとりの後を追った、のろのろと限りなく遅く退屈で、かつやっている本人たちにとってすればこれ以上無い程のデッドヒート。

一瞬早くたどり着いたのは私だった、最初のアドバンテージを必殺床ごろごろ戦法で詰め寄っての勝利だ、おかげで頭は更に痛くなるわ服が埃だらけになるわでとんだ被害をこうむったが。
しかし負けじとさとりがそれに食いつく、冊子の片方を引っ掴んでぐいぐいと引っ張って来たのだ。一歩も引かぬ両者、ここからは第二ラウンドだ。

続けての勝者はまたしても私だった、一度破れそうになった冊子を手放し、もんどりうったさとりにすかさず脇腹くすぐり攻撃、堪らずさとりは物を手放したが勢いに任せて更に追撃、親の仇、今までの恨みとばかりに追撃。そしてそろそろ3分も経つかというほどになるとさとりの呼吸がまずくなってきたので解放してやった。
現在さとりは部屋の片隅で荒い呼吸をしながら沈黙している。

「……ひきょ………もの……」

息も絶え絶えなので声をうまく発することができないらしい、脇腹くすぐり、これは今後使える攻撃方法だ。

はてさて、そうまでしてさとりが死守したかった物は何だろう。黒い冊子の表紙には「Cthulhu Mythos 著者HPL」とだけ書かれている、不気味な雰囲気が漂う本だが何と読むのだろうか、発音が難しそうだ。
しかし不気味な本だ、まるで古本屋で売っている怪談の本の様な…
そこまで来て私はふと閃いた。もしかすると、さとりはこの本を読んで怖くなってしまったのではないだろうか、それで眠れなくなりそうだから私を呼んだ、と。

私の推理が正しい事を確認するためにさとりの方を見てみるとこちらから反対方向を向きながらでも分かる程とめども無く汗を流していた、隠れているようだがばればれだ。しかし怖い本を読んだから一人で眠れないとは。子供か、しかし先程と言い今と言い、天が私に日頃の恨みを晴らせと言っている様な気がしてならない。

「ふーん…地霊殿の主は怖い本を読んだら一人で眠れなくなるのね」
「…………」
「なにも言わないようなら帰るけど」
「怖いです、怖いですから帰らないでください」

さとりはがっしりと腕に引っ掴まっている。まあ、ここまで来たからには帰るつもりは無いが。それにしても普段の非力さとは違ってえらい握力だ、いたたたた。






「それにしても狭いわね」
「仕方ないでしょう、元々一人用なんですから」
「あんたが一人床に寝たらどうなのよ」
「それだとパルスィを呼んだ意味がありませんし」

何の変哲も無いベッド、布団は一つ、枕は二つ、「枕は一つでも良いんですよ?」とか言われだが全力で拒否した。

「それでは、おやすみなさい」

パチン、と照明の切れる音がして辺りが暗闇に包まれた。上を見上げるとぼうっと照明の残光が霞んでいる。地底には太陽が無いし、この周辺には光を放つ屋台も家も何もないのでよく眠れそうだ。

ただ静かで、ただ暗くて
そう言えば人間はこういう状況にこそ魔は潜むと恐れていたっけ、今ではすっかり忘れてしまっていたが小さい頃は早く寝ないと恐ろしいものに取り込まれてしまうよ、とか驚かされていた気がする。私がその恐ろしいものになってしまった今ではそんなものただの笑い話だが。

「あなたでも、小さい頃の事を覚えているんですね」

静かな部屋にぽつりと、呟く様なさとりの声が響いた。
覚えていると言うよりも、今思い出したって感じだけどね。声を出すのも億劫なので返答は心の中で返した。

その問いかけっきり、部屋の中はひっそりと静かになった。さとりはもう眠りについているのだろう。
さとりと一緒に寝ているので狭いけれど、布団は妬ましい程フカフカだった。
モコモコの感覚に包まれているとゆるりと睡魔が近寄って来る、その甘い誘惑に逆らう事はせずゆっくりと瞼を閉じてゆく。そうして部屋の暗闇は全く光の通さない闇へと変わる。
あの日の水面から底へ其処へと沈んでいったときに見た暗く、ただただ冷たく、ただ哀しく、悲しいだけの闇とは違う、暖かくて、包まれるようで、心地よい闇。

――――パルスィ

ふと、そんな闇の中で誰かの声が聞こえた気がした
暖かい泥に沈み込んでしまっているように鈍ってしまった思考にはそれが誰の声だか分からないが、その言葉には懐かしいような優しい響きが籠められていた。

――――もしも、私があなたを好きと言ったら、あなたは何と答えますか

私にはもうその声が何を言っているのかすらも分からない、だがどこか不安そうな響きだけはほんの微かに聞き取れた。
もう何を言っているか分からないけど、なぜそんなに不安がってるんだか分からないけど。
判断力の鈍った私にはその問いかけを理解する力は到底足りない様だった。
「さぁ?」と、それだけ答えておく「どうだっていいわ」とも。

それからしばらくするとぽふっと背中に何かが抱き着いてくるような感覚がした、ぎゅうとこちらを強く強く、まるでもう手放さないと言う風に、苦しくなるほどこちらを抱きしめて来る。

――――今は、このままでもいいですか

そっちがその気なら、別にいいわよ。どうせ減るもんじゃないし、私はもう寝ちゃうけど。

――――ありがとうございます

別に礼を言われるようなことは何もしていないのに、何だがむず痒くなる。
抱きついて来るのが誰で、本当に抱き着いてきているのかすらも分からないと言うのにお礼を言われるとは。

――――最後に、一つだけいいですか

その言葉は私に言い聞かすような口調では無く寧ろ自分に言い聞かせているように感じた。
別になんだっていいけど、私はもうすぐ溶けて消えてしまうのだから。
そうしてふうっと意識が暗転を始めて

――――パルスィ、私はあなたの事が……

言葉を最後まで聞く前に、私の意識は闇に落ちていった。
















がばりと、布団を少しのけて起き上がる。
普段の無愛想な顔からは想像もできないような穏やかな寝顔が隣にあった。
くすんだ髪はふわふわと呼吸に合わせて上下している
緑の怪物は今深い深い眠りについていて見る事が出来ない。
その寝顔を見ながら少しだけ、彼女を起こさないように気を付けながら溜息を吐く。

「これで、よかったのでしょうか」

隣でパルスィはすーすーと穏やかな寝息を立てて眠っている。
私の言葉を全て言ってしまう前に、彼女は眠ってしまった。果たして私はその事を喜んでいいのか、それとも悲しんでいいのか、私自身にもそれは分からなかった。

でも今は、これで良いとしよう。
再び布団を頭からかぶり、パルスィだけを感じるかのように強く強く彼女を抱きしめる事しか、誰よりも臆病な私にはできなかった。













.
「お姉ちゃんまじへたれ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


最初の手紙の部分を書いたらいつの間にか中編程度の長さになってしまいました。
さとパルを書けたのは嬉しいですがいかんせん分量と濃度が足りないと反省、精進せねば。
前作のカット分を流用しようとそれを更に二倍程度に伸ばしたらいつの間にか迷走してしまって作者にも恐らく読者にも訳が分からなくなったのでお蔵入りさせて
さて、さとパルが書きあがるのはあと何か月かと思いながら新しく書いてみたら意外にすっきり出来上がっしまい作者吃驚。

こいしちゃんのセリフに関しては無意識に入れてしまったらあまりにしっくりしてしまったので、リスペクトだと、そう言う事でお願いします、お願いします、おねが

P.S なぜか今更前作のコメ返ししました、遅すぎるかもしれないし内容を忘れているかもしれませんが一応告知



2011 9.26 コメント返し

>>奇声を発する程度の能力さん
へたれさとり様も純情なさとり様も良いし黒いさとり様も捨てがたいのが悩みどころです

>>猫額さん
薬は書いてるとややこしくなってしまうので書きたくないのですがほら…額に手をやりながら薬を流し込むお燐ってなんか絵になりそうでしたからね
眼鏡をかけてると倍率どんですし。
しかし代わるのはそっちですか、痛いですよ?お燐によりますと。

>>11さん
さいですか!ありがとうございますまたやりたいです

>>15さん
へたれさとりん…語呂が良い…いやさ悪い…いやさ…
パルスィはさとりを恋愛対象に置いて無いと言うより恋愛を拒否している感じですね
さとりの猛プッシュはこれからだ!

>>oblivionさん
ぱるちゃんはなんだかんだ言ってさとりとの会話を楽しんでいるんですよ
さとり様もそれを分かっていながら何気なく会話しているんですよ


>>17さん
ぐだぐだで、だらだら
ここにはちゃめちゃを持ってこれたらもう少しメリハリを付けられるかもしれないと思います
アドバイスありがとうございます
あ、実はこいしちゃんは最初から地霊殿に居るんですよ、話に割り込んできてますしいろいろ割り込んできてます。

>>フェッサーさん
さとり様がそれを認めようとしない強情な性格だとなお良し!
はっ!これがギャップ萌えか!(え

>>雨宮 幽さん
わたしもさとパルが好きです、こいパルも好きですがさとパルが好きです
マイナーな需要にジャストフィットを目指す作家を目指す作家です、ややこしい!
二人はぐでぐでな悪友的な腐れ縁が丁度良いのだと思っています

2011/10/29 コメント返信

>>とーなすさん
さとり様は積極的になった後部屋で枕に顔を埋めたりしているんですよ
距離感に関しましては心配いらないと思います、実は最終回までの構想が練り終わりましたどう見ても糖度が無いし何かあってもきっと二人はこのままなので
芒野探険隊
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1220簡易評価
3.90奇声を発する程度の能力削除
ヘタレすぎるさとり様も可愛いよ
8.90猫額削除
そう言えば胃薬腹薬(腹薬は微妙か)とは言っても、頭薬とは言いませんね。
それだと別物になってしまうからか。
お燐寸。
胃痛薬、腹痛薬、頭痛薬。ここのお燐は全部飲んでそうです。
ああ、出来る事なら代わりたい、お燐にチョップされるさとり様と。
11.100名前が無い程度の能力削除
これは良いさとパル。ニヤニヤしました。
15.100名前が無い程度の能力削除
へたれさとりん頑張れ
パルスィは鈍感だなあ。恋愛対象としてみていないだけかな。
とてもおいしくいただきました
16.100oblivion削除
ぱるちゃんがとても楽しそうでぼくはうれしいです
17.90名前が無い程度の能力削除
ちょっと途中がダラダラしすぎかと思ったけど最後の一言で持ってかれたw
19.100フェッサー削除
怨霊も恐れ怯む少女と謳われるさとりんが、怖い本読んだら一人じゃ夜も寝れないだと?

良いじゃないか。とても良いじゃないか。
20.100雨宮 幽削除
さとパルが好きです。さとパルが好きです。大事なことです。
こういうさとパルを、書きたかった、求めていた・・・!!
普段はからかいあってるけど本当は・・・!!とかもう理想的すぎます。
非常に良いさとパルでした。御馳走様でした。
26.100とーなす削除
積極的なのかへたれてるのかよくわからないなさとり様w
濃度が足りないと作者さんは言ってるけど、このくらいの微妙な距離感は結構好きなので、だらだらと続けて欲しいなあ。もちろんもっと発展して欲しい気もするけど。