このお話は作品集82「探し物は何ですか」、作品集84「見つけにくい物ですか」、作品集86「カバンの中も」の続編です。予めご了承下さい。
空に船が浮かぶ春雪の候。すわ宝船かと浮足立つ幻想郷を尻目に、かの妖怪ネズミは一冊の本を腕に抱いて今日も今日とて現れた。
先日渡した本はしっかり読んだのか物凄い怒声と共に突っ返されたが、本の面白さは理解できたらしくそれからはたまに本を持参して店を訪れるようになった。お得意の「宝探し」で見つけた物を持ってきているようだ。
それ自体は何ら問題なく、寧ろ喜ばしいことだと受け入れられる。しかしその他に何とも堪え難い問題が、僕の頭を悩ませ続けていたのだ。
「おい店主。さっさと次のページをめくりたまえよ。何回同じところを読ませるつもりだ」
「あのなぁ……そんな文句言うなら自分で読めよ。僕だって自分のペースで読みたいんだよ」
「いちいち言葉の意味を聞かれて面倒だって言ったのは君だろう? 別に私は構わないけどね、手間を考えれば今の方法を選んだ方が余程効率的なのは明白だよ」
僕の膝の上で、ナズーリンはぷくっと頬を膨らませる。
そう、問題と言うのはこれなのだ。彼女は本を読む際に、僕に口に出させて読ませるのである。
言葉の意味を知っていても、漢字の読みが分からない。時には意味すらも分からない。その度に僕に質問して意を得て先に進むのだが、僕にしてみればたまったものじゃない。
そこで彼女は提案した。「なら、君が声に出して読めば良い」。成程理に適っている。それに彼女と僕の趣味は少し違っていて、僕の読まないような本も彼女は好むのだ。この際、新しいジャンルを開拓して行くのも良いだろう。僕は快く承諾した。
しかし、それが間違いだった。
それはつまりナズーリンに読み聞かせしてやるのと何ら変わりはないわけで、その間僕は自分の本も読めないのである。少し考えれば分かりそうなものだが、少しも考えなかったのがまずかった。僕は自分の読書タイムを、みすみす失う羽目になってしまったのだ。
その上「こっちの方が楽だ」と、僕の膝の上に乗っかってくる始末。なまじ背が低いため、できないこともないと言うかできてしまうのが厄介だ。結局ずるずると引きずられていく形で、今の状態に収まったのである。
自分のペースで読めば早いと文句を言われるし、ちょっと休めばさっきみたいにすぐ急かされる。本を読んでいると言うのに、拷問でも受けているかのようだった。
「ねぇまだ? ずっと待ってるんだけど」
「はいはい……分かりましたよお嬢様、っと。全く、まるで召し使いのような扱いだな」
「召し使い。おお、それは良い表現だ。君、私に仕えたまえよ。給料は払うからさ」
「ははは……ご免被るよ。君に仕えたりしたら、それこそ奴隷扱いになる」
ナズーリンは笑う。本気なのか冗談なのか、分からないからこそ余計怖い。
僕は苦笑しながら、再び「怪人二十面相」のページをめくった。
「――お終い。あぁ、やっと終わった……疲れた」
「お疲れ様。今回は一週間掛かったか。早いのか遅いのかよく分からないな」
「頼むから今度からは童謡とか、読み聞かせに適した本を持って来てくれよ……こんな長い話を読まされるのは、幾らなんでも苦痛に過ぎる」
「考えておくよ。……そうだ、なら今度は君のお薦めする話にしたらどうだろう? それなら君も退屈せずに済むだろう」
「僕のお薦め、か……あ、それならケッチャムの『隣の家の少女』なんかどうだ? あれもなかなか長いが、一度は読んでも――」
「いや、やっぱり止めておこう。君の薦める話はなんだ、その、私には合わないみたいだからな」
「そうか? 君がいいならいいが」
前回ので懲りたのだろうか。僕の薦める本を、彼女は極端に避けるようになった。それもわざと悪意を持って選んだ本だけ、敏感に嗅ぎ分けて。
それでもケッチャムの著書は、万人とは言わないまでもある程度自信を持って紹介できると思うのだが……まぁ仕方ないな。
ナズーリンはぴょんと僕の膝から飛び降り、ゆっくりとこちらの方を向く。瞳を閉じ満足気に笑みを浮かべたその表情は、陶酔そのものを表していた。今読んだ話を反芻しているようである。
「あぁ……血湧き肉躍るこの冒険! 名探偵明智小五郎が、宿命のライバルを相手に大立ち回り――なんてハラハラする展開! それに小林少年の活躍も見逃せないな。ほんの少し幼さが抜けてきた程度の少年が、智慧と機転を利かせて探偵と共に大泥棒を追い詰めて行く……あぁ、彼のことを考えるだけで体が熱くなってしまうよ」
「そう言えば、少年探偵団とか言ってたっけな。成程、彼も幼いながらも探偵なわけだ。君とは大違いだな」
「だって強大な敵なんかいないだろ。いたとしても莫大な財宝もないんだから張り合いないしね。その二つがあってこそ、探偵もあれだけ活躍できるのだよ」
「莫大な財宝……それならあるじゃないか。今騒ぎになってるやつ」
「騒ぎに? ……もしかして、空を飛ぶ船の話か?」
「そうとも」
僕が返すと、ナズーリンは途端に腹を抱えて笑いだした。
「あっはははは! 君、もしかしてあれが宝船だとでも思ってるのかい?」
「そうとは言ってないだろ。まぁ、夢のある話だとは思うが」
「成程、成程。夢のあるねぇ。しかし残念ながら、あそこには宝などないよ。見ようによっては宝もあるかもしれないが」
「……? 何か知っているのか?」
「おっと、喋り過ぎたかな。これ以上は企業秘密だよ。ま、余計な期待はしない方が良い」
尚もくつくつ笑いながら、人差し指を立てて口元に当てる。
恐らくは仕事に関することなんだろう。珍しく企業秘密、とか言ってたしな。以前のように情報を軽々しく扱わなくなったみたいだ。
それに、とナズーリンは続ける。
「本当の宝というものは、得てして自分の足元に転がっているものだ。そう、例えば、台所の隙間とかに」
「……どういう意味だ? 何かの比喩か?」
「深い意味はないよ。決め台詞みたいなものだ。……ところで」
「?」
「君、手先は器用な方かい?」
にやにやと厭らしい笑みを浮かべて、ナズーリンは一歩ずつ僕に詰め寄って来る。
もう僕は分かっていた。こんな表情をした時の彼女は、何か企んでいることを。
そしてその企みに、僕も巻き込まれるということも。
「……七つ道具、ねぇ」
「そうだよ。探偵たるもの窮地に陥った時のため、様々な状況に応じて使い分けることのできる便利な道具を所持していなければならない。いやはや、今までの私は迂闊だったよ」
「とか言って本当は自分が欲しいだけだろ?」
「ななな何を言うっ! わ、私は探偵に必要な道具を揃えようとだな……」
ぶつぶつと弁解するナズーリン。しかし取り繕おうとしているのが見え見えである。どうやら図星だったようだ。
素直に欲しいと言えば、少しは可愛げもあるもんなんだがなぁ。
彼女の企みとは、つまり少年探偵団の持つ“七つ道具”を僕に作って貰う、ということだった。
僕だって不器用なわけじゃない。服の修繕なんか何度やらされたことか。お陰で人並みには指を動かせるようになってしまった。
彼女のやってほしいことも、できないことじゃないとは思うんだが……今日はちょっと、都合が悪いんだよな。
「なぁ、いいだろ? そう手間は掛からないだろうし。君が誘拐された時にも助けに行けるぞ!」
「誘拐なんてされないよ……それにすぐには取り掛かることができない。約束事があるんだ」
「?」
――カランコロン。
その時、玄関のベルが鳴った。
扉を開いて入って来たのは、いつも通りつんとした表情の“彼女”。
つかつかと足音を立ててこちらに近寄り、カウンターに手をついていつも通りの台詞を口にした。
「新しい本は入ってる?」
「そうだな……マザーグースの歌集なら。以前にも読んだことがあるかもしれないが」
「じゃあそれでいいわ。こっちによこして」
僕はあらかじめ用意してあった本をカウンターの下から取り出し、彼女に手渡す。彼女は辺りを見回して近くにあった手頃な椅子(と言っても僕の用意した物だが)を引き寄せるとそこに座った。
そうしていつも通り、無言のままに表紙を開いて本の中の世界に没頭し始めた。
うん、徹頭徹尾いつも通り。だからこそ安心できる光景。
じゃあ僕も読書に耽るとしようか、と思ったところで、ナズーリンにこつんと軽く小突かれた。
「おい何勝手に本を読もうとしてるんだ。あの女は誰だ? やけに親しそうな感じだったが」
「なんだいきなり……あれ、もしかして会ったことなかったっけ? 一回ぐらい鉢合わせしてるものだと思っていたが」
「全くの初対面だよ。ここは紹介するのが筋ってものだろう。ほら、さっさと教えろ」
「やけに急かすなぁ……まぁいい。あいつは朱鷺子。読書が趣味の妖怪だ」
と言っても、“朱鷺子”は愛称に過ぎないのだが。
あいつは自分から名前を言わない。それなりに長い付き合いだが、全く名乗ることがない。言ってしまえば“名無しの本読み妖怪”とかが一番適しているのだろうが、実際に呼ぶのにそうはいかないだろう。
そこで見た目から判断して勝手に朱鷺子と呼ぶことにしたのだが、文句も何もなかったからそのまま定着してしまったのである。だから愛称なのだ。
「妖怪で本を読むのが趣味だなんて珍しいだろ? その辺りでちょっと、意気投合してな。月に一回読書会のようなものを開くことにしたんだ」
「それが今日ってわけ? ふーん……朱鷺子、ねぇ」
黙々と本を読み耽る朱鷺子に視線を向ける。
……ナズーリンが敵意を剥き出しにしているように思えるのは気のせいだろうか。横から妙な熱気が発されているのを感じるんだが……変ないざこざを起こすなよ、頼むから。
しかし、あれはあれで気の良い奴だしもしかしたら仲良くなれるのではないか――? そんなことを考え始めた時に、朱鷺子はゆっくりと顔を上げてこちらを見た。
ぴたりと目が合う。彼女は溜息を吐いて言った。
「うるさい。そこのネズミ黙らせといて」
お前から仕掛けるのかよ。
「……あん? 誰を黙らせるだって?」
「また喋った。ほら、早く何とかしてよ霖之助」
「りんっ……あ、あー、一つ言っておこう。私にはナズーリンという立派な名前がある。ネズミなどと種族名で一括りにされたくはないな」
「だってネズミはネズミじゃん」
「ナズーリン」
「……ふーん。そう、ナズーリンね。はいはい。
それで? どうせ本なんか読む気ないんでしょ。ほら、邪魔だから早く帰って」
しっしっと追い払うような身振りをする朱鷺子。あからさまな挑発だが、ナズーリンは見る見る内に顔を真っ赤にして行く。
そしてカウンターの上に置かれていた「怪人二十面相」を乱暴に引っ掴むと、朱鷺子に向けて表紙を突き付けてナズーリンは反論した。
「ふん! 見掛けで判断するなよ。私だって読書は嗜む。ちょうど今、この本を読み終えたところだ」
「へぇ……江戸川乱歩か。有名どころを持って来たわね。ま、貴女にはちょうど良いんじゃない?」
「……? どういう意味だ?」
「だってそれ、児童書じゃない。その本の中に出てくる小林少年ぐらいの子が対象じゃないかしら? 幼稚な貴女にぴったりよね」
「な、な、な、――愚弄するのも大概にしろっ! それに小林少年が幼稚なわけがない! 彼は私と同じ、一人の気高き探偵だ!」
「探偵? ……もしかして貴女、読んだ本に影響されちゃうクチ? 悪いことは言わないから、その癖直した方が良いわよ」
「――っ!!」
最早ナズーリンの怒りは言葉にならないぐらいに沸騰しているようだ。
だが、流石にここまで煽るのはやり過ぎだろう。不機嫌なのかどうなのかは知らないが、見ていて気分の良いものじゃない。
とにかく注意だけでもしておくか。
「おい朱鷺子。どういうつもりかは知らないが、君の言っていることはただの中傷にしか聞こえない。いい加減にしろよ」
「なによ。そっちの肩持つってわけ? なら教えてあげなさいよ。探偵だなんて今日び流行んないってさ」
「……ナズーリンは正真正銘の探偵だよ。それもとても腕の良い、ね。疑うんなら、実際に何かを探して貰うと良い。すぐに分かるだろうよ」
「……嘘。本当に?」
目を丸くして驚く朱鷺子。僕も肯定するとは思っていなかったようだ。
しかしナズーリンはぷいと横を向き、とんとんとしきりに爪先で地面を叩いている。苛立っているのが見て分かる有様だ。
「ふん。信じないのなら信じなくて良いさ。頼まれたって探してなんかやらないし」
「ううん。霖之助が言ったのなら、それは確かなんでしょうけど……でも言う程良い腕なのかしら。ちょっと証明してみせてくれない?」
「誰が。君なんかに見せるものなんて何もないよ。残念だったね」
「へー? じゃあ、やっぱりそんなでもないわけね。そんなことだろうとは思ってたけど。ま、あんたに探偵が務まるのなら私にだってできるわよね」
「……何だと? 探偵を見くびるなよ。素人に務まるような職業じゃない。現場では経験と勘だけがモノを言うんだ。知ったような口を利くな」
「どうだか。たまたま見つけることができればそれが手柄になるんですものねぇ? 経験どころか運じゃない」
「黙れ。言わせておけば抜け抜けと……君の言っていることは的外れにも程がある。探偵は実力こそが全てなんだぞ」
「なら証明してよ。私の目の前で、どんな風にして探し物を鮮やかに見つけ出すのか、それだけ言うのならやってみせてよ!」
「望むところだ! どんな条件でも見つけてやるさ。後で泣きを見るのは君自身だからな!」
あーあ。
売り言葉に買い言葉。結局乗せられちゃってるじゃないか。
多分、上手く誘導されたことにも気付いていないんだろう。彼女の単純さを憂いながら、僕は朱鷺子のしてやったと言わんばかりの表情を眺めていた。
「ルールせつめー。
まず道具の使用は一切禁止。ペンデュラムもロッドも、その尻尾の籠の中にいるネズミも全て回収します。こっちに渡して下さい」
朱鷺子の伸ばした手に、渋々といった様子で自らの愛用する探偵道具を握らせるナズーリン。これはまぁ仕方のないことだろう。朱鷺子はナズーリンの純粋な“探し物を見つける力”を試したがっていたのだから。
あるいは……悪意を持って見れば、能力を使えなくして探しにくくさせ、見つけられなかったら思いっきり貶そうと考えてのことなのかもしれない。そんなことはないとは思うが。
「さて。これからこのペンデュラムを、香霖堂の中のどこかに隠します。明智君にはそれを探し出して頂きます。見事見つけた暁には、風評通りの名探偵だと大いに認めてあげましょう。
しかし! もし見つけられなかったとしたら……そうね、自分の仕事に専念して貰うとしましょうか。つまりはこの辺りに近付くなって意味ね。分かる?」
「心配せずとも見つけてやるさ。“もし”はないよ」
「成程頼もしい。その威勢が続くと良いんだけどね。
期限は今日一日。私はさっきと同じように本を読んでいるから見つけたら持って来てくれればいいわ。あ、ついでに言っておくと服の中とかには隠さないから。読書の邪魔はされたくないしね」
「助手は認めて貰えるかな? そこのを一人借りたいんだが」
そう言ってナズーリンは真っ直ぐ僕の方を指差す。
って僕かよ。
「霖之助? だめだめ、そんなの認められないわ」
「しかし探偵には助手がつきものだ。本を好む君なら、その程度はよく分かっているだろう。違うか?」
「……確かに。それなりには勉強しているようね。分かったわ、認めましょう。
それじゃ、今から五分後に開始します。ちゃんと外で待ってなさいよ。不正なんかしたらその時点で失格だからね」
「ふん。そんな姑息な真似などするか。さっさと行け」
本当口だけは達者ね、とこぼしながら店の中へと戻って行く朱鷺子。まるで水と油の関係だな。まさかここまでそりが合わないとは思っていなかった。
僕の記憶だと、朱鷺子はもう少し柔らかい性格だった筈なのだが……相性が悪かったと諦めるしかないか。後は僕に迷惑を掛けないでくれるとありがたい。既に迷惑真っ最中だが。
「……なぁ、あの朱鷺子って奴、いつもあんなに生意気な態度なのか? さっきから初対面の割にずけずけと物を言うし……端的なのは嫌いじゃないが、言葉の端々に棘が見えるぞ」
「いや、あんなに攻撃的ではなかった筈だが……なんだろうな。多分、読書の邪魔をされたからじゃないか?」
「そのぐらいで怒るなよな……ふん、まぁいいさ。小林少年と探偵を馬鹿にしたことには変わりないんだしな。我々を侮ったこと、心の底から後悔させてやるよ」
一番怒っているのは君自身だろ、と言いそうになって慌てて口を押さえる。下手に口を滑らせれば僕まで報復対象になるだろうしな。くわばらくわばら。
まぁ、適当に付き合ってればこっちに矛先は向かないだろう。それに彼女の探偵らしいところはあまり見ていない気がする。僕もお手並みを拝見するとしよう。
五分後。
店の中に入ると、既に朱鷺子は定位置に座り本を読んでいた。もう勝負は始まっているということらしい。
ナズーリンの方を見る。腕組みをして何やら唸っているが、こっちもこっちで勝手に始めていたか。しかし見当は付いているのだろうか。
「……ふむ。そうだな、君ならどこに隠すと思う?」
「え?」
「ペンデュラムだよ。なんだかんだ言って、あれって結構目立つしね。上手に隠さなければすぐ見つかってしまうだろう。そこで、君ならどうする、ってね」
「僕なら? ……うん、やはり木を隠すには森の中だからな。陳列された商品の中に紛れ込ませておくか……」
「グッド。良い思考だ。と言うわけで手当たり次第陳列棚を漁るぞ。早速取り掛かろう」
言うが早いが棚の方に向かい、まさに文字通り手当たり次第に調べて行くナズーリン。商品を棚に戻す際に、時々勢い余って床に落としたりしている。拾え。
「君は向こう側から調べてくれよ。二人でやればそう時間は掛からない筈だ。それじゃあ宜しく」
落とされた商品をちまちまと棚に戻していた僕に向けて、忙しなく手を動かしながらナズーリンは言った。勿論その間も棚からはポロポロ物が落ちて行く。拾わなくていいから落とすな。
しかし助手という名目である以上、命令されたからには従わないといけない。渋々その場から離れて、彼女とは対極の位置にある棚の方に回った。
こっちは店の奥側なので、あまり売れなさそうなものばかり置いている。しかし僕はそういった、人に見向きもされないような物の方が好きだ。誰からも好かれない物というのはどこか心の琴線をくすぐるもので、僕を魅了してやまないのである。実際お気に入りの品は大半がこっちに置いてあるし、またその大部分は非売品なのだった。
もしかしたら売りたくない物を、無意識の内に目に付きにくいこちらに置いているのかもしれないな。
そう、例えばこのオブジェ。土台は四角、その上にはガラス玉がはめ込んであって、最上部は屋根を模したと思われる形の木が飾り付けられている。
並々ならぬ力を感じるし、何かの道具であることは分かるのだが、如何せん使い方が分からない。仕方なく店のインテリアとして置いてはあるが、誰かに売る気は毛頭ない。何となく手放す気にならないのだ。
他にもこんな系統の品々はそれこそ沢山あった。その一つ一つを手に取る度に、それを手に入れた当時のことを思いだし、その時の自らの見解を再び検証し直す。そして幾度も反芻した後に、漸く棚の上へと戻すのだ。
そんなことを繰り返していれば、当然時間は掛かるわけで。
気付けば背後にナズーリンがいて、思いっ切り頭を引っ叩かれてしまった。
「……なーにをやってるんだ君は。遊びじゃないんだぞ馬鹿者。次やったら叩くからね」
「もう叩いてるじゃないか……いてて、何でまた叩くんだよ」
「惚けたことを言ってるんじゃない。ほら、次行くぞ。もうここは全部調べ終わったし」
なんと。一人で全部調べてしまったのか。これは驚きだ。
というかこれだけ早いなら僕がいなくてもいいんじゃないか? 真面目にやってたとしても大差はなかったと思うし。言ったらまた叩かれそうだから言わないが。
やはり失せ物探しのエキスパートの二つ名は伊達ではないらしいな。手際からして違うのだから。朱鷺子、今回はどうやら君の負けになりそうだぞ。
と、ふと床を見る。ナズーリンに落とされた数々の品が、足の踏み場もないくらいに散乱していた。陶器など割れやすい物には、粉々に砕け散っている物さえある。
あぁ、だから早かったんだ。得心した僕はこめかみの辺りを押さえて、後片付けを始めるのだった。
「さっき言ったように、あのペンデュラムは何もしなくても目立つ。となれば、パッと見では分からない場所に隠すのも有効だろう。ではその場所とはどこだ?」
「どこって……まぁ、普通に考えれば剥き出しにしては置かないな。何かに包んだり、物の間に挟んだり……もっと簡単に隠すなら、引き出しの中とかは一般的な方だろう」
「その通り。加えて五分で隠せる場所だ。知恵を働かせるより、ここは単純に考えて行った方が早く見つかると思われる。
つまりはここの引き出しを全部引っ繰り返す、ということだ」
「……本気で言ってるのか? 勘弁してほしいんだが」
「本気も本気、大真面目だよ。それとも何か? 君はもう私にここに来てほしくないって言うのか?」
「客じゃないのならあまり歓迎はしたくないな」
「……さぁ、ゆっくりなんかしていられない。手早く行くよ」
僕の言葉を無視して、ナズーリンはずんずんと奥の部屋へ踏み入って行く。僕も慌ててそれに続き、少し遅れて奥へと入った。
ここからはプライベートな区域だ。下手に部屋の中を荒らされたりしたら堪らない。注意深く観察しなければならないな。
しかし……引き出しと言ってもかなり多い。小物入れなんかも含めれば、その気があっても全てを調べることはできないだろう。家主である僕自身でもその全てを把握できない、把握できる筈もないのだから尚更だ。
それでも本当に調べるのか、とナズーリンに問うと、彼女は眉をひそめて当たり前じゃないか、と返した。
「何と言っても探さなければ始まらないのだからな。聞き込みと同じだよ、雲を掴むような話であってもやらなければ情報は何も得られない。地道な作業こそが正解への一番の近道なんだ」
「だとしても一日じゃ終わりそうにないだろ。君の言いたいことも分かるが、現実問題無理な話だよ」
「そこはほら、根性で――冗談だよ。全く、私が冗談を言えばすぐ真に受けるんだから……まぁそれはいい。
何も全部探して回る必要はないんだよ。そう、例えばそこの――押入れの中とか、日常的に使う場所を重点的に探して行くんだ。君ですら思い出せないような場所まで探すことはない」
「何となく理由は分かるけど……あれだろ? 心理的に考えると、って奴じゃないか」
「そうそう。“物を隠した”、と聞いて短絡的に山の奥地とか地面数十メートル下に埋めたとか、そう考えるのは凡人の思考だ。
失せ物と言うのは、実は身近な場所にある場合が最も見つかりにくい。君だって何かしら物を失くしたことはあるだろ? 思い返してみるといい、三十分探してみたら実は自分の足元にありました、なんて体験は結構あると思うぞ」
「……そうだな。確かに眼鏡を失くしたと思ったら、実は掛けていたことに気付いていなかっただけということはあった。成程、そういうことか」
「……それはちょっと違うと思うが……まぁニュアンスが伝わったのならそれで良い。つまりここにあるタンスや押入れ、生活用品全般をしまった引出しに絞って探せば良いのだよ」
成程、ナズーリンの理屈は確かにありそうな話だ。外の世界での文献には、そういった類の妖怪も跋扈していると書かれている物もあるし。“妖怪リモコン隠し”、とか言ったっけな。
だが……それを根拠にするには、少し薄くはないだろうか。
「君の言っていることは分かった。しかし朱鷺子が君の言った凡人でないとは限らないだろ? そうやってバッサリ切り捨てると、後で痛い目を見るかもしれないぞ」
「それはないよ。彼女は私のことを“明智君”と婉曲的に表現した。明智君とは勿論かの名探偵明智小五郎のことだろう。つまり私のことを探偵役だと暗に言ったわけさ。
探偵役、ということは、つまりは推理の余地があるわけだ。そんな運試しみたいな真似をする筈がないよ。頭を働かせれば見つかるような場所に隠したことは容易に推測できる」
「……そんなもんか?」
「そんなもんだよ」
さも当然のことのように言い放つナズーリン。納得はできないが、彼女がそう言うのならそうなのだろう。納得はできないが。
それに僕は助手だ。「先生」の言うことなら、できる限り従うべきだろう。例えそれが間違っていたとしても。
……ん? そう言えばどうして僕が助手役をやらなくちゃいけないんだ? 知らない内に面倒事に巻き込まれてるじゃないか。毎度のことではあるが、彼女に忠実に従う義務はない筈だぞ。
「……どうしたんだ? いきなり黙り込んで。
ほら、ぱっぱとやってしまおう。君だって面倒なことは早く終わらせたいだろう」
「その面倒なことに巻き込んだのが君なんだろうが……いいや。分かった、やろう」
ええい、こうなったらもう乗り掛かった船だ。最後までやってやるよ。
……結局付き合ってやるんだもんな。自分のことながら、つくづく甘いと思うよ。はぁ。
と、散々探した挙句何も見つからないのはやはり、と言ったところか。
それからあらゆるナズーリン理論を用いて物置、屋根裏、台所の隙間まで隅々に渡って探し尽くしたが、ペンデュラムのペの字も見当たらない有り様だ。そもそも隠していないんじゃないかとまで思ってしまったくらいである。
その結果に彼女は「おっかしいなー」としきりに首を捻るばかりだったが、僕としてはそれ程意外な結果でもないと思う。彼女は自分の考えを信じ切っているあまり、行き過ぎてやや盲信的な部分があるのだ。あれでは何か致命的なミスがあった場合、気付くことは決してできないだろう。
ふと窓から外を見れば空はもう夕焼けに染まっていた。随分と長い間探していたし、とりあえず一休みしよう、と僕らは一旦店先に戻ることにした。
「……あれ」
「いないな。トイレにでも行ったのかな?」
戻ってみると本を読んでいる筈の朱鷺子の姿がどこにも見えない。椅子の下にはナズーリンから受け取ったペンデュラム以外の探偵アイテムの品々がひとまとめに置かれている。随分と不用心だ。もしナズーリンが不正を働くような娘だったらどうするつもりだったのだろうか。
まぁそんなことはどうでも良い。随分と立ったり座ったり、そこら中を歩き回ったせいで下半身に大分疲労が溜まっている。朱鷺子がいようがいなかろうが、そんなことよりとにかく今は座りたかった。
いつもの定位置、カウンターの内側、いわゆる店主席にどっかりと腰を下ろす。柔らかい椅子の感触は、疲れ切った僕の体をすぐに癒してくれた。まるで極楽のような気分だ。
が、その天国も長くは続かない。僕の膝の上に、今度はナズーリンがどっかりと腰を下ろしやがった。ふぃー、と心地良さそうな声を上げているがこっちは全く快適ではない。何の拷問だこれは。
「おい、僕の上に座るな。暑いし重いし余計疲れるだろうが」
「レディに重いだなんて……デリカシーという言葉を知らないのか君は。失礼だぞ」
「はいはい。分かったからどけ。邪魔だ」
「やーだよ。あ、そうだ。紅茶でも淹れてくれよ。喉が渇いたんだ」
どこまで人使いが荒いのだろうかこのネズミは。傍若無人にも程がある。僕のことを召し使いか何かと勘違いしているのではなかろうか。
しかし下手に反論すれば屁理屈をこねくり回されて結局僕の立場が悪くなるだけだろう。それに僕もちょうど喉が渇いていたところだ。仕方がない、淹れてやるとするか。
確かティーバッグはこのカウンター台の中に……お、これかな。
手に触れた、やけに冷たい硬質の物体を掴んで取り出す。そうして手の中を見てみれば、そこにあったのは青く透き通った、八面体の水晶だった。
「……っておい! ナ、ナズーリン! 見ろ!」
「あー? 何をそんなに興奮して……っ!? わ、私のペンデュラム! どうして君が持っているんだ!?」
「いや、この台の中を探っていたらたまたま……そうか、あいつここに隠してたのか! そりゃ見つからないわけだ!」
「灯台下暗しってやつか……おい朱鷺子! 見つけたぞ! 勝負は私の勝ちだ!」
僕が見つけたんだから、ナズーリンの勝ちと言うわけでもない気がするが。
まぁそんなことを言っていても始まらない。朱鷺子はここにはいないのだ。探し出してこれを見せつけなければ勝負に勝ったことにはならない。
「よし、探して来よう。多分トイレにいると思うし……ちょっと待っててくれ」
「あぁ。宜しく頼んだよ」
愛おしそうにペンデュラムをまじまじと眺めるナズーリンをその場に置いて、僕は再び奥の部屋へと戻ってトイレに向かう。
しかしそこにはいない。ならば風呂か、寝室か、とあいつが潜んでいそうな場所を探して回る。けれども一向に姿は見えず、結局見つけることなく僕はナズーリンのところに戻る羽目になった。
僕の話を聞いたナズーリンは、ははぁ、とニヤニヤ笑いながら言った。
「成程。そりゃあ逃げたんだな。恐らく自分が負けることを悟って、すたこらさっさとここから逃亡したってわけだ。ふん、小心者が」
「逃げた、か……有り得なくもないが、どうして逃げる必要がある? 僕には全く理解できないんだが」
「負けを認めたくなかっただけじゃない? 誰にだってプライドはあるだろうさ。ま、私に喧嘩を売ったこと自体が間違いだったとこれで気付いただろうがね」
「うーん……」
やはり釈然としない。あいつはプライドがあれども、筋はきっちり通すタイプの筈だ。それなのに逃げただなんて、僕には到底信じられなかった。
でも確かにここにはいないわけだし……状況を見れば、ナズーリンの主張の方が正しいように思える。うーん……何も逃げ出すこともなかっただろうに。
と、その時。
――カランコロン。
考え込んでいる最中に、玄関のベルが鳴り響いた。
日が落ちてからの客なんて珍しい――そう思いつつ視線をそちらに向ける。
そこに立っていたのは、他でもない、本を両手に抱いた朱鷺子本人だった。
「こんばんはー。ごめん、ちょっと遅れ……あれ? 先客?」
きょとんとした顔でこちらの方を見つめる朱鷺子。そんな彼女の様子を意にも介さず、ナズーリンは鬼気迫る勢いで朱鷺子に詰め寄り見せつけるかのようにペンデュラムを彼女に突き付けて高らかに宣言した。
「ふん。逃げてなかったことは評価してやろう。しかし――私は見つけたぞ! どうだ! 探偵の力を甘く見るなよ、朱鷺子!」
「へ?」
「惚けるつもりか? だが君の負けであることはこの通り、これ以上ないくらいの証拠がここにある! しらばっくれても無駄だぞ!」
「ちょっと……ねぇ霖之助、この子――」
「さぁ観念しろ。もう言い逃れはできない。頭を下げる準備を――」
「おいナズーリン。ちょっと待てよ」
ナズーリンの止まらない口撃に被さるように、僕は静かに語り掛ける。すると彼女はこちらに振り向き、明らかな不満を露わにして僕を睨み付けた。
「なんだよ。止めても無駄だぞ。幾ら君の知り合いだったとしてもな、あんな振る舞いをされては私だって――」
「そうじゃない。その……多分、この朱鷺子は君の知っている朱鷺子じゃない、と思うんだが」
「……はぁ? どういう意味だ?」
眉をひそめて首を傾げるナズーリン。僕も彼女の立場だったら、同じ疑問を抱いていることだろう。しかし遠くから見ていたからこそ、僕には彼女があの“朱鷺子”ではないということが分かった。
「なぁ朱鷺子。君、今日ここに来たのはこれが初めてだよな?」
「う、うん……今日持って来るつもりだった本を吟味してたら、いつの間にかこんな時間になっちゃってて……でも、探偵ってどういうこと? 私、この子の言ってることに心当たりないんだけど」
「いや、なくて良いんだ。それで多分辻褄が合うから」
「辻褄……?」
すっかり困惑気味の朱鷺子から、視線をナズーリンの方へ戻す。やはり彼女も同様に、困惑気味の表情だった。
「おい、どういうことだ? この朱鷺子はここに来たのは今日初めてだと言っている。もしそれが本当なら、私たちの会った“朱鷺子”は一体何だって言うんだ?」
「だから、それはつまり……あの“朱鷺子”は偽者だったんじゃないか、と僕は考えているんだよ。というかそれ以外にない」
「……偽者だと? 今目の前にいる朱鷺子と寸分の狂いもなく外見が一緒なのに? どういうことだよ?」
「それは僕にも分からない。だが、最初に訪れた“朱鷺子”は僕の知っている朱鷺子よりずっと攻撃的だったのは事実だ。そしてそれに違和感も感じた。理由を偽者だったとすれば、一応説明は付くだろう?」
「むー……それは……そうだな。確かに今目の前にいる彼女は、それ程気性が荒いようには見えない……一応説明を付けるとするならば……うん、あれは偽者だった、と考えた方が合理的だな」
「え? え? どういうこと?」
僕とナズーリンはその答えに頷き合い、再びこの謎についての議論を始める。
ただ朱鷺子だけは、玄関に立ったまま一人蚊帳の外だった。
僕らが落ち着いてから朱鷺子に今日一日の一連の出来事を話すと、彼女はほー、としきりに頷いた。
「成程……私の偽者が現れた、なんてねぇ。なんてふてぶてしい賊かしら。見つけたらとっちめてやるわ」
「そうだそうだ。全く、朱鷺子君に変装するだなんて浅ましいにも程がある。一度痛い目を見るべきだよ」
二人は威勢良く“朱鷺子”に対しての怒りを言葉にして表す。全く同じ姿形をしていた相手と争っていたと言うのに切り替えの早い奴だ。
実は朱鷺子の持ってきた本と言うのが、「江戸川乱歩全集」だったのである。それで意気投合した二人はまるで旧知の友であったかのように仲良くなってしまった。やはり相性は悪くなかったようだ。
ま、仲が良いのならそれはそれで良い。今回問題にすべきはそこではないしな。
「しかし、あの“朱鷺子”が偽者だったとしたのなら……その偽者はいったいどんな理由で朱鷺子に変装したんだ? 何か心当たりはあるか?」
「ないわよ。あったらすぐに思い出してるし……それにナズーリンにやけに突っ掛かってきたんでしょう? それもなんだか不思議よね」
「多分朱鷺子君が目的だったのではなく、私か店主が狙いだったのだろう。わざわざ私に勝負を申し込んできたくらいだからな。そこにどんな意図があったのかは分からないが……」
「本人と思ってしまうくらい彼女に似た変装ができたのも気になるな。僕らの関係を余程深く知っていなければできない芸当だ。ということは……僕らに深い関わりがある人物の犯行、か?」
「私怨ってことか。それならあれだけ手の込んだことをするのも頷けるが……ううん、どうにも複雑な事件だ。これはちょっと、時間を掛けないと私にも解けない問題だよ」
ナズーリンは額を押さえて深く溜息を吐く。流石に今日は頭を使い過ぎたのだろう。取り敢えず何か盗まれたわけでもないみたいだし、急いで謎を解決する必要もないとは思うが。
僕は席を立ち、空になった三人分のティーカップを持って台所に向かう。朱鷺子も俄然乗り気みたいだし、今夜はこの謎解きで夜を明かしそうだからな。コーヒーでも用意しておくとしよう。
……しかし。
この奇妙な事件、犯人が朱鷺子の姿をしていたことがやけに引っ掛かる。
いったいどういう意図なのか。犯人は誰なのか。何故あんな風に、ナズーリンとの対決を煽ったのか。
何もかもが不透明で、一欠片として理解できることなどない。
そんな事件全体の不気味な様相が、どうにもあの人物を彷彿とさせるのだ。
そう、かの有名な大泥棒、怪人二十面相を。
しかし変装が出来そうな妖怪に心当たりがありすぎて困るw
次回も楽しみに待っております。
しかし、あんな悪趣味ないたずらをする奴と云うと・・・やはりあいつか?
この霖之助はバタイユも読んでそうだな。
ナズの負けず嫌いなところや変な推測など、とても面白かったです
ナズ可愛いよナズw
しかし犯人は……ぬえかい?
誤爆さん最強
今頃、タイトルが井上陽水さんの曲の
「夢の中」の歌詞と気付きましたwww
と思ったけど星組で変装できそうなのがいないorz
そんなことよりナズー霖はいいねー
この事件には種も仕掛けもあるのでしょうね。
いやはやまったく、最高でござる。
原作のナズの設定と結構ズレがある部分がありますが、
(本編は探偵ではなく星の部下であり組織に属しているなど)
このシリーズでそのズレが解消されていくのでしょうかね。愉しみです。
あと偽者の正体、私の推理では非常に年を召した(スキマ
先が気になります
一気に精神年齢が下がってきてしまった気がして残念。
もちろん、それもまた微笑ましいのですが。
>そのぐらしで怒るなよな……ふん、まぁいいさ。
誤字。そのぐらい、かと。
大好きは二人なのでうれしいです。
他にも様々な小ネタが素晴らしいです。