Coolier - 新生・東方創想話

外の世界から『末』

2011/05/08 16:51:57
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CAUTION!
この作品は東方プロジェクトの二次創作小説です。

この作品は『外の世界から』の連作の最後の作品になっています。

これを見てから以前の作品を見ても 以前の作品を見てからでも楽しめる仕様になっている気がします。











外の世界から『末』










いつもの、幻想郷。
そのはずれにある森の側に僕の店が在る。

僕は此処で、香霖堂という古道具屋を営む森近 霖之助という者だ。



先日、僕は不思議な旅をしてきた。
他の誰かが明確に知っているわけでは無いが、奇妙な旅だった。

『先日』、拾ったばかりの漫画本を読みながら、本来の持ち主を静かに待っている。


彼女は常連だからいつかやってくるだろう。

「こんにちは『こーりんさん』」
「・・・やぁ、霊夢 おはよう」
やって来た、 幻想郷最強の博麗の巫女。

手には長い、包みを携えている。
あの中身はなんだろうか?


彼女はいつもテーブルに置いてあるお茶を注いで、いつもの定位置に落ち着いた。
どうやら、今日も商品をお求めになる気はないようだ。
僕が「お茶はそこに」とちょっと促すと、霊夢は慣れた手つきで「ありがとう」といってそれを汲んでいた。




「・・・・ん~」
「・・・・」




僕はちょっと難しい顔をして見せて、漫画本を閉じたり開いたりした。
別にこの漫画がなにかあったわけではない。

彼女の反応を楽しみたかっただけだ。

「・・・・」
彼女はちょっと無感動を装った顔つきで、しかしちょっと焦った様な風に体を右へ左へと揺らす。

僕には分かっている、もう少しこの時間を楽しんでいたいが、魔理沙が来る前にこの本を『返却』してしまおうか。

「なぁ、霊夢」
「なにかしら? こーりんさん?」
僕は手にしていた本をひらひらと振って見せた。



「ほらこれ、 君が気になるって言ってた本だよ」
「あら、そうだったかしら」
「そうだよ、 それでだ、 僕はこれを十分に堪能した」
「ふぅん」
僕はちょっとニヤニヤしながら、彼女の反応を楽しんだ。


そして、僕はちょっと不作法とは知りながらも漫画本を投げて寄こした。
霊夢は軽くそれを片手で受け取る、流石の動体視力だ。


「なかなか、興味を引かれる内容だよ、君も読むと良い」
「・・・・」



霊夢は「ハァ」と一つため息をついてから、それを懐にしまい込んだ。
どこか、諦めたような、落胆したような。
予想が外れて残念といった風情だが、僕はもう一言彼女に言わなくてはいけないことがある。




「そうだ! それと一つ言い忘れていたんだけどい、いいかな?」
「・・・なにかしら『霖之助』さん?」






















「いい加減 その本の 出世払い、払ってくれないかな?」


















「・・・・・」


彼女は懐の本をもう一度探り直した。

「・・・・」
「ん? どうかな?」

彼女の前髪で表情は見えない。
どんな顔してるのかな?

彼女は持っていた長い袋を取り出す。


霊夢はちょっとかすれがかった声を絞った。
喉が渇いていたのかもしれない。


「今日は、・・・・質になる・・・・貴重なね・・・物があるから・・・・」
「ああ、昨日君が言っていた奴のことか、 それで?」

僕は手を組んで彼女の言葉を待つ。
彼女は口をつぐんでしまったからだ。



「それで、まとめて、・・・・本の代金にしてほしいの」
「・・・わかったよ」




途切れ途切れに霊夢は袋を僕に差し出した。
僕は優しくそれを受け取った。



「中を検めても?」
「うん・・・」


どういう訳かもの凄くしおらしい彼女、目の前で僕はその中身を検めた。


「・・・あー、なるほどね」


「・・・・」
うつむいたままの彼女の前で僕はそれを吟味した。



それの中身は、僕が『十数年前』に折ってしまった草薙の剣だった。



何とか修復したのだろう、 根本の刀身にやや繋ぎの痕が残っているが、その輝きは確かにあのときの霊気を感じさせた。
僕はそれを袋に戻して「確かに」とだけ付け足した。



「この剣、確かに気に入ったよ。 これならツケをチャラにしてもいいかな」
「・・・うん」
「それでだ、 念を押すようで悪いけど、 君まだ僕に払ってない出世払いがあるんじゃないのかい?」
「え?」
「ほら、 君の晴れの日に作ってあげた巫女の服とリボンの代金だよ」



「・・・・」
「もしかして、もう忘れたかい?」




僕はぐいとお茶を喉に流し込んだ。
彼女も手に取ったお茶を飲み干した様だ。





「・・・・あれって、おごりじゃなかったのね」
「まあね、 僕は意地汚い商人なのさ」





僕は久しぶりに屈託無く笑えたと思う。
彼女もあのときみたいに笑っていた。





そうして暫く、笑い合ってから、ちょっとつまらない、取るに足りない会話をしていた。



「はぁ・・・・、 まあそれについてはまた待って頂戴、 また長い目で見てくれればいつかは返すわ」
「はいはい、 いくらでも待つよ」
「ありがと こーりんさん」




扉が勢いよく吹き飛ばすように開いた。


「よお! 香霖! また凄い物みつけたぜ!」


魔理沙だ。


「買ってくれ!」


それは良いのだが、あまり毒のはいった茸とかには商品価値はなさそうだなぁ・・・。


「あら、魔理沙 がらくたの間違いじゃないの?」
「買い取るのは良いが、 少しはマシなものにしてくれよ」
「おいおい! お前ら私の慧眼を疑うってのかよ! これだってホントは手放したくないくらいなんだぜ!?」

彼女の事は僕も全く非難できない立場にあるが、 それでも彼女の蒐集癖は年頃の女の子としては大分変わっていると言える。

霧雨の旦那も何処で教育を謝ったのだろうか?

僕はいつもの魔理沙の笑顔を見て、 いつもの日常に感謝しながら彼女の持ってきた宝物を吟味した。



「魔理沙もそんな妙な収集してないで、実家に帰るとかないのかしら? こーりんさんも大変だとおもわない?」
「っな!? おいおい! 霊夢までそんなこと言うなんて心外だぜ!」
「それとも、まさかこーりんさんの家にそのまま世話になる気じゃないでしょうね?」


「ッ!?」


魔理沙がお茶を吹き出した。 僕の蔵書に引っ被る、ついでに霊夢の漫画にも引っ被る。


霊夢がイヤな顔をした。



「おいおい! なにそこに持って行くんだよ! 私がなんか妙なことしたかってんだ!?」
ちょっと口調がおかしい魔理沙を流し目で見て、

「まぁ、お子様な魔理沙よりも お姉さんで つきあいの『古い』私の方がお嫁に向いてるかもね♪」



「・・・え?」




霊夢が「ね?」と視線で僕の同意を促した。
僕もそれにしぶしぶ苦笑で応える。

魔理沙は、もしかしたらそのアイ・サインが勘に障ったのか「はぁ?」とあざけてみせた。
うーん、僕もどういって良いのかわからない。


魔理彩が素っ頓狂な声を上げる。



「おいおい、 そりゃ何の勘違いだよ? お前が香霖のこと知ったのはちょっと
前に私が連れてきたからだろ?」
「え? ああ、魔理沙は知らないんだっけ? ね こーりんさん?」


霊夢が「ぷくく」と含み笑いをして、魔理沙をたしなめるように言った。

魔理沙の目がどんどんつり上がっていく、


なにもそんなに怒らなくていいんじゃないか。
僕も思わず、霊夢につられて「はは」と力なく笑ってしまった。




魔理沙が非常に素早くこちらに向き直った、 
なんでそんなにおっかない顔してるんだ?





僕はとりあえず『事実』を伝えた

「そうといえなくもないね、付き合いが『古い』という点では魔理沙よりも以前になると思うよ」
「ええー!?」
「魔理沙はお子様だものねー♪」


魔理沙は『子供』とか『お子様』と言われるのを極度に嫌うてらいが在るが、このときもご多分に漏れず、
「ぐぬぬぬぬ・・・」
いや、普段以上に苦々しい顔で霊夢をにらみつけていた。






「おい! 香霖! じゃあお前 私と霊夢どっちがお嫁にしたいと思うんだよ!
 どっちだ!」


魔理沙が半場つかみかかるように僕に詰め寄ってきた。



「あ、 それ私も聞きたいわね、 こーりんさんって私みたいな女の子が好き?
 それとも魔理沙みたいな子?」

「子供って言うな! 大体なんだよ!?」
「なにが?」


霊夢がのほほんとした(余裕の?) 顔で魔理沙のつかみかかりをひらひらとかわしている。


「霊夢、お前そんな・・、抜け駆けじゃないかぁ!」
「抜け駆け? ・・・ああ、魔理沙よりも昔のつきあいの事? 良いじゃないのそんなの?」
「よくない! っていうかいつからの知り合いなんだよ! 言え! 香霖! どっちが良いんだ!?」


なんで僕基準で話を進めるのか? 
この場に居合わせたことに若干後悔を感じつつも頭を捻った。



もはや、何の話だったのか分からなくなったが、とりあえず僕は解答を出した。



「どっちも御免被るよ」

「「なんで(だ)よ!」」
「うわぁ!?」






幻想郷はいつも通りの朝だった。



「って、いうか 霊夢なんでおまえまで『こーりん』なんだ?!」
「さぁ、 気分の問題よ、気分の」






     外の世界から『序』に続く
作者のねおです。


ここまで見て下さった方々に感謝の意を。
非常に長い妄想になりました。

コメント、ポイントして下さった方々、大変ありがとうございます。
毎回コメントをくれた方には感謝が絶えません!


連作をかくという大変さ、 勉強になりました。

では、誤字脱字。表現のミスなど、気軽にコメントして下さい。

では)ノシ



ああ、それと、私の乗せた作品は、パロディ、オマージュなど私の許可なくしていただいて全くかまいません!

というか、いろいろあれぇ? な展開も多かったので、

めっっちゃ見たいので、 誰か書いてください!


では)ノシ
ねお
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コメント



0.740簡易評価
4.10名前が無い程度の能力削除
なぜ連作というハードルの高いものに手を出したのか疑問に感じます。
単に雑誌に連載するような作家に憧れただけなのでしょうか?
だとしたら浅はかだとしか思えません。
作者の実力ならば、まずは一話完結の短編を書くのがセオリーだと思います。

>魔理彩が素っ頓狂な声を上げる  

一話目からたまに出てくるこの人誰です?
この程度の長さで主要キャラに誤字があるとか、ハッキリって注意力無さ過ぎでは?
そもそも書き終えてから誤字脱字のチェックをご自分でされているのか甚だ疑わしいです。
本当に東方が好きで、自分の作品を大事に思うならこんな間違いなかなかしないですよ。
しかも前も同じミスありましたよね? つまりその程度の認識ってことですよね?
これじゃ読者も良い気持ちしませんよ。

今まで応援してましたけど今回余りにもひどかったので、作者様の今後を憂いこのようなコメントをさせて頂きました。
これを見て不愉快になられた方がいらっしゃるかもしれませんがご容赦下さい。

とりあえずシリーズ完結お疲れさまでした。
そこは評価致します。
長文失礼しました。
5.無評価名前が無い程度の能力削除
東方IME入れると誤字減るよ
7.40愚迂多良童子削除
何と言うか、明らかに「マジンガーK」が蛇足に過ぎる感が否めません。
あれ別に出す必要なかった、というか出さないほうが余計な矛盾が発生しなくて良かったと思うんですが。
紅魔館も破壊されただけで話に絡んでこないし、そも紅魔館も地霊殿の面子もスペカ導入前は幻想郷入りしてなかったり、地底で交流を絶っていたりと話を悪いほうに掻き乱すだけですよ。
おとなしく「でいだらぼっち」っていう普通の妖怪にしておけばよかったんじゃないですかね。
10.20名前が無い程度の能力削除
序に続く、というわけで今一度序と転を見返してきたわけですが。
テーマが掴めませんでした。
自分の読解力がないだけなのかもしれませんが、何故霖之助が過去に飛ばされる必要があったのかが未だに謎です。
今のところ「過去の出来事を霖之助は知る必要があった」という解釈に自分のなかではなってるわけですが、納得がいかず・・・
12.無評価ねお削除
たくさんのコメント、本当にありがとうございます!

修正はただいま行っております! ご指摘ありがとう! 恐縮です・・・。
まったく、今回の内容、皆さんに怒られるのも怖々と予想してはおりました・・・・。

ですが、途中経過のいろんなアレぇ? な展開、表現はおそらく直しはしないでしょう。
「鴉の核融合はもう少し後のこと」とかも、「マジンガーK」とかも色々です。

色んな勉強の証だと思って真摯に受け止めています。

それでなのですが、 私の中では今回の展開。
「過去の出来事を霖之助は知る必要があった」のか? 10のコメントいただきまして。 本当に最後までよく読んでくれたんだなぁと感謝の極みです。
 ほかのコメント、最後まで根気よくつきあってくれた方のコメント、本当に嬉しいです。 ありがとう。
ポイントしてくれた方々本当にありがとうございます。

それでなんですが、10さんのコメント、10さんはもうこの話のビジョンを持っていらっしゃる様ですね。
私にそれを『正解はこれ』なんて言う権利はありません。

僕がやってみたかったのは、霖之助が「なんか、とりあえず霖之助が活躍する話」でした。
それだけのために、霊夢が本当はタイムスリップしてたら死んでたかもしれない? とか
某非日常学園SF、超能力または未来的、宇宙的小説みたいなまねをしたのです。

要は、ちょと本ばかり読んでいる霖之助が少し危険な非日常を冒険するだけの些細な理由があればそれでよかったんです。


大分回りくどい事をしてしまいましたが・・・
 
結果的には何も無かったのと同様で誰にも変化がないのと同じ。 
「霖之助が少し危険で不思議な体験をする話」それが私なりのテーマかもしれません。

そしてもし、なにかこの作品をみて何か考えて。

こんなヘンテコなジャンルを見て。

『私ならもっと面白くできたぞ!』『この展開はもっとこうできただろ!』

と感じられた方も少なく居るかもしれません。

・・・・後はわかるな!?
・・・失礼しました。
私はこういう過去モノのIFが大好きなんです。 そして東方も大好きなんです。
にわかですが。

あと、霖之助がなぜ『香霖』とよばれているのか、 霊夢って結局何者だったんだろう? 今までどんな人生を送ってきたのかな? 親はどうしたのか? 魔理沙はわりかし出生ははっきりしてるのに。 調べても分からないうちに妄想が膨らんでいきました。


長文、大変失礼しました。
コメント どうもありがとうございました!
13.無評価名前が無い程度の能力削除
sf系はあまり見かけないので
今後に期待してますよ
14.無評価名前が無い程度の能力削除
>パロディ、オマージュなど私の許可なくしていただいて全くかまいません!
その後のフリーレス含めて自意識過剰すぎ
わざわざ言わずともそうしたいと思える作品ならそうする人も出てくる
この作品は論外だけど
16.無評価名前が無い程度の能力削除
誰か他の作者が偶然これに似た話を投稿したらオマージュだとか思われてしまうのだろうか。
例えば過去にタイムスリップしたという設定だけでも共通していたら……。
いや流石にそれはないか。

……


ないよね!?
17.無評価ねお削除
はい、ないと思います

私が、無駄にあとがきなどで書いたことは、つまり。

私があまりタイムスリップを話題にした作品が全体的に少ない傾向を感じていて
私はそういうジャンルが大好きなので、ぜひたくさん見たいから、この作品がそんな作品を書くのになにか足しになればいいなぁ・・・

といった旨のつもりで書きました。
オマージュと書いた意味は別に大した意図はありませんでした、誤解を生じさせて申し訳ないです・・・。

つまり、16さんのいう通りだと思います。