なんて、綺麗なんだろう。
「見てくださいさとり様!こんなに白くて! こんなにきらきらしてて! これは何ですか?」
私は白に見蕩れる。冷たくて、すべすべしていて、柔らかい白たちに。
私はその様子を見て、くすりと笑う。ああ、以前もこんな光景を見たな、と。
「それは雪と言うのよ、空」
ゆき。雪。ゆき、かぁ。
綺麗。こんな素敵なものがあるんだ。
雪と戯れる空を見ながら……私は少しだけ彼女を羨ましく思う。
空は、いつも無垢だ。
綺麗な物を目にすれば綺麗だと言ってはしゃぐ。楽しい事があれば楽しいと言ってはしゃぐ。
いつから、私はそれが出来なくなったのだろう。
私は雪と戯れる空と、それを眩しそうに眺めるさとり様を見つけると、駆け寄った。
「何してるんですか、さとり様」
「空がね、雪の事を忘れたみたいで」
そう、空はすぐに物事を忘れる事が出来る。だから彼女はいつまで経っても子供のよう。
さとり様はきっといつものように空の事を羨ましがっているに違いない。空はさとり様の事を羨ましがってるのに。
お燐が来た。そうだ、雪の事を教えてあげよう。きっとお燐も喜んでくれるから。
「ねーお燐!こっちに来なよ!」
雪を丸めてお燐へとぶつける。大丈夫、雪は柔らかいから痛くないはず。
……冷たい。いきなり雪玉を投げつけられた。本当に、いつまで経っても子供みたい。
そういう所が好きなんでしょう? とお燐の心の声に、つい私は茶化しを入れてしまった。
「さとり様!」
そうだ、こんな素敵な事を教えてくれたさとり様にもお礼をしなきゃ。
「私、雪好きです!ありがとうございま……」
あ。
雪玉が、
命中!ようやく仕返しになった!
「大丈夫、言いたい事は分かるから」
目を瞬かせる空に、笑いかける。
「はい!と言う訳で覚悟!どりゃー!」
お空はそう言ってお燐に雪玉を投げ返した。
お燐も空の事を子ども扱いしたりするけれど、やっぱりお燐も子供のよう。二人とも私の大事な子供だ。
少しだけ仲間入りしたい気持ちになったけれど、駄目。空はすぐに忘れるだろうけど、お燐はそう簡単に忘れてくれないから。
恥ずかしい。ただそれだけの理由で、仲間に加われない自分は、意地っ張りだと思う。
さとり様はまた我慢してるんだろうな。
さとり様も一緒に遊んでくれないのかな。
二人が同時にそんな事を思ったのが聞こえた。
……私も、何か切欠さえあれ……!?
「お姉ちゃん、隙ありー!」
「こい……し……?」
いつからそこに居たのだろう。既に雪で堅牢な壁を築き上げ、その後ろから雪玉をいくつも投げつけてくる。
「ちょ……こい……むぐ……」
うわぁ。
さとり様が凄い勢いで雪まみれに。相変わらず容赦がないなぁ、こいし様。
「こ~い~し~……!」
本当はあまり怒ってないけれど。
怒ったふりをして、私は雪を丸めた。
「ふふ……お姉ちゃんは雪合戦でも私に勝てないよ!」
「やってみなければ……わかりません!」
投げつける。ひたすら投げつける。
いつの間にか空とお燐の二人も、それぞれ一人ずつ私とこいしの側に分かれて、雪を投げ始めて……
私たちはびしょ濡れになって、笑いあった。
「ねえ空」
「なんでしょうか、さとり様」
雪合戦は終わって、皆でお風呂。さとり様とこいし様と空と私。皆で一緒に入るのは珍しい。
……空なんかは、初めてだと思ってるかも知れない。
空、貴女はきっとすぐに忘れてしまうでしょうけれど……。
「?」
私は空を後ろから抱きしめる。この子の心に、少しでも長く残るように。
「私たちは家族です。どうか、忘れないでくださいね」
「家族……うん、家族です。忘れたりなんか、しません」
そんな大事な事を、忘れたくなんかない。絶対。
私はさとり様の手をぎゅっと握って、この気持ちを胸に押し込めた。
……せめて一瞬でも長く覚えていられますように、と。私は願った。
「見てくださいさとり様!こんなに白くて! こんなにきらきらしてて! これは何ですか?」
私は白に見蕩れる。冷たくて、すべすべしていて、柔らかい白たちに。
私はその様子を見て、くすりと笑う。ああ、以前もこんな光景を見たな、と。
「それは雪と言うのよ、空」
ゆき。雪。ゆき、かぁ。
綺麗。こんな素敵なものがあるんだ。
雪と戯れる空を見ながら……私は少しだけ彼女を羨ましく思う。
空は、いつも無垢だ。
綺麗な物を目にすれば綺麗だと言ってはしゃぐ。楽しい事があれば楽しいと言ってはしゃぐ。
いつから、私はそれが出来なくなったのだろう。
私は雪と戯れる空と、それを眩しそうに眺めるさとり様を見つけると、駆け寄った。
「何してるんですか、さとり様」
「空がね、雪の事を忘れたみたいで」
そう、空はすぐに物事を忘れる事が出来る。だから彼女はいつまで経っても子供のよう。
さとり様はきっといつものように空の事を羨ましがっているに違いない。空はさとり様の事を羨ましがってるのに。
お燐が来た。そうだ、雪の事を教えてあげよう。きっとお燐も喜んでくれるから。
「ねーお燐!こっちに来なよ!」
雪を丸めてお燐へとぶつける。大丈夫、雪は柔らかいから痛くないはず。
……冷たい。いきなり雪玉を投げつけられた。本当に、いつまで経っても子供みたい。
そういう所が好きなんでしょう? とお燐の心の声に、つい私は茶化しを入れてしまった。
「さとり様!」
そうだ、こんな素敵な事を教えてくれたさとり様にもお礼をしなきゃ。
「私、雪好きです!ありがとうございま……」
あ。
雪玉が、
命中!ようやく仕返しになった!
「大丈夫、言いたい事は分かるから」
目を瞬かせる空に、笑いかける。
「はい!と言う訳で覚悟!どりゃー!」
お空はそう言ってお燐に雪玉を投げ返した。
お燐も空の事を子ども扱いしたりするけれど、やっぱりお燐も子供のよう。二人とも私の大事な子供だ。
少しだけ仲間入りしたい気持ちになったけれど、駄目。空はすぐに忘れるだろうけど、お燐はそう簡単に忘れてくれないから。
恥ずかしい。ただそれだけの理由で、仲間に加われない自分は、意地っ張りだと思う。
さとり様はまた我慢してるんだろうな。
さとり様も一緒に遊んでくれないのかな。
二人が同時にそんな事を思ったのが聞こえた。
……私も、何か切欠さえあれ……!?
「お姉ちゃん、隙ありー!」
「こい……し……?」
いつからそこに居たのだろう。既に雪で堅牢な壁を築き上げ、その後ろから雪玉をいくつも投げつけてくる。
「ちょ……こい……むぐ……」
うわぁ。
さとり様が凄い勢いで雪まみれに。相変わらず容赦がないなぁ、こいし様。
「こ~い~し~……!」
本当はあまり怒ってないけれど。
怒ったふりをして、私は雪を丸めた。
「ふふ……お姉ちゃんは雪合戦でも私に勝てないよ!」
「やってみなければ……わかりません!」
投げつける。ひたすら投げつける。
いつの間にか空とお燐の二人も、それぞれ一人ずつ私とこいしの側に分かれて、雪を投げ始めて……
私たちはびしょ濡れになって、笑いあった。
「ねえ空」
「なんでしょうか、さとり様」
雪合戦は終わって、皆でお風呂。さとり様とこいし様と空と私。皆で一緒に入るのは珍しい。
……空なんかは、初めてだと思ってるかも知れない。
空、貴女はきっとすぐに忘れてしまうでしょうけれど……。
「?」
私は空を後ろから抱きしめる。この子の心に、少しでも長く残るように。
「私たちは家族です。どうか、忘れないでくださいね」
「家族……うん、家族です。忘れたりなんか、しません」
そんな大事な事を、忘れたくなんかない。絶対。
私はさとり様の手をぎゅっと握って、この気持ちを胸に押し込めた。
……せめて一瞬でも長く覚えていられますように、と。私は願った。
読んでいてほのぼのしました。
次回も楽しみにしています。
ほのぼの……確かにほのぼのだけども……。
あぁ!なんかもやもやするw