時間的には永夜抄から2,3ヶ月後くらいと思ってください
「萌え萌えキュン♪」
「・・・・」
人里から離れた場所、4文字でまとめると『危険区域』に店を建ててしまった以上「マトモな人間が来ることはない」と思っていた。実際客と呼べる者など極僅かで、ほとんどが空間から突然現れたり店主の目の前でさも当然のように盗みを働く者だったり店の前で弾幕ごっこをやるような溢れんばかりのジャイアニズムの持ち主ばかりでカウンターで金を貰って商品を渡すという当たり前の行動さえ皆無だ。
しかし、慣れというものは恐ろしいもので十数年もいると最早それが【当たり前】という考えになってしまい多少の事でも動揺しなくなった。例えば突然目の前の何もない空間から妖怪が出てきても最初の内は心蔵が飛びでるかと思うくらい驚いたものだが、今では「いい加減扉から入るということを学習してくれないか」と言える程だ。
そんな事もあり僕は目の前に巨大ゴキブリがいても華麗にスルーできる鋼の精神を手に入れた。
・・・が、これはあまりにも予想外だろう。
フリフリの付いた白黒の服とスカート。頭にはアリスの物とはまた別の種類のカチューシャ。何やら異様に長い靴下。
そういえば昔流れてきた雑誌に似たようなものがあった気がする。
確か“めいど服“とかいういわゆるマニア向けの服だったか。
咲夜も同じ様なものを着ているがアレより8割増し程に派手で、見ているこちらが恥ずかしい。
絶句する僕の目の前で彼女はいつもの笑顔を向けてくる。
「あら?店主どうかしたの?」
「・・・・そのセリフをそのまま返すよ。なんだその格好は?」
内心は凄く動揺しているがあくまで対等な立場で会話を続ける。
彼女は普段から笑顔を絶やさず性格も周りからは「天真爛漫」と言われるくらい明るい子だ。
だが、その実事柄の裏の裏まで見通す面があり少しでも弱みを見せると簡単に彼女のペースに飲まれてしまう。
『西行寺 幽々子』とはそんな女だ。
「コレ?紫が「アナタに似合うだろうから」って貸してくれたの。“めいど服“って名前らしいけど・・・どう?可愛い?」
・・・・またあいつか。
その場の事は大体分かる。『八雲 紫』という妖怪は僕が困るのを見るのが大好きだ。昔から事あるごとに紫はちょっかいを出してくる。今回はこの冥界のお嬢様を使って僕に何か仕掛ける気か・・それとも彼女のメイド姿を見て僕がどのような反応するのか隙間から見てるのか・・・・どちらにしても後者は既に達成されている。実際彼女のメイド姿はかなり可愛い。元からスタイル抜群な上に顔も幻想郷でもかなり上のランクだ。
自分が毅然として対話できているかも分からない。もしかしたら声が動揺で震えているかも知れない。それくらい美しい・・・いや、可愛い。
「可愛い」と素直に言ってしまえば楽だろうが僕の言動全てが紫の思い通りに動くのが気に入らない。
「どうかした?」
時間的には10秒も経ってないだろうが黙りこんでいる僕を見て彼女から声をかけてきた。
「ああ、いや・・・なんでもない。似合ってると思うよ」
「可愛いでしょ?」
「似合ってると思うよ」
×10
いい加減折れようかとも考えたとき、彼女の周りにポゥという音と共に見たこともないような蝶が出てきた。この蝶が何かは分からないが、このタイミングで出してきたということは決してただ綺麗なだけな蝶という事はありえない。
「か わ い い で し ょ ?」
「あ、ああ・・・凄く可愛いと思うよ」
抗おうと思ったが無理だった。第一力で勝てるわけがない。
死にそうになったらきっと魔理沙か霊夢が助けてくれるだろうがわざわざ自分から棺桶に片足を突っ込むようなことはしない。
実際ホントに可愛いと思ってそれを言葉にしただけなので紫の思い通りにはなっていない・・・そう自問自答して解決することにした。
「最初から素直にそう言ってればよかったのよ。ホントにつんでれね」
それだけ言うと彼女の周りにいた蝶が透けるように消えた。
「それにしても一体なんなんださっきから。「萌え」とか「ツンデレ」とかどっからそんな言葉を覚えてくるんだ。僕だって最近知った言葉なんだぞ」
このままだとペースを握られてしまわれそうなので軽く話題を逸らす。
「紫が「もういいよ」
話していてもキリがないので早々に切り上げる。
こういうのはペースを握られたら終わりだし用件だけ済ませてもらって早々帰ってもらうことにする。
「で、結局何しにきたんだ?まさかその格好を見せるためだけに来た訳じゃないだろ?」
「そのまさかだけど?」
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙が落ちる。
いやいやいや、冥界からここまで結構な距離のはずだ。そんな僕に見せたいという理由だけで来るはずが・・・・いや、まさか、こんな簡単なことに気付かなかったなんて・・・・彼女は異性に自分の格好を見て欲しかったのだ。同姓では見せても奇怪な服装にしか見えないだろう・・・異性に見せるにしても流石に人里で堂々とはいかな彼女といえど恥ずかしいだろう。しかし僕ならば知り合いな上、周りに人がいないだからわざわざここまで来たのかそうか、そうだったのか。
そんな事を考えてると彼女がカウンターの上にもたれかかるようにして文字通り僕の目の前にいた。
距離として30cmくらいで近すぎるためどうにも胸に目がいってしまう・・・・仕方ないね。
「な、なんだ、いきなり」
「なんでもいいけど客の目の前でぶつぶつ独り言呟いてると客が寄らなくなるわよ?」
言いながらまた顔を近づけてきた。よく見るともうすぐカウンターを跨ぎそうだ。
バンッ!!
「そこまでよ!!」
激しい音と共に扉が勢いよく開かれた。この時点で数名に絞れるが予想外な人物が入ってきた。
「幽々子さん!!そんな格好してそんな所で何やってるんですか!!?」
薄紫色の紙に紺色の上着にネクタイ、そして最も特徴的なうさ耳「鈴仙・優曇華・イナバ」だ。
「夜這いだけど?」「今は昼だ」
とんでもないことを言い始めたので一応突っ込んでおく。鈴仙は真面目なのできっと・・・
「よばばばっばっばばばbば夜這いッ!!?」
ほら見ろ、言わんこっちゃない。顔を真っ赤にしちゃって・・・可愛いけど。
「いい加減にしないか。そういうのは冗談が通じる奴にやりなさい」
「冗談ってほどもなかった気もするけどね」
「・・・な、冗談なんだったんですか」
まだ落ち着いていないのか言語がおかしくなっている。どこまでも純粋な子だ
しばらく経つと落ち着いたようで今は3人で奥の居間でお茶を飲んでいる。
店番?そんなものは知らん。良客たる優曇華を雑に扱うわけにはいかないだろう。
決して店番がタルくなったわけではない。
「・・・で、いつから見てたんだい?そこまでよ!とか叫んで入ってくるあたり何分か前からいたんだろ?」
「そうそう、もうすぐで店主t「いい加減にしろ」右腕に絡み付いてる幽々子の頭をぺシッ!と軽く叩く。
「幽々子さんと店主さんがカウンター挟んで話してる辺りから・・・段々、幽々子さんが店主さんに近づいてって・・・」
「で、勘違いしてあんなことをした、と・・・・・」
「というか、とりあえずそろそろ離れてくれないか?寒いし色々当たってるんだが・・・」
「そんな事言ってホントは嬉しいくせに」
と、余計に体を密着させてくる幽々子。反応したのが逆効果だったか・・・そして右腕にさらに柔らかい感覚がはっきりと・・・・
「「店主(さん)顔がにやけてるわよ(ますよ)」」
幽々子は新しい玩具を見た子供ような目をしており優曇華は・・・あれ、目が若干充血・・・というレベルではなくホントに赤くなっている。それに何故か異様な殺気を感じる・・・こういう時は気にしないことにする一択だ。
「ふふ・・・・相思相愛ね」
「どうせ私には魅力なんて・・・(ブツブツ)」
幽々子はどんどん悪ノリしてきて優曇華は机に突っ伏してなにやら唱えている。
よろしい、ならば切り返しだ。
「ところで、優曇華はなんで来たんだ?」
「・・・えっ、あ、はい!忘れてました。師匠に前に頼んでおいた薬を貰ってきてと言われたので」
「ああ、あれか、ちょっと待っててくれ」
立ちながら幽々子を振りほどく「あぁ・・・お嫁さんを置いて行く気?」「誰がお嫁さんだ」幽々子が離れたことを確認すると薬の置いてある場所まで歩いた。
「全くあの幽霊の相手は疲れるな・・・」
薬を探しながらぼやく。正直あの手のタイプは苦手だ。表面は頭が空のように見えるけど実際何を考えてるか分からない・・・
「お、あったあった」
探し物を見つけるとソレを見て確認してみる。外の世界の物であり酔い止めに効く薬【甘藍神】だ。
戻ってみると2人共普通にくつろいでいた。
「はい、これだね。お代はもう貰ってるからそのまま持って帰ってもらっていいよ」
「はい、ありがとうございます」
精神的に疲れたのでさっさとコタツの中に戻る。幽々子の隣だとまた引っ付いてきそうなので幽々子の左隣・優曇華の右隣に座ろうとおぼつかない足取りで向かった時、不意に何かに躓いた。そこには何もないはずなのに確かに躓いたのだ。その拍子で前のめりに倒れる。
そのままだとコタツの表面に顔面から激突しまうためそれだけは避けようと手を落ちるタイミングに合わせて思いっきり前に突き出す・・・が、
力みすぎた為か腕はコタツの表面をすべりそのまま前に、そしてその先には幽々子の胸が・・・
ガツッ!! むにゅ という音が重なった。
「あらあら~」
言わずもがな、顔面はコタツに激突し手は幽々子の胸を丁度鷲掴みしている感じになっている。
起き上がって弁解しようとしたが上手く起き上がれない。どうやら自分が感じているよりかなりダメージが大きいようだ。
「言ってくれれば普通に触らせてあげたのに」「ち、ちが・・・う」
幽々子の方は特に気にしてもいないようであんな大怪我してまでわざとやったと解釈している。
人生の中で1・2を争う力を振り絞ってなんとか幽々子から手を離して反論する。
とりあえず幽々子の反応を見る限り殴られるようなことはないようなので安心する。今殴られ・・
「・・・・」
顔だけを起こすと目の前に優曇華が鬼の形相で仁王立ちしていた。
「不潔です!!」
「あべしっ!」
思いっきり殴られた。しかも平手ではなくグーだ。それも傷口だ。
最後に優曇華が泣きながら帰ってのが見えたがもうその理由を探索する余裕はない。
「(そういえば・・・躓いたとき・・・リボンと亀裂が見えたよう・・・な)」
そこで僕の意識が飛んだ
目が覚めるとコタツのすぐ側で仰向けで寝ていた。
頭に包帯が巻いてある為、夢ではなかったということだ。
おそらく幽々子がやってくれたのだろう。
「今度来た時は夕飯くらいは出してあげるか・・・」
そう呟きながら血塗れのコタツを見ると上にメモがあることに気付いた。
『また来るからその時は肉を食べさせてね 幽々子』と僕の血で書かれてあった。
その後しばらくは魔理沙にツケの代わり護衛をしてもらった。
【おまけ】
「大妖怪たる私が来てあげたのにその態度はなんなのかしら?」
「・・・・」
「いいの?貴方に襲われたって幻想郷中に言いふらすわよ?皆どっちを信じるでしょうね?」
「・・・・・僕だろう」
「・・・あらあら?いいのかしらいつまでもそんな態度で?泣いちゃうわよ?」
「それはいい。幻想郷最強の妖怪を泣かせたとなれば僕も今後は安泰だ。是非泣いてくれ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ゆふん・・・(ゾクゾク)」
「萌え萌えキュン♪」
「・・・・」
人里から離れた場所、4文字でまとめると『危険区域』に店を建ててしまった以上「マトモな人間が来ることはない」と思っていた。実際客と呼べる者など極僅かで、ほとんどが空間から突然現れたり店主の目の前でさも当然のように盗みを働く者だったり店の前で弾幕ごっこをやるような溢れんばかりのジャイアニズムの持ち主ばかりでカウンターで金を貰って商品を渡すという当たり前の行動さえ皆無だ。
しかし、慣れというものは恐ろしいもので十数年もいると最早それが【当たり前】という考えになってしまい多少の事でも動揺しなくなった。例えば突然目の前の何もない空間から妖怪が出てきても最初の内は心蔵が飛びでるかと思うくらい驚いたものだが、今では「いい加減扉から入るということを学習してくれないか」と言える程だ。
そんな事もあり僕は目の前に巨大ゴキブリがいても華麗にスルーできる鋼の精神を手に入れた。
・・・が、これはあまりにも予想外だろう。
フリフリの付いた白黒の服とスカート。頭にはアリスの物とはまた別の種類のカチューシャ。何やら異様に長い靴下。
そういえば昔流れてきた雑誌に似たようなものがあった気がする。
確か“めいど服“とかいういわゆるマニア向けの服だったか。
咲夜も同じ様なものを着ているがアレより8割増し程に派手で、見ているこちらが恥ずかしい。
絶句する僕の目の前で彼女はいつもの笑顔を向けてくる。
「あら?店主どうかしたの?」
「・・・・そのセリフをそのまま返すよ。なんだその格好は?」
内心は凄く動揺しているがあくまで対等な立場で会話を続ける。
彼女は普段から笑顔を絶やさず性格も周りからは「天真爛漫」と言われるくらい明るい子だ。
だが、その実事柄の裏の裏まで見通す面があり少しでも弱みを見せると簡単に彼女のペースに飲まれてしまう。
『西行寺 幽々子』とはそんな女だ。
「コレ?紫が「アナタに似合うだろうから」って貸してくれたの。“めいど服“って名前らしいけど・・・どう?可愛い?」
・・・・またあいつか。
その場の事は大体分かる。『八雲 紫』という妖怪は僕が困るのを見るのが大好きだ。昔から事あるごとに紫はちょっかいを出してくる。今回はこの冥界のお嬢様を使って僕に何か仕掛ける気か・・それとも彼女のメイド姿を見て僕がどのような反応するのか隙間から見てるのか・・・・どちらにしても後者は既に達成されている。実際彼女のメイド姿はかなり可愛い。元からスタイル抜群な上に顔も幻想郷でもかなり上のランクだ。
自分が毅然として対話できているかも分からない。もしかしたら声が動揺で震えているかも知れない。それくらい美しい・・・いや、可愛い。
「可愛い」と素直に言ってしまえば楽だろうが僕の言動全てが紫の思い通りに動くのが気に入らない。
「どうかした?」
時間的には10秒も経ってないだろうが黙りこんでいる僕を見て彼女から声をかけてきた。
「ああ、いや・・・なんでもない。似合ってると思うよ」
「可愛いでしょ?」
「似合ってると思うよ」
×10
いい加減折れようかとも考えたとき、彼女の周りにポゥという音と共に見たこともないような蝶が出てきた。この蝶が何かは分からないが、このタイミングで出してきたということは決してただ綺麗なだけな蝶という事はありえない。
「か わ い い で し ょ ?」
「あ、ああ・・・凄く可愛いと思うよ」
抗おうと思ったが無理だった。第一力で勝てるわけがない。
死にそうになったらきっと魔理沙か霊夢が助けてくれるだろうがわざわざ自分から棺桶に片足を突っ込むようなことはしない。
実際ホントに可愛いと思ってそれを言葉にしただけなので紫の思い通りにはなっていない・・・そう自問自答して解決することにした。
「最初から素直にそう言ってればよかったのよ。ホントにつんでれね」
それだけ言うと彼女の周りにいた蝶が透けるように消えた。
「それにしても一体なんなんださっきから。「萌え」とか「ツンデレ」とかどっからそんな言葉を覚えてくるんだ。僕だって最近知った言葉なんだぞ」
このままだとペースを握られてしまわれそうなので軽く話題を逸らす。
「紫が「もういいよ」
話していてもキリがないので早々に切り上げる。
こういうのはペースを握られたら終わりだし用件だけ済ませてもらって早々帰ってもらうことにする。
「で、結局何しにきたんだ?まさかその格好を見せるためだけに来た訳じゃないだろ?」
「そのまさかだけど?」
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙が落ちる。
いやいやいや、冥界からここまで結構な距離のはずだ。そんな僕に見せたいという理由だけで来るはずが・・・・いや、まさか、こんな簡単なことに気付かなかったなんて・・・・彼女は異性に自分の格好を見て欲しかったのだ。同姓では見せても奇怪な服装にしか見えないだろう・・・異性に見せるにしても流石に人里で堂々とはいかな彼女といえど恥ずかしいだろう。しかし僕ならば知り合いな上、周りに人がいないだからわざわざここまで来たのかそうか、そうだったのか。
そんな事を考えてると彼女がカウンターの上にもたれかかるようにして文字通り僕の目の前にいた。
距離として30cmくらいで近すぎるためどうにも胸に目がいってしまう・・・・仕方ないね。
「な、なんだ、いきなり」
「なんでもいいけど客の目の前でぶつぶつ独り言呟いてると客が寄らなくなるわよ?」
言いながらまた顔を近づけてきた。よく見るともうすぐカウンターを跨ぎそうだ。
バンッ!!
「そこまでよ!!」
激しい音と共に扉が勢いよく開かれた。この時点で数名に絞れるが予想外な人物が入ってきた。
「幽々子さん!!そんな格好してそんな所で何やってるんですか!!?」
薄紫色の紙に紺色の上着にネクタイ、そして最も特徴的なうさ耳「鈴仙・優曇華・イナバ」だ。
「夜這いだけど?」「今は昼だ」
とんでもないことを言い始めたので一応突っ込んでおく。鈴仙は真面目なのできっと・・・
「よばばばっばっばばばbば夜這いッ!!?」
ほら見ろ、言わんこっちゃない。顔を真っ赤にしちゃって・・・可愛いけど。
「いい加減にしないか。そういうのは冗談が通じる奴にやりなさい」
「冗談ってほどもなかった気もするけどね」
「・・・な、冗談なんだったんですか」
まだ落ち着いていないのか言語がおかしくなっている。どこまでも純粋な子だ
しばらく経つと落ち着いたようで今は3人で奥の居間でお茶を飲んでいる。
店番?そんなものは知らん。良客たる優曇華を雑に扱うわけにはいかないだろう。
決して店番がタルくなったわけではない。
「・・・で、いつから見てたんだい?そこまでよ!とか叫んで入ってくるあたり何分か前からいたんだろ?」
「そうそう、もうすぐで店主t「いい加減にしろ」右腕に絡み付いてる幽々子の頭をぺシッ!と軽く叩く。
「幽々子さんと店主さんがカウンター挟んで話してる辺りから・・・段々、幽々子さんが店主さんに近づいてって・・・」
「で、勘違いしてあんなことをした、と・・・・・」
「というか、とりあえずそろそろ離れてくれないか?寒いし色々当たってるんだが・・・」
「そんな事言ってホントは嬉しいくせに」
と、余計に体を密着させてくる幽々子。反応したのが逆効果だったか・・・そして右腕にさらに柔らかい感覚がはっきりと・・・・
「「店主(さん)顔がにやけてるわよ(ますよ)」」
幽々子は新しい玩具を見た子供ような目をしており優曇華は・・・あれ、目が若干充血・・・というレベルではなくホントに赤くなっている。それに何故か異様な殺気を感じる・・・こういう時は気にしないことにする一択だ。
「ふふ・・・・相思相愛ね」
「どうせ私には魅力なんて・・・(ブツブツ)」
幽々子はどんどん悪ノリしてきて優曇華は机に突っ伏してなにやら唱えている。
よろしい、ならば切り返しだ。
「ところで、優曇華はなんで来たんだ?」
「・・・えっ、あ、はい!忘れてました。師匠に前に頼んでおいた薬を貰ってきてと言われたので」
「ああ、あれか、ちょっと待っててくれ」
立ちながら幽々子を振りほどく「あぁ・・・お嫁さんを置いて行く気?」「誰がお嫁さんだ」幽々子が離れたことを確認すると薬の置いてある場所まで歩いた。
「全くあの幽霊の相手は疲れるな・・・」
薬を探しながらぼやく。正直あの手のタイプは苦手だ。表面は頭が空のように見えるけど実際何を考えてるか分からない・・・
「お、あったあった」
探し物を見つけるとソレを見て確認してみる。外の世界の物であり酔い止めに効く薬【甘藍神】だ。
戻ってみると2人共普通にくつろいでいた。
「はい、これだね。お代はもう貰ってるからそのまま持って帰ってもらっていいよ」
「はい、ありがとうございます」
精神的に疲れたのでさっさとコタツの中に戻る。幽々子の隣だとまた引っ付いてきそうなので幽々子の左隣・優曇華の右隣に座ろうとおぼつかない足取りで向かった時、不意に何かに躓いた。そこには何もないはずなのに確かに躓いたのだ。その拍子で前のめりに倒れる。
そのままだとコタツの表面に顔面から激突しまうためそれだけは避けようと手を落ちるタイミングに合わせて思いっきり前に突き出す・・・が、
力みすぎた為か腕はコタツの表面をすべりそのまま前に、そしてその先には幽々子の胸が・・・
ガツッ!! むにゅ という音が重なった。
「あらあら~」
言わずもがな、顔面はコタツに激突し手は幽々子の胸を丁度鷲掴みしている感じになっている。
起き上がって弁解しようとしたが上手く起き上がれない。どうやら自分が感じているよりかなりダメージが大きいようだ。
「言ってくれれば普通に触らせてあげたのに」「ち、ちが・・・う」
幽々子の方は特に気にしてもいないようであんな大怪我してまでわざとやったと解釈している。
人生の中で1・2を争う力を振り絞ってなんとか幽々子から手を離して反論する。
とりあえず幽々子の反応を見る限り殴られるようなことはないようなので安心する。今殴られ・・
「・・・・」
顔だけを起こすと目の前に優曇華が鬼の形相で仁王立ちしていた。
「不潔です!!」
「あべしっ!」
思いっきり殴られた。しかも平手ではなくグーだ。それも傷口だ。
最後に優曇華が泣きながら帰ってのが見えたがもうその理由を探索する余裕はない。
「(そういえば・・・躓いたとき・・・リボンと亀裂が見えたよう・・・な)」
そこで僕の意識が飛んだ
目が覚めるとコタツのすぐ側で仰向けで寝ていた。
頭に包帯が巻いてある為、夢ではなかったということだ。
おそらく幽々子がやってくれたのだろう。
「今度来た時は夕飯くらいは出してあげるか・・・」
そう呟きながら血塗れのコタツを見ると上にメモがあることに気付いた。
『また来るからその時は肉を食べさせてね 幽々子』と僕の血で書かれてあった。
その後しばらくは魔理沙にツケの代わり護衛をしてもらった。
【おまけ】
「大妖怪たる私が来てあげたのにその態度はなんなのかしら?」
「・・・・」
「いいの?貴方に襲われたって幻想郷中に言いふらすわよ?皆どっちを信じるでしょうね?」
「・・・・・僕だろう」
「・・・あらあら?いいのかしらいつまでもそんな態度で?泣いちゃうわよ?」
「それはいい。幻想郷最強の妖怪を泣かせたとなれば僕も今後は安泰だ。是非泣いてくれ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ゆふん・・・(ゾクゾク)」
じゃねえよw
素直に怖い・・・
この表現だと
文字通り食われそうな怖さが有るな
優曇華は耳年増だと思う。周りが大分ババ(ry
スレに載せようとも考えたんですが、勇気がなかったので・・・ww
読み返すと長さ的に短かったですね。次書くときはもっと長くします
これは新しい