Coolier - 新生・東方創想話

夜闇のストレンジ・ジャーニー

2017/05/12 16:51:16
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 前略、秘封倶楽部の二人が百物語をしようと持ちかけてきた。
 電気を消して暗い部屋の中で蝋燭を一つだけ灯し、テーブルを囲むようにして座る。
本来の百物語は新月の夜に無灯で隣の部屋ないし別の部屋に灯心を百用意し、文机に鏡を置き行灯に青い紙を張る。参加者は全員青い衣を纏い、危険物は部屋から出しておくものだが、今回は急だったので簡易な準備で済ます。
 百物語と聞けば妖怪や幽霊が出てくる話を想像するだろうが、不思議話や因縁話でいい。そうした話を代わる代わるし続けたが、二人は一緒に行動する事が多く、話が被ってしまいついには僕だけが話をする事になってしまった。幸い元々いた世界でそういった物事と触れたり聞いたりする事が多かったため、話自体に底は尽きないがいい加減に舌が疲れてきてしまった。
「さて、もともと簡易な百物語だから百も話さなくていい訳で。次の話で最後にしようと思う」
「霖之助の話は面白くて怖いから色々聞きたいけど、そろそろ良い時間だもんね」
「あんまり霖くんを困らせても仕方ないし次で最後にしましょうか」
 では最後にどんな話をしようか。それなりの数を話してきたからかぱっと浮かぶ話が出てこない。
「今までの話ってどれも作り話と分かる話が多かったから、最後ぐらいは本当にあった話だと嬉しいわね」
 これまた難しい事を言う。
 本当にあった話、と蓮子は言うがそのニュアンスはどうもそういうモノが出てくる体験談を期待しているようだ。そういうモノが出てくる話は向こう側にしかなく、それを話すものなら本当にあったと信じてもらうのは難しい。
 科学が発展したこちら側はそういうモノは発生しにくく、またそういうモノから彼女達を遠ざけている身としては話がなくなってしまう。それでもと話を考えてみはするけど。
「別に蓮子のいう事を気にしなくてもいいんだよ?」
「気遣いは嬉しいけどそう言われると負けた気がするんだ」
 蝋燭がおぼろげに照らす蓮子の顔は表情を読み取りにくいが、きっと興味で満ち溢れているに違いない。普段がアレだがそういう事をされたらどうも期待に答えなくてはいけない気がする。
 恋人がいるという話を聞いた事がないから分からないが、そういう姿を見せれば言い寄ってくる男の一人二人は出るのではないだろうか。見た目は良いんだし。
「なんだかんだで霖くんは蓮子に優しいよね。普段よく軽い喧嘩してるけど」
「えー……霖之助ってば一々小煩いのよ? やれ箸使いが汚いだの、スカートをぱたぱたするなだの」
「それは蓮子が悪いわよ」
 歳が離れた僕だから良いけど年頃の男がそんな姿を見たら、幻滅というかなんとも妙な気分になるだろう。性的な意味ではなく、文字通り妙な気分でだ。
 以前に女は気合で服を着るのだと蓮子はファッション誌を持ちながら言っていたが、気合で着るならそれぐらいは我慢してほしい。どうもそんな姿が知り合いのあの子に似ているからか、口煩くなるのも仕方ないだろう。
 考え事をしながら蝋燭を見ているとふとある日の事が浮かんだ。
 嗚呼。この日の事を元に話を展開していけばおそらくは何とかなるだろう。偶然にも彼女達はその場にいながら知り得ない話だし。アドリブを交えながらだとどこかでボロが出る可能性もあるな。視線を蝋燭に誘導しつつ、揺らめく火で催眠効果を期待して話すのが無難か。
 深呼吸を一つ。
「これは君達とキャンプに行った時の話だ」





 夏まっさかりな暑い日、君達がいきなり押しかけてキャンプに行こうと僕を連れ出したんだったかな。覚えているだろう?
 他にもキャンプしに来ていた客達から離れた森に近い場所にテントを建てるなり、君達は近くを流れていた川へと遊びに行った。僕はそれを尻目に荷物番をさせられていたかな。
 ああそんな顔をしないでくれ。どうせくたびれていたから、遊ぶ気力なんてなかったさ。
 食事をするまで、その後の就寝まで何もないからそこからは省くとしよう。あまり関係ない話をして本筋を間違えたり、忘れたりするのは問題だからね。
 僕は外で火の番を、君達はテントの中にいて話をしていた。
 話をしていたと言ってもいつもの話をして、次にどこへ行こうかなんて話ばかりで何も面白みもなかったけどね。でも君達は楽しそうに話をしていた。対して僕は夜空を眺めながらそれを蚊帳の外の如く、そこはテントの外だけど話を聞いていた。
 いつしか君達は遊び疲れからか穏やかな寝息を立てていた。僕も疲れていたから寝ようかと思っていたのだけど、こっちじゃ中々見れない満点の星空だったからもう少しだけ起きていよう、そう思ってしばらく夜空を眺めていたんだ。
 元々いた場所からも星は見えていたのだけど、場所が違うと星空も違って見えるらしく時間が過ぎるのは早いものだね。おそらく二時は回っていたかな。
 流石に眠くなってきたから寝袋を用意しよう。
 君達は別に一緒のテントでもいいと言っていたけど、一緒のテントで寝るわけにいかない。この時期なら外で寝ても大丈夫かな。
 ―――なんてボーッと思っていた時の事だ。
 火の向こう側に誰かが座っていた。火の向こう側、満点の星空だというのにその誰かの姿は見えなかった。背丈からなんとか子供ぐらいだろうという予測だけ出来る。
「お前は寝ないのかー?」
 急に話しかけてきた誰かは親しげに、でもどこか遠い感じにそう聞いてきた。
 眠くなってきていたとはいえ頭は冴えているはずなのに、その時は何故か霞がかったかのように思考が重かった。
「もう少し起きていようと思うよ。火もまだ消えそうにないからね」
「そーなのかー」
 不思議な感覚を覚えながらも誰かと会話をする。
「なんだったら私が火を見ておくから寝なさいよ」
「悪いよ。それに知らない人に火の番を任せるほど責任感がない訳ではないし、眠い訳でもないしね」
「私はこのキャンプ地の管理人だから遠慮しなくていいよ」
「尚更こんな場所に止めておくわけにいかないだろう?」
 どうやら誰かは僕に眠ってほしいらしい。僕が眠っている間に荷物でも漁るのか、それとも君達に手を出すのか、分からないがその誘いに乗る訳にはいかない。のらりくらりと会話を躱しながら時間を稼いで、相手の興味をなくそうとしていると重い思考でもある考えに至った。
 この誰かは僕に眠ってほしいわけではない。火を消したい、明かりがなくなってほしいと思っているのだ。
 その考えに至ったと同時に嫌な予感がして、相手に見えないよう自分の体を抓った。軽い痛みでは思考は元に戻らず、爪を鋭く立てて血が滲むほどに抓った。漫画なんかでやるみたいに鉛筆でも刺せば良かったんだろうけど、持っていなかったしそんな大きな動きだと相手にバレテしまう。
 鈍い痛みが全身に行きわたる頃、ようやく思考が元の調子に戻ってきた。
「君は知っているかい? 人間は火を持つ事で進化する事が出来た。それはつまり自然との決別であり、同時に夜を恐れなくなった」
「でもそれは夜の持つ恐怖から目を逸らしているだけしょ?」
「そうだね。だからこそふとした拍子に夜が、暗闇が怖くなるんだ」
 相手がニヤリと笑った気配がした。ああ、やはりそういうモノなんだと理解したよ。
「火は消さないよ」
 相手の自信を砕くパワーワード。
 何度もしてきたやり取りの中でこれまた何度も言ってきた言葉だけど、そこに力はなくただの音だった。でも今回のは違う。ちゃんと言霊も込めての言葉だった。
 お前の正体分かっているぞ。
 僕の言いたい事が分かったのか相手は立ち上がり背を向けた、と思う。
「それじゃあ仕方ない。今回は帰るけどまた遊びましょう」
 気配が遠くなりそれが分からなくなるまで見ていると、視線を感じた。君達のだよ。君達は胡乱げな目で何をぶつくさ言っているんだコイツ、なんて視線を送ってきていた。
 秘封倶楽部が求めているモノに近い物と出会ったと言おうかとも思ったけど、時間も時間だったからね。謝って君達がテントに戻るのを見届けて僕はそのまま寝る事にした。
 起きたら言おうと思ったけど、君達が色々と連れまわそうとしていたから言うのを忘れていたんだ。





「これで最後の話はお仕舞だよ」
「え、あれってただ寝ぼけていたんじゃないの?」
「そのまま寝る事にしたなんて言ったけどね、調べたんだ。誰かがいた場所を」
「それで何かあった?」
暗闇で見にくかったけどそこには確かに誰かがいた痕跡――踏まれた花があった。別に踏まれた花なんて珍しいものじゃないけど、ほんのりと温かい踏まれた花は珍しい。さっきまで誰かがいた証拠だ。
「ところでさっきからメリーが静かだけど、起きているのかい?」
「起きてるわ。考え事をしていたけど霖くんの言う正体が分からなくて」
「それは私も気になるわね」
「とはいっても本人に聞いた訳じゃないから本当か分からないけど。それでもいいなら」
「「聞かせて」」
 よく口喧嘩する二人だけど、こういう時はよく揃うものだと思う。似た物同士という事かね。
 話に出てきたアレの正体、それはかつて人が忘れた暗闇に対する恐怖心そのものだろう。
 だから火を消したかった。
 明かりがあるからこそ闇は輝くなんて人は言うけど、それは対比として輝くからであって闇に恐怖は抱かない。それで抱くのは好奇心だけだ。
 こちら側で化学が発展した為に妖怪やそういう類のモノは発生しにくいのだが、あそこには沢山の人間がいた。沢山の人間が心から思っていなくても別にいいが、心のどこか片隅にでも暗闇を恐れるなら、その恐れが集まりああいうモノを偶然にも生み出したのだろう。とはいえ生まれたばかりで確固として存在する事ができず、何等かの要因を取り込んで存在しようとしていたのではないだろうか。そしてその要因があの火であるなら、僕の目の前に現れたのも納得がいく。
 星明りがあるとはいえあの火が消えれば辺りは闇に包まれる。そうして自分の存在を補強し、最悪人間を襲ってようやくカタチになるのだろう。とはいえ生まれたばかりで喰らうなんて事は出来ず、付喪神のように驚かすという意味合いでの襲うだろうけど。
「というのが僕が考察する正体さ」
「人の好奇心・恐怖心が妖怪を生み出した切欠だから言いたい事は分かるんだけど、でもおかしい事があるわ。なんで霖之助は最後そんなに冷静でいたのよ」
「おいおい君達は秘封倶楽部(ひみつをあばくもの)だろう。そういう時にこそ冷静でいるべきだ」
 でなければ判断を誤り取り返しのつかない未来を選択してしまう。それはとても危険な事で自分が、最悪全員が仲良く一緒に……なんて事もありうる。
「ブレーキの壊れた蓮子には難しいと思うわ」
「ひどい!」
「さあ百物語も終わりね。後はこの蝋燭を消して終わりなのだけど――」





「後はこの蝋燭の火を消して終わりなのだけど――」
「待った。本当に消してもいいのかい」
 何故か霖くんに止められてしまった。
 百物語は最後の話を終えた時に明かりを消してようやく終わる。つまりここで消さなければ百物語は終わらないのである。
「真の闇が訪れた時に何かが起きる――それを確かめる為に百物語をしたんじゃない。霖之助怖いの?」
「何もかも逆だけどコックリさんを帰さないと大変な目に遭うのは、霖くんも知っているでしょう。逆説終わらせなければ安全という事だけど」
 空気が変わった。
 明かりが入らないようカーテンを目張りし、廊下との扉だって閉めきって風が入り込む余地はないはずなのに、空気が変わったのを感じる。少しだけ湿った空気が張り付くようにのしかかってくる。
 自然と蓮子と肩がぶつかった。どうやら蓮子も同じ考えのようだ。
 蝋燭の火に照らされた霖くんの顔はいつもと変わらないのに、どこか違う人に見えてしまい焦ってしまう。水と油。似ているけど全く違う別の物、そんな感覚を霖くんに抱く。
「君達の前にいるのは本当に森近霖之助かい?」
「なに、を――」
「ようく見て考えるんだ。僕が森近霖之助に視えるかい?」
 じっくりと見れば見る程霖くんが分からなくなる。視えているのに闇に包まれていくような、そんな感じがして本当にあれは霖くんなのだろうか。
 霖くんの姿をしたナニかが話しているのではないだろうか。
「大丈夫メリー」
 怯える私を落ち着かせるように蓮子が手を握ってくれる。小さな手は震えていて、蓮子の恐怖心を伝えてくるけど二人の鼓動が重なるから安心する。
「仮にあなたが霖之助じゃないならいつ入れ替わったの。百物語を始めてからトイレに行ってないから入れ替わる暇なんてないでしょ」
「最初から僕でないとしたら。新月の今日は月の光で狂気(ルナティック)に染まる事はなくても、間違って隣の空き部屋に君達がやってきたとしたら?」
「それはないわ。この部屋に来る前に確認したもの」
「人は自分の見たい物だけを見て、信じたい物だけを信じる生き物だ。そうと思い込んでるだけじゃないかい」
「私も確認したから蓮子の言っている事は本当よ。このアパートは外に明かりもないから携帯のライトを使って確認したもの」
 下手な懐中電灯よりも明るい携帯のライトだ。間違えるはずもない。
 それにもし違った部屋に、彼が言うように別人の部屋に入ったなら二人して気付くはずである。森近霖之助が暮らしている部屋は当り障りのない普通の部屋だけど、その部屋が持つ独特の空気を真似するのは難しい。人工的な自然が溢れかえるこの街で、天然の自然を体験させるかのようなあの独特の空気を間違えるはずがない。
 嫌な予感は蛇に似ている。一度でも感じてしまえば体を這いずりまわり、少しずつ締め上げていくそれはまさに蛇だ。
「まあ嘘なんだけどね」
 朗らかに笑って言う霖くんの一言に張りつめていた空気が一気に切れた。それと同時に汗が噴き出してきたものだから気持ち悪い。
 言葉を失っている私達とは裏腹に、霖くんは電気を点けて後片付けを始めた。我に返った蓮子がその背中に飛びつき首を絞めているけど、色々と嫌な思いをさせられたのだから放っておく。
「ちょ蓮子極まってる、極まってるから」
「うるさい。変な汗をかかせた罰なんだからこのまま落ちなさい」
「でも涼は取れただろう」
「デモもストもないのよこの馬鹿」
 流石に隣の人に迷惑がかかりそうなので二人を止め、片付けを進めていく。換気も兼ねて窓を開けると冷えた夜風が部屋に入り込み、さっきまで充満していた嫌な空気を吹き飛ばす。
 片付けが終わり扇風機で体を冷やす二人を尻目に私は窓の䙁に腰かけ、なんとなしに外を眺める。明かりもない外は暗闇で覆われ、一寸先は闇を体現しているかのようだ。そんな外ならきっと霖くんが語ったナニかがいるかもしれないけど、それを見るのはまた今度にしよう。
「あ、もう終電ないから停まっていくからね」
「三人寝れるだけのスペースないんだが。まさか川の字に寝るとか言わないだろうね」
「霖之助は廊下に決まってるじゃない」
 なんだか話が変な事になってる。どこかのネカフェで寝ようって話だったのに、なんで霖くんの家で寝る事になっているんだろう。
「メリーだって霖之助と一緒に寝るの嫌でしょ。枯れてミイラみたいなとはいえ霖之助だって男なんだし」
「さ、流石に一緒に寝るのはまだ早いと思うの」
「というわけで霖之助は廊下ね」
 有無を言わさない蓮子に霖くんはぶつくさ言いながらタオルケットを持って廊下に出て行ってしまった。心の中で謝罪しつつ、バスタオルを拝借する。ちゃんと柔軟剤を使っていないのかゴワゴワだが何もないよりはマシだろう。
 明かりを消して横になり少し考える。
 人の心から生まれたのに人に見捨てられてもなお、何故人の前に現れたのか――それはきっと寂しかったのではないだろうか。全ての知性体が一人で生きていけないように、あの存在もまた一人で生きていく事が出来ないからこそ霖くんの前に現れたのではないか。
 出ている杭は打たれる、と人は言う。
 違う事は悪であると、他と同じ事をしなければ輪に居られないと思う。そんな人間から生まれた、全く違う異邦人(ストレンジャー)が見つけた安住の地とも言える存在、それが霖くんだったのじゃないかと。
「せっかく見つけた安らげる場所にお断りをくらったら、蓮子はどうする?」
「……そうね、もっといい場所があると考えて他を探すかな。そういうメリーは探すの?」
「私もたぶん探すかも」
 でもそれは一人では無理だろう。蓮子や霖くんが傍にいないと出来ない。
「安らげる場所がないなら作ればいい。もしかしたら気付いてないだけで、実は近くにあるのかもしれない。青い鳥は家にいたんだから」
「でもそれは強いから出来る事よ。弱ければきっと諦めて木の下で雨を凌いでいるかもしれない。人生は妥協の積み重ねで出来るんだから」
「それで積み重ねるのは自分の心を偽る罪だけじゃない」
 罪重ね、積み重ね。
 あの存在は自分の心を偽ったのだろうか。それとも他にもっと良い場所を見つける事が出来たのだろうか。もしもまた出会う事があるのなら、そこに私がいる事が出来るのなら聞いてみたい。あなたがいるソコは幸せなのか。
「急に変な事を聞いてくるけどどうしたのよ」
「ううん。私がいるココは幸せなのかなぁ、なんて」
「自分を認めてくれる相手がいて、美味しい食事にお酒があって、それで幸せと感じないならそれは心が病んでいるわよ」
「じゃあ私は幸せ者ね」
 二人がいて何気ない事で笑い合えて、それで一日が過ぎて終わるのが怖いけど、きっとその怖さもまた幸せである事の証左。いつか終わりが来る幸せだけど今はこうして一緒にいる事が出来る。
 そう思うと眠くなってきた。蓮子はもう睡魔に勝てないのか枕に顔をうずめている。
「霖之助の匂いがする」
「それはするわよ。というか変態臭い」
 私もなんだか眠くなってきたから寝るとしよう。
 その夜夢を見た。私達三人と出会った影の四人で夜を歩く、いつでも出来る夜道の散歩だけど特別な楽しい夜の夢。
 明かりもない夜道を影が案内し、蓮子が好奇心であちこち寄り道して、私と霖くんがそれをたしなめてる――そんな夢。影の顔は見えなかったけど笑っている気がした。
 やはり一人は寂しいのだ。
 夢は覚めるものだけど、どうかもう少しだけこの夢が続きますように。
 時々ちまちまと東方の話を書いておりますが、秘封倶楽部を題材にしたのは初めてで、それ故に二人の口調が近い為にこの話は難産でした。話の流れ自体は最初から出来ていたのですが、やはり見直すと「どっちの台詞だ?」となって何回も前後の文を見返しました。それはこの後書きを書いてる今もですが。

 火の番の考証としては霖之助の考えが正しいのでしょうが、個人的にはメリーの考えがどこか救いを求めていて好きだったりします。その場合は火を消す事の意味をまた考えないといけませんが。
 この話は本来秘封倶楽部だけで進めるつもりだったのですが、それだと過去語りをどうするかと悩み、結局霖之助という存在を現代入りさせる事で、無理矢理話を進めてしまいました。デウスエクスマキナとして優秀な分、書き手としては頭が痛いものです。
 また秘封倶楽部で話を作る場合は霖之助抜きで書きたいものです。もしくはシリーズ物としてこの三人で書くか。

 最後に謝辞を。
 都市伝説を元ネタにししかも現代入り、なんて個人的に稚拙な作品だというのに(現代入りしている話を馬鹿にしている訳ではありません。自分の腕のいたらなさについての発言です)最後まで読んでいただきありがとうございます。
ラステン
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コメント



0.160簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
実際、よくできているのですが、やっぱり秘封倶楽部だけで書いたほうが良いと思いますよ。
4.90南条削除
面白かったです
ですがむしろ霖之助が現代入りして秘封倶楽部とキャンプに行った時の話を詳しく聞きたかった