Coolier - 新生・東方創想話

脊椎動物亜門 以下略 ツンデレ属2

2013/06/06 23:32:34
最終更新
サイズ
2.07KB
ページ数
1
閲覧数
1694
評価数
5/13
POINT
760
Rate
11.21

分類タグ

前回のあらすじ うそ……私の体毛濃すぎ……?

ノックの鈍い音で思考が途切れた私は「……はぁーい」ドアノブを回しにいった。

「お久ー」
わかさぎ姫だった。一話またいで知り合いでしたとか正直無感動である。
本名不明。わかさぎの人魚だからわかさぎ姫。なんとも安直な呼び名だが、定着してしまったものは仕方ない。

「どうしたのよ、こんな夜遅くに」

水の中の生活を基本とする人魚たちは滅多なことでは出歩かない。
それに移動の際には河童の駕籠を使う。種族柄水分のない環境では歩くにも体力をごりごり削られるらしい。

ではどうやってここまで来たのか。

「ぼやけた月ってのも乙なものね。わたしたちが出掛けられるのも雨の日くらいでしょう?」
「それで散歩がてら私の家にたまたま着いた…」
「当たり~」
「酒瓶持ってお散歩ですか」
「まぁまぁ、結構上物よ?」

達筆で読めない漢字の銘柄を見せる。酒瓶を軽く振っただけで大いに揺れる胸……ッチ
まぁ、要は雨粒を伝って移動ができるということである。

「いや、あがらせないから」
「え、この空気で?」

まるで自分の家のようなゆったりとした足取りで玄関に踏み込む。このキャッチザレインボーは要件を理解したと知るや否や流れるような厚かましさだ。

「ここは嫌々ながらも私をあがらせて、酒を飲み交わすうちに、満月が嫌なのは、今は亡き仲間を思い出すからじゃないのかと私が気付き、こんな日は誰かの温もりが欲しくて貴女もその気になり、とうとう私を受け入れた的な流れではなくて?」

早口なのに聞き取れる!なのに意味が分からん!

「三文ってレヴェルじゃねーわよ」
「王道といいなさい」

安っぽい王もいたものだ。

それから数分、こんな調子でいつもどうりの私たちなりの会話をする。

しかし、私にはこんなやり取りでも、少しだけ、ほんーの、少しだけ
……心地よかった。こんな風にやり取りできるやつは、今では少ししかいない。

「…本当に、嫌?」
「狼になったら、喰っちゃうかもよ」
「悲劇的ね、結構好きよ」しおらしく下がった眉はもとに戻る。
「今の割と冗談じゃないんですけど?」

結構理性が効かなくなるのは、本当。
月に当てられて、頭がぼっーとしてきて、気付いたら周りはめちゃくちゃ。手当たり次第にいろいろ傷付けて……なにも覚えてないまま次の日に顔だしてさ、そしたら、泣きはらした顔で拒絶された。たまに思い出す。

こんな満月の夜に、誰も悲しまなくていいじゃない。

一人でいい。一人が、いい。
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.360簡易評価
1.無評価なめこ削除
前作の脊椎動物亜門 哺乳類綱 ネコ目 イヌ科 ツンデレ属の続きです。書き忘れたので
2.80名前が無い程度の能力削除
ふむ、面白い。
話しを続けてくれたまえ。
3.無評価なめこ削除
あと、独自設定があります。すみません。
4.90名前が無い程度の能力削除
かわいい!
5.80奇声を発する程度の能力削除
可愛くて良いですね
6.80名前が無い程度の能力削除
一応キャラ名だけでもネタバレになると思うからタグにキャラ名は控えた方がいいと思いますぜ。
何はともあれまだ続くか! 期待してますっ
10.703削除
理性が効かなくなる……ふむ