20XX年、幻想郷に蔓延る盛大なる大悪党『帽狩り隊』による、真の幻想郷支配への侵攻が開始された!!!
大幹部グレート・ザ・幽香と参謀長ジャイアント雷鼓指揮の元、老若男女有象無象の被るZUN帽が狙われている!
「さあ罪袋共! どいつもこいつも自慢げに装着している頭装備を引っぺがすのよ!」
『幽香様の言うとおりいいいいいい!』
露出度は少ないが、しかし胸部二点と股間部の布が非常に危うく、健康的な少年少女にとてもディープな性癖を植え付けてしまいそうな、真っ黒なボンテージのグレート・ザ・幽香が罪袋達をけしかけた。
暴虐に荒れ狂う罪袋は空を飛び、地を駆け這いずり回り幼気な少女達に迫る。
もはやここまでと諦めた者たちは最後の抵抗としてうずくまり、「うー☆」の掛け声でカリスマガードに徹するのだ。その姿を見て、罪袋達に慈悲が戻る事を信じて。
しかし現実は非情である。罪袋は歓喜しコークスクリューで頭を撫で、容赦なく帽子を剥ぎ取り、その涙を純白のハンケチーフで拭うのだ。
半径百mからもはや帽子と言う帽子は消え、周囲に荒んだ空気が流れた瞬間に、大幹部グレート・ザ・幽香は腕を組んで仁王立ち、勝ち誇ったように背を逸らす。
「ふははははは! 今より永劫、この八百屋『じんぺい』周辺は全て大総嬢様のものである! 遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。私こそが一番傘グレート・ザ・幽香である!」
『イエス! 幽香様の言うとおり!』
嗚呼麗しのZUN帽郷は失われてしまうのか。あの色とりどり美しいZUN帽はこのまま皆の心から消え去ってしまうのか。民草は涙を流し、泣き散らす者に罪袋は純白のハンケチーフを手渡す、そんな世界になってしまって良いのだろうか!?
その時である。
「ひとぉつ!」
「何奴!?」
その者は八百屋『じんぺい』の上、赤く輝く太陽を背に自慢のマントとZUN帽を風に揺らして、右手を天に向けていた。
その肢体は幼き童女の如く寸胴で、その眼には星の形をしたグラサンが。
燦然と輝く金髪の幼女は、悪党一味を見下ろし吼え猛る。
「頭皮を守る防具を剥ぎ取る!」
天へと向けられた指が二本、伸ばされる。
「ふたぁつ! 不埒な悪行三昧!」
そしてより強く輝く太陽が彼女を包み、まるで女神のような姿だと錯覚させる。
「みぃっつ! 醜い浮世の悪を……退治してくれよう!」
「ええい、貴様は一体何者だ!」
焦れたグレート・ザ・幽香はたまらずマスタースパークを放出するが、八百屋の上には影も形も無く焦げた屋根だけ虚しく煙をあげる。
グレート・ザ・幽香が気付いた時には、その童女は罪袋の大半を薙ぎ倒していた。
「通りすがりのZUN帽少女、快傑すわっと♪だ、覚えておけ!」
そう名乗った少女の背後でピンク色の爆発が起こり、罪袋達は巻き込まれて空中へと散っていく。この爆発だけで半数の罪袋は殉職し、生き残った罪袋達は悲嘆に暮れた。
すわっとの頭の上で睨みを効かせるZUN帽が、まるで臙脂の服を着て大きな注連縄を背負って無理矢理裏声を出してるかのような声で、すわっとに話しかける。
『すわちゃん! 相手は朝顔の汁を吸ってパワーアップしているよ、気を付けて!』
「ごちゃごちゃ煩い帽子め、一番傘グレート・ザ・幽香が相手だ!」
すわっとはマントを広げ、白く長い蛇のような剣を取り出した。
なんとも恐ろしき装飾の剣で、グレート・ザ・幽香の美しいと撃ち合う。踏み込む度に地面は破壊され、一振りごとに空気が断裂する。
「ふはははは! 甘い、甘いぞ快傑すわっと! 貴様ははちみつ漬けメロンパンよりあまぁい甘々だ!」
「なんだと!?」
「貴様の背後を見よ!」
「何!?」
グレート・ザ・幽香が指差した先には、荒縄で服の上から亀甲縛りにされて吊し上げられた少女がいた。
苦しそうに呻く少女を見てすわっとは愕然とする。
「早苗! どうして私の父の叔父の妹の兄の甥の娘の妹の早苗がこんなところに!?」
「ふはっははは。こんなこともあろうかと、すり替えておいたのさ!」
『イエス! 幽香様の言うとおり!』
罪袋達は(あれ? 俺達やったっけ? っていうか何とすり替えたんだろう?)と思いながらも、勢いよく拳を突き上げ迸るパッションと血潮を噴き上げていた。
しかしすわっとはあまりに残酷な仕打ちに対し、ZUN帽の目玉が赤く充血するほど怒りに震えている。
「ふふふ。さあどうするすわっと。このままでは貴様の父の叔父の妹の兄の甥の娘の妹の早苗がとてもではないが一般向けでは放送できない痴態を晒すことになるぞ!」
「すわっと、私に構わず勝って! お願い!」
「そ、そんな……私、早苗を犠牲にした勝利なんて……ッ」
強く拳を握り、掌に爪が食い込み血が流れるほど怒りに震えながらも、このまま戦うと自分の大切な人があられもない姿を晒す事を想像して体が竦む。
しかしその葛藤の渦中にて拳を握るすわっとに、グレート・ザ・幽香はゆっくりと近づいていく。
「さあ、正義の味方を蹂躙しちゃうわよ」
「すわっと! 早く!」
「でも!」
「良いの! だからッ……」
すわっとは自分を想う少女の声に、倒さなければならない敵に攻撃する意志を励まされていくが、しかしその敵が今にもすわっとを殺そうと迫ってくる。
その迷いが頂点に達する。一筋の涙がすわっとの頬を伝う。
「良くなんか、ない……!」
「お願いすわっと、私の話を聞いて!」
その声に、いつの間にか敵を見る事すら拒否して俯いていたすわっとは反応し、ゆっくりと早苗を見る。
「(縄が)良いの……むしろ私としては最高だからああああ!」
「怒りのすわっと私の必殺技パート1エクスパンデッドオンバシラ&ミジャグジ様!」
「うわああああ大総嬢様に栄光あれえええええ」
まるで柵の様に上から敵を囲い、得体の知れない黒々とした祟りの力で大爆発を起こす。
(祟りってそういうものだっけ)と思いながら消し飛ばされた罪袋達の思念と、グレート・ザ・幽香は天へと昇って行った。
何をどうしたら良いんだ、私の戦いってなんだったのか。
すわっとは、近くの早苗の焦点の合わない瞳とぽたぽたと零れる各種体液を見ないふりして、遠くを見ながらそう思った。
○
「と、いう夢をですね。見たわけですよ一輪」
「ナズーリン! ナズーリン今度は何を見せたの!? 御本尊の目が凄い勢いで挙動不審なんだけど!?」
大幹部グレート・ザ・幽香と参謀長ジャイアント雷鼓指揮の元、老若男女有象無象の被るZUN帽が狙われている!
「さあ罪袋共! どいつもこいつも自慢げに装着している頭装備を引っぺがすのよ!」
『幽香様の言うとおりいいいいいい!』
露出度は少ないが、しかし胸部二点と股間部の布が非常に危うく、健康的な少年少女にとてもディープな性癖を植え付けてしまいそうな、真っ黒なボンテージのグレート・ザ・幽香が罪袋達をけしかけた。
暴虐に荒れ狂う罪袋は空を飛び、地を駆け這いずり回り幼気な少女達に迫る。
もはやここまでと諦めた者たちは最後の抵抗としてうずくまり、「うー☆」の掛け声でカリスマガードに徹するのだ。その姿を見て、罪袋達に慈悲が戻る事を信じて。
しかし現実は非情である。罪袋は歓喜しコークスクリューで頭を撫で、容赦なく帽子を剥ぎ取り、その涙を純白のハンケチーフで拭うのだ。
半径百mからもはや帽子と言う帽子は消え、周囲に荒んだ空気が流れた瞬間に、大幹部グレート・ザ・幽香は腕を組んで仁王立ち、勝ち誇ったように背を逸らす。
「ふははははは! 今より永劫、この八百屋『じんぺい』周辺は全て大総嬢様のものである! 遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。私こそが一番傘グレート・ザ・幽香である!」
『イエス! 幽香様の言うとおり!』
嗚呼麗しのZUN帽郷は失われてしまうのか。あの色とりどり美しいZUN帽はこのまま皆の心から消え去ってしまうのか。民草は涙を流し、泣き散らす者に罪袋は純白のハンケチーフを手渡す、そんな世界になってしまって良いのだろうか!?
その時である。
「ひとぉつ!」
「何奴!?」
その者は八百屋『じんぺい』の上、赤く輝く太陽を背に自慢のマントとZUN帽を風に揺らして、右手を天に向けていた。
その肢体は幼き童女の如く寸胴で、その眼には星の形をしたグラサンが。
燦然と輝く金髪の幼女は、悪党一味を見下ろし吼え猛る。
「頭皮を守る防具を剥ぎ取る!」
天へと向けられた指が二本、伸ばされる。
「ふたぁつ! 不埒な悪行三昧!」
そしてより強く輝く太陽が彼女を包み、まるで女神のような姿だと錯覚させる。
「みぃっつ! 醜い浮世の悪を……退治してくれよう!」
「ええい、貴様は一体何者だ!」
焦れたグレート・ザ・幽香はたまらずマスタースパークを放出するが、八百屋の上には影も形も無く焦げた屋根だけ虚しく煙をあげる。
グレート・ザ・幽香が気付いた時には、その童女は罪袋の大半を薙ぎ倒していた。
「通りすがりのZUN帽少女、快傑すわっと♪だ、覚えておけ!」
そう名乗った少女の背後でピンク色の爆発が起こり、罪袋達は巻き込まれて空中へと散っていく。この爆発だけで半数の罪袋は殉職し、生き残った罪袋達は悲嘆に暮れた。
すわっとの頭の上で睨みを効かせるZUN帽が、まるで臙脂の服を着て大きな注連縄を背負って無理矢理裏声を出してるかのような声で、すわっとに話しかける。
『すわちゃん! 相手は朝顔の汁を吸ってパワーアップしているよ、気を付けて!』
「ごちゃごちゃ煩い帽子め、一番傘グレート・ザ・幽香が相手だ!」
すわっとはマントを広げ、白く長い蛇のような剣を取り出した。
なんとも恐ろしき装飾の剣で、グレート・ザ・幽香の美しいと撃ち合う。踏み込む度に地面は破壊され、一振りごとに空気が断裂する。
「ふはははは! 甘い、甘いぞ快傑すわっと! 貴様ははちみつ漬けメロンパンよりあまぁい甘々だ!」
「なんだと!?」
「貴様の背後を見よ!」
「何!?」
グレート・ザ・幽香が指差した先には、荒縄で服の上から亀甲縛りにされて吊し上げられた少女がいた。
苦しそうに呻く少女を見てすわっとは愕然とする。
「早苗! どうして私の父の叔父の妹の兄の甥の娘の妹の早苗がこんなところに!?」
「ふはっははは。こんなこともあろうかと、すり替えておいたのさ!」
『イエス! 幽香様の言うとおり!』
罪袋達は(あれ? 俺達やったっけ? っていうか何とすり替えたんだろう?)と思いながらも、勢いよく拳を突き上げ迸るパッションと血潮を噴き上げていた。
しかしすわっとはあまりに残酷な仕打ちに対し、ZUN帽の目玉が赤く充血するほど怒りに震えている。
「ふふふ。さあどうするすわっと。このままでは貴様の父の叔父の妹の兄の甥の娘の妹の早苗がとてもではないが一般向けでは放送できない痴態を晒すことになるぞ!」
「すわっと、私に構わず勝って! お願い!」
「そ、そんな……私、早苗を犠牲にした勝利なんて……ッ」
強く拳を握り、掌に爪が食い込み血が流れるほど怒りに震えながらも、このまま戦うと自分の大切な人があられもない姿を晒す事を想像して体が竦む。
しかしその葛藤の渦中にて拳を握るすわっとに、グレート・ザ・幽香はゆっくりと近づいていく。
「さあ、正義の味方を蹂躙しちゃうわよ」
「すわっと! 早く!」
「でも!」
「良いの! だからッ……」
すわっとは自分を想う少女の声に、倒さなければならない敵に攻撃する意志を励まされていくが、しかしその敵が今にもすわっとを殺そうと迫ってくる。
その迷いが頂点に達する。一筋の涙がすわっとの頬を伝う。
「良くなんか、ない……!」
「お願いすわっと、私の話を聞いて!」
その声に、いつの間にか敵を見る事すら拒否して俯いていたすわっとは反応し、ゆっくりと早苗を見る。
「(縄が)良いの……むしろ私としては最高だからああああ!」
「怒りのすわっと私の必殺技パート1エクスパンデッドオンバシラ&ミジャグジ様!」
「うわああああ大総嬢様に栄光あれえええええ」
まるで柵の様に上から敵を囲い、得体の知れない黒々とした祟りの力で大爆発を起こす。
(祟りってそういうものだっけ)と思いながら消し飛ばされた罪袋達の思念と、グレート・ザ・幽香は天へと昇って行った。
何をどうしたら良いんだ、私の戦いってなんだったのか。
すわっとは、近くの早苗の焦点の合わない瞳とぽたぽたと零れる各種体液を見ないふりして、遠くを見ながらそう思った。
○
「と、いう夢をですね。見たわけですよ一輪」
「ナズーリン! ナズーリン今度は何を見せたの!? 御本尊の目が凄い勢いで挙動不審なんだけど!?」
ってよくよく読んだら巡り巡って妹じゃないですかー!やだー!