※ジョジョパロがメインなので、細かいことを気にしない人向けです。
設定とか展開とか少々無茶でも気にしない方向で。
あとジョジョを知らない人にもお勧めできません。
湖のそばに建つ紅い館、その一番高いところ、その中央。
館の主のレミリアは、そこにある自室で読書にふけっていた。
暫く経って、もう飽きてしまったのか、本を閉じると口を開いた。
「……咲夜」
レミリアは、自らの従者を呼びつける。
小さな声であったが、いつもはこれほどの声で呼ぶだけで咲夜は参上するのだ。
用事はなんでもない、ただ紅茶を淹れるだけであった。
しかし、咲夜どころか、誰一人としてこの部屋に来る気配がない。
「……咲夜?」
本来なら、来なくてはならないはずの咲夜が来ない。
その状況に、きょろきょろと辺りを見回して、その姿には吸血鬼の威厳はない。
レミリアは、不審に思って外を覗く。
屋敷のどこかにいるというのならそんなところを覗いても見つかるわけがないのだが、
幸か不幸か、捜し求めた姿は門にあった。
「なんてこと……!咲夜は私をほったらかしにしている!
しかも、あの様子だと日が暮れるまで帰ってこないんじゃないかしら!」
その光景に思わず、くそっ、レミリアは叫んだ。
たまたまレミリアの部屋の扉の前を通りかかったメイドが、ビビって逃げ出すほどの大声で。
意識せずしてレミリアは窓の下の壁に八つ当たりの拳骨を入れ、ぐりぐりと力を込める。
人間ならばかるく返り討ちにあう程度に丈夫な壁であるが、レミリアの力には流石にみしみしと小さく悲鳴を上げた。
「……最近、私はどうもおかしい、気持ちが荒れているわっ!
これが……人間のいう『嫉妬』というやつなのかしら……」
レミリアはボディーブローを入れるような姿勢のまま、ギリッ、と歯軋りの音を立てながらひとりごちる。
こめかみをピクピク震わせ、妖精メイド程度なら近づいただけで粉微塵になるほどのパワーを発しながら。
「よし、ならば……私の『能力』で!
咲夜が誰のものであるか、はっきりと示してやる!」
そう再び叫ぶと、レミリアは本棚から一冊の本を取り出し、開いた。
ちなみにたまたま部屋の前を通った先ほどとは別のメイドは、この声を聞いたとたん死んだ振りをした。
レミリアは何だと思われているのだろうか。
それはともかく、その本には、こんなことが書かれていた。
『ある所にとてもわがままな吸血鬼がいました。
彼女の名はレミリア・スカーレット。
そして彼女には十六夜咲夜という従者がいました。
彼女たちはとっても仲良し!
だと思っていたのに……
門番に咲夜をうばわれちゃった!クヤシィ―――ッ!
「殆どの人に名前も覚えてもらえてない門番風情が、
私の咲夜に手を出しやがってぇッ!」
レミリアはギスギスと思いました。
しかし賢明なレミリアは、美鈴を排除しようとは考えませんでした……
さあ!レミリア!咲夜の唇にキスをしーの!
アーンド!自分の嫁宣言をしーのするとォ!
やったーッ!咲夜と美鈴は仲違いだァ――ッ!』
その奇妙な内容の本を読んでいるうちに、自然とレミリアの口の端が上がっていった。
「フフフ……『私がムリヤリ咲夜の唇を奪った、ただそれだけで……
咲夜とあの門番が仲たがいするものだろうか』……
『普通は』そう思うわよねぇ……
でも!私の予言は100%!絶対よ!」
最高にハイなレミリアの高笑いが、屋敷中に響き渡った。
尤も、咲夜と美鈴には、相変わらず門で談笑中だったために聞こえなかったのだが。
★★★
時は移り、その日の夜。
以前のレミリアならばそれは起床時刻なのだが、最近の彼女は昼夜逆転しているのでほぼ人間と同じサイクルで生活する。
今度レミリアが咲夜を呼んだときは、きちんと瀟洒に構えて傍に現れた。
しかしその浮かべる笑みが、普段の澄ましたそれより少し口元が上がっていることに、レミリアは気づいていた。
「お嬢様……言われたとおり美鈴をつれてきましたが……」
それ以外にはさしたる変化のない咲夜は、ゆっくりと口を開く。
美鈴のほうは、突然主人に呼び出されたことから、緊張に身をすくませている。
きっと彼女の頭の中では、「うろたえるんじゃあない」という言葉がこだましていることだろう。
「そう、めいりん……美鈴っていうのね、あなた……そこで、黙って立っていなさい」
それだけ口にすると、レミリアはおもむろに咲夜のほうへと歩き出した。
ゆっくり、ゆっくりと。
決してふたりにこれからの行動を気取られぬように。
ある程度まで距離を詰めると、レミリアは一気に行動した。
そこでようやく咲夜は何をされようとしているのかに気がついたが、
流石の咲夜もこの至近距離でのレミリアのスピードは回避不能であった。
咲夜の頭の中に、ズキュゥゥゥンという衝撃が響く。
それは一瞬の出来事であった。
咲夜は衝撃から辛うじて立ち直り、すぐさまレミリアから身を引く。
しかし頭の中ではいまだに先ほどの衝撃が反響していた。
それを意に介すこともなく、レミリアは美鈴のほうを振り向く。
「……どう?ちゃんと見ていたかしら?」
美鈴は目を丸くして、ただただ二人を目に映すばかりであった。
「咲夜はね、『私の』メイドなのよ。
『私の』 日本語通じるかしら、中国人さん?」
静かな部屋に、レミリアの幼くも迫力のある声が響く。
美鈴はその声を聞いているのかいないのか、あいまいな様子であったが、やがてきびすを返して走り出していった。
(勝ったッ!)
レミリアは心の中で小さく勝ち誇る。
にやりと笑う口からは、小さな牙が覗いていた。
「……お嬢様」
しかし喜びもつかの間、背後からやたらと低い女性の声が響く。
危険を感じてとっさにステップを踏んで飛び退ると、レミリアのいた場所には数本のナイフが刺さっていた。
「どういう、おつもりですか?」
咲夜はよどみない動作で、銀のナイフを右手の中に再装填していた。
その赤い瞳はレミリアをただ冷たく見つめ、吸血鬼以上の威圧感を与えていた。
「え、あ、いや、その」
「覚悟は、出来てるんですね?出来た上でこんなことをなさっているんですよね?
人に何がしかの仕打ちをするっていうことは、自分が何かしらやり返されることも覚悟している、ということですものね?」
咲夜の構えるナイフは、天井の照明の光を反射して濁りない銀色に輝く。
その反射する光が、まるでそれ自体がすでにレミリアを刺し抜いているかのごとき輝きであった。
「さ、咲夜……許してよ、ね?私はただ、咲夜と……」
「お嬢様」
ドスの効いた声が、レミリアを突き刺す。
レミリアの体はすくみ、口をつぐむ。
「お分かりになっていないようですから、特別に教えて差し上げます……
……この咲夜のもっとも嫌いなことのひとつは、『一度言ったこと』
あるいは『分かりきったこと』を『二度言わされる』ことなんです」
咲夜の放ったナイフが、レミリアの影を縫うように床に突き刺さる。
影縫いの能力は咲夜には備わっていなかったが、それは十分にレミリアを脅す迫力があった。
「今、許すか許さないか……そんなことを言うことはまさに『無駄』なんです
なぜならそれは『分かりきったこと』なんですからね!」
そう叫ぶと同時に――実際は時を止めている間に――咲夜はレミリアの目前に二本のナイフを出現させた。
銀のナイフが、レミリアの肩ととっさに防いだ左腕に突き刺さる。
思わず、レミリアは叫びをあげる。
しかしそれを意に介すこともなく、咲夜は第二投の構えに入っていた。
(に……逃げないと!)
レミリアは驚くべき脚力で床を蹴り、高速で低空をすべる。
通常の生物が相手なら、これでやすやすと逃げ切ることが出来るほどの速度だ。
「無駄です」
しかし咲夜が右手を振り下ろすと、レミリアは一瞬にして咲夜の約一メートル目前に引き寄せられる。
何が起こったかわからず、レミリアはただ間抜けに辺りを見回すばかりであった。
「お嬢様と私の間の空間を……限りなく小さくしました。
ほぼ、無くなったと同じぐらいに、です」
ようやく状況を理解したレミリアの顔が、恐怖に引きつる。
「たっ、助け……」
その叫びは、咲夜の世界に遮られる。
動きも、音も存在しない、灰色の世界。
その中を、咲夜は自在に動く。
「止まった時の中では、お嬢様がどんな能力を持っていても無意味……
いかにお嬢様といえども、こうなってしまえばヌケサク同然ですわ」
咲夜は、虚空からナイフを取り出す。
かと思えば、次の瞬間にはそのナイフは手を離れている。
次から次へと現れるナイフは、襲い来る拳のラッシュのごとくレミリアを包囲する。
色と、動きと、音を取り戻した世界。
そこに、レミリアの悲痛な叫びが響き渡った。
★★★
「酒ッ!飲まずにはいられないッ!」
あの出来事から丸一日。
咲夜は、荒れていた。
自室で、魔理沙からもらった日本酒を飲み干してしまうほどに。
「くっ……お嬢様は、一体何を考えているのかしら……」
あの出来事以来、美鈴はどこか咲夜に対してよそよそしくなった。
以前は、とても仲が良かったのに。
まだ恋人と呼べるほどではなかったが、そうなるのも時間の問題だったと、咲夜は思っている。
しかし、美鈴はお嬢様が咲夜にキスをしたとき、ショックを受けていた。
――あのとき、私がお嬢様のキスをかわさなかったからだろうか。
そう思うと、咲夜はどうにも遣る瀬無い気持ちになった。
咲夜は『かわさなかった』のでなく『かわせなかった』のだ。
自分だって、本当は初めてのキスは美鈴としたいと思っていた。
しかし実際の初めての相手は紅美鈴ではない。レミリア・スカーレットなのだ。
月明かりの下、咲夜は決意の表情で空を見た。
月は紅く、美しく輝いていた。
咲夜は、紅き月に向けてナイフを投げた。
ナイフは美しい銀の奇跡を描き、夜闇に消えていった。
★★★
「おーい、れみねずみやーい」
普段はあまり屋敷に響かない、独特の声。
音で喩えるなら、じっとりとか、むっきゅりとか、そんな擬音が合うだろうか。
その声の主、パチュリーは、ナイフで剣山にされたレミリアを見下ろしていた。
「だれがれみねずみか」
「じゃあ針リア・スカーレット」
「私はレミリア・スカーレットだ!間違えるな!
れみねずみでも針リアでもレミリア・ザ・ヘッジホッグでもない!」
レミリアは、ぼんやりとした口調で言う友人を、ナイフまみれになりながら見上げている。
ようやく咲夜から受けたダメージからだいぶ立ち直ったらしく、ゆっくりと立ち上がった。
胸に突き刺さったナイフを一本抜いて、床に打ち捨てた。
「まったく、なんでこうなるのかしら……」
「でも、予言どおりにはなってるみたいよ。美鈴は咲夜を避けてるみたい」
「本当!?ならチャンスね、あとは私がその隙間に入り込めば完全勝利よ!」
レミリアはナイフを抜き続けながら、目を輝かせて喜ぶ。
しかしそんなレミリアをパチュリーはジト目で見つめていた。
「そううまくいくかしらねぇ……昨日の咲夜の怒りっぷりは尋常じゃなかったし」
「大丈夫!私にはこの運命の予言があるわ!」
そういって再び本棚から例の予言書を取り出すレミリア。
懲りていないのか、とパチュリーは相変わらずのジト目でそれを見つめていた。
『仲違いはさせられたけど、咲夜の怒りを買ってしまったレミリア。
だけどレミリアはくじけません。次の作戦へ移ります。
まずは紅い月をバックに夜空を飛び!
屋敷にグングニルを二、三発連続で叩き込めば!
やったーッ!咲夜と二人っきり!チャンス到来だーッ!』
「よーし!早速やってくるわ!」
本を机に置く、というよりももはや叩きつけると言うべき勢いで手放し、
窓をぶち破って月に向かってレミリアは飛んでいった。
紅い月に向かって飛んでいくレミリア。
それだけ見れば、いい絵なのに、と思いながらパチュリーは友人を見上げていた。
「あ」
直後、咲夜の投げたナイフがレミリアに突き刺さった。
パチュリーは小さく声を上げるも、レミリアが落下していく様をただ生暖かく見守るだけであった。
★★★
「……気を取り直して!」
紅い月に向けて、グングニルをふりかざす。
吸血鬼のエネルギーが集まり、紅く輝いている。
まるでこの作戦の成功を予告するかのようであった。
十分にエネルギーが集まると、振り向きざまにまず一発、屋根に打ち込む。
紅い月光を背に受けて、さらに二発、先ほどの着弾点の近くに叩き込む。
さらに駄目押しとばかりに、もう一発、窓に向けて投げつけた。
「よし、これで予言どおりね……さあ、これでどうなるか」
仕事をひとつやり遂げたという表情で、レミリアは着弾点に向かってふわりと降下する。
もうもうと上がる砂煙に視界がさえぎられ、そこで何が起こっているのかよく分からなかったが、
やがて煙が晴れたとき、レミリアは予言の意味を理解した。
「咲夜!」
床にはグングニルのものと思われる焦げ跡がついていて、
そのそばには咲夜が倒れていた。
直撃はしなかったらしく、たいした怪我ではないらしい。
吹き飛ばされて壁に体を打ちつけた程度だ。
「……咲夜、大丈夫?」
咲夜を気遣って声をかけるレミリアだったが、内心では口の端をあげていた。
ここで自分が咲夜を介抱すれば、関係修復に一歩近づくだろう。
そうほくそえみながら、レミリアは咲夜を抱えあげた。
「……お嬢様?いったい、何を……」
「ああ、ごめんなさい……得体の知れない妖怪が侵入しようとしたのが見えたから、ちょっとぶっ飛ばしてあげたのよ」
平然と嘘をつくレミリア。
汗ひとつかかず、眉ひとつ動かさずいったその言葉は、咲夜には見破ることは出来なかった。
「鼠の排除ぐらい……私がいたしますのに……」
「私が見つけたんだから、わざわざ咲夜に頼むのも悪いかなって思ったのよ、でもこんなことになるなんて……」
ごめんなさい、ともう一度囁いて咲夜を抱きしめる。
しかしその内心では、この様子ならば咲夜は昨日のことをもうあまり怒っていないだろうかということを考えていた。
咲夜をちらりとだけ盗み見ると、穏やかな表情でレミリアを見つめていた。
レミリアの考えは完全に確信へと変わり、レミリアは頭の中で完全に勝ち誇っていた。
そのとき、突然廊下のドアが開いた。
つづけて、ドサッ、という何かが床に倒れ伏す音が聞こえてきた。
「さく……や、さん……おじょう、さま?」
「美鈴!?」
「えっ!?」
傷だらけの美鈴が、床を這いながらこちらに近づいてくる。
どうやら運悪く直撃したらしく、結構傷は深い。
「どうしたの、美鈴!?」
「あの、私……窓から月を見てたら……」
咲夜は、自分の体の痛みも忘れて美鈴に駆け寄る。
レミリアは完全に取り残され、呆然と二人を見つめていた。
「いきなり、お嬢様のグングニルが……」
それを聞いて、咲夜はレミリアのほうを見る。
レミリアは、何がなにやら分からないといった様子で呆然としていた。
しかし咲夜はそうは受け取らなかったらしい。
「……なるほど、見えましたわ、お嬢様の『真意』が……」
「え?」
咲夜はナイフを取り出し、レミリアに歩み寄る。
「『事故』に見せかけ……私を手に入れるために美鈴を排除する……
そんな卑劣なことを企んでいたなんて……」
「え、いや、違……」
無論レミリアが美鈴を攻撃したのは全くの偶然である。
しかし美鈴の話によって、全く言い訳の通じない状況となってしまっていた。
「問答無用!」
咲夜のその言葉にレミリアは時間停止を覚悟し、目をつぶる。
しかしその目は閉じることなく、暗闇はなかなか訪れなかった。
何事かと思いあたりを確認しようとしたが、首が動かなかった。
いや、そうではなく、『少しずつ』……ほんの少しずつだが、動いた。
一瞬レミリアは自分も時を止められるようになったのかと思った。
しかし、咲夜のほうに意識をやると、そうではないことがすぐに分かった。
咲夜も、異常なまでの低速で動いているのだ。
咲夜の手からナイフが離れ、それがゆっくり襲い来るころに、ようやくレミリアは状況を把握した。
時の流れが、遅くなっているのだ。
しかし、咲夜が何のためにそうしたのか……
それによって何がもたらされるのか……
レミリアがそれに気づくのは、ナイフが自分の肌に食い込み始めてからであった。
鋭い痛みに、レミリアは思わず叫び声をあげそうになる。
しかし声帯さえも思うように動かず、叫び声をあげることも出来なかった。
ナイフはレミリアの肌を裂く。
そして、刃がゆっくりと肉に食い込む。
やがて、それは骨に到達する。
……鋭い痛みを、レミリアに与え続けながら。
血が一滴、傷口から、これも異様な低速で落ちる。
レミリアはスローな時の中で、嫌が応にもそれをじっと見つめることとなった。
まだ痛む傷口を押さえようにも、腕は思うように動かない。
本来はたった一秒間ほどのことが、本当に何秒にも引き伸ばされている。
感覚だけはもとのスピードであるため、レミリアはナイフの痛みを長い長い間味わうこととなった。
しかし咲夜は一切容赦せず、次のナイフが飛んでくる。
ようやくレミリアがまともに叫び声をあげられたのは、再びれみねずみと化したころであった。
★★★
ところ変わって、薄暗い地下室。
そこでは。何の音もしなかった。
その主の性質からは考えられないほどに、静かだった。
フランドールはろくに明かりもつけず、隅で目をつぶり、ひざを抱えて座っていた。
しかし、やがてレミリアの叫び声が聞こえると、かっと目を見開いた。
「やっぱり……聞き間違いなんかじゃない。
お姉さまは苦しんでいる……!」
そうつぶやくや否や、フランは薄闇の中を駆けてゆく。
途中で唯一の明かりだった蝋燭を蹴倒し、火が消えて完全な闇となったが、
吸血鬼なので別に問題はない。明かりは所詮気分的な問題である。
そうしてやがて巨大なものにぶつかる。
「これね……いつも私の邪魔をする悪い扉は……」
フランは、自分の部屋の大きな扉に向かう。
それは人間どころか並の妖怪、いや中堅レベルでも歯が立たないほどの頑丈な扉だったが、
彼女にとってはこれが人間にとっての普通の扉程度の頑丈さなのだ。
しかしよほどのことがない限り、扉を破壊することははしない。
なぜなら『お姉さま』が怒るから。
そして今起こっているのが『よほどのこと』なのだ。
フランは懐からカードを取り出す。
「ちょうどいいわ、新しいスペルカードを試してみよう!
『チェルシー・ガール!』」
そう叫ぶと、突然、扉を殴った。
そのとき、暗闇にかすかに何か人のようなものが浮かんだ。
「ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
ダダダダダダダダダダダダ……ダンネッジャーレ(ブッ壊してやる)!」
恐ろしい速度での、拳のラッシュ。
扉の鍵は、いとも簡単に破壊される。
ここまではフランドールの能力だ。
そして、扉が『ゴゴゴゴ』と音を立ててゆっくりと開いた。
「ふぅ、こんな扉を何枚も壊さなきゃならないのね……
流石に時間がかかるわ、でも待っててお姉さま!」
フランドールは再びろくな明かりのない廊下を駆けてゆく。
そしてフランが去っていった後の扉は、元通りに修復されていた。
★★★
「うう……怖いなあぁ~……」
妖精メイドが一人、すっかり暗くなってランプの明かりのみがその場を照らすばかりとなった廊下を歩いてゆく。
「で、でも……この屋敷自体が『お化け屋敷』みたいなもんよね……
私はそんなところにいつもいるんだもの……別にへいき、へっちゃらよ……」
彼女の、自分を勇気付けるための声は、誰もいない廊下に響く。
その跳ね返ってくる声を聞かないように、さらに声を発する。
その循環で、どうにか彼女は歩いていた。
しかし彼女ははたと立ち止まる。
何か、音がしたような気がしたからだ。
立ち止まってしまったことは、彼女にとって不幸なことであった。
はたと立ち止まるときには普通声も止まるものであり、彼女もその例には漏れなかった。
つまり、『したような気がした』程度だった音を『はっきりと』聞いてしまうことになったから。
「え……なに、この音……」
ずりぃ……ずりぃ……と、何かを引きずるような音が聞こえてくる。
心拍数は上がり、『ドッドッドッドッ』という音が自分自身にも聞こえる。
はぁ、はぁという息遣いまでもが耳に飛び込む。
しかしそれは自分のものではなかった。
「だ、誰!?だれかいるの!?」
またしてもその声は空しく廊下に響く。
『ドッドッドッドッ』は、相変わらず耳に伝わる。
しばらくすると、返事の代わりに呻き声が聞こえてきた。
『……よこせ……』
そんな声が聞こえる。
グオォゥ、という唸り声らしきものも響く。
「もうやだ!早く……仕事を終わらせよう!」
そう虚勢を張って叫び、彼女は走り出す。
床は暗く、何も見えなかったが、それを意に介す余裕もなかった。
そうしてしばらく走って、後に何かにつまづいた。
「あぅっ!」
妖精メイドの声は、もうひとつの声と重なって再び彼女の耳に飛び込んできた。
思わず、後ろを振り返ってしまった。
「―-ッ!!」
自分がつまずいた、先ほどの声の主を見てしまい、声にならない叫びをあげてしまう。
それは、腕だけで這う、血まみれの少女であった。
下半身がすでに無いようにも見え、それはテケテケという妖怪を思わせる姿であった。
『血を……よこせ……』
その少女は這うのに使っていた右手を妖精メイドに伸ばす。
その手からは血が滴り、ぴと、ぴとという水音が不気味に響いた。
「い―――――や―――――!」
妖精メイドは、一目散に駆けていった。
途中で何度も転んだ。
しかしそれでも走るのをやめない。
「ああっ!?ちょっと待って!血じゃなくてもいいから!この際トマトジュースでも我慢するから!」
今度は、レミリアの叫びが空しく廊下に響く。
「……なにやってんの」
くりっくりのロリータボイスの反響がやんだころ、むっきゅりボイスが静かに小さく響く。
「あぁっ!パチェ!たすかったわ、何か食べ物を頂戴!出来れば血を!」
「あら残念、いまトマトジュースしかないわ……」
「う…………いいわ、飲んでやるわよ!」
「うそうそ。ちゃんとブラッドジュースを持ってきてるわよ。だからそんなに涙目にならないで」
パチュリーがビンを差し出すと、レミリアは奪い取るようにしてそれを手に取り、一気に飲み干した。
するとみるみるうちにぼろぼろだった下半身が再生していき、すぐに立ち上がれるようにまで回復した。
「ありがとう、パチェ……」
「いえいえ、どういたしまして『涙目のレミィ』」
「通り名みたいにしないでよ!」
それだけ叫ぶと、疲れきったレミリアは肩を落とした。
「はぁ……予言通りにしたはずなのに……『チャンス』どころじゃなかったわ……
そうしてこうなるのかしら……」
「……レミィ、あなた、何発打ち込んだ?」
「え?」
レミリアは目を丸くしてパチュリーを見返す。
「だから、グングニルよ。何発屋敷に打ち込んだの?」
「……えーと、まず一発、そして二発打ち込んで……あ、ダメ押しにもう一発叩き込んだわね……てことは四発ね」
「それよ」
何がなにやらという様子で、レミリアは相変わらずパチュリーを見ていた。
パチュリーは軽くため息をつく。
「……いい?予言には、『二、三発』って書いてあったのよ?
で、あなたは『四発』でしょ?」
「……あっ!」
レミリアはようやく状況を飲み込んだらしく、情けない表情で声を上げる。
「……しかもね、『四』ってのは縁起の悪い数なのよ。いいことなんかあるわけがないわ。
私の小悪魔だってそれに気を使ってNo4はいないし」
「え、小悪魔?そんな何匹もいたかしら?」
「なに言ってるの、私の小悪魔はNo1、2、3、5、6、7の六人よ
それに匹って言わないで、ペットじゃないんだから」
「え、あ、ああ……とにかく、次はどうすればいいのかしら……」
「とりあえず、もう寝なさい。血を飲んで回復したとはいえ、まだまだ損傷は大きいはずよ」
「ああ、そうね……じゃあ、おやすみ」
月の光は、レミリアを再び紅く染める。
しかしせっかくの紅い月も、カリスマあふれるときならまだしも、今のふらふらと歩くレミリアには何の恩恵もなかった。
そんなレミリアを、パチュリーはただただ見守っていた。
★★★
翌日の朝。
咲夜はまだ憂鬱な気分を引きずっていた。
「はぁ……夢の中でまで、美鈴によそよしく接されるなんて……」
あの出来事のあとも、そしてその夜の夢の中でさえも、美鈴の態度はよそよそしいままであった。
咲夜が、倒れた美鈴を介抱しても、礼もそこそこに美鈴は寝室へと消え去っていたのだ。
朝食のチョココロネを齧りながら、ため息をつく。
「美鈴……甘いものあげたら、喜ぶかしら……
別に食べ物で釣るってわけじゃあないけど……」
もくもくとコロネを頬張り、最後の一口を飲み込む。
ついでそばにおいていたレモンティーを飲み干す。
しかしまだ満ち足りないので、二つ目、三つ目と手を伸ばす。
ようやく食事が終わると、咲夜は寝巻きからメイド服に着替えて外に出た。
仕事を始めると、朝の陰鬱な様子はどこへやら、いつもの瀟洒な従者の姿がそこにあった。
彼女はいまだにレミリアを恨んでいたが、仕事に私情を挟むことをよしとしなかったのである。
しかしよく見ると、時々、ほんの時々だけ、上の空になるときがある。
その従者のわずかな変化に気づくのは、レミリア、パチュリー、そして美鈴だけであった。
そうして昼食の時間も過ぎ、三時になる。
咲夜はいつもどおりレミリアにお茶を出し、そしてすぐにその場を去った。
美鈴の元へ向かうため。
「美鈴」
「!」
背後から声をかけられた美鈴は、僅かにすくみ上がる。
そうしてゆっくりと咲夜のほうを振り返った。
「あ……咲夜さん……」
「門番、お疲れ様。ヴァニラアイスでもいかが?」
明らかな作り笑いが、咲夜の目に飛び込んできた。
一瞬だけは、いつもの笑顔を見せてくれたのに。
「ありがとうございます……いただきます」
「……どうぞ、召し上がれ」
なんとか、二人はこれだけは言った。
これを最後に、あとはただ沈黙が場を支配するのみ。
せめて相手の瞳を見つめようとするも。
耐えられずに、目をそらしてしまう。
先に、挨拶の言葉だけを発してその場を去ったのは美鈴のほうだった。
本当は咲夜は呼び止めたかった。
しかし何を言って呼び止めればいいのか。
まったく思いつかなかった。
美鈴もそうだったのだろう。
見えているのに、確かにそこにいるのに、伝えられない。
まるで心にガラスの壁を張られたかのようであった。
「くうぅっ!」
咲夜は、叫びたい気持ちを抑えて、握りこぶしに力を入れていた。
そして思わず走り出していた。
みじめで、苦しくて、寒くて……
これほどまでに落ち込む気持ちは、初めてだった。
それと同時に、自分は美鈴を本当に好きなのだということを、再認識した。
咲夜は、誰もいないところまで走って、一人でたたずんだ。
そして、少しだけ泣いた。
★★★
「うわあぁぁん!あんまりだあぁぁぁ!さくやにきらわれたぁぁぁ!」
一方レミリアは、友人の前で無様に大泣きしていた。
「いやだあぁぁぁああぁぁぁ!!」
「……『適応機制』の『退行』ってやつね。レミィにまだ退行の余地があったとは驚きだわ」
パチュリーがさりげなく毒づくが、レミリアはそれどころではないらしい。
しばらく暴れ、地団太を踏んで、ようやくおさまる。
「あー、スッとした。やっぱりつらいときは泣き喚くに限るわね!」
「いまの、思いっきり素よね?」
パチュリーの言葉には耳を貸さず、レミリアは声を張る。
「さて!次の予言を見てみましょうか!」
「……はぐらかしたわね」
『レミリアはまたまた咲夜に嫌われた!
とっても悲しいけど、くじけちゃダメだよレミリア!』
「そうよね、そうこなくっちゃ!」
『そこでレミリアは咲夜が一人のときを狙って、仲直りをしにいった!
でも大変、ちょうど美鈴が現れた!』
「え……で、それで!?」
『それでもがんばってレミリアは関係を修復しようとする!
そして……』
「『そして』……なに!?なんなの!?」
レミリアは本を床に置いて、正座して待つ。
しかし十秒経っても、一分経っても、いったん本を閉じて十分待ってもその先は現れなかった。
「どういうこと……?たしかにこの予言は近い未来しか予測できないけど……
それにしたって、近すぎよ……?」
「危なそうなら、やめておきなさい。どうなってもしらないわよ」
パチュリーの忠告もあり、レミリアはしばし悩んだ。
しかしレミリアは考えるのをやめた。
今考えるべきは、どうやってこの予言を再現するかだからだ。
「よし!じゃあ、作戦を練ってくる!」
そうしてレミリアは、自室へ走っていった。
パチュリーはしばらく、その姿をただ黙って眺めていた。
「レミィ……あなたはもう、まともじゃないわ
やっぱり、止めてあげるべきだったのかしら。咲夜……ごめんなさい
いなくなったレミリアのいた場所へ、パチュリーは歩いていく。
そしてレミリアの予言の本を拾い上げた。
「それにしても、この予言……いや、まさかね……」
そうとだけつぶやき、軽く本を投げ置いた。
★★★
その夜。
「はぁ……」
咲夜は、誰の目に明らかな落ち込みようで廊下を歩く。
その目は遠くの灯りを感じるのみで、ろくにあたりも見えていない。
もっとも、こんな時間に起きている妖精メイドなどほとんどいないので、ぶつかりうるものはない。
「はぅっ!?」
などと油断していたのかどうかわ分からないが、咲夜は壁のランプに頭をぶつけた。
咲夜はきょろきょろと辺りを見回す。
確認した範囲には誰もいなかったものの、暗闇の向こうから足音が聞こえてくる。
それも、ふたつ。
「あら、咲夜じゃない。こんなところでどうしたの?」
暗闇から、その姿を目視できないうちに声が聞こえる。
その直後、レミリアが姿を現した。
レミリアは、ゆっくりと咲夜に歩み寄ってきた。
あれだけのことをしておきながら、しれっとレミリアは咲夜に話しかける。
そのこと自体が、咲夜に怒りの感情を蓄積させていった。
「いえ……なんでも……」
しかし、腐っても相手は主人だ。
メイドとして、怒りをあらわにするわけには行かないと、咲夜はそれを抑えていた。
咲夜の心の制御は、かなり完璧に近いものであったのだが、
それでも何かしら表面に表れてくるものがあったらしく、それにレミリアはひそかに怯んでいた。
しかしそれでもレミリアは表情を変えなかった。
そうして何も言葉を発せないまま、二人は見合っていた。
後ろのほうの足音にも気づかずに。
「あっ……!」
後ろで何者かが小さく声を上げたのは、二人ともが聞き逃さなかった。
「美鈴!」
咲夜が振り向いたとき、もうすでに美鈴は駆け出していた。
「待って、美鈴!」
頭で考える前に、咲夜も美鈴を追っていた。
美鈴以外のすべてが、視界から、意識から消し飛んだ。
咲夜は、ただただ美鈴を追う。
今咲夜が考えていることはただ一つ。
『ここで美鈴に追いつけなかったら、すべてが手遅れになってしまうだろう』ということだけだった。
「……さくや……」
レミリアは、またしても廊下に取り残された。
咲夜は、やはり美鈴を想っているということを強く感じさせられ、
もう動くことが出来なかったからだ。
「……もうやめましょう、レミィ」
「パチェ、いつの間に!?」
いつの間にやら、パチュリーがレミリアの背後に立っていた。
「いい加減、咲夜の気持ちも考えてあげなさいよ……
咲夜がどういう想いを抱いているか、あなたでも分かるでしょう?
これでも分からなかったら、まさしく『ド低能』もいいところよ」
「う……ひ、酷い言い草ね……」
「しかたないじゃない、脳のないあなたには『クサレ脳ミソ』なんて言葉使えないもの」
「いやそっちのほうが酷いよ!?」
いつもの調子で突っ込みを入れるレミリア。
しかし突然うつむき、何かつぶやく。
「でも、予言は出たんだ……予言どおりやれば、私に有利になるはずなんだ……」
「……レミィ?
あなた、最近おかしいわ……一体どうしたの?」
パチュリーの言葉に耳を貸すこともなく、レミリアは走り出してしまった。
「待って、レミィ!……駄目、速すぎる……
あの予言の意味するところが、私の思ったとおりでなければいいんだけど……」
パチュリーは、長い長い廊下の先にレミリアが消えていくのを、ただ見ていることしか出来なかった。
★★★
美鈴との距離が、目に見えて離れていく。
二人の相対加速度も、少しずつ大きくなっているのが分かる。
人間である咲夜よりも、やはりどうしても妖怪である美鈴のほうが身体的に勝っているのだ。
咲夜は、時を止めることも忘れて美鈴を追う。
しかしそれも空しく、どんどんと距離は離れていく。
それは、まるで二人の心の距離までどんどん離れていくようで。
だんだんと咲夜の精神を痛めつけていった。
そうして、かなり遠くの美鈴を追って、十字路に差し掛かったとき。
決定的な絶望が咲夜を襲った。
美鈴を、見失ってしまった。
ヤマをはって、右か左か、それとも正面かを選べば、もしかしたらまた美鈴を見つけることができるかもしれない。
しかし咲夜にはもうそんな気力は残っていなかった。
「咲夜ー!」
そんな折、レミリアがようやく追いついてきた。
こんな心境のときに、その元凶が現れた。
それで咲夜はどうなってしまうのか。
「……お嬢様!」
そう叫んだときには、すでにナイフは咲夜の手から銀の光線となってレミリアに突き刺さっていた。
「え……な、何……を……」
「こんなことになっても、まだ私に付きまとうんですか?
貴女の所為で、美鈴は私から離れていってしまった……
今度はもう、徹底的にお仕置きをさせてもらいますわ!」
スペルカードを宣言すると、咲夜は大量のナイフを投げる。
レミリアには、ナイフを投げる咲夜の手が何本にも見えた。
「ぐああああぁぁっ!!」
鋭い痛みが、レミリアを襲う。
この前のは『徹底的』じゃなかったのかよ。
レミリアはそんなことを考えていた。
しかし、レミリアが同時に思うことは、それにしてはあまりにも軽すぎる、ということだった。
時を止めてナイフで取り囲むというものでもなければ、
時をスローにしてゆっくりとした痛みを与え続けるというものでもない。
咲夜の怒り具合に対して、この『報い』が軽すぎるのだ。
そう思っているうちに、咲夜はレミリアに近づいていた。
「ふふ……なるほど、その表情からすると、お嬢様はこう思っていらっしゃる……
『今の咲夜が、これで終わらせるわけがない』……そのとおりでございますわ」
いままでに、レミリアさえも見たことのない意地の悪い笑みを、咲夜は浮かべた。
「でも、『これから何をするのか』……なんてことは考えなくても大丈夫ですよ。
……お仕置きは、とりあえずは完了しましたから」
何のことだ、という問いかけは、苦痛の叫びに取って代わられる。
レミリアに再びナイフが突き刺さったのだ。
しかも、先ほどと全く同じ位置に。
「え……な、なんで……」
先ほど刺さったナイフは、いつの間にか消えている。
そこに突き刺さっているのは、いま飛んできた分だ。
さらに奇妙なのは、ナイフの刺さったところから血が一滴も出ていないことだ。
痛みだけは確実にレミリアに伝わり、それはうめき声となって口から漏れ出る。
「気づきましたか?何が起こっているのかを……」
咲夜がそう言うころ、レミリアはようやく自分が何をされたのかを理解した。
突き刺さったナイフが、一本、二本と抜けていく。
刺さった傷口も、元通りふさがっていた。
しかし痛みの余韻だけは、レミリアの精神を蝕んでいた。
テープを巻き戻したかのような動きで戻っていったナイフが、そのまま再生したようにレミリアに向かってゆく。
先ほどはナイフが消えたのではなく……もともと刺さっていたナイフが再び刺さったのだ。
そうして、何度も同じ場所を往復していた。
「あぐ……うう……」
「そのナイフの『時』を……巻き戻しました。
巻き戻して、また再生する……その繰り返しです。
お嬢様、あなたは『ナイフを突き刺され』『痛みを感じる』……
しかしその先には決して行くことはありません。
……どうやら、この様子じゃ聞こえていませんね」
レミリアは、延々と繰り返される鋭い痛みに、ただただ叫ぶばかりであった。
身をよじり、転がってナイフを避けようとするが、ナイフは依然同じ箇所を狙って飛んでくる。
「さて……本来ならこれぐらいで許すつもりでしたが……
どうやらこんなものでは『つけ』は払いきれないようですね……」
「う……うぐぐ……ぐっ!?」
ナイフを食らいながらも、レミリアは地を這い回る。
何とか逃れようと、必死に抵抗する。
苦し紛れに、グングニルを一発投げた。
それは咲夜を直撃したが、それにも屈さず咲夜はキッとレミリアを睨みつけた。。
「無駄です……その姿、見苦しすぎます……最後のフィニッシュです!」
咲夜は、レミリアの胸ぐらをつかみ、投げ上げる。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無
駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無
駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
YYYYYYY無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無
駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄…………
無駄アァアアアア!!!」
最後の一撃で、レミリアは天井を破って飛び出す。
それを追って、先ほどのナイフも飛んでいった。
「今度はこの前の逆……お嬢様と私の間の空間を大きくしました……
そして、お嬢様は吹っ飛んだ……」
咲夜はレミリアに背を向け、手をぐっと握る。
「さて!今からでも遅くないかもしれない!美鈴を探さないと!」
★★★
美鈴は、階段を下りていた。
紅魔館の玄関口の見える、大きな会階段。
その真ん中で、ようやく咲夜を振り切って、一息ついていた。
「……咲夜さん……」
その胸に手を当てて、ゆっくりと呼吸をする。
しかしその胸の痛みは和らぐことはなかった。
本当は逃げたくなんかなかった。
咲夜としっかり向きあいたかった。
しかし、それは許されないことだと思ったのだ。
逃げなくては、その気持ちと一緒に、捕まえてしまってほしい、そんな気持ちもあった。
それで、実は先ほどは全力で走ることはできていなかった。
それでも咲夜は自分に追いつけなかった。
妖怪と人間の差というものは、これほどまでに大きいのか。
それでも……
「美鈴!」
美鈴の体が強張る。
そうして、ゆっくりと振り向いた。
「咲夜さん……」
月明かりに照らされて、ひそかに待ち望んでいた人物が現れた。
そのふたつの瞳は、しっかりと美鈴を見つめていた。
「どうして……?どうして逃げたりするの?」
「…………」
美鈴は、答えることができなかった。
なにも、言葉が出てこなかった。
「言わないのなら、それでもいいわ……
でも、聞いて。私は……あなたが好き」
「……!」
美鈴に、明らかな表情の変化が見られる。
なにか、複雑なものを秘めた表情に変化した。
そして美鈴は咲夜に背を向け、ようやく口を開いた。
「……でも、お嬢様は、咲夜さんを……
だというのに、私なんかが、そんな風に思われて……」
「美鈴っ!」
ホールに、咲夜の声が響く。
その声は美鈴にも何度も響き、美鈴の言葉はそこで止まる。
美鈴は、ゆっくりと咲夜のほうを振り返る。
ちょうど階段が、踊り場になっているところであった。
「お嬢様なんて関係ないわ。私は『あなた自身の』気持ちが聞きたいの。
……美鈴、もしあなたが少しでも私を想ってくれているのなら、その階段を一歩のぼって。
でも逆に、そうじゃないって言うんなら……階段を下りて。そうしたら、私はあなたのことを忘れるわ」
咲夜は、美鈴をまっすぐ見つめていた。
彼女の緊張が、美鈴に伝わってくる。
美鈴もまた、咲夜をじっと見つめていた。
その瞳が一体何を見ているのか、咲夜は考えていた。
少しの間の静寂。時間にして五秒ほど。
美鈴はようやく口を開いた。
「咲夜さん……私、お嬢様が怖かった。
あれだけの力を持つ吸血鬼だし、それに私の雇い主でもある……
だから、私は屈服した……咲夜さんをあきらめた……でも!」
美鈴は、スリットからのぞく足を、宙に浮かせた。
「咲夜さん、好きです!」
力強く、確かに一歩、美鈴は足を踏み出した。
その次の瞬間、美鈴は階段の上にいた。
そこにいる、咲夜の腕の中に。
一体何をされたのか、美鈴は一瞬分からなかった。
咲夜の能力はよく知っているから、すぐに結論は出たのだけれど。
頭がどうにかなりそうだった。
もう叶うことはないと思っていた望みが、思わぬところで叶ったのだから。
「美鈴、好きよ……美鈴」
「咲夜、さん……」
お互いの名前を、呼び合う。
二人は、しばらくのあいだ、ずっと抱き合っていた。
ずっとすれ違っていた想いが互いに伝わった喜びで、二人の胸は満ちていた。
咲夜が美鈴の頭に手を回し、美鈴の瞳をじっと見つめた。
美鈴は何も言わなかったが、微笑みでそれに応える。
二人の瞳は、限りなく近くなり、髪がふわりとほほに当たった。
★★★
さて、ぶっ飛ばされたレミリアがどうなったかというと。
「ああ……ようやく放物線の頂点ぐらいかしら……」
まだ、空を舞っていた。
その翼を使うことができれば、抵抗することもできたのだろうが、
すでに精神をぼろぼろにされているレミリアは、考えるのをやめていた。
すると、背後から何かが高速でぶつかってきた。
「あややや?何かに当たった?」
ぶつかった何か……文は、こっちを振り向きはしたものの、
幸か不幸か、レミリアは下向きに吹き飛ばされたらしく、
森に向かって急降下し始めていた。
そして、森の中の家に着弾した。
「あいたたたた……」
もうもうと上がる煙に、視界がさえぎられる。
やがてそれが晴れると、人形たちが一様にこちらを見ていた。
ひっ、と小さく叫び声をあげる。
人形の恐怖に、もはや突き刺さるナイフの痛みなどあまり感じていなかった。
辺りをゆっくり見回す。
夜中の薄暗い中の人形というものはとても不気味で、レミリアはますます怯えた。
その中に、なにやら見覚えのあるものを見つけた。
「なに……これ……白黒?」
あの、いかにも魔法使い的な帽子。
かわいらしい白黒の衣装。
ある程度デフォルメはされているものの、まぎれもなくこれは魔理沙の人形であった。
「あら……見てしまったのね……」
その声に、レミリアの背筋が凍る。
まるで先ほどの咲夜のような、鋭く突き刺さる声。
関節のすべりが悪くなった人形のように、レミリアは後ろを振り向く。
そこには、世にも恐ろしい笑顔のアリスがいた。
「生かしておくわけには……いかないわね……」
もはや、人形の恐怖など比較にならなかった。
アリスの動きはゆっくりとしていたが、それがますます恐怖を煽った。
アリスはスペルカードを取り出す。
そして宣言をすると、一体の人形が現れた。
見ただけで分かるほどの、大きな魔力のこもった人形が。
ふわりとした動きでレミリアに近づき、その両手に魔力を溜める。
「食らいなさい、私のスペルカードを……!」
「ぎゃああああああああ!」
魔力弾をもろに食らったレミリアは、再び吹っ飛んだ。
吹き飛ばされながら、レミリアは思った。
あの白黒の形をした人形は一体何に使うのか、と。
しかしアリスの家から弾き出された今となっては知るよしもなく、ただ飛んでいくだけであった。
ようやく魔力弾の痛みから立ち直り、ナイフの痛みにも再び慣れてきたころ、
自分の飛ばされている方角に気づいた。
「あれは……迷いの竹林……」
飛ばされながら、その先を確認していると、レミリアはぞっとした。
「ふ、藤原妹紅じゃない!?く、くそっ!
こんどは、何がまってるの?わ、私に……私に近寄らないで!」
そう願うも空しく、というか正確にはレミリアのほうが勝手にぶっ飛んできているだけなのだが、
レミリアと妹紅の距離はどんどん縮まっていった。
「輝夜……とうとう決着がつくときが来たようだな」
妹紅の目の前には輝夜が膝をついている。
「ぶっ飛べえぇぇ!」
「ぐぇっ!?」
妹紅は止めとばかりに、全体重をかけて殴り飛ばす。
「よしっ!勝った!」
「残念、それは私じゃなくていきなり飛んできた何かよ。
なんなのかは結局わかんなかったけど」
「なにっ!?」
さて、吹っ飛ばされた『いきなり飛んできた何か』レミリアはというと。
「あー畜生、なんで行く先々でボコられる……」
あまりにも痛めつけられすぎて、もはや叫ぶことさえ忘れてしまった。
そうして再びレミリアは放物線を描く。
――その放物線の先に目をやると、見覚えのある紅い屋根。
ああ、私はあと何回吹き飛ばされるのだろうか。
あと二回?三回?十回?もしかしたら永遠に?
次は誰に吹き飛ばされるのだろうか。
咲夜と美鈴?パチュリーと小悪魔?意表をついて雑魚メイド?
次はいつ吹き飛ばされるのだろうか。
十秒後?二十秒後?意外に一分ぐらい猶予があるかもしれない。
うすぼんやりと、レミリアはそんなことを考えていた。
いまだにナイフは追いすがってくる。
咲夜はまだレミリアを許してくれていない。
もはや体のどの部分が、何によって痛んでいるのか分からない。
丈夫な吸血鬼の体でも、流石に骨は折れているのだろうか。
薄れ行く意識の中、レミリアは自分が紅いものにぶつかったことだけは感じていた。
★★★
目を覚ますと、意外。
そこにいたのはフランドールであった。
状況を確認しようと目だけを動かすと、見慣れた紅い家具。
肌に感じるのは慣れたベッドの布。
どうやらここは自室らしいことをレミリアは確認した。
痛みはもうすでになく、まるで先ほどの出来事が夢のように感じられたが、
右掌に残るわずかな痛みと、天井に開いた穴がそれが真実であることを示していた。
体を起こして、レミリアは妹の姿を確認してみる。
その瞳に映るフランは、姉が起きたことにも気づかずに、必死にタオルをしぼっていた。
先にフランに意識がいっていて気がつくのが遅れたが、レミリアの額には濡れタオルが乗っていた。
どうやらフランが乗せてくれたものらしい。
タオルがようやく絞り終わったらしく、フランはレミリアの方へ向きを変える。
「……あ、お姉さま!起きたのね……」
レミリアが起きたことにようやく気づいたフランは、嬉しそうに手を握る。
しかしそれは一瞬の間で、すぐにフランは手を引っ込めて膝に置く。
「……?どうしたの、フラン?」
「あ……お姉さま、ごめんなさい……」
フランが突然謝ったことに、レミリアは内心ひそかにうろたえていた。
謝った、というそのことそのものよりも、それから感じる嫌な予感に。
フランの力の強さは、誰よりもレミリア自身がよく知っているつもりだ。
だから、その能力の持つ可能性の大きさもよく知っている。
「今回の事件……たぶんだけど、私が原因なの」
「…………」
レミリアはあまり露骨には驚かない。
予測していたためか、フランの言葉そのものにもそれほど驚きはなかった。
「この前、お姉さまに会いに行ったとき……そこに咲夜もいたよね?
それを見たとき、なんだか嫌な気分になって……
そうしたら、なにか糸のようなものがお姉さまと咲夜のあいだに見えて……
それを、切っちゃったの」
ぽつりぽつりと、フランは言葉を発する。
「パチュリーの話によると、私が糸を切ったときとお姉さまがおかしくなった時期とがほぼ一致するんだって。
……たぶん、私が切ったのは、咲夜との運命の糸とか、そんなのだと思うの……
これは推測でしかないんだけど、それを切ると、お姉さまと咲夜を仲違いさせる方向に運命が動くんだと思うわ」
この説明で、レミリアは確信した。
フランの能力は、成長しているということを。
フランの能力の成長。
それは、レミリアが最も待ち望んでいたことであり、最も恐れていたことであった。
彼女の能力は、『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』。
この能力を拡大解釈すれば、無形のもの――たとえば心、愛、憎しみ、絆――そんなものも破壊できる可能性がある。
無論、そんなことは今までのフランにはできなかった。
しかし、恐らく先ほどフランが述べた『嫌な気分』がきっかけで、それができるようになったのだろう。
では、逆に、レミリアが望んでいた成長とはどんなものか。
『破壊』の逆、『回復』の能力である。
無論はっきりした原理は全く予想できず、『そうなればいいな』程度のものであった。
だが、フランの能力は『目』を握りつぶすことによる破壊なのだから、
その『目』を何らかの『ツボ』に変えれば、不可能ではないかもしれない、とレミリアは考えていた。
「……そういえば」
「え?」
「私、ボロボロだったはずだけど……もしかして、フランが治してくれたの?」
「う、うん」
これではっきりした。
レミリアの予測した能力を、フランは両方とも発現させていることを。
レミリアがその能力について聞きたげな目で見つめていたことにフランが気づき、再びフランは口を開く。
「えっとね、これができるようになったのは、この前うっかりドアを壊しちゃったときなの。
そのとき、お姉さまに怒られちゃうなって思ったら、いつの間にかドアが直ってたの」
あ、あとね、咲夜のナイフが何度も何度もお姉さまに刺さっていたから、
止めてって念じてキュッとしてみたらそれも解除できたの。
なんか、お姉さまのことを考えたときにこういうことができるみたい。
いま、スペルカードとして使えないかって、頑張ってみてるところなんだけどね……」
そこまで喋って、フランは言葉を止める。
「あ、お姉さまに謝らなきゃいけないのに……ごめんなさい、喋りすぎちゃった……」
うつむいて、フランは謝罪の言葉を口にする。
おもむろに立ち上がり、フランは扉に向けて二、三歩歩いて再びレミリアのほうを振り向く。
「もう、私、地下に戻るね……当分、いや、二度と出てこないわ……ごめんなさ……」
フランがその言葉を言い終わる前に、レミリアの体は動いていた。
フランの唇に人差し指を当てて、言葉を中断させる。
「いいのよ、フラン。……いや、違うわ、むしろ謝らなきゃいけないのは私のほう。
あなたがこんな風になるまで、姉である私が気づけないなんて……」
レミリアは、フランをやさしく抱きしめる。
少しだけ背の低いフランの髪が、レミリアのほほに当たる。
突然のことにフランはバランスを崩したが、レミリアはそれをしっかりと支える。
「……それじゃあ、私を、許してくれるの?」
「ええ。フランは、今も昔も大切な妹……それはずっと変わらないつもりだったけど……
大切にしかたを間違えてしまった……その報いが来ただけ、当然のことよ」
レミリアは、フランの頭をやさしく撫でる。
「お姉さま……ありがとう……」
フランはそのままレミリアに体重を預ける。
レミリアはそれを支えるためにしっかりと抱きしめた。
しばらくすると、規則正しい呼吸が聞こえてくる。
「あら、寝ちゃったのね……そっか、私をずっと見ててくれたものね……
……傷が治ってるのに、何で冷やしてたのかは分からないけど……たぶん、必死だったのね」
フランをそのままお姫様抱っこで抱えると、ゆっくりベッドに運ぶ。
「ありがとう、フラン」
シーツに下ろし、そっと耳元で囁くと、自分もフランの隣で横になる。
そうして、再び眠りについた。
『そして……レミリアはナイフに刺されました。
レミリアはナイフに刺されました。
レミリアはナイフに刺されました。
レミリアはナイフに刺されました。
レミリアはナイフに刺されました。
レミリアはナイフに刺されました。…………
でも、妹が助けてくれました。
姉を想い慕う、愛の力で。』
>私の小悪魔はNo1、2、3、5、6、7の六人よ
この発想に吹きました。
別にパロが悪いのでもありませんが、ジョジョネタはありがちな上に、
知らない人には何か無駄に鬱陶しいだけ、とも取られかねませんし、
その場合、どの科白がパロでどれがそうでないのか区別がつかなければ、
感想も言い辛くなる気がします。
とりあえず、泣き虫だけどいざという時には大活躍な番号の小悪魔一人下さって変化した!?
ちょっとぐだぐだ感があったかな
館の外に吹き飛ばされた後とか
フランちゃんはやっぱりかわいいな。
てめぇは俺を怒らせた
東方Projectのファンの中には、おふざけをあまり好きとしない人達がいます
例えば、「咲夜PAD説」「ドナルド信者」等ですか
それで、咲夜を好きな人の中には、そういうのを好まない人がいるかもしれません
フランドールも同じく、です
まあでも、作者さんはルールを破っているわけではないですから、これ以上は
私も荒らしと思われてしまいますので、黙ります。
作品そのものに対してですが、私はジョジョを知っているので、なかなかにその小ネタを
交えつつ話ができているなぁ、と思いました。結構面白かったです
自分はジョジョネタ大好きなので面白かったです
だがこれだけは言わせてもらおうッ!
俺は大好きだァーッ!
それと最初に「これはディープなジョジョパロです」 って注意してあるんだから知らねぇ奴ぁ何も言う権利はねぇと思うんだ。そいつが悪い。
点数はネタを抜きにした点数だ。
先に言ってる人もいるが、これならネタに頼らずとも良い話が書けると思う。
これからも応援させてもらうよ!
>>11てめーは俺も怒らせた
でも詰め込んだ分話が長く少しテンポが悪かったかなとも思いました
人に「パロディ」を使おうとするって事は、
逆に「パロディ」で返されるかもしれないという危険を、
常に『覚悟して来ている人』ってわけですよね…
って訳で面白かったけど、何人も書いてあるようにパロディにする必要はあったのかね?
それにしてもよりにもよって一番使えないスタンドとはおぜうさま涙目。
使いやすい適当なシーンをパロディに使うだけでは創想話のコメンターには勝てんよォ――!
ちょいとキツめのコメントも多いようですが、昔の人は言いました。
北風はバイキングをつくった。
本当にツマラナイ作品には皆コメントしないぜ。
そのせいかどうかはわかりませんが、話の本筋の方がちょっと弱いかなとも思いました。
あとナンボ中国との恋路を邪魔されたからと言って、咲夜がレミリアに敵意を持つのかなと。
基本的に二次創作って原作を前提にやるべきだと思ってるんで、ちょっと違和感ありました。ぶっとんでるのも、それはそれで面白いんですけどね。
あ、ジョジョはあんま詳しく知りませんが、そこそこ楽しめました。
テーマが恋愛じゃなければもっと面白かったかもなとは思う。
パロが少し無理やりというかそんな印象を受けました。
それだけなら良いだろうがこれはひどくないか?
>フランは、闇で見えないが確かにそこに存在する扉に向かう。
吸血鬼が暗闇で目が見えないって致命的過ぎだろ。例えるなら水中で呼吸が出来ない魚
夜の王と呼ばれる吸血鬼が自分の支配下で視覚を奪われるって…
まあJOJOファンとしてたのしめたしいいですけど。
それに冒頭にパロと書いてあったが知らなくても十二分に楽しめたし
長さとしても丁度いい位で情景も難なく把握できた。
ただちょっと『お仕置き』の描写が苛烈なのと
少々ヘタレミリアが過ぎたかな、と思う位で
そこまで目立った欠点はないように見えるが…なぜ酷評されてる?
とりあえず作者にはめげずに再度、面白い作品を見せてくれることを願う。
SSなんですから、バロディもキャラ崩壊ありかと。
作者さんGJです。
これならパロディー無しのガチで書いていたら、もっと良かったかも…と思ったり。
いえ、JOJOは好きなんですよ、個人的にも。でもちょっと勿体無いかな、と思っただけです。
個人的には面白かったのでこの点で。
あぁぁぁぁぁぁああああああんまりだああぁぁぁあぁぁぐらいにしてほしかった
しかしフランちゃんがまさか「この世の何よりも優しい能力」に目覚めるとはな……やれやれだぜ。