「――諸君、幻想郷に生きる者達は、我等優良種である闇の血族によって管理運営され、はじめて未来を手にすることができるののだ!」
物事の始まりはきっと、本当に単純なことなんだろう。
あの日少しでも早く起きていれば、とか。
あんな場所にいかなかったから、とか。
たったそれだけで世界はくるくる変わる。
「その事実を無能なる者どもに思い知らせるために、幻想郷の輝かしい未来のために、我等が何をするべきかっ!」
輝くシャンデリアの上に立つ少女は、漆黒の翼を広げて傘下に集う者たちを見下ろす。少し前までは、何故呼び出されたのかがわからず。戸惑いや不安や期待、様々な感情が入り混じった顔が並んでいた。
しかし、少女が言葉を紡ぐたび、その顔色は変わる。
少女が腕を振るうたび、高く拳を突き上げる。
圧倒的な魅力を誇る主の声に、心すら打ち震える。
「立てよ、領民! ジーク・スカーレット!」
『ジーク・スカーレット!』『ジーク・スカーレット!』
『ジーク・スカーレット!』『いえす、まい、まじぇすてぃ!』
狂ったように一つの言葉だけを繰り返し、腕を振り上げ続ける翼を持つメイドの群集。それはまるで大きな波のようであり、少女の力の象徴でもあった。
「首尾は?」
「上々です、パチュリー様」
そんな中、少女の直属の部下である二人は、部屋の隅で静かに視線を交わす。彼女たちにできるのは、偶然によって呼び込まれたこの事態の先を永遠に幼い主の側で見据えることと。
「……青と白のストライプね」
「いい色でしょう?」
主のスカートの中を見つめることだけだった。
そして、二人の目の前。振り上げた拳の勢いを消さぬまま。
妖精メイドたちは我先にと門を開け、空高く舞い上がる。
幻想郷暦-00XX
第二次紅魔館異変の幕開けである。
誰もが予期せぬ瞬間に起きたその事件は瞬く間に広がり、周囲を紅に染め上げていく。弾幕を教育された妖精メイドたちの戦力は他の妖精を圧倒しており、大妖精やチルノに迫る勢いであった。いや、通常弾幕のみであれば、妖怪に勝るとも劣らない。
「妖精? こんなところになんで妖精が、うわ、うわぁぁっ!」
並の妖怪ではその圧倒的な物量差を引っくり返すことができ、次々に倒れていく。そして妖怪に敗れたことで精神的な苦痛を受けた妖怪たちは弱体化し、紅魔館の配下と成り下がる。精神的な存在の弱みというところか。
「……手強い妖精という存在がこれほど厄介だとはね」
妖精はそこに自然があり続ける限り、存在し続ける。
敗北しても敗北しても、すぐに蘇り襲い掛かってくる軍勢に、幻想郷の大賢者ですら舌を巻くほどであった。
「鉄壁『ナインテイルシールド』がなければ危なかった」
「あの、紫様、凄く尻尾が痛いんですが……泣いていいですか? ああ、橙も引っ張らないようにね、本当に泣きそうだから」
主のために身を投げうつという、献身的な犠牲。
その上に立つ紫は、『紫様が無事でよかった』ときっと心の中で号泣している愛らしい式を盾にすることで、なんとか第一波を食い止め。
「ですから、境界を使って妖精を送り返せばいいじゃないですかとあれほど言ったのに、たまに体を動かしてみたいとおっしゃったのはどこのどなたでしたかね?」
『あなた様の命令であれば、この命すら犠牲にして見せます』と、心の中で決意しているはずの式の素直じゃない言葉を受け止めながら、紫は霧の湖の上空を睨む。かなり離れた位置にあるはずなのに、そこには妖精の群れが常に徘徊している。
もちろん、すべてが強化型妖精だ。
スペルカードを持たないような妖精なら一対一の弾幕勝負じゃなくてもいい、というようなルールの裏を付いて物量で攻めてくる相手。
しかも主であるレミリアは意図してそれを行っている。
紫は日傘を持っていない手の甲を唇に当て俯きながら瞳を閉じる。
「打つ手、なしか。やはりあの手段しか残されていないわね」
「……紫様、実は楽しんでいるだけでしょう?」
「あら、私は幻想郷の未来を憂いているだけですわ」
そんな紫の手の中にある一冊の本。
それを見せつけるように微笑む紫に従うままに、藍は主人が開いた境界を覗き込む。その先はやはり、とある神社に繋がっていて。
「さあ、『A作戦』のはじまりよ!」
ヤケにノリのいい主人の言葉に嫌な顔をしつつ、藍は別の空間へと一気に身を躍らせた。
◇ ◇ ◇
「カタパルト! ロック! スタンバイ!」
霊夢は姿勢を低くして、射出の衝撃に備え――
――と、その前に言っておく。
博麗神社には発射台などというものはない。
そもそもそんな物々しい設備を置けるような広さもないし。宴会ができなくなるから邪魔。
と、なれば変わりのものでその『カタパルト』というものを代用するわけだが。
霊符を境内の石畳の上にまっすぐ肩幅で並べてレールもどきを作り、その上に足を乗せる。その後、本殿の前の階段に足を乗せ、固定。
準備ができた段階で、霊夢は紫へと視線で合図を送り。
「ハクレ・A・レイム、いっきまぁぁ~~すっ!」
そう叫んだ直後、レイムの足の裏から火柱にも似た霊力が放出され、瞬きをする間にも彼女の姿が残像でしか見えなくなる。その速度をレール代わりの霊符の反発力で維持、さらに高めて、鳥居から一気に逆の放物線を描いて大空へ。
単純極まりない運動であるはずなのに。
初動で生まれた霊圧による衝撃は、神社を揺らし。
木々の枝を強引にへし折り、
さらには加速によって高められ続けた力は、その残滓だけで鳥居を大きくしならせた。
爆発音は耳鳴りとなってその場に留まり続け。
神社を覆う新緑の風景が湖面のように揺れ動く。
空間を歪ませるほどの、純粋な霊力の余波。
つまり、それはっ!
「無駄遣いですよね? 霊力の」
一人冷静な藍が、あっさりと切り捨てる。
妖怪狐専用の巨大な耳栓を帽子の中から取り出しながら、うんざりとした顔で横を見ると。そこには興奮冷めやらぬ様子で瞳を輝かせる主がいた。
「あら、浪漫の欠片もないのね! わからないのかしら、この重い機体の発進音すら連想させる重厚な霊圧が」
「その重厚な霊圧のせいで橙が泣きながら逃げたんですけど?」
「駄目ねぇ、二人ともまるで理解していない。異変解決にはこういう大味な前振りは必要不可欠だというのに、そうでないと面白くないもの」
「さらっと本音出ましたよね?」
「なんのことかしら? 私は平和を優先する中で個人的な楽しみを加えているだけですわ。それとも藍は私のやり方に多少不満を抱えているとでも?」
「いえ……」
藍は、唇をぎゅっと合わせる。
油断すると、
『多少じゃなくて全部です、それぐらいわかってくださいよ。年増♪』
と、毒を吐きそうになってしまうのを必死に押さえ込む。
「異変解決は、まず人間にやらせる。それでも駄目だったり、気が付けないようなら私が直に干渉する。それでいいじゃないの」
「非効率的ではありますね」
「あなたはそうやってすぐ答えを出したがるのが悪い癖ね、少しは遊び心を持ちなさい。私が許している間は私並みの思考が可能なはずよ?」
と、簡単に言われても、大問題なのである。
藍がその紫並の思考を活用しようとすると。
『境界をいじって紅魔館にくまなく日光入れてやればそれで解決する。後は残った灰と人間と魔女を回収するだけだから手間は掛からない』
と、綺麗な顔の裏で物凄い結末を数種類想像するのだから恐ろしい。
「射出装置は不必要な気がしますが、それは百歩譲って良しとしましょう」
「一歩でいいじゃない」
書物の知識だけで言うなら『カタパルト』というものは。
『飛び上がるための初速を稼ぎ、滑走路の少ない場所でも飛び上がれるようにしたもの』
すなわち、最初から飛び回ることのできる霊夢にはなんら必要のない設備なのである。
その衝撃で軽い賽銭箱が本殿の入り口に突き刺さっているのも仕方ないとして。
「なんですか『ハクレ・A・レイム』って」
「あまりに強大に成り過ぎた紅魔館を倒すにはそれしかないのよ。そのために名前の境界を弄って、伝説の魂を乗り移らせたの」
「適当に駄洒落のようなミドルネームを付けられた彼女に同情の念が絶えませんが」
はっきり言って子供の悪ふざけの部類である。あだ名というよりも最早悪口にしか聞こえない命名変更。若干イントネーションを変えただけにも思えるが、たったそれだけで何が変わるかなど、想像もできないし、正直知りたくもない。橙に逃げられて少々気分の乗らない藍の思考は実にネガティブ一直線であった。
「そう? 機動九尾ラ○ダムっていうのも考えたのだけ――」
「即自害します」
「そこまでっ!?」
そしてそこで藍は確信する。
やはりこの前幻想郷に何冊か降ってきた漫画が、主人である紫に悪影響を与えているのだと。異変というよりも、悪ノリという方向性で。
「と、とりあえず藍、大地に立った『A・レイム』を追うわよ」
「はい、おっしゃるとおりに……」
「ほら、元気出して! 私が一番ラ○ダムをうまく扱えるのだから!」、
「自害します、介錯を……」
「藍、早まらないでっ!」
藍の大きなため息だけがカタパルトでちょっと痛んだ神社に残った。
◇ ◇ ◇
きゅぴりーんっ
「そこぉっ!」
背後から迫っていた妖精の位置すら確認せずに、通常弾幕で一瞬のうちに撃破。前方へは針の連射を続け紅魔館前の鉄壁の妖精軍団は総崩れとなっていた。
最初は再生速度を生かして、一度やられても二度、二度やられても三度と、包囲を繰り返そうとする妖精だったが。
「ちぃ、うかつな奴め!」
再生体を構築した瞬間に胸に針を打ち込まれる。
針から逃れても、札を貼り付けられ、再度消し飛ばされ。
持ち前の直感を全力で活用した、再生の瞬間に合わせた攻撃を繰り返された結果。とうとう妖精の方が戦意を喪失し、泣きながら退散する始末。
その繰り返して確実に紅魔館の戦力は削られていく。
レイムが放つ弾幕に無駄などなく、腕の一振りごとにその妖精の壁が崩壊していく。
「これが対紅魔軍最終兵器『A(アムロ)・レイム』の力よ」
「厄介なものを憑依させましたね、本当に。そもそも直感の鋭い『霊夢』にその長所を伸ばす存在を加えるとは、異変が終わった後どうやってアレを止めるんです?」
「大丈夫よ、時間制限ありだから」
正確無比な弾幕で妖精達を撃退していくレイムの後ろで、八雲の二人が安全になった空を優雅に飛んでいた。しかし安全とは言っても妖精や流れの妖怪が飛び込んでくるのを、通常弾で制しながら。
「左舷弾幕薄いぞ何やってんの!」
「どちらかというと、紫様の方が手を抜いているかと思うのですが?」
そして紫が動きを制限した相手を藍がすべて正確に撃ち抜く。
紫の命令に従っている藍はそれと同等の力が使える。そしてその二人が同時にその場にいるということは、二人の『八雲 紫』を相手にしていると同義。
で、あるのだが。
ほとんど紫がさぼっているので、実質藍の一人舞台だった。
「もちろん霊夢に取り付けた式もどきも、こちらで取り外し可能よ?」
「それは助かります、正直純粋な弾幕勝負だけでアレを止めるのは骨が折れそうですので、ただ、もう一つ気になるのですが?」
「なにかしら?」
「あの状態の霊夢に、記憶はあるので?」
「……藍、私、この戦いが終わったら境界の中で夏眠するから」
「逃げる気満々ですね」
どうやら、今の状況でも霊夢の記憶は残るらしい。
つまり、紫の遊び心で一部粉砕された神社や、妙な台詞を口走っていることを覚えているようだ。
そしてこれ以上霊夢を刺激することはしまい、と。藍は誓った。
「ほらほら、とうとう妖精の群れが消えるわ。これでもう紅魔館に未来はないはずよ」
「そう簡単に行きますかね」
逃げていく妖精たちの中をすり抜け、レイムを追う紫と藍。
そして湖を越えたとき、再び紅魔館の防衛部隊が立ちはだかった。
「背水の陣だ!」
一人だけ、であるが。
「ふふふ、この紅い惰星、簡単には落ちんよ!」
しかも何か間違ったものがインストールされている。
帽子に星がついているせいで、ちょっと上手いと思ってしまう自分が悔しい、と藍は心の中で嘆いた。
「落ちろ!」
しかしA・レイムに容赦などない。
門番を任されている紅美鈴の肉体に弾幕を打ち込んでいく。しかし、美鈴はそれをなんとか直撃しないように打ち流し、散発的な反撃すら行っていた。
それに驚くレイムの隙を見計らい。
「名無しキャラとは違うのだよ! 名無しキャラとはっ!」
クロスガードに徹しながらまっすぐレイムに突っ込んでいく。
そんな捨て身の攻撃にレイムは冷静に攻撃を続けるが、思いのほか防御は硬く接近を許してしまった。
そして、そのショートレンジこそが彼女の距離。
傷ついた腕を下ろし蹴撃だけで応戦する。
距離を取ろうと離れようとしても、得意の歩法でそれを許さない。冷静であればレイムが圧倒していたかもしれない。そのせいで彼女自身が勝ちを焦ってしまう。
そのせいで周囲が見えなくなり。
「大ちゃん、ルーミア、じぇっとすとりぃむあたっくをかけるよ! 意味わかんないけど!」
「そーなのかー!」
「任せて、チルノちゃん」
伏兵の一部だけが黒い三年生(人間身長比)の伏兵に気がつかなかった。
闇を操るルーミアを先頭として一列に並ぶことで、相手に攻撃手段を悟られずに連続攻撃を加える攻撃方法。
美鈴だけに注意を払っていたレイムはそれに気がつくのが遅れ、美鈴はレイムが逃げられないように拘束するような攻撃をのみを繰り返す。
「おや、これはさすがに霊符か何か切り札を使う場面ですね」
しかし追い詰めたように見えて、レイムにはまだ攻撃手段が残されているはず。それを見越して、偶然ながら上手く誘い出せたものだと感心していると。
紫がぽんっと藍の肩に手を置いて。
「ええ、とうとう切り札を使うときが来てしまったわ。本当なら使いたくなどなかったというのに……」
悲観の声を上げる紫の声に、藍は静かに頷いた。
確かに二重結界のような切り札は使用回数が限られているだろうし、できればレミリアやパチュリーという大物相手に使いたかったところ。
そういう意味なのだろうと、藍が納得していると。
何故か急に藍の足元の感覚が消えて。
「いってらっしゃい、藍。あなたが救うのよ!」
「――!?」
疑問の声を上げる暇すらなく、藍は隙間に飲み込まれ。
別なところに吐き出された。
いきなり何をするんだと紫を毒づきながら、尻餅をついた部分を触りながら起き上がれば――
「ハハ、ハハハハッ」
黒い闇が真正面から迫ってくるところで。
後ろには、美鈴と接近戦を繰り返すレイム。
しかもそうやって思考する間にも闇の塊は迫ってきて――
見事、藍の身体にストライク。
その瞬間。
『ま、マチルダさぁぁん!』
『ま、マチルダさぁぁん!』
ルーミアの全速力を鳩尾付近で受け止めた藍は、レイムと紫の叫び声を聞きながら放物線を描いて吹き飛ばされていく。
――マチルダさんって誰?
――そもそも何でスペルカードを使わないのだろう?
いろいろな疑問が頭の中に巡る中。
気絶だけは免れた藍が、ふらつきながら紫の側に戻り。
底冷えのする声で何故こんなことを、と尋ねると。
「え、だって、やっぱりジェットストリームアタックにはマチルダさんだから」
「え?」
「必要な犠牲というやつよ、わかって♪」
ぽんっと肩を置かれた手に若干殺意を芽生えさせながら。
藍はこくりっと頷いた。
『わ、私を踏み台にしたのかーっ!』
紅魔軍の悲鳴。
レイムが四人を圧倒する状況が視界に入る中で。
静かな怒りの炎を燃え上がらせながら。
藍はこの瞬間、決意したのだった。
「実家(マヨヒガ)に帰らせていただきます」
「え? ちょ、ちょっと! ちょっと待って、らぁぁぁんっ!」
紫の静止の声も聞かず、藍は尻尾をいきり立たせながらとうとう空へと消えていったのだった。
◇ ◇ ◇
「ふふ、ここまでやるとはね。私も出るしかないか」
「レミリアお嬢様、しかしお嬢様専用の日傘はもうフランドールお嬢様がお使いに」
「そう、フランはどうなったの?」
「『ひさしぶりに弾幕勝負できて楽しかった』とボロボロの服装でしたが、とても満足そうでした」
「そうか、フランが落ちたか……」
筒状の着ぐるみをきたパチュリーの日符連打(ソーラレイシステム)が喘息のため効果を十分に発揮しなくなった今、戦力は妖精とレミリアくらいしかない。
「しかし、日傘がないのでは、出撃すらできないか」
「……いえ、あります。とっておきの遮光システムが」
「ほぅ、まだ使える日傘があるのか」
「いえ、そうではありませんが……」
紅魔軍技師役、十六夜咲夜は口篭もりながらもレミリアを先導し、紅魔館の一階倉庫へと足を運んだ。するとそこの中央に見慣れないシルエットが一つ。
起動を待ち望んでいるかのように佇んでいた。
「これが、吸血幼女専用、モケーレムベンベです……」
ピンク色のふわふわした表皮。
そのずんぐりとした体から伸びる短い手足、そして手足のバランスの悪さにより可愛らしい尻尾を地面につけておかないと自然に仰向けに倒れてしまう儚さ。
さらには、顔にあたる部分はもう造型士のこだわりが見え隠れするほどの愛らしさで、つぶらな瞳を見ているだけで頭を撫でたくなるような。
見事な着ぐるみという名の遮光システムであった。
しかし、レミリアはその完成されたフォルムを見ても今ひとつ納得がいかない。
「ふむ、だがこれは、未完成なのではないか?」
「何をおっしゃいます! モケーレムベンベは完成しております。実践テストがまだなだけで……」
「しかし、カリスマがないようだが……」
「カリスマなんて飾りです! 偉い人にはそれがわからないのですよ!」
「はっきり言う、気に入らないな」
「すみません。しかしお嬢様ならきっと乗りこなせるはずです」
「ふ、やってみせるさ。カリスマの差が決定的な差ではないことを教えてやらないとね」
全身を覆う遮光装備、それに袖を通し。
顔の部分だけを装着しないまま、カタパルトデッキまで移動する。
「さあ、レミリア・スカーレット、出るぞ!」
倉庫をこのときのためだけに改築して作ったカタパルトを使えばレイムの不意を討つことすらできるはずだ。そしてそのまま決着をつける。
レミリアはモケーレムベンベの頭部部分を装着し、発射の衝撃に備えた。
「……3……2……1……」
「あれ?」
咲夜のカウントダウンが進む中、レミリアはあることに気が付く。
しかし、それでも発射までの秒読みは進み。
ドシュゥゥッッ
圧縮された魔力の放出音と共に、倉庫を抜けて桃色の怪獣は。
妖精の残党を撃ち落していたレイムのちょうど側面に回り込む。
「こ、この、ノンカリスマはっ! レミリアかっ!」
完全に不意をつかれたレイムは、桃色の愛らしい怪獣に弾幕を撃つことすらできず、無防備な半身を晒した。
明るい表情のまま飛ぶ怪獣はまるでそのレイムの痴態を嘲笑うように接近し。
その桃色の表皮をレイムに掠めさせ、一直線に湖の方へ。
「なっ?」
驚きを隠せないレイムを置いて、飛び去る影。
その中でレミリアは『クックックック』と不適に笑い。
「見えない、ふふふ、私には何も見えない!」
完全な遮光システム。
つまり、真っ暗闇。
それに全身を覆われたレミリアは、綺麗なやまなりの曲線を描いて。
ぽちゃんっと。
「れ、レミリアお嬢様ぁぁぁ」
「だから試運転ぐらいしなさいよばかああああああああ」
悲鳴を残して、湖に沈んでいった。
それが、幻想郷内で起きた。
『一日とちょっとだけ戦争異変』の終焉であった。
後日――
「今度はΖね!」
と、息を撒く二人の黒幕が、霊夢と藍から激しく叱責されているところを多数の妖怪が目撃したという。
『文々。新聞 ~妖怪の山が壊滅か!?~ 』
先日、『一日とちょっとだけ戦争異変』の話を取材していた新人記者『はたて』氏が、誤って「ハクレ・A・レイム」ではなく「エグレ胸・Aカップ・レイム」と悪意のない誤字を残したまま新聞を配った結果。鴉天狗が絶滅の危機に陥った。
当事者の一人、はたて氏は『一発変換のところにまさかそんなキーワードが出てくるとは思わず、面白すぎて修正するのを忘れた』と、故意ではないと主張し続けているが、霊夢氏の怒りは収まることを知らない。
和解はもう少し長引くようである。
UCガンダムネタもっと流行ればいいん。
お嬢様のパートが特に面白かった。
Zも見たい。
相手は三連星だけどあえて叫ぼう。ララアぁぁぁあああん!!
妹には◯されなかったけどそんな最期は嫌だレミリアぁああ!!
……めっさ面白かったです。ファーストはやっぱ良いなぁ。
おもしろかったです!
よろしいならば戦争だ
マ・クベ役の小悪魔が欲しかったなと
ポケ戦も忘れんでくれ
まぁア○ロもある意味神様みたいな存在になってるから、博麗式神降ろしで召喚できても不思議じゃない・・・のか?
はたてェ・・・