Coolier - 新生・東方創想話

その物語に山はなく意味をなさないが、甘き心はただ一人のための山となる

2015/08/27 02:24:14
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物語とはどんなものにも始まりがあり、そして終わりがある。
その始まり方は様々だが、どんな物語でもそれは突然始まるものなのだ。

そうどんな物語でも。
「でも、これはないわ……」
ありがち、べた、王道? 最近どこかでみたような、しかもごく最近だ。
レミリアと咲夜の、おっとこれ以上はいけない気がする。
まあそれはさておき、外の世界の作品など読んだことがない霊夢であったが、
今自分が置かれている状況はなんとなくそうなんだろうなと直感した。
どんな始まり方だって?

昨夜守矢神社で宴会があり、酔っぱらった霊夢はそのまま守矢神社の本殿から離
れている寝床で寝てしまったのだが、目を覚ますと横で早苗が寝ていた。
ただそれだけ。
ここで霊夢が障子から差し込む光に目を瞬かせながら早苗におはようと声をかけ、
早苗も目をこすりながらおはようなんて声をかけ清々しい一日が始まる。
そしてなんとはなしに二人で視線を交わすのだ。
それでいいのか?
いいわけがなかろう。
そうだろう?

しかし何をするにしても冷静さは必要。
まずは状況の確認。
横に向いている状態で目を覚ますと目の前に早苗の顔。
布団は敷布団のみをしいていたようで掛布団はなし。
そのまま眠ってしまったからか、早苗の巫女服は少し乱れており胸元とふともも
がちらちらと覗いていた。
このまま見続けているのはまずいと思い、霊夢は目をつむり深呼吸を開始するが、
深呼吸を繰り返すごとに、なんともいい匂いが霊夢の鼻腔へと吸い込まれてきた。
冷静になるために深呼吸を始めたはずなのに、まったく冷静になれているような
気がしない。
むしろなんか心拍数があがっているような。
「あ……」
再び目を開けるとやはり間違いなくそこには早苗の顔。
すやすやと寝息をたてながら無防備に寝続けている。
そうだ、早苗が間近にいるのに深呼吸なんてしては冷静さを保てるはずもない。
そこでふと思う。
冷静さなんて必要なのか?
いや、いらないな。
さっき必要だなんておもっていたことをさっそく反故にする霊夢。
我慢はよくない、そう我慢はよくないんだ。
そう言い聞かせた後、そっと耳から垂れ下がる髪へと手を伸ばし感触を楽しむ。
さらさらした髪は指の間を滑りぬけていく。
今この髪へ触れられるのは自分だけ。
他の誰にも触らせはしない。
早苗が寝ていることをいいことに、何度も何度も髪へと触れる。
そのたびに髪は指の間を滑りぬけていき何ともいえない背徳感を味わう。
止まらない。
止まれない。
行動はより過激に、それに合わせて鼓動も早くなっていった。
髪へ触れていた手は少しずつ上へ上へと移動し、その手は頭へと伸びていく。
そして頭頂部へと達した手を左右へ動かし優しくなでる。
何度かなでたことはあったが、この感触はやはり格別だ。
ずっと、このままでいたい。
そう思わせるような。
「………」
「………」
「えっと、霊夢、さん?」
「!!」
自分の世界に浸っていたところ、急に聞こえてきた声にびくりと体を震わせる。
まさか起きていたなんて、いつから起きていたのだろう。
「霊夢さん、顔真っ赤ですよ」
早苗はにこにこしながらそんなことを言ってくるのだから、これ最初から起きて
たんじゃないの、そう思ってしまう。
「早苗、起きてたの?」
「はい、なんか気持ちいいなぁって思ってたら、霊夢さんが私の髪を触ってましたので」
最初からではないが、かなり初めの方から起きていたようだ。
「それで、髪の触り心地どうでしたか?」
「え、いや、その……」
言葉につまる。
「ふふ、霊夢さんはかわいいですね」
先ほどまでは確かに霊夢が主導権を握っていた。
だがそれは早苗が寝ているからだと思っていただけで、実は起きていたというな
らその攻守は逆転する。


一転。



あれ、なんだこれ。
霊夢が思った時には既に早苗の行動は終わっていた。
「さ、早苗?」
先ほどまでは確かに横にあった早苗の姿。
何故か今はその姿を見上げていた。
見上げていた、つまりそれは早苗が霊夢に覆いかぶさっているということ。
「霊夢さん……」
呟きながら早苗は霊夢に顔を近づけていく。
唇は霊夢の頬へと触れ、さらにうなじへの方へと移動してく。
そして早苗は耳元でささやいてきた。
「霊夢さんが悪いんですよ。あんなに優しく髪とか頭とか撫でて、我慢なんてで
きるはずないじゃないですか」
「そ、それは」
「覚悟を決めてくださいね」
そんな言葉かけられたら、もうどうすることもできない。
もともとは自分が始めたこと。
覚悟を決め目をつむる。
「……」
「……」
が、何も起こらない。
「ふふ」
「?」
突然の笑い声に目をあけると、そこには笑い声を出さないように堪えている早苗がいた。
いや笑い声は漏れているが。
「霊夢さん、続きやりたいとこなんですけど周りをみてください」
「えっ?」
その言葉に、霊夢は周りをみる。
つい先ほどまでは早苗のことでいっぱいいっぱいだったので、周りまではよく見
えていなかったのだ。
霊夢と早苗の周り、そこには昨日宴会に参加していたメンバーが何人か寝ていた。
「早苗、気づいてたの?」
「はい、もちろん」
やられた。
やっぱり早苗には敵わない。
「ということで、続きはまた今度ということで」
早苗はそういうと霊夢はから離れようとする。
霊夢はこのままやられっ放しというのも癪だとおもった。

だから、手を伸ばす。
離れていようとしていた早苗を強引に引き寄せる。
予想外の行動だったからだろうか、早苗は霊夢の行動にびっくりしたような表情
を浮かべていた。
だがもう遅い。

刹那。
唇が触れる。

早苗の表情が真っ赤に染まっていく。

そんな表情をみながら、霊夢は満足そうな表情を浮かべた。
夜伽なら最後までいってた
香由知凪
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コメント



0.250簡易評価
2.90名前が無い程度の能力削除
投稿者名を二度見してしまった、まさか生き返るとは…。
良いレイサナでした。
4.90奇声を発する程度の能力削除
良いね
6.90絶望を司る程度の能力削除
甘かったです
9.100名前が無い程度の能力削除
良いレイサナだった、掛け値なしに。