ボリッ、ボリッと。
硬いものを噛み砕く音がする。
ぴちゃ、ぴちゃ、と。
水気のあるものを啜る音がする。
ゴリッ、ボリッ。
べちゃ、ぴちゃ。
ばきっ、めきっ。
そしてどこからか微かに聞こえる、くぐもったうめき声──
温度と湿度さえも感じられる、吐息、鼻息。
ぱきり、めきり。
ぐちゃっ、びちゃっ。
「ぅうう…」
うめき声は大きくなったり、小さくなったりしながら、断続的に漏れる。
乗る感情は、痛みか、諦めか、呪いか、あるいは。
「痛いイタイイタイいたいィイイイイ!」
「あら、それはごめんなさいね。でも痛いってことは、生きてるってことだって言うでしょ?」
ごりごりと、何かをすり潰す様な音が聞こえる。
そしてそれは、すぐに悲鳴にかき消される。
「あら芳香、お行儀が悪いわよ。口の周りを真っ赤にして」
「おいしい…おいしイ…」
「ふふ、仕方の無い子ねぇ…ま、いいのよ。そう滅多に手に入るものではないし…よく味わってね」
ぶつり、ぐしゃり。
びちゃ、べちゃ。
「ぅううううぅうぅうぅウウ…あっがががががぎ」
「はい、じゃあ次は左足、いってみましょうか。大丈夫よ、もうすぐ楽になるわ…」
「ウゥ…おいしい…」
くぐもった声は段々と小さくなって、代わりに、一際大きな破砕音が鳴り響く。
ぼりぼりぼりぼりぼり
ばりばりばりばりばり
「いい食べっぷりね、芳香。それだけ美味しく食べて貰えれば、きっと満足でしょうよ、そのにん──」
霍青娥及び、宮古芳香は、基本的に放任とすべし。神子様はそう仰られた。
私は今まで、それに従って、彼奴がどこで何をしようと、関わらないできた。
だがしかし…この状況は何だ。
襖一枚隔てた空間で、何が行われているのだ。
何かを「食べる」音。
苦しげな叫び声。
青娥の嬉しそうな声。芳香の歓喜に満ちた声。
よもや、この…神子様の治める、小さいながらも神聖な領域で。
それだけはならぬ、と、禁じられた事柄を。
私は最悪の事態を想定し、雷雲を召還して、そっと襖に手をかける。
神子様の不在をいいことに、禁を侵し、意向に背くのならば、せめてここ以外の場所でやるべきだ。
いや、そうではない…奴ら、「誰を」そうしているのだ?
迷い込んだ人間か? あるいは妖怪か? それとも…考えたくは無いが、布都か?
最初と、次のそれならばまだしも、三番目の選択肢だけはあり得まいが、ゼロであるとも言い切れない。
そしてもし万が一、そうであったなら…私は奴らに対して、慈悲の心とやらを抱くことはないだろう。
私は深く息を吸い、そして吐くと、襖を勢いよく開いた。
「動くな貴様らッ!」
そう叫んで、部屋の中を見回す。
私の目に入ってきた光景、それは──
◇
今朝のことだ。
「足りない?」
「ええ、そうですわ太子様。幾ら死んでいるとは言え、栄養の偏りというものは、気の流れに難を生じますの」
「ふむ、確かに…しかし青娥、具体的にはどうするのです。よもやそこら辺のものを攫ってくると?」
朝食を済ませ、出かける準備をしつつ、神子様が青娥と話をしていた。
何が足りぬのだろう、と、私は疑問に思ったが、それよりも重視すべきは、朝食の片付けであった。
布都は一昨日辺りから、風邪を引いて臥せっているし、芳香や青娥は何もせぬし、だからと言って神子様の手を煩わせる訳にもいかぬ。
食器を纏め、卓を拭きつつでは、二人の会話の内容までは、頭に入ってこない。
「ですので…を…用意…らで…」
人の話に聞き耳を立てる、というのは、あまり好きではない。
どうせ大したことでもあるまい、私はそう己を納得させ、食器を持って台所へと向かった。
ちらり、と、肩越しに見る青娥の表情。それは何処か妖しげで、気になる所ではあったが…これを片付けたら、次は洗濯をせねばならない。
私は気持ちを入れ替え、洗い物を始めた。
◇
─そも、我々は、元々人間である。
ここ幻想郷においては、弱者として認識され、ともすれば妖怪どもの餌食となる、そんな脆弱な存在であった。
とは言え、タオという力を修めたり、あるいは私の様に怨霊として顕現するなどして、我々は超常の力を持つに至り、捕食…そのような事態にはなっていないのは、喜ばしいことであるが…
しかし、宮古芳香、あれは違う。
霍青娥…邪仙と謗られ、また自らもそう呼ばれる事に甘んじている女の作り出した、『あらゆるものを食う』事の出来る、危険な存在だ。
彼女には僅かではあるが、自我、及び理性というもの残っており、その御蔭か…あるいはマスターである青娥の制御か、それは判別できぬことであるが、ともかく、今まで共に暮らしてきてはいる。
だが調べるところによれば、僵死…キョンシーというものの大半は、人を喰らうものである。
それはよい。その様にされた、その様に作られたものの背負った、業とも言える。
だが、だからと言って、そう長い期間でないにせよ、寝食を共にしてきた者を、文字通りその毒牙にかけて良いということは断じてあるまい。
無論、布都が幾ら馬鹿で間抜けでチョロいとは言え、腕は立つ。だが今は違う…何処で貰ったのかは判らないが、奴は病に伏せているのだ。仙人をも侵す病原体というのがあったとは驚きであるが、まだ我々の知識の及ばぬあれこれが、この地にあるというのを認識するのは容易いことだ。
青娥と芳香、二人がかりでかかれば…おそらく、その戦力差を覆すのは、弱った布都には至難であるはずだ。
私はせめて、最後の選択肢だけは、選んでいないでくれ…そう心から願いつつ、布都の部屋の襖を開いた。
「動くな貴様らッ!」
「わ、びっくりした。動くなって…ゴキブリでもいた?」
「…は」
意表を突かれた青娥が、本当に動きを止め、私を見つめてそう言った。
「…いないわね。屠自古ちゃん。お洗濯、手伝えなくてごめんなさいね」
「ごーめーんー」
「いだいいだいいだい痛いィイイイ! 青娥ァアアアア! めっちゃ痛い! めっちゃツボ押してる!」
「気の流れが滞っている証拠よ。我慢なさい」
そこには、布都の左足をがっちり掴み、足裏をマッサージする青娥と、その刺激に悶絶する布都と…そして山盛りの野菜を、嬉しそうに食べまくる芳香の姿があった。
トマト、ゴボウ、タマネギ、セロリ、カボチャ、カブ、白菜、大根…そしてにんじん。
想像していた、凄惨な状況は何処にも無く、冬の日差しにより、部屋の中は暖かい。
「は…? は?」
「ああ、と、屠自古ォオオオオオ! 助けろォオオオオオオ!」
「だーめ。布都ちゃんが罹るくらいの風邪なのよ、太子様や屠自古ちゃんにうつったらどうするの」
青娥はにこにこと笑いながら、まるで駄々っ子をあやす母親といった風情であるが、その手指は一切の容赦が無い。
拳を作り、あるいは曲げた指で…布都の足裏のツボをぐりぐりと押している。
「オヒャハアアアアア!?!?! もうこれ、死ぬ系の痛みじゃろがァアアアア!!! 青娥お主、アレかァアアアア!? 北斗の次兄にクリソツなアイツ目指しておるのかァアアアアア!?」
「よく判らないけど、騒ぎ過ぎだってば布都ちゃん。人体の経絡秘孔は708あるのよ、これらを効果的に刺激して、気を高めれば…風邪なんてすぐ治っちゃうんだから」
「その前に痛みで死ぬちゅうとろうがァアアアアアア!」
「布都ー、うるさいー」
絶叫、そして悶絶する布都にそう言いつつ、芳香はトマトを両の手に持ってかぶりつく。
赤い果汁が滴り、襟や胸元を汚すが、それでも芳香はひどく嬉しそうだ。
「野菜…」
「そうよ。死んでるとは言え、私の術に拠って、芳香の体内には気が巡っているわ…ここのところ魚やお肉ばかりで、どうにも栄養が偏っていたから…ちょっと、拝借してきたのよ」
自分でも判る位に呆然とした私の前で、芳香はばりばりぼりぼりと大根を齧り始める。
聞こえていたのはこれらの音だったのだ。
しかし、何故…何故わざわざ、布都の部屋で…。
そう思ったのが顔に出たのか、青娥が苦笑しつつ口を開いた。
「ごめんね屠自古ちゃん、本当は屠自古ちゃんに料理して貰おうかなとも考えたんだけど…いつも色々、家事とか洗濯とか…大変そうだったし」
雷雲が霧散していく。
何のことはない…私が勝手に、勘違いしていただけのことだ。
疑ってかかった己の浅慮を恥じつつ、私は布都の右足をがっと掴む。
「あら、右足はもう終わったわよ?」
「いや、念には念という言葉もある。私の電流で刺激してやろうかと思ってな」
「ああ、それはいいわね!」
「え、ちょ、屠自古!? お、おいやめろ馬鹿…今それをされたら…!」
「布都ー、うるさいー」
まったく。
まったくこやつらには、気苦労を強いられる。
だが、それも、そう悪くはない。
私はふ、と、笑って、再び雷雲を呼び出し、そして──
硬いものを噛み砕く音がする。
ぴちゃ、ぴちゃ、と。
水気のあるものを啜る音がする。
ゴリッ、ボリッ。
べちゃ、ぴちゃ。
ばきっ、めきっ。
そしてどこからか微かに聞こえる、くぐもったうめき声──
温度と湿度さえも感じられる、吐息、鼻息。
ぱきり、めきり。
ぐちゃっ、びちゃっ。
「ぅうう…」
うめき声は大きくなったり、小さくなったりしながら、断続的に漏れる。
乗る感情は、痛みか、諦めか、呪いか、あるいは。
「痛いイタイイタイいたいィイイイイ!」
「あら、それはごめんなさいね。でも痛いってことは、生きてるってことだって言うでしょ?」
ごりごりと、何かをすり潰す様な音が聞こえる。
そしてそれは、すぐに悲鳴にかき消される。
「あら芳香、お行儀が悪いわよ。口の周りを真っ赤にして」
「おいしい…おいしイ…」
「ふふ、仕方の無い子ねぇ…ま、いいのよ。そう滅多に手に入るものではないし…よく味わってね」
ぶつり、ぐしゃり。
びちゃ、べちゃ。
「ぅううううぅうぅうぅウウ…あっがががががぎ」
「はい、じゃあ次は左足、いってみましょうか。大丈夫よ、もうすぐ楽になるわ…」
「ウゥ…おいしい…」
くぐもった声は段々と小さくなって、代わりに、一際大きな破砕音が鳴り響く。
ぼりぼりぼりぼりぼり
ばりばりばりばりばり
「いい食べっぷりね、芳香。それだけ美味しく食べて貰えれば、きっと満足でしょうよ、そのにん──」
霍青娥及び、宮古芳香は、基本的に放任とすべし。神子様はそう仰られた。
私は今まで、それに従って、彼奴がどこで何をしようと、関わらないできた。
だがしかし…この状況は何だ。
襖一枚隔てた空間で、何が行われているのだ。
何かを「食べる」音。
苦しげな叫び声。
青娥の嬉しそうな声。芳香の歓喜に満ちた声。
よもや、この…神子様の治める、小さいながらも神聖な領域で。
それだけはならぬ、と、禁じられた事柄を。
私は最悪の事態を想定し、雷雲を召還して、そっと襖に手をかける。
神子様の不在をいいことに、禁を侵し、意向に背くのならば、せめてここ以外の場所でやるべきだ。
いや、そうではない…奴ら、「誰を」そうしているのだ?
迷い込んだ人間か? あるいは妖怪か? それとも…考えたくは無いが、布都か?
最初と、次のそれならばまだしも、三番目の選択肢だけはあり得まいが、ゼロであるとも言い切れない。
そしてもし万が一、そうであったなら…私は奴らに対して、慈悲の心とやらを抱くことはないだろう。
私は深く息を吸い、そして吐くと、襖を勢いよく開いた。
「動くな貴様らッ!」
そう叫んで、部屋の中を見回す。
私の目に入ってきた光景、それは──
◇
今朝のことだ。
「足りない?」
「ええ、そうですわ太子様。幾ら死んでいるとは言え、栄養の偏りというものは、気の流れに難を生じますの」
「ふむ、確かに…しかし青娥、具体的にはどうするのです。よもやそこら辺のものを攫ってくると?」
朝食を済ませ、出かける準備をしつつ、神子様が青娥と話をしていた。
何が足りぬのだろう、と、私は疑問に思ったが、それよりも重視すべきは、朝食の片付けであった。
布都は一昨日辺りから、風邪を引いて臥せっているし、芳香や青娥は何もせぬし、だからと言って神子様の手を煩わせる訳にもいかぬ。
食器を纏め、卓を拭きつつでは、二人の会話の内容までは、頭に入ってこない。
「ですので…を…用意…らで…」
人の話に聞き耳を立てる、というのは、あまり好きではない。
どうせ大したことでもあるまい、私はそう己を納得させ、食器を持って台所へと向かった。
ちらり、と、肩越しに見る青娥の表情。それは何処か妖しげで、気になる所ではあったが…これを片付けたら、次は洗濯をせねばならない。
私は気持ちを入れ替え、洗い物を始めた。
◇
─そも、我々は、元々人間である。
ここ幻想郷においては、弱者として認識され、ともすれば妖怪どもの餌食となる、そんな脆弱な存在であった。
とは言え、タオという力を修めたり、あるいは私の様に怨霊として顕現するなどして、我々は超常の力を持つに至り、捕食…そのような事態にはなっていないのは、喜ばしいことであるが…
しかし、宮古芳香、あれは違う。
霍青娥…邪仙と謗られ、また自らもそう呼ばれる事に甘んじている女の作り出した、『あらゆるものを食う』事の出来る、危険な存在だ。
彼女には僅かではあるが、自我、及び理性というもの残っており、その御蔭か…あるいはマスターである青娥の制御か、それは判別できぬことであるが、ともかく、今まで共に暮らしてきてはいる。
だが調べるところによれば、僵死…キョンシーというものの大半は、人を喰らうものである。
それはよい。その様にされた、その様に作られたものの背負った、業とも言える。
だが、だからと言って、そう長い期間でないにせよ、寝食を共にしてきた者を、文字通りその毒牙にかけて良いということは断じてあるまい。
無論、布都が幾ら馬鹿で間抜けでチョロいとは言え、腕は立つ。だが今は違う…何処で貰ったのかは判らないが、奴は病に伏せているのだ。仙人をも侵す病原体というのがあったとは驚きであるが、まだ我々の知識の及ばぬあれこれが、この地にあるというのを認識するのは容易いことだ。
青娥と芳香、二人がかりでかかれば…おそらく、その戦力差を覆すのは、弱った布都には至難であるはずだ。
私はせめて、最後の選択肢だけは、選んでいないでくれ…そう心から願いつつ、布都の部屋の襖を開いた。
「動くな貴様らッ!」
「わ、びっくりした。動くなって…ゴキブリでもいた?」
「…は」
意表を突かれた青娥が、本当に動きを止め、私を見つめてそう言った。
「…いないわね。屠自古ちゃん。お洗濯、手伝えなくてごめんなさいね」
「ごーめーんー」
「いだいいだいいだい痛いィイイイ! 青娥ァアアアア! めっちゃ痛い! めっちゃツボ押してる!」
「気の流れが滞っている証拠よ。我慢なさい」
そこには、布都の左足をがっちり掴み、足裏をマッサージする青娥と、その刺激に悶絶する布都と…そして山盛りの野菜を、嬉しそうに食べまくる芳香の姿があった。
トマト、ゴボウ、タマネギ、セロリ、カボチャ、カブ、白菜、大根…そしてにんじん。
想像していた、凄惨な状況は何処にも無く、冬の日差しにより、部屋の中は暖かい。
「は…? は?」
「ああ、と、屠自古ォオオオオオ! 助けろォオオオオオオ!」
「だーめ。布都ちゃんが罹るくらいの風邪なのよ、太子様や屠自古ちゃんにうつったらどうするの」
青娥はにこにこと笑いながら、まるで駄々っ子をあやす母親といった風情であるが、その手指は一切の容赦が無い。
拳を作り、あるいは曲げた指で…布都の足裏のツボをぐりぐりと押している。
「オヒャハアアアアア!?!?! もうこれ、死ぬ系の痛みじゃろがァアアアア!!! 青娥お主、アレかァアアアア!? 北斗の次兄にクリソツなアイツ目指しておるのかァアアアアア!?」
「よく判らないけど、騒ぎ過ぎだってば布都ちゃん。人体の経絡秘孔は708あるのよ、これらを効果的に刺激して、気を高めれば…風邪なんてすぐ治っちゃうんだから」
「その前に痛みで死ぬちゅうとろうがァアアアアアア!」
「布都ー、うるさいー」
絶叫、そして悶絶する布都にそう言いつつ、芳香はトマトを両の手に持ってかぶりつく。
赤い果汁が滴り、襟や胸元を汚すが、それでも芳香はひどく嬉しそうだ。
「野菜…」
「そうよ。死んでるとは言え、私の術に拠って、芳香の体内には気が巡っているわ…ここのところ魚やお肉ばかりで、どうにも栄養が偏っていたから…ちょっと、拝借してきたのよ」
自分でも判る位に呆然とした私の前で、芳香はばりばりぼりぼりと大根を齧り始める。
聞こえていたのはこれらの音だったのだ。
しかし、何故…何故わざわざ、布都の部屋で…。
そう思ったのが顔に出たのか、青娥が苦笑しつつ口を開いた。
「ごめんね屠自古ちゃん、本当は屠自古ちゃんに料理して貰おうかなとも考えたんだけど…いつも色々、家事とか洗濯とか…大変そうだったし」
雷雲が霧散していく。
何のことはない…私が勝手に、勘違いしていただけのことだ。
疑ってかかった己の浅慮を恥じつつ、私は布都の右足をがっと掴む。
「あら、右足はもう終わったわよ?」
「いや、念には念という言葉もある。私の電流で刺激してやろうかと思ってな」
「ああ、それはいいわね!」
「え、ちょ、屠自古!? お、おいやめろ馬鹿…今それをされたら…!」
「布都ー、うるさいー」
まったく。
まったくこやつらには、気苦労を強いられる。
だが、それも、そう悪くはない。
私はふ、と、笑って、再び雷雲を呼び出し、そして──
文章力、確実に上がってますね
良いアイデアですね、面白かったです
面白かったです
それでも読んでてドキドキしました。