Coolier - 新生・東方創想話

さよなら幻想

2017/07/02 19:42:29
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果たして信仰とは如何なるモノであるか。
ふと、私の中の何かが、呟いた。
さる神社にて祝部として過ごして数十年、今まで一度もこのように想ったことは無い。
それほどまでに、私は信仰というものを当たり前として受け止めていたのかも知れない……

風を起こし雨を降らす。普段から見慣れている自然現象の筈なのに、それは人々の心を動かした。
曰く、此れは奇跡である、或いは何とやら。
私は単純にさる方を祀り、秘術を継承した一族の末裔である。
かつて人々は自然を畏れた。そして、それらに対して様々なモノを見出した。
その終着点が……言うまでも無く、私達一族が、代々引き継いでいった「彼女」であるとも言える。
しかし、何時からだろうか。信仰とは、連綿と受け継がれた「彼女」ではなく、私へと集まっていった。

近代は幸福である。かつては干ばつや豪雪、火山の噴火といった脅威と常に隣り合わせであった。
それほどまでに、自然は厄介であり、それゆえに人々はそれらを敬い畏れたのだ。
しかし、人は自然を観察観測し、それが複数の数式で体系付けることに成功した。
ここに於いて、信仰は一度「死んだ」のである。
かつて畏れを抱いた自然が体系付けることが出来る。これは自然が人の手で制御できる、ということを暗に示していた。
そして、その行き着く果は……

合理的とも言える世界に於いては、あらゆるモノが理知的に、そして知性の光で隈なく照らし出されていく。
それは、迷信俗信を科学的に解釈しようといった、かの哲学者よろしくといった具合に、徐々にではあるが、
彼女への信仰をも蝕んでいった。
即ち、全てが人々の脳髄で理解制御される世界に於いて、もはや自然への畏怖など存在する道理など無い。

これから先、私達の遺物は、研究者や博物館といった場所に、過去を示す「資料」として還元され、
そして一つの研究材料を提供し続けるだろう。
しかし、もはや其処には信仰の面影など無い。
……彼らは資料を得るのと引き換えに、そのモノ自体の存在意義を永遠に失ったのだ。

ふと、これから先の想像をする。
世の中は常に合理化を進め、これから先は科学といったものが人々の生活の中心を担って行くのだろう。
近代は幸福である。進んだ技術は人々に、かつてない繁栄と、発達をもたらすであろう。
しかし、と思いとどまる。
かつて人々が自然に対して見出した、その姿形を、これから先の子供達は其の目に想い浮かべることが出来るのだろうか……?
そして、それらが存在できない世界は「幸福」であり続けるのだろうか……?

ざぁ、と一陣の風が背中から通り過ぎる。
私の背後では、彼女が私をジッと眺めているのだろうか……?

あぁ、此の風が私の不安を吹き飛ばしてくれたら、と想いながら、私は彼女の方へと身体を向けた……

ポエムって感じ

大半が妄想なので、真実たるものは何もないってそれ一番言われてるから……(唐突)
稲生
[email protected]
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コメント



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1.10名前が無い程度の能力削除
後書きでそんなこと言われたら読者がどう思うか考えもしない人の作品でした。
2.無評価名前が無い程度の能力削除
気持ち悪いあとがき…
3.無評価名前が無い程度の能力削除
早苗さん多分それ更年期障害
4.60怠惰流波削除
宗教書のあとがきのようだと思いました。
この早苗さんは幻想入りしなかった世界線の早苗さんなのでしょうか